- 更新日 : 2023年2月15日
確定申告の書き方・記入例など

所得税の確定申告書の書き方について見ていきましょう。
令和4年分の確定申告から、従来のA様式、B様式がなくなり申告書の様式が一種類になりました。構成としては第一表と第二表で変更ありませんので、給与所得のみの場合と給与所得と事業所得がある場合に分けて順を追ってみていきましょう。
目次
確定申告書 第一表(給与所得のみの場合)

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「確定申告書第一表(令和4年分以降用)」を加工して作成
1、収入金額等
源泉徴収票に記載されている、一年に支払われた給与合計額「支払金額」を「㋔給与」の項目に記入します。
2、所得金額
源泉徴収票に記載されている、「給与所得控除後の金額」を2の「⑥給与」に記入します。その他の所得がない場合は、「⑥給与」に記入した額を2の「⑫合計」に記入します。
3、各種控除金額
源泉徴収票に記載されている、社会保険料や生命保険料の控除額や、すべての人を対象に適用される基礎控除・48万円などを3の各控除の欄に記入します。すべての控除額を記入後、その合計金額を3の「㉙合計」に記入します。
4、税金の計算
2の「所得金額」の「⑫合計」から3の各種控除金額の「㉙合計」を差し引いた額を4の「㉚課税される所得金額」に記入します(※1)。そして、「㉚課税される所得金額」に所得税率をかけた後の金額を4の「㉛上の㉚に対する税額」の欄へ記入します。
※1 1,000円未満の端数は切り捨てる
「㉛上の㉚に対する税額」の額から、㉜配当控除以下から㊵住宅耐震改修特別控除までの合計額を差し引いた結果を「㊶差引所得税額」へ記入します。そして「㊶差引所得税額」から「㊷災害減免額」の金額を差し引いた金額を「㊸再差引所得税額」へ記入します。
「㊸再差引所得税額」と「㊹復興特別所得税額」の金額を合計し、㊺へ記入後、そこから㊻㊼と源泉徴収票に記載されている「㊽源泉徴収税額」を差し引いた金額が黒字の場合は51へ、赤字の場合は52へ記入します。
5、その他
配偶者の前年度の合計所得金額を5の「56配偶者の合計所得金額」に記入します。59については、㊽で記入した税額のうち、雑所得、一時所得の金額に対する所得税および復興と区別所得税の源泉徴収税額の合計を記入します。
また、60については、給与等の支払者において未払の収入金額があり、その収入金額に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の支払者の未納付があるとき、その未納付の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額を記入します。
確定申告書 第二表(給与所得のみの場合)

引用:確定申告書第二表(令和4年分以降用)|国税庁
第二表の各項目については第一表で記入した額をすべて転記します。ただし、所得の種類については具体的な会社名と共に記載し、保険料については源泉徴収票に書かれている控除額ではなく、実際に支払った保険料を記入します。
確定申告書 第一表(給与所得と事業所得がある場合)

