- 更新日 : 2025年1月28日
脱税による税務調査の時効は5年?7年?罰金やペナルティについても解説
税務調査の時効期間には5年と7年に分かれており、置かれた状況によって該当する年数が異なります。収入の計算ミスや条例の解釈ミスによる申告漏れや、申告を行わない無申告、故意的な不正の脱税など、事態によって年数や罰金の内容が変わることを理解しましょう。
この記事では、時効期間の違いや脱税の刑罰やペナルティについて解説します。
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目次
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そもそも脱税とは
脱税とは、不正とわかっていながら納めるべき納税額を少なくしたり、まったく納めなかったりする違法行為です。売上の過少報告・架空の経費などの水増し・無申告などが脱税にあたる行為としてあげられ、国税庁から納税を逃れるための悪質な行為としてみなされます。
脱税が発覚した場合は、10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金刑が課せられます。また、本来支払うべき納税額とは別で、重加算税が課されたりなど重い刑罰やペナルティが発生するので注意が必要です。
参考:e-GOV法令検索|所得税法第238条
脱税と申告漏れの違い
脱税と似ているものに収入の「申告漏れ」があります。申告漏れは、納税者側の計算ミスや計上漏れ、条文の解釈ミスによって発生する過失です。
税金を本来の額より少なく申告するという点は脱税と同じですが、故意的な行為ではないという点が脱税と異なります。申告漏れは、納税者の過失によって起こったもので、意図的でないという観点から、受けるペナルティも脱税ほど重くはありません。
しかし、延滞税や加算税などの税金が別途発生する場合があるので注意が必要です。フリマアプリを通して収入を得た場合や、太陽光発電による売電収入を得ている場合も申告の必要があることを覚えておきましょう。
脱税と節税の違い
節税とは、法の範囲内で納税額を抑える行為です。脱税とは違い、税制制度に従う方法で行っているため違法行為にはあたりません。節税の具体的な方法には、適切に経費を計上したり控除を利用したりする方法があげられます。
しかし、節税を目的とした行為が、納税者の判断ミスによって結果的に脱税とみなされる場合もあります。合法の節税方法を入念に調べ、適切な対応を心がけましょう。
脱税による税務調査の時効
日本の所得税や法人税は、納税者がみずから納税額を申告し、確定した税額を納付する「申告納税制度」を採用しています。同時に、申告された内容に誤りや不正がないかを確認するための税務調査も行われます。
税務調査は、法人税も個人の所得税も過去3年を遡って調査するのが一般的ですが、調査結果によっては5年や7年に延びる場合がある点も留意しておきましょう。申告後5年や7年が経過すると時効を迎え、それ以降申告内容に誤りがあっても追及されません。
時効が5年の場合
申告内容に問題がなければ、調査される期間は過去3年分です。しかし、3年間の間に何度も申告漏れが発生していたり、申告漏れの額が大きい場合は5年に延長される場合があります。また、申告義務があるにもかかわらず申告していない「無申告」の場合は、5年分まで遡って調査されるのが一般的です。
時効が7年の場合
申告内容の虚偽と判断された場合や、巨額の申告漏れが発覚した場合など、悪質性が疑われた場合は時効が7年に延長されます。
時効年数の基準は公表されていません。確定申告の内容と税務調査の結果を知る税務署の判断によって決まります。納税額の虚偽や不正が発覚した場合は、脱税の疑いがかけられるため調査対象期間が長くなると留意しておきましょう。
法人税と個人の所得税で脱税の時効は異なる?
法人税も個人の所得税も、脱税の時効は状況によって5年か7年が適用されます。また、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳などの帳簿は、法人と個人の両方とも7年間の保存期間が定められています。また、欠損事業年度分は原則10年の保存が必要です。
申告漏れや脱税はあってはならないことですが、万が一に備えて、過去7年分の帳簿は保管しておくと安心です。
脱税の時効は成立する?
税務調査により税金の賦課決定がなされた後、国税の徴収権は5年で消滅時効を迎えます。一部には、5年が経過すれば時効を迎え、納税から逃れられると考える方もいるかもしれません。しかし、脱税の時効が成立するのは、極めて難しいといわれています。その理由に、「時効の更新」の存在があげられます。
時効の更新とは
時効の更新とは、一定の事由に当てはまるとこれまで経過した時効の期限がリセットされ、また最初から5年の時効期間が始まるというものです。
事由の中には以下のようなものがあげられます。
- 税務署から督促状が届いた
- 一部でも税金を納付した
- 納期限の延長を申請した
参考:国税通則法(72条)|e-GOV法令検索
参考:第72条関係 国税の徴収権の消滅時効|国税庁
税務署は督促状を定められた頻度で送付するので、督促状を回避することは不可能です。脱税をしてしまったら時効が終わるのを期待するのではなく、すみやかに納税をしてペナルティを少しでも軽くする方が賢明です。
脱税の刑罰やペナルティ
刑罰やペナルティの内容も、置かれた状況によってさまざまです。詳しく見ていきましょう。
10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金
所得税法第238条と法人税法159条では、脱税をした場合、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金の刑罰が定められています。状況によってはどちらも課せられる場合もあります。
また、脱税をした金額が1,000万以上の場合、その額と同額の罰金が課される場合があることも覚えておきましょう。つまり、2,000万円の脱税をした場合は2,000万円以下の罰金が課される可能性があるということです。
参考:e所得税法第238条(1項・2項)|e-GOV法令検索
参考:法人税法159条|e-GOV法令検索
無申告加算税
