• 更新日 : 2025年1月31日

個人投資家の確定申告のやり方は?経費や税金対策についても解説

個人投資家とは、金融資産等を運用し、利益の獲得を目指す人のことです。しかし、投資に対してあまり積極的ではなくとも、その投資額が大きい場合には個人投資家にカテゴライズされる場合もあります。

この記事では、規模の大小を問わず、労働ではなく「投資」により資金を得ている個人について確定申告をどう考えるかを解説します。

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個人投資家は確定申告が必要?

投資家の捉え方は、その投資の結果や投資の状況により変ってきます。この記事で取り扱う個人投資家は主としてややスケールが小さめな「兼業投資家」とします。個人事業主や会社員をしながら、継続的に金融商品に投資をしている人等を想定しています。

先に、用語の定義として特定口座制度について解説しておきましょう。日本の証券会社等で株式などの取引を行う際に、「一般口座」と「特定口座」のどちらかを選択します。これらの違いは主として税務処理の違いによるものです。

一般口座では、その口座内の取引履歴の記録のみが行われ、納税者は自分で年間の取引を集計し、確定申告をします。

これに対し、特定口座とは証券会社がその口座における「年間取引報告書」を作成します。

特定口座においては、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」が選択でき、前者は譲渡益や配当金に対して、証券会社が自動的に源泉徴収(所得税15.315%及び住民税5%)されます。「源泉徴収あり」では同一口座内の譲渡損益だけでなく、利子所得・配当所得との通算も行います。

「源泉徴収あり」を選択した場合、基本的には納税者は特定口座内の取引については確定申告を行う必要はありません。

<取引口座の概要>

取引口座の種類年間取引報告書源泉徴収確定申告
一般口座(口座ごとの取引履歴を管理)なしなし必要
特定口座源泉徴収口座ありあり原則不要
簡易申告口座(源泉徴収なし)ありなし必要

参考:No.1476 特定口座制度|国税庁

個人投資家が一般口座を利用している場合

個人投資家が一般口座を利用している場合には、一般口座内での譲渡益や配当に対する税金を自ら計算し、確定申告を行う必要があります。確定申告の際は、後述しますが申告分離課税により計算します。

源泉徴収ありの口座では、利益が確定した段階で源泉徴収されますが、一般口座の場合はまとめて確定申告時期に精算するため、税金を支払うタイミングがコントロールできると言えます。

個人投資家が源泉徴収ありの特定口座を利用している場合

個人投資家が源泉徴収口座を利用している場合には、課税関係は終了しているため、基本的に確定申告を行う必要はありません。ただし、他の口座における譲渡益との相殺や、譲渡損失の繰越控除(後述します)などの適用を受けるためには確定申告をする必要があります。

個人投資家がNISAのみを利用している場合

NISAとは、一定の上場株式等に係る譲渡益が非課税となる制度です。NISA口座を開設すると、そのNISA口座内における譲渡益や配当等については、所得税は課税されず、また、譲渡損はないとみなす制度です。NISA口座においては、非課税であるため確定申告の必要はありません。

参考:No.1535 NISA制度|国税庁

個人投資家が確定申告しないとどうなる?

譲渡益や配当があるにも係わらず、確定申告しない、つまり納税しないことは、脱税行為となります。しかし、それは容易にわかります。もともと証券会社は顧客の取引情報を「支払調書」などを通じて税務署に報告するため、税務署で調査すると確定申告すべき人がしていないことがわかるのです。

証券会社等では、口座開設の際にマイナンバーが求められるなど、税務署側では取引の履歴を簡単に集めるしくみを構築しています。

上場株式等の譲渡損失の繰越控除が受けられない

上場株式等の譲渡により生じた譲渡損失は、次の2段階で処理します。

  • その年分の上場株式等に係る配当等と損益通算します。
  • 損益通算によってもなお控除しきれない譲渡損失は、翌年以後3年間にわたって「確定申告」することにより繰越控除することができます。

繰越控除をするためには、譲渡損失が生じた年分において確定申告書に一定の添付資料が必要であり、その後の年において「連続して」確定申告書を提出する必要があります。確定申告をしないと、このような税務上の優遇措置が受けられません。

