- 作成日 : 2022年3月18日
個人事業主は自分の給与を経費にできる?事業主貸の仕訳についても解説!

個人事業主は、個人事業のもうけの中から生活費をまかないます。しかし、給料として毎月一定金額をプライベートの口座に振り込んでいる人もいるでしょう。
では、個人事業主は自分の給与を経費にできるのでしょうか?この記事では、個人事業主が自分の給与を支払った場合の考え方や会計処理、仕訳について解説します。
目次
個人事業主は自分の給与を経費にできる?
結論から言うと、個人事業主は自分の給与を経費にできません。これは、そもそも個人事業主には「自分の給与」という概念がないからです。
個人事業主は「事業で得たもうけの金額から納める税金を差し引いたお金を、プライベートのお金、つまり給与と同じようなものとして、ある程度自由に使える」とされます。そのため「自分の給与」という概念はなく、経費にすることができません。
個人事業主は給与でなく事業主貸という勘定科目を使用
個人事業主は、事業のお金とプライベートのお金を区別して会計処理を行う必要があります。事業のお金は「現金」などの勘定科目で会計帳簿に記載し、個人のお金は記載しません。
ここで問題になるのが「事業の取引はすべて、帳簿に記載しなければならない」ということです。個人のお金を事業に使う、または、事業のお金を個人で使うなど、事業とプライベートの間でお金の行き来が常に発生します。
個人のお金は「現金」として記載できませんが、個人のお金を使う事業の取引は帳簿に記載する必要があります。この不都合を解消するために便宜上に使う科目が「事業主借」と「事業主貸」です。
自分の給与は経費にならないため、事業のお金を事業主に貸していると考えます。そこで「事業主貸」勘定を使って処理します。
「事業主借」と「事業主貸」については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
個人事業主の事業主貸・事業主借の仕訳方法は?
ここからは、個人事業主の事業主貸・事業主借の仕訳方法について具体例で見ていきましょう。
<事業主貸>
事業のお金を事業主個人に貸していると考え、「事業主貸」勘定を使って処理します。
<事業主借>
個人のお金を借りて事業に使っていると考え、「事業主借」勘定を使って処理します。
「事業主貸」と「事業主借」の仕訳方法については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
確定申告における事業主貸・事業主借の会計処理方法は?
事業主貸と事業主借は便宜上の科目です。そのため、翌期に繰り越すことはなく、期末に残高を0円にする必要があります。
そこで、事業主貸と事業主借は、期末に元入金に繰り入れる会計処理をします。元入金とは、事業のために個人が用意したお金で、法人の資本金に近い意味合いをもつ勘定科目です。確定申告をする際に、期末に元入金に繰り入れる会計処理は、次の通りです。
会計ソフトでは、上記の会計処理は通常、翌年への更新時に自動で行われるため、仕訳の入力は不要です。
個人事業主は従業員への給与は経費にできる
個人事業主は、事業をする上で必要な支出が経費になります。本人への給与は経費になりませんが、従業員の給与はもちろん事業をする上で必要な支出であるため、経費にできます。
確定申告では、「収支内訳書(白色申告の場合)」または「青色申告決算書」の「給料賃金」欄に、1年間の金額を記載することで経費にできます。
青色申告なら家族への給与も経費にできる
所得税では、原則本人だけでなく家族への給与も経費にすることはできません。これは、家族はひとつの財布のもとに生活をしているという考え方があるためです。しかし、家業を手伝っている家族のことを全く考慮しないのは不平等になるため、白色申告では一定の控除が設けられています。
また、青色申告では家族への給与を経費にすることができます。ただし、事前に給与を支払う家族(専従者)の名前や仕事内容、給与の金額などを記載した「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
青色申告における家族に対する給与の取り扱いについては、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
自分の給与を経費にするには法人化(法人成り)しましょう
個人事業主は、青色申告をすることで家族への給与を経費にすることはできますが、自分の給与を経費にする方法はありません。
一方、法人であれば役員報酬として自分の給与を経費にすることができます。一般的に利益が大きい場合は、個人事業主よりも法人の方が節税メリットが大きいです。利益が大きく、自分の給与を経費にしたい場合は、法人化(法人成り)も検討しましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
個人事業主は、自分の給与を経費にできますか?
個人事業主は自分の給与を経費にすることができません。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主が、自分の給与を支払ったときに使う勘定科目は?
給与ではなく「事業主貸」勘定を使います。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主は、家族への給与を経費にできますか?
事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、青色申告をすれば経費にできます。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。