• 更新日 : 2024年2月20日

確定申告でリフォームが減税に?要件と必要書類を解説

一定の要件を満たすリフォーム・リノベーションをした場合、確定申告をすることで税額控除を受けることができます。

補足として、税金では「控除」という用語が頻繁に使われます。税金で控除というと、何かから金額が差し引かれるという意味です。

所得税では、所得控除と税額控除があります。
まず、所得控除は、税額を計算する前の所得(利益)から控除が適用されるものです。
所得(≒利益)から所得控除を差し引き、その金額に税率をかけて所得税額を算出します。
対して税額控除は、課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、控除が適用されるものです。
そのため、計算された所得税額を限度とし、控除の金額すべてが税額から差し引かれます。
特に、リフォーム・リノベーションを行った場合などは税額から直接マイナスされるため、税額控除となるでしょう。
確定申告の際には、工事の金額や住宅ローンの残高を税額控除の段階で入力することがポイントです。

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リフォーム・リノベーションの減税

一定の要件を満たすリフォーム・リノベーションを行った場合、主に以下の3つの税額控除があります。

項目住宅ローンの有無控除の期間税額控除の額(最大)
住宅ローン減税10年以上ローン10年400万円
(40万円×10年)
ローン型減税5年以上ローン5年62万5千円
(12万5千円×5年)
投資型減税どちらでも良い1年20~25万円

上記の概要をそれぞれ説明します。

住宅ローン減税

まず、住宅ローン減税とは一般的には住宅ローン控除と呼ばれます。住宅ローン減税は主に、新築・中古の家を取得した場合や大規模なリフォーム・リノベーションをした場合が対象です。

ローン型減税

次に、ローン型減税とは、大規模ではないリフォーム・リノベーションが対象です。5年以上のローンであることが特徴です。イメージ的には、ユニットバスにすることやトイレを増設する工事などが該当します。

投資型減税

最後に、投資型減税とは、住宅ローンの有無にかかわらず利用できる税額控除で、上記のローン型減税との選択適用することができます。一般的には、住宅ローンがあればローン型減税を選択し、ローン型減税が難しい場合は投資型減税を選択します。

住宅ローン減税の要件

住宅ローン減税の対象は以下の通りです。なお、返済期間が残り10年以上の住宅ローンがあることが前提です。

  • 新築の住宅を取得したこと
  • 中古の住宅を取得したこと
  • 中古の住宅を取得し、大幅な耐震改修を行ったこと
  • 大幅な増築または大幅な改築を行ったこと

また、税額控除の計算は以下の通りです。

税額控除の金額 = 年末の住宅ローン残高 × 1%

 

※計算結果が40万円を超える場合は、40万円になります。

大幅なリフォーム・リノベーションを行う場合は、住宅ローン減税に該当する可能性があります。このほか、家の居住期間や工事などの要件もあるため、確認してみてください。

また、長期優良住宅の新築または新品同様の長期優良住宅を取得した場合は、上記の住宅ローン減税の適用と認定住宅の減税のどちらかを選択することが可能です。

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ローン型減税の要件

ローン型減税は、以下のリフォーム・リノベーションを行った場合が対象です。
なお、これらの工事に伴い、返済期間が5年以上の住宅ローンを借り入れることが前提です。

  • 省エネリフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 同居対応リフォーム(多世帯同居改修)

それぞれの概要を説明していきます。

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームとは、高齢者や要介護者などの本人または親族のために行う工事のことです。バリアフリーリフォームの主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
対象者本人または同居の親族にバリアフリー化が必要なこと
借入金5年以上の住宅ローン
工事費用50万円超
工事の内容手すりの設置、階段の撤去など
バリアフリー化するもの
税額控除1年あたり最高額12万5千円 × 5年

省エネリフォーム

省エネリフォームとは、暖房などのエネルギーを抑えるために行う工事です。
主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
借入金5年以上の住宅ローン
工事費用50万円超
工事の内容天井や壁の断熱改修で、省エネ基準を満たす工事
税額控除1年あたり最高額12万5千円 × 5年

同居対応リフォーム

同居対応リフォームとは、複数世帯住宅にするための増築や必要な設備を改築するリフォームです。主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
借入金5年以上の住宅ローン
工事費用50万円超
工事の内容同居するのに必要な設備の増築また改築、修繕など
浴槽やトイレを増設する工事など
税額控除1年あたり最高額12万5千円 × 5年

投資型減税の要件

投資型減税とは、リフォーム・リノベーションに伴う住宅ローンが無くても利用できる税額控除です。住宅ローンがある場合はローン型減税との選択によりどちらかを選択することができます。
ただし、耐震リフォームで大幅な増改築の場合は投資型減税と住宅ローン減税のどちらも適用を受けることができます。

投資型減税の対象になるリフォーム・リノベーションは以下の通りです。

  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 同居対応リフォーム(多世帯同居改修)

耐震リフォーム

耐震リフォームとは、古い家で現行の耐震基準を満たすために行う工事です。
主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
対象の家屋昭和56年5月31日以前に建築された家屋
工事の内容現行の耐震基準を満たすための工事
税額控除
(1回限り)
工事費用の10%
(最高25万円)

