- 更新日 : 2025年2月6日
個人事業主から会社員になるには?手続きや確定申告・保険まとめ
個人事業主は事業を辞めて、会社員になることが可能です。この記事を読めば、「会社員になる前の廃業手続きがわからない」「個人事業主が会社員になるメリットは?」という悩みを解決できます。
本記事で、会社員になる前の廃業手続きや、会社員の保険や年金等について確認していきましょう。
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目次
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個人事業主から会社員になれる?
個人事業主が転職でアピールできるポイントは、以下の3つです。
- 経営者としての経験
- 対応できる業務の幅
- 判断力と実行力
経営者としての経験
個人事業主は事業継続のための視点とスキルを獲得しています。市場にはどのようなニーズがあるかを見極めて、それぞれの局面へ柔軟に対応する能力は、会社員でも重宝されるでしょう。
また、個人事業主は事業の全責任を負う立場であり、リスクに備える準備や考え方の理解度が高いです。入社した後に会社へ貢献できる人材として、採用担当者へアピールできます。
対応できる業務の幅
個人事業主は対応できる業務の幅が広いです。個人事業主は、案件受注に向けた営業から取引先との契約や納品まで、一連の流れを詳細に把握している人が多いです。人によっては、帳簿付けや問い合わせの対応などの事務業務を自身でやっていることもあります。
今回紹介した業務は、一般企業に勤めている人は経験していないものも多いため、企業からの期待値も高くなるでしょう。
判断力と実行力
個人事業主は、判断力と実行力があります。上司からの指示を待って行動しないのではなく、自身で判断して会社のために実行する力は魅力的です。会社に与えられた業務を受け身でこなすだけではなく、業務の意義を自分なりに考えて会社と顧客のために動ける人材は、会社から重宝されます。
個人事業主の経験を履歴書でアピールできれば、採用担当者の目に留まりやすくなるでしょう。
個人事業主から会社員になるメリット
個人事業主から会社員になるメリットは、以下の3つです。
- 安定した収入
- 保険や手当が厚い
- チームで働く楽しさ
安定した収入
会社員は個人事業主と違って、毎月安定した収入が得られます。個人事業主は自身で獲得した案件を基に収益が発生するため、完全成果主義です。それに比べて会社員は、収益ではなく事前に取り決めした時間や職能によって収入が決まるため、自然と収入が安定します。
また、仕事にミスがあっても直接お客様が無くなることは少なく、個人事業主に比べて安定した収入が得られます。
保険や手当が厚い
会社員は、社会保険の加入や各種手当などの福利厚生が豊富です。社会保険は健康保険と厚生年金に分かれていて、会社員として就業期間中の保障や勇退後の年金上乗せなどの福利厚生があります。社会保険料は給与天引きされますが、自己負担の他に会社が50%負担してくれるため、将来的に受け取れる年金は大きく増える仕組みです。
また、家賃補助や通勤手当なども受けられ、デスクやPCなどの備品も会社が用意してくれます。
チームで働く楽しさ
会社員は他の社員と力を合わせて働けるため、楽しさやモチベーションを保ちやすいです。仕事で困ったときは相談したり、社内会議などで他の人の考え方を知れたりするため、視野が広くなります。
また、自分よりレベルが高い人や尊敬できる人がいると、自分の成長に良い影響を与えてくれます。
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個人事業主から会社員になるデメリット
個人事業主から会社員になるデメリットは、以下の3つです。
- 働く自由度が低い
- 異動や転勤がある
- 人間関係がストレスになるおそれ
働く自由度が低い
会社員は、就業規則によって働く時間や場所は決められているため自由度が低いです。就業時間が9時からの職場であれば、職場までの満員電車や車の渋滞に悩まされることがあります。電車は駅や電車内の人混みで我慢したり、車は渋滞で長時間待ったりしなければなりません。
一般的な会社の働く場所はオフィスに限定されているため、在宅やカフェで仕事をしたい人にとっては、ストレスを感じやすいでしょう。
異動や転勤がある
会社員は、会社の都合で異動や転勤をする場合があります。採用の段階で配属先の希望を聞いてもらえますが、実際に希望の配属先になることは多くありません。
また、入社した後に最初の期間は好きな仕事ができていたとしても、突然の異動や別な仕事を強制されることもあります。自分がやりたい仕事や働きたい場所を事前に選びにくいのは、会社員の大きなデメリットです。
人間関係がストレスになる恐れ
会社の組織の中では、人間関係がストレスになる恐れがあります。会社には上司や部下などのさまざまな立場の人がいるため、多くの人と良好な関係を築く努力が必要です。部下や後輩には育成と管理の役割があり、上司には気を使う必要性もあるため、関係構築に疲弊してしまうケースも多いでしょう。
また、業務以外でもランチや飲み会などの誘いも多いことから、人間関係の都合で断り辛い場合は、ストレスになってしまいます。
個人事業主から会社員になる理由はさまざま
令和元年度に実施された個人事業主・フリーランスの実態に関する調査では、フリーランスへの不満は大多数が収入に対してです。
個人事業主は収入が安定せず、開業してすぐは若い会社員よりも収入が少ないことも多いでしょう。そのため、メディアに多く出ている裕福な社長の姿を見て開業した人は、現実の収入との乖離に不満を感じているのかもしれません。
フリーランスの働きを継続したくない人も全体の2割前後いるため、個人事業主を継続するのはハードルが高いとわかります。