無申告加算税とは、申告するべき収入があるにもかかわらず確定申告をしなかった場合に課せられるペナルティです。所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の確定申告を行い、所得税を納付することが義務付けられています。
確定申告をしていないことに気づき、税務署から事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税として納付すべき税金の5%分が加算されます。税務署からの通知で気づき期限後申告を行った場合は、無申告加算税が10%の割合になることも覚えておきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、確定申告で所得や納税額を少なく申告した場合に課されるペナルティです。確定申告後、税務署からの指摘を受ける前に自主的に気づいて修正申告した場合は加算されません。
税務署から通知を受けた後、期限内に修正申告を行った場合は、元々納税するべき額に加えて10%の過少申告加算税が課税されます。期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える場合は、15%に引き上げられるので注意が必要です。
参考:財務省 加算税の概要
重加算税
重加算税とは、申告するべき所得を隠したり、所得額を偽ったりした場合に課せられる附帯税です。無申告加算税や過少申告加算税の代わりに課せられる重いペナルティで、課せられる税率も高く設定されています。
過少申告加算税の代わりの場合は35%、無申告加算税の代わりの場合は40%の税率を掛け合わせた額が適用されます。
また、過去に繰り返し無申告加算税や重加算税を支払っている場合は、さらに10%の重加算税が発生することも覚えておきましょう。
参考:財務省 加算税の概要
延滞税
延滞税は、期限までに納税しなかった場合に発生する附帯税です。延滞税は納付期限の翌日から発生し、延滞すればするほど額が増えていきます。計算方法は以下の通りです。
- 納付期限の翌日から2ヶ月以内の期間:原則年率7.3%※延滞税特例基準割合+1%と比較し低い方を適用
- 納付期限の翌日から2ヶ月経過以降の期間:原則年率14.6%※特例基準割合+7.3%のいずれか低い方を適用
期限から2ヶ月経過以降に支払う場合、延滞税の割合が大幅に上がる点に注意が必要です。
脱税に該当する行為
脱税に該当するかどうかは、申告額の差異が意図的に行われたかどうかという点が重要視されます。脱税に該当する行為の例を見てみましょう。
売上の意図的な過少申告
実際の売上額よりも少ない額を意図的に申告した場合は、脱税行為に該当します。売上額を少なく申告することで所得額を少なく見せ、所得税を抑えるのが目的です。
計上ミスの場合は脱税行為と判断されず、前記した「過少申告加算税」が課せられて済む場合もありますが、脱税かペナルティかの判断は税務署や国税局の判断なので詳細はわかりません。
計算ミスに気づいた場合、税務署の指摘がある前に申し出れば過少申告加算税の対象になりません。修正申告をするときはすみやかに税務署に申し出ましょう。
架空の経費などの水増し
所得を低くするために架空の経費を計上することは、意図的に行われた脱税行為に該当します。確定申告では、収入から経費を引いて算出した所得を申告します。経費が増えれば所得が減るので、所得税も少なくなるという仕組みです。
税務調査では、領収書・見積書・契約書など、あらゆる書類を照らし合わせて申告内容に誤りがないかどうかの調査が行われます。銀行口座や取引先の情報も調査対象になるので、架空請求を隠し通すのは不可能といえるでしょう。
無申告
所得や税金の申告を意図的に行わない行為を「無申告」といいます。無申告が脱税と判断される可能性も否定できません。脱税かどうかの判断基準として、意図的な行為かどうかという点がポイントです。
確定申告そのものを忘れていた場合は、「無申告加算税」や「延滞税」のペナルティにとどまり、刑事罰にならないケースもあります。
無申告は、適正に納税している個人や法人に強い不公平感をもたらすため、国税庁も厳しく取り締まりを行っています。無申告の状態に気づいた場合は、すみやかに申告するのが賢明でしょう。
脱税にならないための注意点
脱税にならないためには、収入が発生するあらゆる取引に関して適切な経理を行うことが大切です。脱税と判断されないための注意点を2つ解説します。
海外資産の申告漏れに注意する
海外の銀行口座に預金がある方や国外に不動産を保有している方は、海外資産が5,000万円を超える場合、「国外財産調書」を税務署に提出する義務があります。
国外財産調書は、日本国内に住所を有する方の国外財産を把握し、適切に課税をするために導入された制度です。対象となる財産は、不動産・預貯金・有価証券・貴金属類などがあげられます。
国外財産調書は、その年の翌年6月30日までに管轄の税務署に提出しなければなりません。国外財産調書を提出した場合は、国外財産にかかわる過少申告加算税や無申告加算税が5%軽減されますが、提出がない場合は5%加重されます。また、正当な理由なく提出しなかった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる可能性もあります。
外部から脱税の通報をされる可能性もある
関わりのある取引先からの情報提供で脱税の事実が明るみに出るケースもあります。国税庁のホームページには、情報提供フォームが設置されており、対象者の個人情報や関係する税目、不正の内容の詳細を記載できるようになっています。送られた情報は管轄の国税局や税務署に共有され、税務調査に活用されます。
事業はひとりで行うものではありません。故意的に不正を行った場合は、外部から脱税の通報を受ける可能性があることに留意しましょう。
脱税にメリットはない!申告漏れや無申告が発覚した場合は適切な対応を
税務調査の時効は、申告漏れの額が大きい場合や無申告の場合は5年、申告漏れの内容に悪質性が疑われた場合は7年に設定されています。税務署から督促状が届いたり、一部でも税金を納付すると時効が更新されるので、時効が成立するのは不可能といっても過言ではありません。
万が一、申告漏れや、確定申告自体を行わない無申告が発覚した場合は、すみやかに管轄の税務署に申告し納税するのが賢明です。
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