• 更新日 : 2023年12月7日

個人事業主が確定申告で必要な帳簿の付け方・書き方は?【エクセルテンプレ付】フリーランスも必見!

確定申告で必要な帳簿の付け方・書き方は?【エクセルテンプレ付】フリーランス・個人事業主必見!

確定申告は申告書だけを作って提出すれば完了というわけではなく、申告書を作る土台となる帳簿が必要です。

本記事ではフリーランスの個人事業主が確定申告する際に必要となる帳簿について解説します。エクセル形式での帳簿のひな型も掲載しますので参考にしてください。

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フリーランス・個人事業主に必要な帳簿の付け方・書き方

フリーランス・個人事業主に必要な帳簿の付け方・書き方

内閣官房などのガイドラインにおいて、フリーランスとは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とされています。したがって、法人の代表者も一人だけの会社であればフリーランスになります。

この記事では、フリーランスの定義のうち、自営業者(個人事業主)を対象とします。

個人事業主は、原則として記帳、決算を行い、収支内訳書または青色決算書や確定申告書を作成する必要があります。また、前々年分の課税売上が1,000万円を超える場合は消費税の確定申告も必要となります。

なお、令和5年10月から開始される消費税のインボイス制度では、課税売上高に関係なく、インボイスを発行するためには消費税の課税事業者となり、消費税の確定申告が必要になります。

ここで、収支内訳書、青色決算書について解説します。個人事業主が、一定の記帳を行い、その記帳に基づいて申告をする場合に「青色申告」という制度があります。青色申告は、取引を一定の帳簿に記帳し、その記帳に基づいて申告をすると、税金について有利な特典が受けられる制度です。

しかし、青色申告に基づく記帳が難しい場合は、「白色申告」と呼ばれる簡便的な帳簿で申告をすることも可能です。では、青色申告のための帳簿とはどのような帳簿なのでしょうか?

青色申告では、原則として正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳を行う必要があります。複式簿記とは、一つの取引に対し、「借方」「貸方」という二つの側面から記録する方法です。また、複式簿記による記帳ではなく簡易な帳簿による記帳であっても、青色申告の特典を若干受けることができます。

これに対し、白色申告は、「収入金額や必要経費を記載すべき帳簿(法定帳簿)を備え付けて、収入金額や必要経費に関する事項を記帳する」必要があるとされます。簿記の方法は問われません。

引用:帳簿の記帳のしかた|国税庁

したがって、白色・青色に関係なく記帳義務があります。節税につながる青色申告の特典を受けるほうが有利といえます。

白色申告と青色申告(簡易簿記及び複式簿記)について比較したのが次の表です。

白色申告
青色申告
簡易簿記
複式簿記
事前届出
不要
要(青色申告承認申請書)
記帳方法
単式簿記
簡易簿記(単式簿記)
複式簿記
提出する決算書
収支内訳書
青色申告決算書
青色申告決算書
貸借対照表必須)
所得控除
なし
最高10万円まで
最高65万円まで

※白色申告者の帳簿について様式の定めはありません。個々の取引の実態に合わせて作成します。

なお、帳簿の付け方の詳細は以下の記事をご参照ください。

白色申告で必要な帳簿

よく「白色申告では帳簿を作成する必要がない」と誤解されている方がいらっしゃいます。

しかし平成26年からは、すべての白色申告者に対して記帳、帳簿保存の義務が生じています。青色、白色に関係なく、個人事業主は帳簿を作成しなければならないというわけです。

さらに、令和4年度税制改正では、帳簿がない場合には加算税(過少申告加算税無申告加算税)の加重措置が講じられることとなりました(施行は令和6年1月1日からです)。もちろん白色申告は青色申告にある特別控除がなく、メリットが少ないため必要な帳簿も限られたものになります。具体的に作成が必要な帳簿は、収入金額や必要経費を記載すべき帳簿で、法定帳簿と呼ばれています。