ある程度母数が多い調査結果を見ることで、個人事業主として悩んでいる内容が、他の個人事業主も同じ悩みを抱えていることが見えてくるでしょう。
個人事業主から会社員になる前の廃業手続き
個人事業主から会社員になる前の廃業手続きは、大きく分けて以下の2つです。
- 税務署への廃業の届け出
- 都道府県税事務所への廃業の届け出
税務署への廃業の届け出
税務署への廃業届出は、個人事業の開業・廃業届出書と所得税の青色申告取りやめ届出書の提出が必要です。提出期限は、開業・廃業届出書が廃業した日から1ヶ月以内で、青色申告取りやめ届出書が翌年の3月15日までとなります。
また、消費税を支払っている課税事業者や従業員を雇っている個人事業主は、事業廃止届出書や給与支払事務所等の廃止届出書を追加提出が必要です。
都道府県税事務所への廃業の届け出
個人事業主は、税務署へ提出する書類の他に、管轄の都道府県税事務所へ廃業の届け出があります。提出する書類の様式は各都道府県によって異なるため、事前の確認が必要です。
提出期限や様式については、都道府県税事務所の公式ホームページから確認できます。例えば、東京都の場合は廃業の日から10日以内に、事業開始(廃止)等申告書の提出が必要です。
廃業手続きに必要な費用はどのくらいか
個人事業主は法人と違って、登記費用などの廃業時の費用は無いです。しかし、事業で使用していた機械や備品などがあれば、処分費用が発生するケースもあります。設備は中古品として売却できるものや、売れないほど使い込まれている設備や独自のカスタマイズをした設備もあるでしょう。
売却できない設備は、業者に依頼して撤去費用の発生する場合が多いです。
また、設備以外にも商品の在庫についても処分費用は発生します。在庫については廃業の予定が決まった段階で、割引価格などで個数を減らしておく工夫が必要です。
個人事業主から会社員になると保険・年金はどう変わる?
個人事業主から会社員になった時に変わるものは、以下の4つです。
- 健康保険
- 年金
- 労災保険の加入
- 小規模企業共済
健康保険
会社で働いている人は、基本的に全国健康保険協会に加入して毎月の保険料を納付します。
入社する企業の制度によっては、独自に設立された組合管掌健康保険に加入する場合もあります。
いずれにしても、健康保険は会社が半分の保険料を負担してくれるため、個人事業主に比べると健康保険の恩恵が大きいです。
年金
会社員は、勤務先が加入する厚生年金保険料を納付します。個人事業主が加入する国民年金に比べて、会社と折半して納付することから将来受け取れる年金も大きいです。更に、会社員や公務員の配偶者が年収などの条件で扶養になると、国民年金の第3号被保険者に該当して保険料の納付は免除されます。
国民年金は毎月1万6,980円(令和6年度)の保険料が全額自己負担となるため、配偶者が扶養になっていても人数分の保険料を支払う必要があります。
労災保険への加入
会社員は、勤務先が加入する労災保険に加入します。労災保険については、社会保険と違って全額事業主が負担するため、自己負担はありません。
労災保険に加入していると、通勤中や勤務中の事故があった時に補償がもらえるため、安心して業務に取り組めるでしょう。
小規模企業共済
個人事業主から会社員になる場合は、事業を廃業して小規模共済の共済金を受け取れます。
小規模企業共済は受け取り方によって共済金の利率は増えますが、廃業時は一番利率が高い共済金Aで計算されます。
共済金は加入期間が長いほど積立合計額や利息が多くなるため、加入期間が長い場合は退職金の代わりとして受け取っておきましょう。
個人事業主から会社員になった後の確定申告は必要?
個人事業主から会社員になった場合は、確定申告が必要です。個人事業主が会社に就職した場合は、事業所得と給与所得が発生します。年末調整だけでは精算できないことから、確定申告で所得税を確定します。
確定申告の手続きでは、事業所得に必要な書類に合わせて、会社から発行される源泉徴収票が必要になります。源泉徴収票は12月もしくは1月に配布されるため、先に事業所得の計算を進めていきながら、源泉徴収票が届いたら給与所得を確定申告書に記載していきましょう。
また、確定申告は年内に事業所得と給与所得の両方があった場合に必要となります。そのため、個人事業主を廃業してから、期間を空けて別の年度に就職した場合は確定申告が不要です。
個人事業主から会社員になった年の住民税はどうなる?
個人事業主の住民税と会社員の住民税は、徴収方法が異なるため変更手続きは必要です。個人事業主は普通徴収で納付する流れなので、郵送で届いた納付書により納付します。会社員の場合は特別徴収で給与から毎月天引きされるので納付するスケジュールが異なります。
会社員の特別徴収は普通徴収と異なり、毎月の給与から天引きされて毎月の手取り収入は少なくなるでしょう。
しかし、普通徴収のようにまとめて納付するわけではないので、納付する税金を予測しやすいメリットもあります。収入が安定している正社員は、特別徴収の納付方法が適していると言えるでしょう。
個人事業主から会社員になる手続き3選
個人事業主から会社員になる前の廃業手続きは、大きく分けて以下の3つです。
- 税務署への廃業の届け出
- 都道府県税事務所への廃業の届け出
- 事業廃止届出書や給与支払事務所等の廃止届出書
個人事業主から会社員になる時は、通常の転職に比べて手続きや費用などが必要です。会社員を検討している人は、事前に手続き内容の確認や設備等の整理を進めましょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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