- 更新日 : 2023年12月14日
青色申告と白色申告の違いを5項目で簡単比較!用紙・見た目の違いも解説
青色申告とは、確定申告の方法のひとつで、最高65万円の特別控除が受けられ、専従者給与を経費にできるなど、いくつものメリットがある点が特徴です。確定申告にはほかに白色申告がありますが、青色申告とは提出書類や帳簿の記帳方法が異なります。
本記事では青色申告と白色申告の違いについて解説。青色申告のメリットについても簡単に紹介します。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
目次
日々の取引入力、青色申告の書類作成、申告作業まで、1つで完結するのが「マネーフォワード クラウド確定申告」。電子申告機能を使えば、最大65万円の特別控除を受けられ、大きな節税に。
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青色申告と白色申告の違いを5項目で比較!
青色申告とは、確定申告で複式簿記の記帳を必要とする制度です。所得税の特別控除を受けられるなど、さまざまな税制上のメリットがあります。
確定申告の方法には青色申告のほかに白色申告がありますが、両者の違いは事前申請の要否や日々の記帳方法、確定申告で必要な書類など、さまざまです。ここでは青色申告と白色申告の違いについて紹介します。
①対象者(所得の種類)の違い
白色申告は原則的申告方法なので、青色申告でない人はすべて白色申告になります。
- 青色申告:不動産所得、事業所得、山林所得があり、青色申告の承認を受けた人
- 白色申告:青色申告の承認を受けていない人
②事前申請の違い
また青色申告と白色申告は、事前申請の必要があるか否かという点が異なります。青色申告をするためには、事前に申請書を提出しなければなりません。青色申告の申請には期限があり、青色申告の対象となる年の3月半ばまでに、管轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出します。
ただし、その年の1月16日以後に事業を開始した場合には特例があり、3月半ばの期限を過ぎても事業開始から2カ月以内であれば提出が可能です。
白色申告に事前申請は必要ありません。青色申告を期限内に提出できない場合、その年の確定申告は白色申告で行うことになります。
青色申告の基本的な内容は次の記事でも詳しく説明していますので、こちらもチェックしてみてください。
③帳簿の記帳方法の違い
青色申告と白色申告は、帳簿の記帳方法も異なります。青色申告は所得税の特別控除が受けられるなど節税効果のある特典がありますが、65万円控除を受ける場合は、複式簿記で記帳することが条件です。複式簿記とは、2つの勘定科目を使い、お金の出入りと財産が増減した原因を同時に記録する方法です。
具体的には、主要簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」を複式簿記形式で作成しなければなりません。また、補助的な役割を担う帳簿として、「売掛帳」「買掛帳」などの補助簿も作成する必要があります。
(マネーフォワード クラウド確定申告であれば、日々の仕訳を行うだけで複式簿記を自動で簡単に作成可能です(詳細ページ))
一方、白色申告も帳簿の記載自体は必要ですが、より簡易な方法で行えばよいとされています。白色申告で行う記帳は簡易簿記で、ひとつの勘定科目を使って現金の出入りを記録する方法です。簡単な方法で、複雑な簿記の知識も必要ありません。
④提出書類の違い(確定申告書・青色申告決算書・収支内訳書)
青色申告と白色申告は、確定申告で提出する書類が異なります(用紙も見た目も異なります)
青色申告と白色申告ともに共通で必要なのは、確定申告書です。↓
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
青色申告で必要な書類
青色申告で確定申告するときは、確定申告書のほかに青色申告決算書が必要です。青色申告決算書は貸借対照表と損益計算書で構成され、複式簿記で記帳した内容を記載します。↓
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
白色申告で必要な書類
一方、白色申告で提出するのは「収支内訳書」です。簡易な方法で記帳した帳簿をもとに、所得の根拠となる売上や必要経費を集計します。↓
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
白色申告については、次の記事でメリット・デメリットなどを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
⑤税制上の優遇措置の違い
白色申告では、税制上の優遇措置はありません。
青色申告の場合は、10万円・55万円・65万円いずれかの、控除を受けることが可能です。
控除(こうじょ)とは、「差し引く」といった意味で、所得金額から青色申告特別控除を差し引けるため、所得税額が安くなります。
10万円控除 | 65万円控除 | ||
---|---|---|---|
青色申告の承認を受けた人 | 受けていない人 | ||
必要な書類 |
|
|
|
| 【主要簿】
|
|
※青色申告の65万円控除は、e-Taxによる申告、または優良な電子帳簿保存を行っている場合に適用され、行っていない場合は、55万円控除になります。
青色申告は手続きが煩雑な分、メリットが多い!
