• 更新日 : 2022年5月10日

民泊事業は確定申告が必要?雑所得・不動産所得の区分についても解説!

民泊事業は確定申告が必要?雑所得・不動産所得の区分についても解説!

「民泊」とは、一般民家である個人宅に宿泊することをいいます。空き家を有効活用できるビジネスチャンスとしてさまざまなメディアで取り上げられ、注目されています。民泊では、単に不動産の貸付だけではなく、付帯するサービスにかかる必要経費も発生します。

民泊によって得た利益は所得税の課税対象となるため、原則として確定申告が必要です。

実際には、民泊に関連する法律は旅館業法や消防法、民法など多岐に亘りますが、ここでは個人事業主の民泊経営における確定申告にフォーカスし、税金の計算方法などを解説します。

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民泊事業は確定申告が必要?

空き部屋や空き家の有効活用の一つとして「民泊」を考えた場合、最初に課税関係についてはっきりさせておきたいですよね。

サラリーマンなどで給与所得がある場合には、年末調整の対象となる給与所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。ただし、医療費控除ふるさと納税などの適用を受けるためには、20万円以下の副業所得も含めて確定申告する必要があります。

そもそも所得金額とは、収入から必要経費を差し引いて計算されます。

所得金額 = 収入 - 必要経費

したがって、副業によって収入がある程度あったとしても、それ以上に必要経費が生じた場合には所得がマイナスとなり、確定申告に至らない場合もあり得ます。

所得区分については後ほど詳しく述べますが、民泊を副業として考える場合には基本的に「雑所得」に区分されます。主たる事業として民泊業を営む場合には「事業所得」などに区分されます。雑所得であっても、事業所得であっても、原則的な所得金額の計算方法に変わりはありません。

具体的に、副業で民泊をした場合を見てみましょう。

例えば、

  1. メインのアルバイト(年末調整済み)
  2. 副業のアルバイトによる給与収入金額15万円
  3. 民泊による所得金額5万円

という場合、2と3の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要となりますが、この場合は20万円ちょうどなので、確定申告は必要ありません。

2と3の取扱いの違いにも気をつけましょう。給与収入からは必要経費でなく、「給与所得控除」が差し引けます。しかし、1において年末調整によってすでにメインのアルバイトから給与所得控除が差し引かれているため、2からは給与所得控除は差し引けません。

このケースのように2か所以上の勤務先から給与をもらっている場合には、「主たる給与」を得ている勤務先で源泉徴収され、年末調整をします。

ただし、給与を2か所以上から受け取ってそのうちの1か所で年末調整を受けていたとしても、下記2つの条件をすべて満たした場合は確定申告不要となります。

  • すべての給与収入の合計額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除基礎控除以外の所得控除を差し引いた額が150万円以下
  • 副業の所得金額が20万円以下

先ほどの例に、ブログによる広告収入10万円を加えて考えてみましょう。

  1. メインのアルバイトによる給与収入金額120万円(年末調整済み)
  2. 副業のアルバイトによる給与収入金額15万円
  3. 民泊による所得金額5万円
  4. 広告収入による所得金額10万円(収入金額10万円-経費0円)

この場合、1と2の合計額(給与収入)は所得控除を差し引くまでもなく150万円以下であり、3と4の合計額が15万円(副業の所得金額)であるため、前述の2つの条件をすべて満たしており、確定申告は不要です。

民泊の所得区分は?

そもそも確定申告とは所得税を確定し、納付するために行うもので、所得税の計算方法は所得区分によって異なります。

所得税の所得区分は10種類に分類され、民泊による所得はどの区分に該当するのかを知っておかなければなりません。

所得税を計算するための10種類の所得の中で民泊に関係するのは基本的には「雑所得」であり、場合によって「不動産所得」「事業所得」が考えられます。

所得区分一覧

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 配当所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

不動産所得に該当するケース

不動産所得とは、土地や建物を貸し付けることによって得ることのできる所得をいいます。

ひと口に民泊といってもさまざまな形態があり、例えば、通常の賃貸契約と変わりないような場合には「不動産所得」となるケースも可能性としてはあり得ます。

例えば、もともと不動産業を営んでいる人が、次の賃貸契約を待つまでの一時期だけ、空き部屋を利用して一時的な民宿業を営む場合、その民宿から得た収入を不動産所得とすることは差し支えありません。

しかしながら、民宿業である限り、宿泊者の安全確保、宿泊に付帯するサービス提供が提供側に義務付けられます。利用者から受け取る料金には、部屋の使用料だけでなく、シーツ等のクリーニング代、水道光熱費、室内の清掃費、備え付けの日用品費用などが含まれています。したがって、「不動産の貸付」だけを認識する不動産所得となる可能性は低いといえます。

雑所得に該当するケース

不動産所得以外で民泊の確定申告を行う場合は、「事業所得」か「雑所得」が適用されます。

事業所得とは、反復性や継続性、対価性等を以て事業活動を行っている場合に該当する所得です。民泊には一時的な宿泊設備を提供するという性格はあるものの、継続的に事業として民泊を行う場合は、事業所得として確定申告を行います。

前述した不動産所得に該当する場合であったとしても、事業規模で民泊を行う場合は、事業所得に該当することもあります。

雑所得は、所得税を計算するための9区分のいずれにも該当しなかった場合に適用する所得となります。民泊の場合は基本的には雑所得となります。

「雑所得」ではなく「一時所得」が当てはまるようにも思えますが、一時所得とは、基本的に営利を目的とした、継続的な行為から生じた所得以外の一時の所得をいいますので、民泊には当てはまりづらいといえます。

参考:一時所得|国税庁HP

以上により、民泊による所得を不動産所得と事業所得以外で確定申告する場合、雑所得として確定申告することになります。

民泊の必要経費として認められるものは?

