- 更新日 : 2023年12月7日
貸株サービスの金利・配当金相当額の確定申告についてわかりやすく解説!
証券会社に株を貸し出す貸株サービスによって、金利や配当金相当額を受け取ると、翌年に確定申告が必要になる場合があります。
特定口座(源泉徴収あり)で生じた株の譲渡所得や配当所得は確定申告が不要ですが、同じ投資関連の所得でも、貸株金利や配当金相当額は常に確定申告が不要になるわけではありません。よって、確定申告が必要になる条件や申告方法について正しく理解しておくことが大切です。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
この記事を読む方におすすめ税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
目次
確定申告とは
確定申告とは1年間の所得額をもとに所得税を計算して、確定した税額を国に申告する手続きです。
確定申告が必要になる条件は職業や所得額などによって異なりますが、貸株金利や配当金相当額を受け取ると確定申告の義務が生じることがあります。なお、確定申告については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
貸株サービスで受け取る貸株金利・配当金相当額は確定申告が必要?
貸株サービスで貸株金利や配当金相当額を受け取って、確定申告の義務が生じるケースでは、所得が生じた年の翌年の申告期限までに確定申告を行う必要があります。確定申告が必要になる条件を正しく理解して、申告の手続きを忘れずに行うようにしましょう。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要になる条件は、所得の種類や所得額などによって異なります。
会社員や公務員などの給与所得者
会社員や公務員などの給与所得者は、源泉徴収や年末調整を通じて所得税の納税が完了することが多く、基本的に納税者本人が確定申告をする必要はありません。
しかし、給与収入が2,000万円を超える場合や給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える場合など一定のケースでは、確定申告の義務が生じるため申告の手続きが必要です。したがって、貸株金利や配当金相当額が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
公的年金を受給している方
公的年金の受給者は、以下2つの条件を満たす場合、確定申告は必要ありません。
逆に上記の条件を満たさない場合は、確定申告が必要です。たとえば、貸株金利や配当金相当額が20万円を超える方は、確定申告をしなくてはいけません。
退職所得がある方
退職金を受け取るときに退職金の支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、一般的に退職所得に係る所得税等は源泉徴収されるので、確定申告は必要ありません。
しかし、外国企業から退職金を受け取る場合は源泉徴収の対象にならないため、確定申告が必要です。また、退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合も、確定申告が必要になります。
個人事業主やフリーランス
個人事業主やフリーランスの場合は、総所得金額等から所得控除額を引いて税率を乗じて、求めた所得税額から税額控除を差し引いても残額があれば、確定申告が必要です。
適用を受ける控除の種類にもよりますが、総所得金額等が「基礎控除額+社会保険料控除額」を超えれば、一般的に多くのケースで確定申告が必要になります。
貸株金利や配当金相当額は雑所得または事業所得
貸株金利や配当金相当額は所得税の計算上、配当所得ではなく雑所得または事業所得に分類されます。配当所得ではないため配当控除の対象にはならず、上場株式等の配当ではありませんので株の譲渡損と損益通算することができません。
投資に関する所得の中には、分離課税の対象になり他の所得と分けて計算するものがありますが、貸株金利や配当金相当額は分離課税ではなく総合課税の対象です。なお、証券会社によっては、配当金相当額ではなく配当金として受け取るコースが用意されていることがあり、その場合に受け取る配当金の所得区分は配当所得になります。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
貸株サービスにおいて認められる経費
貸株金利や配当金相当額は雑所得または事業所得に分類され、雑所得・事業所得の所得額は総収入金額から必要経費を引いて求めます。事業所得や雑所得の計算で必要経費に算入できる金額とは、その年において収入金額を得るために直接要した費用の金額です。
なお、具体的に何が必要経費に該当するのかについては判断が難しい場合もあるので、よくわからない場合は、税務署や税理士に確認することをおすすめします。
貸株サービスにおける確定申告の方法
貸株サービスで貸株金利や配当金相当額を得て確定申告が必要になると、確定申告期間内に申告の手続きをする必要があります。確定申告の方法を正しく理解して、期限までに忘れずに手続きを終えるようにしましょう。
必要書類をそろえて確定申告書を作成する
