• 更新日 : 2022年10月14日

飲食店の確定申告のやり方は?計算方法や経費項目、青色申告についても解説!

飲食店の確定申告のやり方は?計算方法や経費項目、青色申告についても解説!

飲食店の経営者や経理担当者は、確定申告の流れや必要書類について知りたいのではないでしょうか。本記事では、確定申告の方法や経費にできる項目、青色申告白色申告のメリットについて解説していきます。確定申告は難しいイメージがあると思いますが、税務に関する正しい知識があって確定申告ソフトを使用すれば、税理士に依頼することなく自分で書類が作成できます。

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飲食店を開業したら確定申告が必要

飲食店を開業した場合は、自身で所得を計算して確定申告を行う必要があります。確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)で生じた所得の金額と、計算によって算出された所得税を確定させることをいいます。

青色申告と白色申告の違いは?

青色申告とは、複式簿記による正規の簿記を行い、その記帳に基づいて所得税を正しく計算・申告することで、税金の面で多くの特典が受けられる制度です。青色申告を始めるためには、開業から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署長へ提出することが必要です。なお青色申告を選択しない場合は、自動的に白色申告となります。

青色申告と白色申告の大きな違いは、日々の取引を記録するための記帳方法にあります。白色申告の場合は、収入または経費を支出した日付と金額のみを記帳する「単式簿記」が認められています。シンプルな記帳方法であるため、誰でも帳簿が作成できることが特徴です。

一方の青色申告では原則として、複式簿記による正規の簿記が求められるほか、貸借対照表および損益計算書を作成する必要があります。ただし「借方」や「貸方」といった簿記の知識に自信がない人は、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5種類の帳簿を備え付けて、簡易な記帳をするだけでもよいとされています。

青色申告と白色申告の詳細な違いについては、こちらの記事を参照してください。

飲食店の確定申告で青色申告を選ぶメリットは?

青色申告のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 青色申告特別控除:最大で65万円の特別控除が受けられる
  • 純損失の繰越控除:赤字が翌年以後3年間繰り越せる
  • 専従者給与の経費算入:家族に支払った給与が経費で落とせる
  • 貸倒引当金の必要経費算入:一定額までの貸倒れによる損失を経費に算入できる

青色申告を選ぶと、税金面で多くの特典が受けられます。特に所得から最大65万円が控除される「青色申告特別控除」や、赤字が翌年以後3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」は青色申告を選ぶ十分な理由になるでしょう。

青色申告の詳しいメリットについては、こちらの記事を参照してください。

飲食店の確定申告の方法・流れは?

本記事では青色申告をするとして、確定申告の方法や流れを解説していきます。

確定申告を行うためには、以下のようなことが必要です。

  1. 必要書類の準備
  2. 帳簿の整理
  3. 所得税の計算
  4. 確定申告の提出
  5. 所得税を納付する

必要書類の準備

青色申告をする場合は原則として、以下の書類が必要です。

  • 青色申告決算書
    • 損益計算書
    • 損益計算書細目(売上・給与など)
    • 損益計算書細目(減価償却・地代家賃)
    • 貸借対照表
  • 確定申告書(原則として第一表、第二表)
  • 添付資料

本記事では、確定申告書の作成方法についてのみ解説します。

青色申告決算書の詳しい書き方については、こちらの記事を参照してください。

帳簿の整理

確定申告を行うためには、日々の取引を記帳した帳簿や請求書、領収書といった書類が必要です。飲食業により生じた収入・経費を合計し、確定申告書と青色申告決算書へ記入を行います。必要経費を記入する場合は、それぞれの項目ごとに合計する必要があるため、帳簿書類はこまめに整理しておきましょう。

青色申告では原則として、以下のような帳簿書類が必要です。

帳簿仕訳帳総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など
書類決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
現金預金取引等
関係書類
領収証、小切手控、預金通帳、借用証など
その他の書類取引に関して作成または、受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)

ただし、簡易な記帳を行う場合は、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5種類の帳簿を備え付けるだけでよいとされています。また、簡易帳簿により記帳した場合の青色申告特別控除は10万円になります。

所得税の計算

所得税は、1年間で生じた所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し、税額の計算を行います。

所得税の計算方法は、以下の通りです。

    1. 事業所得を求める:総収入金額 − 必要経費=事業所得の金額
    2. 基礎控除配偶者控除などの所得控除を計算し、事業所得から差し引く=課税所得金額
    3. 以下の表を用いて税金の計算をする

課税される所得金額税率控除額
1000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

※国税庁HP「所得税の税率」より引用

  1. 住宅ローン控除等の税額控除があれば差し引く
  2. 最後に復興特別所得税として2.1%を乗じる(2037年分まで)

所得税の計算方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

確定申告書類の作成

確定申告書類の作成方法は、以下の手順で行います。

  1. 住所、氏名などを記入する
  2. 収入金額等、所得金額等を記入する
  3. 所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する
  4. 税金を計算する
  5. その他に該当するものがあれば記入する
  6. 住民税・事業税に関する事項があれば記入する

確定申告書の詳しい書き方については、こちらの記事を参照してください。


確定申告書類第一表
確定申告書類第二表

確定申告書類を税務署に提出

確定申告書類を作成したあとは、翌年2月16日~3月15日までの間に必要書類をそろえて提出します。また、スマートフォンやパソコンから「e-Tax」による電子申告を行うことも可能です。

所得税を納税する

所得税の納付を行うためには、次のような方法があります。

  1. 振替納税を利用する
  2. e-Taxでインターネットを利用して納付する
  3. 「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカードで納付する
  4. QRコードによりコンビニエンスストアで納付する(納税額が30万円以下の場合のみ)
  5. 金融機関または税務署の窓口で現金で納付する

また所得税の計算を行った結果、還付金が受け取れる場合は、自身で記入または入力した金融機関の預貯金口座に直接振り込まれます。

飲食店の確定申告で経費にできる項目は?