帳簿の様式や種類については、事業の実態に応じてエクセルなどで作成すればよいでしょう。一例を示すと以下のような様式が考えられます。

白色申告で必要な帳簿

その他の経費の欄については、事業の実態に応じてさまざまなものが考えられますので、適宜加筆修正が必要です。また、月次帳簿を横に並べた「月次総括集計表」なども準備し、確定申告書に転記しやすいように工夫しましょう。

そして、作成した法定帳簿については7年間の保存が義務付けられていますので、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

白色申告においても帳簿の作成が義務付けられたことから、白色申告のメリットはあまりないと言えます。

青色申告で必要な帳簿

青色申告では、税務上の特典の一つに「青色申告特別控除」が挙げられます。この制度は、最高10万円または最高65万円を所得税率を乗じる前の所得金額から控除できるというものです。結局、税金が最高で(65万円×税率)分だけ安くなるというわけです。

65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記(正規の簿記の原則)により作成された損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付し、まず、提出期限までに確定申告を行う必要があります。そして、これに加えてe-Taxの利用または電子帳簿保存のいずれかで、最高65万円の控除額を適用できます。

なお、青色申告に関する帳簿についての詳細は以下の記事をご参照ください。

正規の簿記

正規の簿記とは、所得税法施行規則第57条の規定に基づく記帳方法を言います。

資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づき、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。

引用:所得税法施行規則 第57条(取引の記録等)

簿記にはいくつかの帳簿があり、一つの帳簿に記録された取引が次の帳簿に転記され、集計されるという各帳簿間に一定のルールが設けられていることを「帳簿組織」と呼びます。

貸借対照表や損益計算表を作成できる帳簿組織を有していれば正規の簿記と言えるため、必ずしも複式簿記だけが正規の簿記に該当するわけではありません。

しかし、一般には取引を複式簿記で記載することにより、帳簿組織が作られ、正規の簿記の原則を満たしていると言えます。

青色申告特別控除65万円を受ける場合

仕訳帳総勘定元帳現金出納帳、預金出納帳、仕入帳、売上帳、商品有高帳売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳など

これらのうち、仕訳帳と総勘定元帳は必ず作成します。例えば、仕入帳には仕入をした取引日付、仕入先、商品名、数量、単価などを記入しますが、仕訳入力の際、摘要欄にこれらの項目を入力すれば、「仕入勘定の総勘定元帳」と「仕入帳」は同様のものになります。また、固定資産台帳は固定資産がある場合のみ必要となります。仕入帳、総勘定元帳以外の補助元帳については、すべての帳簿が必要なわけではありません。

青色申告特別控除10万円を受ける場合

現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など

青色申告特別控除を受けるには、これらの帳簿をエクセルなどで作成するだけではありません。例えば仕訳帳に記帳された情報が、総勘定元帳や現金出納帳などと体系的に結びつき、転記と集計によって貸借対照表や損益計算書が作成されている必要があります。

確定申告に必要な帳簿の無料エクセルテンプレート

確定申告には適切な帳簿作成が必要だということを説明してきました。
ここからは、青色申告に必要な帳簿を作成する場合のひな型を見ていただきたいと思います。
なお、ここでご提示するひな型には消費税の情報は含まれていません。

主要簿

日付順に取引を記録する帳簿である仕訳帳や、仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記した総勘定元帳は主要簿と呼ばれます。

総勘定元帳(売上高)-サンプルダウンロード
総勘定元帳(未払金)-サンプルダウンロード

補助簿

補助簿は主要簿の他に作成される帳簿です。どの補助簿も主要簿と連動し、詳細な情報を記載した帳簿です。勘定科目に補助科目がある場合、その補助科目ごとの元帳を補助元帳と言います。網羅的な補助元帳をはじめ、現金出納帳、預金出納帳、仕入先元帳、得意先元帳、仕入帳、売上帳等々、取引量や業種・業態によってさまざまな補助簿があります。

総勘定補助元帳(売上高三田浦工業)-サンプルダウンロード
総勘定補助元帳(未払金○○商店)-サンプルダウンロード

最近は、エクセルやワードでの会計帳簿のひな型はさまざまなサイトからダウンロードができますので、業種、業態に近いものをダウンロードして利用しましょう。

エクセル利用の場合の注意点

エクセル形式で主要簿や補助簿を利用する場合、例えば、繰越額などは「セルの参照」を利用すると手書きでの「転記」と同じ効果がでます。集計も「SUM関数」を使えばよく、貸借の差がゼロになったことを確認するには、「IF文」を使うなど高度化する傾向があります。エクセルの腕を磨くことも必要となってくるかもしれません。

しかし、共有者への理解やマニュアル作成の煩雑さなどを勘案すると、あまり複雑なエクセルシートにすることはおすすめできません。

帳簿をつけていないとどうなる?

