• 更新日 : 2022年4月28日

贈与税とはいくらかかる?相続税との違いや暦年課税の仕組みも解説!

贈与税とはいくらかかる?相続税との違いや暦年課税の仕組みも解説!

個人がお金や住宅などの財産を生前贈与すると、贈与を受けた人は、贈与税を支払わなければいけません。贈与が発生した場合に気になるのが、一体いくらの贈与税がかかるのかということでしょう。

贈与税は速算表などを用いて計算しますが、非課税の特例で贈与税がかからない方法があるなど、計算方法は複雑です。また、贈与税の申告をしないと、ばれるので注意が必要です。

そこで、この記事では贈与税の概要や相続税との違い、贈与税の計算方法や税率など、贈与税について詳しく解説します。

贈与税とは?

贈与税は、贈与を受けた人(受贈者)が「贈与をした人から財産をもらった時、その財産にかかる税金」です。1年間の贈与額が基礎控除額である110万円を超えた場合に課税されます。

直接財産を受け取った場合以外では、配偶者が支払っていた保険など、受贈者自身が掛け金を払っていない生命保険金を受け取った時や、借入金の免除があった場合にも贈与税がかかることがあります。また、法人からの贈与を受けた場合には贈与税は課税されず、所得税が課税されます。

生前贈与とは?

生前贈与とは、財産を持っている人が、生前に自分の意思で他の人に財産を引き継ぐ(贈与する)ことを言います。生前に贈与するので生前贈与と言います。

これに対して、死後に財産を引き継ぐことを相続と言います。生前贈与も相続も、財産を引き継ぐことには変わりありませんが、財産を引き継ぐ時期が生前なのか、死後なのかの違いがあります。

贈与税と相続税の違いは?

財産を引き継ぐ方法には、贈与と相続の2つの方法があります。財産を所有している人が存命中に財産を引き継ぐ場合が贈与、死亡後に財産を引き継ぐ場合が相続です。財産を受け取った人は、贈与では贈与税を、相続では相続税を支払う必要があります。

贈与税がかかるのはどんな時?

親族などに引き継ぐ財産には、贈与税がかかる財産とかからない財産があります。贈与税がかかる時は、贈与税がかかる財産を引き継いだ時です。ここでは、贈与税がかかる財産とかからない財産について見ていきましょう。

贈与税がかかる財産の範囲

原則、贈与税がかかる財産は、個人から個人に引き継いだ財産になります。個人から法人、法人から個人、法人から法人に引き継いだ財産には贈与税はかからず、法人税や所得税の対象になります。

贈与税の対象となる財産は、現金や預金だけでなく、不動産や株式、貴金属なども含まれます。また、生命保険などの一部のみなし財産も贈与税の対象となります。

贈与税の非課税財産

財産をもらった場合は原則贈与税がかかります。ただし、財産の性質や贈与の目的などにより、次の財産には贈与税が課されません。

  • 一定の親族などの扶養義務者から受け取る生活費や教育費
  • 奨学金の支給のための特定公益信託
  • 公職選挙法により選挙の候補者が受け取る、選挙運動のための金品
  • 相続があった年に被相続人から贈与を受けた財産(この場合は相続税がかかります。)

その他、以下のものなどにも贈与税はかかりません。

  • 宗教、慈善といった事業を行う一定の者が、公益を目的とする事業に使用するために取得した財産
  • 心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金
  • 香典、花輪代、年末年始の贈答祝物、見舞金など社会通念上相当と認められる金品
  • 父母や祖父母などの直系尊属から贈与された住宅取得等資金のうち、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

贈与税の課税の仕組み

贈与税には、大きく分けて暦年課税と相続時精算課税の2つの課税の仕組みがあります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

暦年課税

贈与税の暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産から、基礎控除額の110万円を差し引いた額に対して課税されるものです。そのため、相続人全員がもらった財産の合計が、基礎控除額より少なかった場合には贈与税はかからず、申告する義務も発生しません。

相続時精算課税

相続時精算課税制度とは、簡単に言うと、2,500万円までの財産を贈与した時には贈与税をかけず、相続時に相続した財産に加えて、相続税を計算する制度のことです。贈与した財産が2,500万円を超えた場合には、その部分について一律20%の贈与税が課されます。

