• 更新日 : 2024年11月20日

個人事業主・フリーランスが抑えておきたい経費計上4つのポイント(節税シミュレーション付き)

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はじめに

組織や場所に捉われず、働き方の多様化が進む昨今、フリーランス、ノマドという言葉をよく耳にするようになり、そういった働き方をされる人も実際増えているようです。

しかし、企業に属していないが故に、税金の支払いや確定申告など、ご自身でやらなくてはいけないこと、理解しておかなくてはならない制度が少なからずあることも事実です。

特に個人事業主やフリーランスの方にとって、収入を大きく左右するのが経費計上でしょう。
経費計上の仕組みを理解し、適切な節税をすることが非常に大切だといえます。

そこで今回は、経費計上と節税の関係に始まり、節税をする上で重要な経費計上のポイントを説明していきます。

経費計上と節税の関係

まず、所得税の算出方法について整理しましょう。

課税所得=年間総売上-必要経費-各種控除
所得税=課税所得×税率-税額控除

税率は以下の通り、課税所得に応じて決定されます。

所得税の速算法
出典:国税庁

案外、算出方法を詳細まで理解している方は少なかったのではないでしょうか。

上記より、課税所得を抑えることが所得税を抑えること、つまり節税に直結することがおわかりになると思います。そして、この課税所得を減らすには、必要経費をしっかり計上すること、また、社会保険料控除青色申告控除など各種控除を適用することが必要となるわけです。

今回はその中でも、必要経費を正しく計上するために押えておくべきポイントを詳しく説明しますが、その前に、経費の定義についてもおさらいしましょう。

経費とは利益を得るために使った費用のことを指します。

所得税の計算を行う際に、この利益を得るために使った費用、つまり必要経費と認められると、課税対象額から控除されるというわけです。

何が経費の対象となるのか詳しく知りたい方は、個人事業主が迷う「これって経費?」覚えてお得なQ&A20選!を参考にしてみてください。

節税効果のシミュレーション

それでは経費を正しく計上することで、実際にどれくらいの節税効果があるのかシミュレーションツールを使って見てみることにしましょう。今回はシミュレーションツールとしてみんなの確定申告を利用しました。

「フリーランスで年間売上が500万円」の方をサンプルとして、それぞれ経費を150万円計上した場合と、50万円計上した場合のケースを比較したいと思います。

シミュレーション
※今回のケースでは、基礎控除以外の控除を考慮に入れていません。
※また、あくまでも参考になりますので、ご自身の税額を知りたい際には専門家にお問い合わせください。

結果、青色申告で150万円を経費計上した場合は、50万円の場合と比較して年間約31万円の節税になりました。

年間31万円はばかにならないですよね。領収書やレシートを失くしてしまったから、経費計上の手続きが面倒だからと、きちんと経費計上が出来ていないのは非常にもったいないです。

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経費計上で押えておきたい4つのポイント


やっと本題です。それでは、正しい経費計上をする上で押えておきたい4つのポイントについて説明していきます。

1.家事按分

家賃や携帯、水道代、電気代など、仕事に利用した割合を計算し、経費計上することが可能。

仕事で使用するオフィスの家賃や光熱費はもちろん経費になります。一方、自宅兼事務所としているフリーランスの方も多いでしょうが、その場合、生活用・事業用それぞれを区別しにくく、つい全額を経費にしてしまったり、逆に経費として全く計上しなかったりというケースも多いようです。

そこで、この按分比率を活用します。具体的な比率は自身で決定して良いことになっており、以下を基本目安とします。なお按分比率については「業務に直接必要な経費」であり、かつ「明確に区分できるもの」である必要があります。

・家賃

「利用面積÷全体面積=仕事で使う面積割合」
税務署から指摘を受けた際、「●●㎡ある部屋のうち、●●㎡を仕事で使用している」のような形で説明できれば問題ないです。

・インターネット代、電気代などの通信費、光熱費

「利用時間÷24時間=仕事で使う時間割合」
WEB関係の仕事をやっていることを想定すると、インターネット代のような通信費は業務上必須のため、比率が高めでも問題ありません。一方、光熱費に関しては、水道やガスを事業で利用することはそんなにないと思いますので、こちらは計上せず、電気代のみにするのが一般的なようです。

つまり、職業ごとの「常識の範囲内」での按分が求められるというのがここでのポイントとなります。

2.電子マネーのチャージ費用

Suicaなど電子マネーの利用分は旅費交通費として計上。領収書の保管だけでなく、こまめに履歴を印刷しておくことも忘れずに。

最近はSuicaなどの電子マネーをチャージして交通費や買い物などの利用する方も多いでしょう。それでは、チャージした金額はそのまま経費にできるのでしょうか?

この場合、チャージ金額は「前払金」として処理。実際に使用した金額を「旅費交通費」として経費計上するのが正解です。ただ、チャージ類は税務署に指摘されやすく、経費に認められないことが多いようです。従って、経費計上したい場合には、Suicaなどの電子マネーは交通費のみの利用に留めるようにしましょう。さらに、チャージ時の領収書のみでは交通費として認められない可能性が高いため、こまめに履歴を印刷しておくようにしましょう。その履歴を税務署に提出できれば経費として認められる可能性が高くなります。

3.領収書とレシート

領収書だけでなく、レシートでの申請も可能。

経費計上の際に領収書を添付する決まりがあるということをご存じの方は多いと思います。しかし、急いでいるときなどに、領収書をもらい忘れたという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。そして、経費にできないだろうなという思い込みで、レシートを廃棄してしまったことも。

実は、経費計上の際には領収書ではなく、詳細が書かれているレシートでも問題ないのです。

4.減価償却

経費計上は一括計上ではなく、耐用年数に応じて分割しておこなう。

パソコンや車のような長期に渡って使用するもの(10万円以上)は、固定資産として処理することとなっており、経費計上も耐用年数に分割して行なうと決められています。この考え方を減価償却といいます。

例えば、360万円の車を購入した場合、その金額全てが購入した年の経費になるわけではありません。車の耐用年数は6年なので、60万円ずつ6年間に分けて経費とします。ただし、利益が予定よりも多く出そうだからと、12月に慌てて購入しても12月の1カ月分の10万円しかその年の経費にはなりません。その点はきっちり抑えておきましょう。

なお、耐用年数についてテレビは5年、パソコンは4年、カメラは5年のように法律で定められています。

最後に

いかがでしたでしょうか。経費計上において重要なポイントは理解出来たでしょうか。
今回、ご紹介したのはほんの一部に過ぎません。加えるならば、お金を払った記録として領収書やレシートを残すことは必須ですが、万が一に備えて手帳にも「行き先」や「目的」を書き残すようにするといいでしょう。

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正しい節税をするには、正しい知識が必要です。会社員のように「誰か」がやってくれないからこそ、自分自身で正しい経費計上を理解し、節税に努めてください。

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