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームとは、高齢者や要介護者などの本人または親族のために行う工事のことです。バリアフリーリフォームの主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
対象者本人または同居の親族にバリアフリー化が必要なこと
工事費用50万円超
工事の内容手すりの設置、階段の撤去など
バリアフリー化するもの
税額控除
(1回限り)
工事費用の10%
(最高20万円)

投資型減税のバリアフリーリフォームは、ローン型減税のバリアフリーリフォームとほぼ同じ要件です。異なる点としては、借入金の有無と税額控除の金額です。

省エネリフォーム

省エネリフォームとは、窓や壁の断熱性能を高めるために行う工事です。
主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
工事費用50万円超
工事の内容天井や壁、窓の断熱改修で、省エネ基準を満たす工事
太陽光発電設備の設置
税額控除
(1回限り)
工事費用の10%
(最高25万円 太陽光設備の場合は35万円)

同居対応リフォーム

投資型の同居対応リフォームとは、複数世帯のために施設を増設するリフォームです。
主な要件は以下の通りです。

主な要件内容
工事費用50万円超
工事の内容調理室、浴室、トイレ、玄関を増設する工事
税額控除
(1回限り)
工事費用の10%
(最高25万円)

その他の減税対象

リフォーム・リノベーションを行うと、所得税以外の税金が減額されます。
それぞれ確認していきましょう。

固定資産税

以下のリフォームを行うと固定資産税の減額を受けることができます。

  • 省エネリフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 耐震リフォーム

上記のリフォームは、固定資産税の2分の1または3分の1を軽減することができます。
ただし、ここまで説明した所得税のリフォーム要件(工事内容や工事金額など)とは異なるため、市区町村の役所に確認しましょう。

登録免許税の特例措置

登録免許税とは、土地や建物などの不動産を取得する場合に発生する税金で、イメージ的には登記の手数料のような税金です。

リフォーム・リノベーションは取得にはならず基本的に登記は必要ありませんが、新築や中古住宅の取得の際には登記が必要になります。

登録免許税の特別措置は、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に取得する住宅の登録免許税に適用されます。この期間内の所有権等の移転登記に対して通常の金額よりも軽減されています。

贈与税の非課税

贈与税は基本的に年間110万円までは非課税です。
ただし、リフォーム・リノベーションの費用は多額になることから一定の要件を満たす場合に非課税枠を大きくすることが可能です。

主な要件は以下の通りです。

  • 直系尊属からの贈与であること
  • 親族との取引で住宅を取得または増改築していないこと
  • 全額をリフォーム・リノベーションの工事費用に充てること

リフォーム・リノベーションの確定申告のタイミング

リフォーム・リノベーションを行った場合は、基本的に工事が完了した日や工事契約書の日付の翌年に確定申告を行います。特に工事を行った1年目は確定申告が必要です。
翌年以降は年末調整で可能なため、年末調整がある方は手続き不要です。

また、所得税では対象年(1月1日から12月31日まで)の内容を翌年の申告期限までに申告することになっています。基本的に、税額控除は工事金額が確定していないと計算できないため、工事が完了した日以降の確定申告で対応することになります。
もし工事期間が年をまたぐ場合は、工事契約書の日付を確認しましょう。不安な場合は近くの税務署に相談しましょう。

リフォーム・リノベーションの確定申告に必要な書類

リフォーム・リノベーションの確定申告では、以下の書類が必要です。

【税務署または国税庁HPから入手するもの】

  • 控除額の計算明細書

※計算明細書には、使用する税額控除の名称が記載されています。
例:住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

【金融機関から入手するもの】

  • 借入金の年末残高等証明書

住宅ローンの年末残高を証明するために使用します。
※住宅ローンがある場合のみ必要です。

【法務局または役所で入手するもの】

  • 登記簿(全部事項証明書)

家屋の面積や増改築の内容を証明するために使用します。

【工事業者から入手するもの】

  • 増改築等工事証明書

工事金額や内容を証明するために使用します。

【その他】

  • 源泉徴収票など所得を計算するために必要な書類
  • 生命保険料の証明書(ハガキ)など所得控除で必要な書類
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
  • 印鑑

補足として、確定申告書の提出方法にもよりますが、郵送する場合は原本を添付することが多いため、コピーを保管しておくことをおすすめします。

リフォーム・リノベーションをしたら確定申告書を!

リフォーム・リノベーションをした年は、必ず確定申告書を行いましょう。
工事の金額にもよりますが、税金が直接減額されます。
もし、確定申告を忘れていた場合、過去5年分は遡って行うことが可能です。

具体的な確定申告の方法は以下の記事で説明しているので、ぜひ参考にしてください。

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よくある質問

リフォーム・リノベーションの減税の種類は?

住宅ローン減税、ローン型減税、投資型減税の3つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

リフォーム・リノベーションの確定申告のタイミングは?

基本的に工事が完了した日や工事契約書の日付の翌年に確定申告を行います。詳しくはこちらをご覧ください。

リフォーム・リノベーションの確定申告に必要な書類は?

控除額の計算明細書、借入金の年末残高等証明書、登記簿(全部事項証明書)、増改築等工事証明書などが必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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