この制度が適用されるケースは、「60歳以上の父母又は祖父母が贈与者で、贈与者の推定相続人である20歳(2022年4月1日以後の贈与では18歳)以上の子又は孫が受贈者である場合」に限られます。

相続時精算課税を選択する場合には、受贈者が、贈与税の申告書の提出期間に、相続時精算課税選択届出書と、戸籍の謄本などの必要書類を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

相続時精算課税制度は、すべての贈与に対して適用されるわけでなく、相続時精算課税制度を適用する贈与者を選びます。例えば、祖父からの贈与は相続時精算課税制度を適用し、祖母からの贈与は一般の贈与(暦年贈与)にするといった使い方ができます。

ただし、いったん相続時精算課税を選択したものについては、あとから暦年課税に変更することはできません。

暦年課税と相続時精算課税の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

贈与税の税率

実は、贈与税には「一般贈与財産に対する税率」と「特例贈与財産に対する税率」の2つがあります。

一般贈与財産用の速算表

一般贈与財産の税率とは、特例贈与財産に該当しない、一般的な財産の贈与があった場合に使用される税率のことです。

例えば、第三者からの贈与や、夫から妻への贈与などでは、一般贈与財産の税率を用いて贈与税の計算を行います。

一般贈与財産の税率は次の通りです。

基礎控除後の財産の価格(課税価格)税率控除額
200万円以下10%
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1,000万円以下40%125万円
1,000万円超1,500万円以下45%175万円
1,500万円超3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

特例贈与財産用の速算表

特例贈与財産の税率とは、直系尊属から20歳以上(贈与があった年の1月1日時点、2022年4月1日以後の贈与では18歳以上)の子供や孫などへ財産があった場合に使用される税率のことです。

直系尊属とは、祖父母や父母など本人より前の直系の親族のことです。例えば、親から20歳(2022年4月1日以後の贈与では18歳)以上の子供への贈与などでは、特例贈与財産の税率を用いて贈与税の計算を行います。

特例贈与財産の税率は次の通りです。

基礎控除後の財産の価格(課税価格)税率控除額
200万円以下10%
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
600万円超1,000万円以下30%90万円
1,000万円超1,500万円以下40%190万円
1,500万円超3,000万円以下45%265万円
3,000万円超4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

贈与税の計算方法

贈与税額の計算方法は、以下の通りです。

  1. 1年間(1月1日から12月31日まで)の間に贈与として受け取った金額から基礎控除額となる110万円を差し引きます。
  2. 残りの金額に上記の表の税率を掛けることで税額を算出します。
  3. そこから控除額を引くことで、贈与税額を計算します。

一般贈与財産用の計算例

例)夫から妻へ1,000万円の贈与が行われた

基礎控除後の財産の価格(課税価格)=贈与額1,000万円-基礎控除額110万円=890万円

贈与税の金額=基礎控除後の財産の価格(課税価格)890万円×税率40% - 控除額125万円 = 231万円

特例贈与財産用の計算例

例)親から子供へ1,000万円の贈与が行われた

基礎控除後の財産の価格(課税価格)=贈与額1,000万円-基礎控除額110万円=890万円

贈与税の金額=基礎控除後の財産の価格(課税価格)890万円×税率30% - 控除額90万円 = 177万円

一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方計算が必要なケース

贈与税の計算は、1年間の贈与すべてが対象となります。そのため、同じ年に自分の親と配偶者など、一般贈与財産と特例贈与財産の2つの贈与を受けることもあります。

その場合は、一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要となり、贈与されたすべての財産を対象に、一般税率と特例税率で計算する必要があります。手順は次の通りです。

  1. 贈与されたすべての財産を一般税率で税額計算する。その後、贈与された財産のうち、一般贈与財産を占める割合分の贈与税を計算する。
  2. 贈与されたすべての財産を特例税率で税額計算する。その後、贈与された財産のうち、特例贈与財産を占める割合分の贈与税を計算する。
  3. 上記1と2で計算した贈与税を合算する。

例)一般贈与財産100万円、特例贈与財産用200万円、合計300万円。合計300万円を一般税率で税額計算した贈与税が24万円、特例贈与税率で計算した贈与税が21万円の場合。

  1. 一般税率で税額計算した贈与税が24万円×一般贈与財産100万円/全財産300万円=8万円
  2. 特例税率で税額計算した贈与税が21万円×特例贈与財産用200万円/全財産300万円=14万円
  3. 贈与税額=1(一般贈与財産用)の税額8万円+2(特例贈与財産)の税額14万円=22万円

贈与税がかからない方法とは?

