- 更新日 : 2025年1月27日
画家の確定申告のやり方は?個人事業主の税金や経費、棚卸しの必要性も解説
画家として収入を得る場合には、原則として確定申告が必要です。画家として専業の場合もあれば、副業で自ら描いた絵画の販売収入がある場合など様々なケースがありますが、会社員でない限りは確定申告の対象となります。
この記事では、画家として独立し、個人事業主として画業等を営む人等にむけて確定申告の方法を解説します。
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目次
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画家は確定申告が必要?
画家として活躍する場合、多様な働き方が考えられます。ここではいくつかのケースを例にとって、課税関係を考えて行きましょう。また、各項では「絵を売る」と表現していますが、「画家としての活動」として捉えてよいでしょう。
画家としての活動を納税者として大まかにまとめると、次のようになります。
① | 給与所得者 | 年末調整後に必要があれば所得税の確定申告をする |
---|---|---|
② | 個人事業主 | 必要な帳簿や決算書等を揃えて所得税の確定申告をする |
③ | 法人 | 法人税の確定申告をする |
個人事業主・フリーランスの画家の場合【上記②または③】
個人事業主である画家で支払うべき所得税額がある場合には、所得税の確定申告書を提出しなければなりません。フリーランスには種々の解釈がありますが、業務委託の相手となる事業者で従業員を使用しないものの中には、「一人社長会社」などの法人も考えられます。
法人を設立したフリーランスの場合は、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に法人税の確定申告書を提出する義務があります。法人から「役員報酬」という形で給与を得ている場合には、その給与について年末調整や所得税の確定申告が必要です。
美術教員をしながら絵を売る場合【上記①および②】
美術関係の教員をしながら、自らの制作活動に係る販売をしている場合には、給与所得者であり、かつ個人事業主だと言えます。美術教員としての勤務先で年末調整を受けた後に発行される「給与所得の源泉徴収票」をもとに、自らの事業所得を確定申告上で合算します。
なお、制作活動を副業程度にしている場合は、「会社員が副業で絵を売る場合」を参照ください。
絵画教室をしながら絵を売る場合【上記②】
自ら主宰するアート教室などがあり、かつ絵画による販売収益がある場合には、収入はすべて「事業所得」として確定申告をすることになります。このとき、教室の売上高と絵画の販売による売上高は分けて管理しておくほうがわかりやすいでしょう。
会社員が副業で絵を売る場合【上記①および②】
会社員としての給与とは別に副業として絵を描いて販売するケースなどは、雑所得にあたります。会社員の副業などは、事業所得までには至らない「業務に係る雑所得」として申告します。
なお、前々年の「業務に係る雑所得」の収入が1,000万円を超える場合には、確定申告の際に、収支内訳書などの添付が必要です。
画家の確定申告のやり方
確定申告について、所得税と法人税では大きく異なるため、ここからは所得税に特化して解説します。
画家の確定申告の必要書類
画家としての収入について確定申告する場合、いくつかのパターンが考えられます。
所得の構成(所得税関連のみ) | 確定申告要の場合の必要書類 | |
---|---|---|
- | 給与所得のみ(年末調整のみ) | 確定申告不要 |
ア | 給与所得のみ(医療費控除等適用) | 確定申告要(源泉徴収票および控除明細等を準備) |
イ | 画業としての事業所得のみ | 確定申告要(青色決算申告書または収支内訳書、控除明細等を準備) |
ウ | 給与所得者+事業所得 | 確定申告要(源泉徴収票および青色決算申告書または収支内訳書、控除明細等を準備) |
エ | 給与所得者+雑所得 | 確定申告要(源泉徴収票および雑所得の明細、控除明細等を準備) |
例えば、所得税だけに特化して考えると原則的には次のようになります。
- 個人事業主・フリーランスの画家の場合:上記イ
- 美術教員をしながら絵を売る場合:上記ウ
- 絵画教室をしながら絵を売る場合:上記イ
- 会社員が副業で絵を売る場合:上記エ
事業所得の場合、青色申告承認申請をしていないなら、白色申告となり「収支内訳書」を作成します。青色申告の場合には「青色決算申告書」を作成します。これらのいずれかができた時点で、確定申告書の作成が可能です。
他に必要なものとして、マイナンバーカード、控除を受けるための証明書類などがあります。必ず発生するのは社会保険料控除(年金の控除証明書)等ですが、医療費控除やふるさと納税の証明書など申告の内容に合わせて書類を集めておきます。
画家の確定申告書の書き方
給与所得がある場合もそうでない場合も、確定申告書の記載方法に大きな違いはありません。しかし給与所得がある場合は、すでに年末調整にて控除証明書等を提出しているため、「源泉徴収票」で確認して記載します。
以下では、確定申告書の描き方について、給与所得がある場合とない場合に分けて解説します。
<給与所得がある場合>
上記イ以外の源泉徴収票の数値が必要なケースでは、源泉徴収票から確定申告書への転記をします。転記例については下記手引きを参考にしてください。転記後、精算したい内容を追記して最終的な納税額を計算します。