帳簿をつけていないとどうなる?

会計帳簿を作っていないと正しい税金の計算ができません。繰り返しますが、申告が青色、白色に関係なく、個人事業主には会計帳簿を作成する義務があります。

令和4年度税制改正における記帳義務の適正化について説明を加えておきます。例えば、税務調査において「売上にかかる帳簿を見せて下さい」と言われた場合、その対応によって加算税は次のようになります。

<「売上の帳簿を見せて下さい」と言われたときの対応による加算税の例>

対応
加算税
帳簿を提示しなかった過少申告加算税等の割合を10%加重
帳簿を提示したが、本来の⾦額の1/2未満だった同上
帳簿を提示したが、本来の⾦額の2/3未満だった過少申告加算税等の割合を5%加重

本来、期限内に確定申告をしても、その税額が本来より少なかった場合に修正申告により足りなかった差額の税金を納付します。このとき、「過少申告加算税」がその差額分の税金に対して10%または15%の割合で課せられます。

しかし、帳簿の提示がなかった場合等には過少申告加算税がさらに5%または10%増しとなります。会計帳簿の重要性がますます高まり、国税庁においても会計ソフトの利用をすすめています。

万が一、申告期限を過ぎて会計帳簿を作成していなかったことに気付いた場合には、税理士などの専門家に相談しましょう。また、延滞税などのペナルティはありますが、期限を過ぎてから申告する期限後申告という方法もあります。

確定申告で実際に提出するのは帳簿ではない

これまで主に会計帳簿の話をしてきましたが、確定申告において実際に提出するものは、会計帳簿そのものではありません。

確定申告にて提出するのは、会計帳簿で転記、集計により計算した結果の損益計算書、貸借対照表といった決算書または収支内訳書と、確定申告書類です。

確定申告時に提出すべき決算書

確定申告において提出する決算書はその書式が決まっています。

白色申告
青色申告
簡易簿記
複式簿記
提出する決算書
収支内訳書
青色申告決算書
(損益計算書)
青色申告決算書
(貸借対照表及び損益計算書)

白色申告の収支内訳書であれば、一般用、農業所得用、不動産所得用などと分かれており、この中には、毎月の売上高やそれぞれの経費をはじめそれぞれの会計帳簿の最終値を記入するようになっています。

同様に青色申告においては、青色申告決算書(一般用)、青色申告決算書(農業所得用)、青色申告決算書(不動産所得用)に分かれており、それぞれの帳簿から損益計算書や貸借対照表に転記します。

例えば、各決算書2ページ目の売上高は月ごとの集計値が必要となります。総勘定元帳において月計が正しく集計されていなければ、先に会計帳簿を仕上げるといった具合です。

簡易帳簿の場合には、貸借対照表の提出は求められていませんので4ページ目の貸借対照表欄は白紙で提出しても問題ありません。

確定申告時に提出すべき確定申告書

確定申告において提出する申告書は、所得税の確定申告書を使用します。個々の記入方法について、ここでは説明を省略しますが、必要となる添付資料がある場合には、添付書類台紙を利用すると便利です。

確定申告について、基礎から知りたい場合には以下の記事をご参照ください。

フリーランス・個人事業主も確定申告には帳簿が必要

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よくある質問

個人事業主は帳簿が必要ですか?

はい。原則として記帳、決算を行い、収支内訳書または青色決算書や確定申告書を作成する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

会計帳簿はエクセルで作成できますか?

作成できます。しかし、取引が増えてきたら確定申告ソフトの利用をおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。


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