参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

延滞税や無申告加算税などの税金が発生する

譲渡所得だけではありませんが、確定申告をしないで放置した場合に発生するペナルティとして延滞税や無申告加算税があります。

延滞税は、定められた期限までに納税されない場合に、日数に応じて延滞利息に相当する延滞税が課されるものです。加算税とは、一種の行政制裁的な税であり、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税などがあります。いずれも本来の税額に上乗せして支払う必要があります。

参考:延滞税の計算方法|国税庁
参考:納税環境整備に関する基本的な資料(加算税の概要ご参照)|財務省

税務調査が行われる可能性がある

税務調査とは、取引資料等に基づき申告内容が正しいかどうかを確認し、申告内容が誤っていたときや無申告であったときなどに、是正を求める調査です。税務調査に際しては、原則として事前通知がなされ、調査担当者が質問検査権に基づき質問をします。偽りの回答をした場合等には罰則の定めがあります。

確定申告を無視していると、税務調査の対象となる可能性があります。このようなことにならないためにも、少々遅れたとしても確定申告すべき場合には必ず申告しましょう。

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上場株式等の配当等については申告分離課税と総合課税の選択が必要

源泉徴収ありの特定口座の場合には、上場株式等の配当等を受けた場合でも「確定申告なし」を選択することができます。しかし、上場株式等の配当等について申告する場合は、申告分離課税と総合課税のいずれかを選択することもできます。ここでは、それぞれの申告の違いについて解説します。

申告分離課税とは

申告分離課税とは、他の所得と合計せず、分離して税額を計算する課税方法です。退職所得や不動産の譲渡所得、株式等の譲渡所得などで採用されている方法ですが、上場株式等の配当所得についても申告分離課税を選択することができます。

上場株式等の配当等について、申告分離課税を選択した場合には、譲渡損失との損益通算はできますが、後述する「配当控除」の適用ができません。

参考:No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度|国税庁
参考:株式譲渡益課税制度|国税庁、「利子・配当 特定口座 譲渡損益

総合課税とは

総合課税とは、各種所得の金額を合計し、合算した所得に対して税額を計算する課税方法です。総合課税の対象である配当所得については、原則として配当控除(税額控除)の適用を受けることができます。配当控除とは、課税総所得金額や配当所得の額に応じて計算される「税額控除」です。

しかし、総合課税による配当控除を選択した場合には、譲渡損失との損益通算等はできません。

参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁

個人投資家が申告分離課税で確定申告するやり方

上場株式等の譲渡損があるため、繰越控除を受けるためには申告分離課税による確定申告となります。この場合を例にとって、確定申告のしかたを見ていきましょう。

(事例)

会社員でもある個人投資家は、特定口座の簡易申告口座を選択しているものとします。上場株式等を譲渡し、譲渡益がある場合に確定申告をするケースをご紹介します。

申告分離課税の確定申告の必要書類

  • 給与所得源泉徴収票(転記用)
  • 特定口座年間取引報告書(転記用または提出用)
  • 確定申告書 第一表、第二表、第三表
  • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
  • 控除証明書、マイナンバー等

申告分離課税の確定申告書の書き方

(主な順序)

  1. 「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の作成
    特定口座が1つだけの場合には、証券会社等からの「特定口座年間取引報告書」の添付をもって明細書に変えることができます。
  2. 確定申告書第一表(左側)、第二表の作成
    第一表及び第二表に源泉徴収票から転記し、必要な控除等についても記載します。このとき、確定申告書第一表については、税額計算の手前までにしておきます。
  3. 確定申告書第三表の作成
    1で作成した株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書や特定口座年間取引報告書から、第三表に転記し、第三表の税額を計算します。
  4. 確定申告書第一表(右側)の仕上げ
    確定申告書第三表から確定申告書第一表に税額を転記します。第三表にて、総合課税分と申告分離課税分の合計を求めますので、その金額を第一表右側㉛(第三表の95)欄に転記します。

