• 更新日 : 2026年2月6日

母子家庭も確定申告が必要?不要な場合と控除についても解説

所得税においては、納税者自身やその家族に関する所得控除(人的控除)がいくつか設けられています。人的控除とは、課税される年の12月31日においてその納税者や親族が一定の要件を満たせば所得額から一定額を差し引くものです。

この記事では、母子家庭やシングルマザーなどの世帯における確定申告の特徴について見ていきましょう。

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母子家庭で確定申告が必要な場合

母子家庭などの単身家庭において、確定申告が必要な場合はいくつか考えられます。
その中でも代表的な例として、次の4つのケースを見ていきましょう。

確定申告母子家庭で必要なケース

なお、確定申告の詳細については、次の記事をご参照ください。

個人事業主の場合

フリーランスや個人事業主である場合、事業所得などについて確定申告が必要です。

フリーランスとは、厚生労働省の定義によると「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とあります。

引用:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン|厚生労働省

法人の代表として役員報酬を得る場合には給与所得となり、「勤め先で年末調整をする場合」に該当しますので年末調整の対象となります。

また、年の途中で退職し、個人事業主になった場合なども年末調整を受けることができませんので、確定申告しなければなりません。

ダブルワークをしている場合

単身家庭の場合、ダブルワークとなることもありますが、その時も原則として確定申告が必要です。

2つの会社から給与を受けていても、年末調整をすることができるのは1つの会社だけです。

よって、給与を2か所以上から受ける場合には、年末調整をしていない給与収入と、他の所得との合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。

ダブルワークの場合、メインではない勤務先には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しません。

結果、源泉徴収税額表の「乙欄」を使って比較的高率な源泉徴収がなされています。

この場合は確定申告をすることによって、所得税が還付される可能性が高いと言えます。

副業の所得が20万円以上の場合

年末調整を受けた給与所得以外の所得などが20万円超となる方は、確定申告が必要です。

最近は副業も盛んであり、国税庁のHPには次のような副業の例が挙げられています。

  • 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
  • 自家用車などの貸付けによる所得
  • ホームページの作成やベビーシッターなどの役務の提供による所得
  • 暗号通貨の売却等による所得
  • 競馬などの公営競技の払戻金による所得

引用:副収入などがある方の確定申告|国税庁

副業は雑所得または事業所得として取り扱います。

雑所得の場合、次の式に当てはめ、雑所得が20万円超となる場合には確定申告が必要となります。

雑所得 = 総収入金額 ー 必要経費

参考:No.1500 雑所得|国税庁

事業所得となる場合は要件を満たすと最大で65万円(令和9年分以降は最大75万円)の特別控除が受けられ、控除後の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

50万円を超える一時所得があった場合

一時所得があった場合にも確定申告の対象となります。

一時所得とは、営利目的とした継続的な行為から生じる所得以外の所得で、労働やサービス並びに資産の譲渡による対価でない一時的な所得のことをいいます。

一時所得には、次のようなものがあります。(個人事業主で業務において受けるものを除きます。)

  • 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)、競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
  • 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
  • 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

引用:No.1490 一時所得|国税庁

一時所得があった場合にも確定申告の対象となります。その計算式は次のとおりです。

雑所得とは異なり、特別控除額を50万円まで控除することができ、さらに課税されるのは計算式で求めた金額の1/2となります。

一時所得 = 総収入金額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額(最高50万円)

なお、特別控除額50万円があるため、すべての一時所得の合計額が50万円以下であれば確定申告は不要です。

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母子家庭で確定申告が不要な場合

特に、母子家庭などでは事前の取り決めにより、「養育費」を得て子どもを扶養する場合があります。

所得税法では、扶養義務者相互間(離れて住む親と子ども)において扶養義務に基づき給付される金品については、所得税は非課税とされています。

したがって、子どものために生活費や教育費として受け取ったものには所得税はかかりませんので、受け取った養育費についての確定申告は不要です。

その他、年末調整で完結する場合など、確定申告をしなくてもよい場合を見ていきましょう。

勤め先で年末調整をする場合

勤め先で年末調整を受けた場合で、医療費控除などがない場合には確定申告は不要となります。

勤め先で、所得税の過不足を精算する手続きが「年末調整」ですので、基本的には年末調整をした場合、確定申告は不要となります。

ダブルワークでも収入が少ない場合

ダブルワーク以外に収入がない場合には、給与収入の合計額から、所得控除額の合計(雑損控除、医療費控除、寄附金控除基礎控除を除いたもの)を差し引いた残りが150万円以下の場合には確定申告は不要です。