国税庁では必要経費の定義を「その収入を得るために直接必要であった金額」としています。ここからは、必要経費として認められる項目をご紹介していきます。

【仕入】材料の買い付け費用
提供する飲食物を作るために仕入れた食材の費用は、「仕入(製品製造原価)」に計上します。

【荷造運賃】商品の発送にかかった費用
販売商品の包装材料費や、商品の発送にかかった運賃は「荷造運賃」として経費に計上できます。デリバリーサービスやECサイト等で商品を発送する際にかかった費用も、荷造運賃に計上するといいでしょう。なお、販売にかかった手数料は「支払手数料」の勘定科目を利用します。

【地代家賃・水道光熱費】店舗の家賃や水道料金、ガス代など
事業を営むために利用している店舗の家賃は「地代家賃」として、水道料金や光熱費などは「水道光熱費」として経費に計上できます。自宅の一部を店舗として利用している場合は、自宅と店舗のスペースを区別して経費に計上する必要があります。

広告宣伝費】チラシの制作費やポータルサイトへの掲載料など
お店の宣伝を行う目的で要した費用は、広告宣伝費として経費に計上できます。チラシやショップカードの制作費、ポータルサイトへの掲載料などが広告宣伝費に当たります。

減価償却費】厨房機器やパソコン、配達に使用する軽トラックの代金など
事業に使用している機械や自動車は、税法により定められた耐用年数を用いて計算を行います。減価償却費の計算方法については「定額法」または「定率法」のうちあらかじめ税務署へ届け出ている償却方法により計算を行うことが必要です。なお、計算方法を届け出ていない場合は原則として、定額法により計算を行うことになります。

減価償却資産の耐用年数については、パソコンは4年、運送事業用等の2トン以下の軽トラックは3年と定められています。その他の減価償却資産の耐用年数については、国税庁の「耐用年数表」でご確認ください。

福利厚生費】懇親会の費用や、従業員のまかないなど
従業員の慰安を目的としてまかないを支給したり懇親会を行ったりする場合は、妥当な金額までの費用については、福利厚生費として経費に計上できます。

福利厚生費として計上できる項目や、妥当な金額の範囲については、別の記事で詳しく解説しています。

飲食店の確定申告は税理士に依頼すべき?

青色申告を選択して最大65万円の控除を受けるためには、複式簿記による正規の帳簿が求められます。「借方」や「貸方」を用いた仕訳に自信がない人は、確定申告を税理士に依頼してもいいかもしれません。しかし税理士へ依頼すると毎月の顧問料の他に、決算や確定申告の費用として10万円程度が必要になる場合があります。

事業を始めて数年は支出をおさえておきたいため、事業が軌道に乗るまでは自身で確定申告を行い、売上が安定してきたタイミングで税理士に依頼してはいかがでしょうか。

確定申告ソフトを使えば飲食店の確定申告も簡単!

税理士へ依頼する代わりに、確定申告ソフトを導入する方法もあります。確定申告ソフトであれば、導入コストが安くおさえられるほか、複式簿記による正規の帳簿が自身でも簡単に行えます。また、将来的に税理士へ依頼したいと考えている場合も、マネーフォワードクラウドであれば、顧問税理士との共有がスムーズに行えます。まずは1カ月無料で使ってみて、自身に合っているかを試してみてはいかがでしょうか。

マネーフォワードクラウドのメリットには、以下のようなものがあります。

  • Windowsはもちろん、Macでも利用できる
  • 取引の明細が自動で取得できる
  • スキマ時間にアプリで仕分け作業ができる
  • 仕訳の勘定科目が自動で提案される

飲食店の確定申告は特別控除のある青色申告がおすすめ

確定申告を行う際は、青色申告と白色申告のうちどちらかの方法で申告を行うことになりますが、特別な理由がない限りは青色申告を選択しましょう。青色申告の箇所でもお伝えした通り、青色申告を選択することで、税金面のうれしい特典がいくつも受けられるからです。特に「青色申告特別控除」は最大65万円の控除が受けられるため、開業した年は特にメリットを感じることでしょう。

開業した年は事業の準備や宣伝に忙しく、確定申告のことを考える余裕がないかもしれません。しかし日々の記帳や帳簿の整理を怠っていると、確定申告に間に合わない場合もあります。自身で記帳を行うことに不安があるのであれば確定申告ソフトを導入して、チャットや電話によるサポートを頼りにしてはいかがでしょうか。

よくある質問

飲食店の確定申告の方法・流れは?

確定申告は、手書きで作成する方法とe-Taxを利用して作成する方法があります。 確定申告は以下の流れで行います。 1.必要書類の準備 2.帳簿の整理 3.所得税の計算 4.確定申告の提出 5.所得税を納付する 詳しくはこちらをご覧ください。

飲食店の確定申告で経費にできる項目は?

材料費や店舗の家賃や水道光熱費、宣伝のために要したチラシの作成費用などは経費に計上できます。なお国税庁では、経費の定義を「その収入を得るために直接必要であった金額」としています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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