確定申告では、控除に関する書類など必要書類をそろえて、確定申告書とともに税務署へ提出します。マイナンバーカードがある場合は、マイナンバーカードを提示または写しを提出し、ない場合は住民票などの番号確認書類と、運転免許証などの身元確認書類の提示または写しの提出が必要です。
また、確定申告書の用紙は税務署に行けばもらえますが、国税庁のHPからもダウンロードできます。確定申告書にはAとBがありましたが、令和4年分の確定申告から「確定申告書」に一本化されました。
給与所得者や年金受給者は、確定申告書に給与額や年金額を記載する必要があるため、源泉徴収票を用意します。
控除関係の書類は適用を受ける控除によって異なり、たとえば医療費控除の適用を受ける場合は医療費控除の明細書の添付が、ふるさと納税による控除の適用を受ける場合は自治体が発行する寄附金受領証明書の添付が必要です。
納税地の税務署に提出する
確定申告書の提出先は納税地の税務署で、一般的に住所地を管轄する税務署になります。提出方法には持参・郵送・e-Taxの3種類がありますが、e-Taxであれば自宅にいながらパソコン操作だけで確定申告を終えられるので便利です。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告の義務があるにもかかわらず期限までに申告をしないと、罰金を科されてしまいます。貸株サービスによって貸株金利や配当金相当額を得ても、罰金を科されるとその分だけ手元に残る金額が実質的に減ってしまうので注意が必要です。
法定納期限の翌日から納付完了日までの日数に応じて延滞税が課され、そもそも期限までに申告をしていなかった場合には無申告加算税が、隠ぺいなど悪質な場合には重加算税が課されることがあります。
貸株サービスで得た貸株金利・配当金相当額は正しく確定申告しましょう
貸株サービスで得た貸株金利や配当金相当額は、所得税の計算で雑所得または事業所得に区分されます。配当所得ではないため配当控除の対象にはならず、株の譲渡損と損益通算はできません。
貸株金利や配当金相当額が少額で確定申告が必要ない場合もありますが、確定申告の義務が生じる場合には、期限までに確定申告を終える必要があります。貸株サービスで得た所得と所得税の関係を理解して、申告が必要な場合には正しく確定申告を行うようにしましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
貸株サービスで受け取る貸株金利・配当金相当額は確定申告が必要?
貸株サービスで貸株金利や配当金相当額を受け取って確定申告が必要になる条件は、所得の種類や所得額などによって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
貸株サービスにおける確定申告の方法は?
必要書類をそろえて期間内に申告の手続きをする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告の義務があるにもかかわらず期限までに申告をしないと、罰金を科されてしまいます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
投資の確定申告の関連記事
新着記事
課税証明書とは?取得方法や必要書類、見方や注意点を徹底解説!
一般に課税証明書とは、住民税について所得、控除、課税額などを記載した書類のことです。児童手当や奨学金などの申請や、金融機関でのローンの申し込みなどで必要になります。 本記事では、課税証明書が必要な場面や取得方法、取得できる場所などを解説しま…
詳しくみる個人事業主の定額減税ガイド!やり方・所得税なしの場合は?
2024年には、インフレ対策として定額減税が実施されています。定額減税を受けるためには、どのような手続きが必要になるか知りたい個人事業主の方も多いのではないでしょうか。 個人事業主が定額減税を受けるためには、確定申告が必要です。今回の記事で…
詳しくみる個人の税務調査はいくらから?どこまで調べる?
税務調査が入るかどうか、不安を感じている個人事業主の方は多いのではないでしょうか。法人に比べると頻度は少ないですが、個人事業主にも税務調査は入ります。 そのため会計ソフトなどを使った、適切な対策が必要です。本記事では税務調査の概要や、税務調…
詳しくみる松戸市の確定申告ガイド!郵送先や相談方法は?
当記事では、松戸市で確定申告を行おうとしている方に向けて、松戸市の管轄税務署や郵送先、相談会場、確定申告のやり方・提出方法などを、ギュッとまとめております。 なお、松戸市の確定申告会場に行かなくても、確定申告書の作成・提出は可能です。 初心…
詳しくみる簡易課税の消費税申告のやり方を個人事業主向けに解説!
消費税の申告にあたっては、税額の計算方法として、原則である一般課税のほかに簡易課税制度が置かれています。簡易課税と一般課税では何が異なるのでしょうか。個人事業主向けに、簡易課税制度による消費税申告の計算や申告の方法を解説します。 簡易課税制…
詳しくみる消費税申告とは?やり方・計算【個人事業主対応】
消費税申告とは、個人事業主の場合は各年(1月1日から12月31日までの1年)、法人の場合は各事業年度に納めるべき消費税を管轄の税務署に申告することです。この記事では、消費税申告の対象者や計算方法、個人事業主向けの確定申告のやり方や作成方法な…
詳しくみる