贈与税には、さまざまな控除や特例があり、該当すると贈与税をかからなくすることも可能です。ここでは、代表的な贈与税がかからない方法をご紹介します。

贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除とは、夫婦間で居住用の不動産や居住用の不動産を取得するための金銭の贈与があった場合に受ける控除のことです。

婚姻期間が20年以上の夫婦間の贈与に限られますが、基礎控除110万円に加えて、配偶者控除2,000万円を受けることができます。

住宅取得等資金の贈与の特例

住宅取得等資金の贈与の特例とは、父母や祖父母などの直系尊属から子や孫などへ住宅取得のための金銭を贈与した場合に、一定の金額までの贈与を非課税とするものです。
住宅取得等資金の贈与の特例には、受贈者、取得する住宅などに一定の要件があります。また、非課税限度額も取得時期や住宅の種類で異なります。

住宅取得等資金の贈与の特例については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。

贈与税を非課税にできる制度「住宅取得等資金の贈与の特例」を有効活用しよう

教育資金の一括贈与の特例

教育資金の一括贈与の特例とは、父母や祖父母などの直系尊属から30歳未満の子や孫などへ教育資金を贈与した場合に、1,500万円までの贈与を非課税とするものです。

ただし、金融機関に教育資金口座を開設し、その口座にお金を預け入れる必要があります。

また、教育資金口座から金銭を引き出し、使用した場合には、入学金や学用品の購入など、教育資金の用途で使ったことを示す領収書などの書類を金融機関に提出します。

教育資金の一括贈与の特例には、受贈者や教育資金の範囲などに、一定の要件があります。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは、父母や祖父母などの直系尊属から20歳(2022年4月1日以後の贈与では、18歳)以上50歳未満の子や孫などへ結婚・子育て資金を贈与した場合に、1,000万円までの贈与を非課税とするものです。

ただし、金融機関に結婚・子育て資金口座を開設し、その口座にお金を預け入れる必要があります。

また、結婚・子育て資金口座から金銭を引き出し、使用した場合には、挙式費用や幼稚園の保育料など、結婚・子育ての用途で使ったことを示す領収書などの書類を金融機関に提出します。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例には、受贈者や結婚・子育て資金の範囲などに、一定の要件があります。

贈与税の申告方法は?

贈与税の申告方法には、税務署の窓口に提出、郵送で提出、e-Taxの3つがあります。このうち、税務署の窓口もしくは郵送で提出する場合には、申告書の用紙を入手する必要があります。贈与税申告書の用紙は、税務署の窓口もしくは国税庁のホームページからダウンロードで入手します。

贈与税の申告は、納める贈与税がある場合にのみ行います。例えば、1年間に100万円の贈与があった場合は、暦年贈与の基礎控除110万円を使うと、納める贈与税はありません。このケースでは、贈与税の申告は不要です。まずは、贈与税の申告が必要かどうかを確認しましょう。

贈与税の申告方法については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。


贈与税を申告しないとばれる?

贈与税の申告をしなくてもばれないのではないかと、考える人もいるかもしれません。しかし、贈与税の申告をしない場合は、いずれ税務署にばれます。

例えば、不動産やその購入資金の贈与は登記情報で、現預金の贈与は相続の際に、保険金の場合は支払調書など、さまざまな情報から贈与があったことがわかります。

贈与がばれずに済むということはないので、贈与税の申告が必要な場合は必ず申告をしましょう。

贈与税の特例を利用して賢く節税しましょう

贈与税は、贈与を受けた人(受贈者)が「贈与をした人から財産をもらった時、その財産にかかる税金」です。引き継いだ財産には、贈与税の対象となるものとならないものがあります。

また、計算方法も暦年課税と相続時精算課税がある、いくつかの非課税特例があるなど、贈与税の仕組みは複雑です。贈与があったら、贈与税の特例が使えるのかどうかを確認し、賢く節税しましょう。

よくある質問

贈与税とは?

贈与税とは、贈与を受けた人(受贈者)がその財産に対して支払う税金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

贈与税の税率は?

基礎控除後の財産の価格(課税価格)などにより、10~55%の税率になります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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