参考:令和6年分株式等の譲渡所得等の申告のしかた|国税庁

申告分離課税の確定申告書の提出方法

申告分離課税も総合課税も確定申告の提出方法に変わりはありません。次項の「総合課税の確定申告書の提出方法」をご参照ください。

申告分離課税の確定申告書の提出期限

申告分離課税の確定申告期限についても総合課税と変わりはありません。次項の「総合課税の確定申告書の提出期限」にてご確認ください。

個人投資家が総合課税で確定申告するやり方

上場株式等の配当等があり、配当控除を受けるには総合課税による確定申告となります。この場合を例にとって、確定申告のしかたを見ていきましょう。

(事例)

会社員でもある個人投資家は上場株式の配当を受けたことにつき、総合課税において配当控除を受けることとしました。

総合課税の確定申告の必要書類

  • 給与所得の源泉徴収票(転記用)
  • 上場配当等の支払通知書(転記用)
  • 確定申告書 第一表、第二表
  • 控除証明書、マイナンバー等

総合課税の確定申告書の書き方

(主な順序)

  1. 確定申告書第二表の作成
    給与所得の源泉徴収票から転記し、必要な控除等についても記載します。確定申告書第二表の「所得の内訳欄」には給与以外に「配当」も記載し、配当から源泉徴収された住民税の額も「住民税欄」に転記します。
  2. 確定申告書第一表の作成
    1同様に給与所得の源泉徴収票から転記し、必要な控除等についても記載します。配当については、確定申告書第一表の「収入金額欄(配当㋓)」及び「所得金額欄(配当⑤)」に記載し、さらに「税金の計算欄(配当控除㉜)」に記載します。配当控除の額について詳細な計算は下記等をご参照ください。

参考:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁

総合課税の確定申告書の提出方法

総合課税や申告分離課税などに関係なく、確定申告書は次のいずれかの方法にて提出します。

総合課税の確定申告書の提出期限

総合課税や申告分離課税などに関係なく確定申告期間は同じで、例年2月15日前後から3月15日前後となっています。令和6年分の所得税確定申告書の提出期限は、次のとおりです。

令和7年3月17日(月)まで

参考:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁

個人投資家が確定申告で経費にできる費用は?

個人投資家が株式譲渡益を計算する上で、必要経費とできる費用には次のもの等があります。

  • 株式等の取得費(譲渡した株式の取得に要した費用)
  • 譲渡費用(委託手数料)
  • 負債利子(譲渡した株式等を取得するために要した借入金利子など)

なお、一般株式等と上場株式等については、区分して計算します。

参考:株式譲渡益課税制度|国税庁、「利子・配当 特定口座 譲渡損益

個人投資家は投資会社を設立した方が税金対策できる?

法人を設立するには、設立費用、維持費用がそれぞれかかります。会社の形態にもよります。個人投資家で次のような場合には法人を設立して節税対策をすることも検討してよいかもしれません。法人は、個人事業主では認められにくい経費も計上しやすいこともあります。

  • 個人投資家としての所得が経常的に700万円〜900万円程度となった場合
  • 所得税と法人税の差が大きくなった場合
  • 法人設立によって、その法人から役員報酬として受けることで給与所得控除が適用が可能となる場合

個人投資家は確定申告すると本業の会社にバレる?

副業で個人投資家をしている場合、確定申告により住民税の通知書などでその副業がバレることは考えられます。特に金融機関に勤務する従業員については、その投資内容について一定の制限が設けられています。また、上場企業等においてはインサイダー取引を防止するために制限が設けられることがあります。

これらは、一人の社員の副業がバレる・バレないなどの小さな話ではなく、企業の信頼に直結する非常に重要な問題です。本業における投資内容の制限が設けられている理由をよく理解すべきでしょう。

投資に関する確定申告パターンを身につけよう!

個人投資家の場合、何らかの形で確定申告をすることは多いでしょう。運用する有価証券の種類が異なった場合、損失がでた場合、繰越控除をする場合など、いくつかのパターンがあるため、徐々に身につけることをおすすめします。

新たな種類の金融商品の取引をする場合や、税務処理に選択肢のある場合には、メリットやデメリットについて都度調べておきましょう。

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