- 更新日 : 2022年3月30日
贈与税の税率は何%?暦年課税と相続時精算課税の違いを解説
父母から子、祖父母から孫などへの財産を贈与した際に課せられる税金が贈与税です。贈与税には暦年課税と相続時精算課税という2つの課税方式があり、それぞれで税率が変わります。
ここでは贈与税の基礎知識とこの2つの課税方式について解説します。
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贈与者と受贈者
贈与税を理解するうえでまず理解しておかなければならないのが「贈与者」と「受贈者」という言葉です。贈与者は財産の贈与をする人、父母や祖父母等を指します。対して受贈者は財産の贈与を受けた人、子や孫等のことです。
贈与税の課税方法には暦年課税と相続時精算課税の2つの方式がありますが、相続時精算課税を選択するためには贈与者と受贈者に年齢と資格の制限が設けられています。
贈与者は贈与の年の1月1日現在で60歳以上、受贈者は20歳以上で、かつ贈与者の直系卑属(子や孫など)の推定相続人および孫でなくてはなりません(年齢の数え方は以下同じ)。
なお、推定相続人とは、現状のまま相続が発生したときに相続権があるであろうという人のことです。
贈与税の暦年課税の税率
贈与税の暦年課税とは?
暦年課税とは1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額をもとに贈与税を課税する方式です。「合計額」というのは同一年に2人以上から贈与を受けた場合や、同じ人から2回以上贈与を受けた場合に、それらを合計するという意味です。
この方式の基礎控除額は毎年110万円なので、2人から60万円ずつ贈与を受けたり、1人から60万円を2回贈与されていれば贈与税の申告をしなければなりません。
暦年課税における贈与税は贈与を受けた財産の価額から基礎控除額110万円を差し引いた金額について課せられ、贈与者と受贈者の続柄と受贈者の年齢によって税率が変動します。
直系尊属(父母や祖父母など)以外の贈与者から贈与を受けた場合や受贈者の年齢が20歳未満の場合は「一般税率」、直系尊属の贈与者から贈与を受け、かつ受贈者の年齢が20歳以上の場合は「特例税率」が適用されます。
一般税率の適用を受ける財産を「一般贈与財産」、特例税率の適用を受ける財産を「特例贈与財産」と呼びます。それぞれの基礎控除後の課税価格に応じた税率は以下の通りです。
(出典:相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成29年4月1日施行)|国税庁HP)
暦年課税の税額計算
暦年課税で贈与税を申告する場合、計算方法には2つのパターンがあります。1つは「一般贈与財産または特例贈与財産のみの贈与を受けた場合」、もう1つは「一般贈与財産と特例贈与財産の両方の贈与を受けた場合」です。
例えば課税価格500万円の一般贈与財産の贈与を受けた場合、次のような計算方法になります。
{500万円(課税価格)−110万円(基礎控除額)}×20%(一般税率)-25万円(控除額)=53万円(贈与税額)
一方、一般贈与財産を100万円、特例贈与財産を400万円贈与された場合は、まず次の計算方法で一般贈与財産分の贈与税額を計算します。
100万円(一般贈与財産)+400万円(特例贈与財産)=500万円(合計贈与価額)
{500万円(課税価格)-110万円(基礎控除額)}×20%(一般税率)-25万円(控除額)=53万円(贈与税額)
53万円(贈与税額)×100万円/500万円(全体に対する一般贈与財産の占める割合)=10.6万円(一般贈与財産分の贈与税額)
さらに同じように特例贈与財産分の贈与税額を計算します。
{500万円(課税価格)-110万円(基礎控除額)}×15%(特例税率)-10万円(控除額)=48.5万円(贈与税額)
48.5万円(贈与税額)×400万円/500万円(全体に対する特例贈与財産の占める割合)=38.8万円(特例贈与財産分の贈与税額)
そして最後に2つの贈与税額を合計して、最終的な贈与税額を求めます。
10.6万円+38.8万円=49.4万円(最終的な贈与税額)
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贈与税の相続時精算課税の税率
贈与税の相続時精算課税とは?
相続時精算課税は贈与者と受贈者がともに前述の年齢・資格制限をクリアしているときに選択できる課税方式です。税率は一律20%、特別控除額は最大2500万円となっています。
最大2500万円というのは1年の金額ではなく、1人の贈与者あたりの金額です。そのため祖父から孫に相続時精算課税を選択して1年間で2500万円を贈与した場合、次の年に1000万円を贈与すると1000万円すべてに20%の贈与税率が課せられます(贈与税額200万円)。
この方式を選択した場合、相続が発生すると相続時精算課税が適用される財産の価額と、別途相続または遺贈を受けた財産の価額の合計をもとに計算した相続税額から、すでに支払った相続時精算課税に係る贈与税分の税額控除が受けられます。いわば「相続税の先払い方式」なのです。
早期に多額の財産の移転ができるほか、将来的に値上がりが見込まれる財産については、贈与時の価額で税額が計算されるため、値上がり分の相続税を節約することもできます。
相続時精算課税の注意点
相続時精算課税を選ぶ際、注意する点が2つあります。第一に、この方式を選んだ場合は贈与財産の価額が暦年課税の基礎控除額110万円以下であっても、その都度贈与税の申告をしなくてはなりません。
その分の手間は事前に把握しておく必要があるでしょう。
第二に、一度この方式を選択して贈与を行うと相続時精算課税に係る贈与者(特定贈与者)からの贈与については、その年以降の年以降の贈与はすべて相続時精算課税が適用されるため「今年は相続時精算課税で贈与し、来年から暦年課税で贈与する」ということはできません。
そのため慎重に考えたうえで、相続時精算課税にするべきか否かを決める必要があります。
まとめ
贈与税の税率は「いくら贈与するか・されるか」だけではなく、「誰が誰に贈与するか・されるか」によっても大きく変わります。また暦年課税と相続時精算課税という課税方式によっても変動します。
大きな金額の贈与をしたりされたりする場合には、前もって関係者と相談のうえ、より税金が節約できる方法を選ぶようにしましょう。
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