青色申告は日々の記帳を複式簿記で行うなど煩雑ですが、その分大きなメリットもあります。まず、65万円の特別控除を受けられる点が最大のメリットです。
そのほかにも、赤字の3年繰り越しや「青色事業専従者給与」を必要経費にできるなど、高い節税効果が得られます。ここでは、青色申告のメリットについて見ていきましょう。
最高65万円の青色申告特別控除が受けられる
青色申告のメリットとしてまず挙げられるものが、最高65万円の青色申告特別控除です。
基本の控除額は55万円
青色申告特別控除の金額は、基本的には55万円です。平成30年に法律が改正され、令和2年分の申告から、これまでの65万円から55万円へ変更されました。
65万円の特別控除と10万円控除の違い
65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳して確定申告に貸借対照表と損益計算書を提出するほか、確定申告の電子申告もしくは優良な電子帳簿の保存が必要です。
ただし、青色申告の申請をしていても複式簿記の記帳をしない場合は、10万円の控除にとどまります。
赤字を3年間繰り越しできる
青色申告では、赤字を翌年以降の確定申告に繰り越すこともできます。赤字は最大3年間繰り越しができ、黒字の年に損失を計上して所得からの控除が可能です。これを純損失の繰越控除と呼びます。
さらに、前年度が黒字で今年が赤字の場合、赤字を前年度の黒字から繰り戻して控除することも可能です。繰り戻しにより、前年度分の税金が還付されます。
青色申告専従者給与を必要経費にできる
青色申告では、配偶者や親族に支払った給与を必要経費にすることができます。経費として所得から控除することで、節税が可能です。
これを「青色事業専従者給与」と呼び、利用するためには、給与を支払う人を青色事業専従者とする事前申請が必要です。期限は申告する前年の3月半ばまでで、期限を過ぎたらその年は経費に計上できません。
ただし、青色申告の申請と同じく、その年の1月16日以後に事業を開始した場合には、事業開始から2カ月以内であれば提出できます。
青色事業専従者給与として認められる要件
青色事業専従者給与として経費計上するためには、事前申請のほかに、次のような青色専従者に関する要件が必要です。
- 青色申告者と生計を一にしている配偶者や家族
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
- 6ヵ月を超える期間事業に専従していること
家事関連費を必要経費にできる
青色申告では、自宅をオフィスにしている場合の光熱費など、家事関連費を経費に計上できます。
白色申告でも家事関連費の計上はできますが、主たる部分を事業に使用していなければなりません。青色申告者の場合は少しでも仕事で使っていることが明らかであれば経費にできますが、白色申告では業務で半分以上使っていなければ経費に計上できません。
貸倒引当金を設定できる
青色申告では、未回収が予想される債権を貸倒引当金としても計上ができます。貸倒引当金とは、後日代金を受け取る約束をした売掛金が回収できないと思われる場合に、回収の見込みがないものとして計上するものです。
青色申告では貸倒引当金を計上して本年度の所得から控除することができ、代金が回収できた場合は、次年度の所得に加える処理を行います。
減価償却の特例が受けられる
青色申告では減価償却の特例というメリットもあります。
価格が10万円以上の備品を購入した場合は一括で経費にはできません。減価償却として、毎年一定のルールのもとに経費に計上していきます。
ただし、青色申告の場合、取得価格が30万円未満であれば、取得した年に一括で経費に計上できます。ひとつが30万円未満であれば、年間で合計300万円まで計上が可能です。
青色申告のメリットについては次の記事で詳しく説明しています。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
白色申告のメリットはほぼない!?
白色申告は青色申告に比べて日々の記帳は簡単です。しかし、領収書や請求書、納品書など、各種取引に関する書類を管理して記帳しなければならず、一定の手間がかかる点では青色申告とそれほど変わりません。
手間がかかるにも関わらず青色申告のようなメリットは得られず、青色申告の場合よりも税金を多く支払うことになります。白色申告を選ぶメリットは、ほとんどないといってもよいでしょう。
青色申告には多くのメリットがあるため、「手続きが煩雑なのも仕方ない」と考える方も多いでしょう。しかし、確定申告ソフトを使えばそのような手間も省くことができます。ソフトで簡単に帳簿処理をしながら、控除をはじめとする多くのメリットが享受できるのです。
法人の青色申告・白色申告の違いについて
法人にも青色申告と白色申告の2種類があります。
青色申告は事前申告が必要で、正規の簿記の原則で帳簿を作成しないといけないなど、個人事業主の青色申告・白色申告の違いと基本的には同じです。
個人事業主の青色申告・白色申告と違う点としては、法人の青色申告には「青色申告特別控除」がありません。
また、青色申告・白色申告どちらもですが、法人の確定申告の期限は、決算日の翌日から2か月以内と決まっています。なお、株式会社においては、株主総会の承認を得て決算が確定しなければ、確定申告は行えないため、注意しましょう。
不動産所得の事業規模で変わる青色申告特別控除額の違い
青色申告において、不動産所得が事業規模として認められるかどうかで、65万円(55万円)の青色申告特別控除を受けられるか、それとも10万円の控除となるかが変わります。
アパートは10室以上・独立家屋は5棟以上の貸付けを行っている場合、事業規模として認められ、65万円(55万円)の青色申告特別控除が可能です。
それ以外(例:マンション1室の貸し出しなど)は、青色申告特別控除は10万円しか認められません。
参考:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁
確定申告ソフトを使って青色申告を簡単に
青色申告は白色申告にはないメリットが多く、節税のためには利用したい制度です。青色申告するためには申請が必要で、期限を過ぎるとその年は白色申告になるため注意しましょう。
青色申告は複式簿記で記帳しなければならないのがデメリットともいえますが、近年は便利な確定申告ソフトが手軽に利用でき、複式簿記の記帳も簡単に済ませることが可能です。確定申告ソフトを活用し、青色申告で上手に節税を行いましょう。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
青色申告と白色申告の違いは?
事前申告の有無、日々記帳する帳簿の種類と確定申告で提出する書類に違いがあります。帳簿が複雑になる分、青色申告は特別控除をはじめ複数のメリットがある点が特徴です。 詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告のメリットとは?
青色申告は最高65万円の特別控除が受けられる点をはじめ、赤字の繰り越しや専従者給与を必要経費にできるなど、さまざまなメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
白色申告にはメリットがない?
白色申告の場合も、簡易ではあるにしろ帳簿を付ける義務はあります。日々の記帳や領収書などの管理が必要であるにも関わらず、青色申告のようなメリットはありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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