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「確定申告書第一表(令和4年分以降用)」を加工して作成
1、収入金額など
その年の1月1日から12月31日までの間に得られた収入を、所得ごとに記入します。事業による収入は、「㋐㋑事業」の欄に、給与の収入は、「㋔給与」の欄に収入金額を記入します。個人事業主あるいはフリーランスの人は事業所得があるでしょうから、「事業」の「㋐営業等(※2)」の欄に記入します。
給与所得者でも給与以外の収入がある場合には、給与所得の欄に源泉徴収票に書かれている支払金額を記入し、加えて、該当する所得の欄にも副業で得た収入を記入します。
※2 営業などの所得に当てはまる事業は以下になります。
- 卸売業、小売業、飲食店業、製造業、建設業、金融業、運輸業、修理業、サービス業などのいわゆる営業
- 医師、弁護士、作家、俳優、職業野球選手、外交員、大工などの自由職業
- 漁業などの事業
2、所得金額
所得金額とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。個人事業主あるいはフリーランスの人であれば、収入から通信費や交通費などの必要経費を除いた額になります。なお、青色申告の承認を受けている場合、青色申告特別控除の金額(最大65万円または10万円)もここで控除ができます。
記入方法は、1の「㋐営業等」から青色申告控除による金額(65万円または10万円)および経費金額などを差し引いた額を2の「➀営業等(※3)」に記入します。事業所得以外の所得がある場合はそれぞれ計算し、各所得の欄に記入します。給与所得者の場合には、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄にある数字を記入します。全ての所得を計算後、その合計金額を2の「⑫合計」に記入します。
※3 所得税青色申告決算書の項番45の「所得金額」の額を記入します。
3、所得から差し引かれる金額(各種控除金額)
ここは、所得から控除が認められる金額を記入する欄です。具体的には、㉗医療費控除、⑬社会保険料控除、⑮生命保険料控除、㉓扶養控除などがあります。
個人事業主やフリーランスの人は、該当する項目について個々に記入していきます。
一方サラリーマンは、年末調整で申告漏れがなければ、源泉徴収票の所得控除の合計額を申告書の所得控除額の合計額に転記するだけです。
4、税金の計算
税金は、総所得金額から所得控除の合計額を差し引いた額に、所得税率を掛けて計算します。ここから、さらに税額控除として認められるものを差し引いて、最終的な税額を計算します。
主な税額控除としては、㉜配当控除と㊻㊼外国税額控除があります。㉜配当控除とは、総合課税の配当所得がある場合に、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額を控除するものです。
㊻㊼外国税額控除とは、同じ所得に対し、外国と日本国内の両方で課税されることを調整するための控除です。外国で生じた所得には、外国での所得税にあたる税と、日本国内での所得税の両方が課せられることになります。その二重に課税されている状態を調整するために、外国で支払った税のうち、一定の額を所得税額から控除することができるようになっています。
記入方法は、2の「所得金額」の「⑫合計」から3の各種控除金額の「㉙合計」を差し引いた額を4の「㉚課税される所得金額」に記入します(※4)。そして、「㉚課税される所得金額」に所得税率をかけた後の金額を「㉛上の㉚に対する税額」の欄へ記入します。
4の「上の㉚に対する税額」の額から、㉜配当控除以下から㊵住宅耐震改修特別控除までの合計額を差し引いた結果を「㊶差引所得税額」へ記入します。そして「㊶差引所得税額」から「㊷災害減免額」の金額を差し引いた金額を㊸へ記入します。
㊸と「㊹復興特別所得税額」の金額を合計し、㊺の欄へ記入後、そこから㊻㊼と㊽所得税の源泉徴収税額を差し引いた金額が黒字の場合は51へ、赤字の場合は52へ記入します。
※4 1,000円未満の端数は切り捨てる
確定申告書の税額計算についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
5、その他
この欄は、税額が正しく計算されているかを確かめるのに必要な情報で、専従者給与(控除)の合計額や青色申告特別控除額、未納付の所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額などを記入します。
専従者給与(控除)の合計額は、青色事業専従者または事業専従者がある場合に、青色申告決算書の専従者給与額もしくは収支内訳書の専従者控除額を記入します。
青色申告特別控除額は、最大65万円または10万円の額を記入します。未納付の所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額は、給与支払い者が給与をまだ支払っていない場合に、源泉徴収されるべき金額について記入します。この額は、未払給与が支払われて源泉徴収されるまで還付が認められません。
また、前年分より繰り越された損失があり、翌年に繰り越す損失額がない場合は「本年分で差し引く繰越損失額」の欄に前年分の損失額を記入します。
確定申告書 第二表(給与所得と事業所得がある場合)

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「確定申告書第二表(令和4年分以降用)」を加工して作成
1、所得の内訳欄
ここには、所得の種類と支払者の名称、収入、源泉徴収税額を記入します。
2、所得から差し引かれる金額に関する事項
源泉徴収票で控除されている場合には、「源泉徴収票のとおり」と記入すれば大丈夫です。そうでない場合は、控除が認められる額ではなく、実際に支払った金額を記入します。
確定申告書や源泉徴収票の見方についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
確定申告の書き方は意外とカンタン!
以上、大まかな確定申告書の書き方を説明しました。細かい項目よりも、まずは全体の構成を捉えることが大切です。それがわかれば、あまり難しいものではありません。各項目についてわからないことは、個別に税務署に相談してみましょう。国税庁の記入例も参考にしてください。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
確定申告書とは?
その年分に得た給与所得や事業所得、公的年金、雑所得、配当所得、一時所得などの各種所得を集計し、所得税を計算するための書類です。詳しくはこちらをご覧ください。
給与所得者の収入金額等の書き方は?
源泉徴収票に記載されている、一年に支払われた給与合計額「支払金額」を「㋔給与」の項目に記入します。詳しくはこちらをご覧ください。
収入はどの期間で計算する?
その年の1月1日から12月31日までの間に得られた収入を、所得ごとに記入します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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