ここで、収入金額とは「社会保険料や他の税金が差し引かれる前の金額」であり、手取り額でないことに注意しましょう。

例えば、X社では収入金額100万円、Y社では収入金額90万円を得ており、社会保険料控除が40万円、生命保険料控除が5万円ある場合には、次のとおりになります。

(100万円+90万円)ー(40万円+5万円) = 145万円<150万円

この例では、確定申告は不要となります。

しかしながら、ダブルワークにおいてはこの基準を上回ることが多いため、確定申告の対象となることが多いと言えます。

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母子家庭で確定申告をした場合に受けられる控除

母子家庭において、確定申告をした場合に受けられる人的控除について見ていきましょう。

所得控除とは、納税者が一定の要件にあてはまる場合、総所得金額から差し引くことができる一定額のことです。

所得控除には物的控除と人的控除があります。

物的控除は社会保険料控除などの支払に対して適用されるものである一方、人的控除は基本的に年齢や、世帯の状況などに対して適用されます。

なお、この項で説明する所得控除については、もちろん年末調整においても受けられます。

基礎控除と扶養控除

基礎控除では、納税者本人の所得金額によって、それぞれ次の金額が総所得金額から差し引かれます。

納税者本人の合計所得金額 控除額
令和6年分以前 令和7年分
令和8年分
令和9年分以後
48万円 95万円 95万円
132万円超 336万円以下 88万円 58万円
336万円超 489万円以下 68万円
489万円超 655万円以下 63万円
655万円超2,350万円以下 58万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円 32万円 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円 0円

参考:No.1199 基礎控除|国税庁

扶養控除とは、世帯に控除対象扶養親族となる人がいる場合に受けられる人的控除です。
扶養控除については、次のとおりです。

区分 扶養控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳以上の人) 38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満の人) 63万円
老人扶養親族

(70歳以上の人)

同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

基礎控除、扶養控除についての詳細は、以下をご参照ください。


特定親族特別控除

納税者に、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、控除対象扶養親族に該当しない者のうち、要件を満たした人が受けられる控除です。

控除額については以下のとおりです。

特定親族の合計所得金額 控除額
58万円超 85万円以下 63万円
85万円超 90万円以下 61万円
90万円超 95万円以下 51万円
95万円超 100万円以下 41万円
100万円超 105万円以下 31万円
105万円超 110万円以下 21万円
110万円超 115万円以下 11万円
115万円超 120万円以下 6万円
120万円超 123万円以下 3万円

参考:No.1177 特定親族特別控除|国税庁

ひとり親控除

ひとり親控除とは、令和2年分の所得税から適用が始まった所得控除です。

原則、12月31日時点で婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない人のうち、次の3要件のすべてにあてはまる人については、「ひとり親控除」として35万円の控除が適用できます。

ひとり親控除となる条件(3要件すべて)
  1. 事実上の婚姻と同様の状態にあると認められる一定の人がいない
    (住民票上に未届の夫や未届の妻などの記載がないこと)
  2. 生計を一にする子がいる
    (この場合の子は所得が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族でないこと)
  3. 合計所得が500万円以下である

参考:No.1171 ひとり親控除|国税庁

なお、ひとり親控除についての詳細は、以下をご参照ください。

寡婦控除

寡婦控除は、令和2年分の所得税から適用が変更となった所得控除です。

寡婦とは、12月31日において「ひとり親」に当たらず、次のどれかにあてはまる人です。ひとり親控除同様、住民票上に未届の夫や未届の妻などの記載がないことが前提です。

寡婦控除となる条件
  • 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の方
  • 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

引用:No.1170 寡婦控除|国税庁

寡婦控除の場合は、扶養親族に所得や同一生計などの要件はありません。

なお、寡婦控除についての詳細は以下をご参照ください。

母子家庭での確定申告について正しく理解しましょう

ひとり親控除は、要件を満たす母子家庭や父子家庭にとっては助かる制度です。
個人住民税にもひとり親控除が設けられていますので、住民税への効果もあります。

また、小さなお子さんのいる母子家庭においては、確定申告のために税務署窓口へ行くのも大変かと思います。早めに準備し、なるべくなら電子申告で済ませたいところです。

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母子家庭という理由で確定申告が必要となることはありますか?

母子家庭などの単身家庭ということが理由で確定申告が必要というものはありません。詳しくはこちらをご覧ください。

母子家庭という理由で適用が可能となる所得控除はありますか?

ひとり親控除は、要件を満たした母子家庭や父子家庭において適用できます。また、寡婦控除は一定の要件を満たす母子家庭において適用可能です。 詳しくはこちらをご覧ください。


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