雑所得は、前述のように次の式で求めます。

所得金額 = 収入 - 必要経費

したがって、節税のためには必要経費をしっかり認識することが重要です。

必要経費とは、次の金額をいいます。

具体例として、売上原価になるものには食事提供をする場合の食材などが挙げられますが、民泊の必要経費の多くは一般管理費に分類されます。

民宿に提供する各部屋ごとを考えてもさまざまな費用がかかります。
まず、各部屋の照明器具や備品類、非常用照明などは必要経費となります。

寝室:ふとん代、シーツ代(取得費用及びクリーニング費用)、Wifi費用などの通信費
台所:光熱費、キッチンツール、消耗品(調味料なども)
浴室・洗面室、トイレ:水道代、清掃用具、洗剤、メンテナンス費用

部屋の内装費や高額な家具やキッチン設備などは固定資産として登録し、減価償却費が必要経費となる場合が多くなります。
その他に宿泊仲介業者に支払う仲介手数料や損害保険料や貸している部分の固定資産税、修繕費などは必要経費とすることができます。

また、民宿業専用にパソコンやソフトウェアを取得した場合の費用も必要経費とすることが可能ですし、お客さん送迎用の車がある場合には車両にかかる費用が計上できます。
さらには、民宿を始めるにあたっての広告宣伝費、接待交際費があれば計上することができます。

プライベートと民宿の両方で利用する車やパソコンなどがあるときは、民宿部分の経費として明らかに区分できる場合には、その相当する部分のみを必要経費に計上できます。
プライベートと民泊業の経費按分方法としては、民泊業の届出書等に記載した事業利用部分の床面積の割合や年間で民泊を行っていた日数を基にするなどの按分方法があります。

なお、雑所得の場合は民宿を手伝ってくれる配偶者など家族への支払は必要経費になりません。

民泊事業の確定申告の方法は?

雑所得に該当する民泊業の場合、事業所得や不動産所得と異なり青色申告制度もないため、確定申告の方法が気になるところです。

雑所得については、令和4年より帳簿書類の保存に改正がありました。
令和4年以降は前々年分の雑所得に係る収入金額が300万円を超えるものは、取引のうち現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととなりました。

現金預金取引等関係書類とは、取引に係る書類のうち現金や預貯金出し入れに応じ作成された書類のことで、具体的には現預金金有高帳、預金通帳、請求書類、領収書などを指します。

したがって、雑所得において年間売上高300万円を超える規模であれば、収支内訳書こそ提出の義務はありませんが、確定申告書に記載した収入金額の根拠となる請求書や領収書は保存しなければなりません。

雑所得の確定申告手順の概要は次のとおりです。

  1. 帳簿作成:取引に関連のある収入及び必要経費について会計帳簿を作成する。
  2. 収支作成:①に基づいて収支内訳を作成する(①の集計のために作成)
  3. 申告書作成:②に基づき、確定申告書へ収入金額及び所得金額を転記する。所得控除などについて根拠資料から転記する。
  4. 確定申告:持参、郵送、e-Taxなどで申告・納付する。
  5. 保存:現金預金取引等関係書類を保存すべき場合は保存する。

なお、確定申告の詳細は以下の記事をご確認ください。

民泊の必要経費を正しく計上し、税金対策をしましょう

民泊による所得について確定申告を行う際は、

  • 民泊を副業とする場合の確定申告が必要となる所得金額
  • 所得税を計算するための所得区分
  • 必要経費を算出する際の按分計算
  • 取引に係る書類保存の可否

などに気をつける必要があります。

民泊で得た所得について不明な点があれば、管轄の税務署へご相談されることを強くお勧めします。

よくある質問

民泊業は確定申告が必要?

民泊業にかかわらず、原則として課税所得がある場合には確定申告が必要となります。ただし、給与所得者が副業で年間20万円以下の所得である場合には確定申告は不要です。詳しくはこちらをご覧ください。

民泊の所得区分は?

民泊での所得区分は基本的には「雑所得」となります。業態や状況により、事業所得や不動産所得となることも考えられますので、不明な点があれば管轄の税務署へ相談するほうがよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

民泊業において必要経費として認められるものは?

必要経費の計上については、基本的に事業所得などと変わりはありません。プライベートと民宿の両方に関係する支出があるときは、明らかに区分できる場合にのみ必要経費とすることができます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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