参考:確定申告書等の様式・手引き等|国税庁、「令和6年分所得税の確定申告書の手引き(P6ご参照)」
<事業所得がある場合ほか>
先述のように確定申告書に添付する決算書等が必要です。会計ソフトで作成している場合はソフトのガイドに従えば問題ありませんが、これから作成する場合には、「確定申告書等作成コーナー」で作成することができます。
なお、作成コーナーでは「税務署への提出方法」を「印刷して提出」を選択すると、マイナンバーカードが手元にない場合でも決算書等を作成できます。
画家の確定申告書の提出方法
確定申告書の提出方法は、書面での提出か電子申告かによって異なります。
- 書面での提出
確定申告書を書面で提出する場合には、窓口持参か郵送で行います。郵送の場合には、マイナンバーカード等のコピーが必要となり、下記のとおり指定された宛先に送付します。
参考:【申告書の提出】|国税庁、「書面の申告書等の郵送による提出先となる業務センターの所在地」 - 電子申告(e-Tax)での提出
電子申告で確定申告書を提出する場合には、送信したデータが正常に受信されているかを審査結果で確認します。また、提出完了後もPDFの形式で確定申告書を保存しておくことをおすすめします。上記でご紹介した「確定申告書等作成コーナー」から電子申告することも可能です。
参考:個人でご利用の方|【e-Tax】
画家の確定申告書の提出期限
所得税の確定申告書の提出期間は、毎年、概ね2月15日頃から3月15日頃までであり、開始日や終了日に休日があると後ろ倒しになります。令和6年分の所得税の確定申告書の申告期限は、令和7年3月17日(月)です。
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画家は確定申告でどこまで経費にできる?
画家で個人事業主の場合は、青色申告または白色申告により確定申告をします。画家として考えられる必要経費には次のようなものがあります。
画家が確定申告するときのポイント
画家が確定申告をする場合のポイントをいくつかご紹介します。
作品の棚卸しが必要
期末において販売されずに画家の手元に残った作品は、「棚卸し」が必要です。棚卸しとは、法人や個人事業主が期末において保有している商品や原材料などについて、数量や状態を調査し、帳簿上の在庫数と照合する作業です。
棚卸しを行うことによって売上高に対応する商品原価を認識できるとともに、在庫の商品についても正しい評価を与えることができます。完成したアート作品についても同様に、期末時点で手元にあるものの棚卸しをする必要があります。
参考:たな卸商品等 |国税庁
税金対策のために経費を正しく計上する
節税のことを考えると、必要経費は正しく計上することが一番です。絵画の売却収入を得るために直接要した費用や、その年に発生した販売費や一般管理費は事業所得において必要経費とすることができます。
また、家事関連費と言って、一つの支払が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用があります。例えば、賃借している自宅において、床面積の30%を画家としての事業用のアトリエなどに使用している場合、家賃の30%については必要経費として計上することができます。
この場合、家の見取り図などで、アトリエ等の占有割合が客観的に明らかにわかるようにしておきましょう。
参考:必要経費の知識|国税庁
赤字でも確定申告した方がいい場合がある
青色申告とは、一定レベルの記帳を作成して正しい申告をする場合に、所得税の計算などについて有利な取扱いを受けられる制度です。
青色申告において、事業が赤字の場合、その損失額を翌年以後3年間繰り越すことができます。繰り越した赤字を翌年度以降の黒字と相殺できるので、節税につながります。ただし、赤字を繰り越したい場合には、少なくともその期間は毎年青色申告をする必要があります。
画家の個人事業税は非課税となる
個人事業税とは、法律により一定の業種について、事務所等の所在する都道府県に納付する地方税のことです。個人事業主に課税される個人事業税の法定業種は現在70種ありますが、現時点では「画家」は対象とされる業種に入っていません。
したがって、画家として登録されている場合には個人事業税は課税されませんが、業務の実態を聞かれることはよくあります。
ただし、自分の作品を販売しながら仕入れた商品も販売している場合は、仕入れた部分が「物品販売業」となり個人事業税の対象となるため注意しましょう。
参考:個人事業税|東京都主税局
多様な働き方でも画家の確定申告はシンプル!
画業としての収入源は多岐にわたり、作品販売、ライブ、著作権収入など様々です。芸術的な生き方も現実では避けられない義務があり、確定申告もその一つです。確定申告では創造性豊かな生活も現実味を帯び、一般の納税者と同様に電卓をたたく場面もあるでしょう。その意味では、税金は皆の前で平等と言えるのではないでしょうか?
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合わせて読みたいおすすめ資料
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青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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