• 更新日 : 2023年12月7日

投資信託の取引で確定申告が必要?普通分配金・特別分配金・売却益を解説!

投資信託の売却益や分配金には税金がかかりますが、源泉徴収されて確定申告が不要の場合もあれば、確定申告が必要になる場合もあります。また、特別分配金のように元本を下回った部分については所得税が非課税となるものもあります。

これから、投資信託の売却益や分配金について、どのような場合に確定申告が必要なのか、損益通算による所得税の還付の受け方などについて解説します。

なお、ここでいう投資信託は、日本国内の非上場のものをさします。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)、外国籍の投資信託は除きます。

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投資信託の分配金は原則として確定申告が不要

投資信託にかかる分配金は「普通分配金」と「特別分配金」に分類されます。
はじめに、確定申告における両者の違いについて解説します。

普通分配金は確定申告が不要

「普通分配金」とは、投資信託の運用益にかかる分配金です。所得の区分としては配当所得になりますが、特定口座で源泉徴収をしている場合、分配金を受け取った時点で所得税の納税が完結しています。したがって、原則として確定申告は不要となります。

特別分配金も確定申告が不要

銀行の普通預金や定期預金と異なり、投資信託はその運用結果によっては当初預け入れた金額(基準価額)より目減りすることがあります。これを「元本割れ」といいます。

「元本割れ」している状態で受け取った分配金は、基準価額に達するまで「元本割れした部分に対する補填」として捉えられます。元本割れしている状態で受け取る分配金を「特別分配金」と呼びます。

「特別分配金」は、資産の補填ですから収益ではありません。したがって、確定申告は不要となります。

投資信託の分配金で確定申告が必要なケース

投資信託の分配金は、税制上は配当所得に分類され、株式の配当と同じ扱いになります。
配当所得については源泉徴収以外に、総合課税や申告分離課税を選択することができますが、その場合は確定申告が必要になります。

申告分離課税を選択し、損益通算する場合

申告分離課税を選択すると、上場株式等の売却損と配当所得を損益通算することができます。このとき、配当控除は適用できませんが、配当所得から借入金の利子を差し引くことはできます。

総合課税を選択肢、配当控除で還付を受ける場合

総合課税を選択すると、配当所得の一定割合が税額から控除される配当控除が適用できます。また、投資信託を取得するために資金を借りたのであれば、その利子を配当所得から差し引くことができます。

総合課税では税率が超過累進課税となるため、所得が低ければ総合課税を選択するほうが有利になる場合があります。ただし、公社債投資信託の分配金については総合課税を選択することはできません。

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投資信託の売却益は源泉徴収口座なら確定申告が不要

投資信託の売却益は、株式の売却益と同様に譲渡所得となり、申告分離課税(所得税15.315%、住民税5%)によって課税されます。

確定申告をすることが原則ですが、取引している証券口座が「特定口座の源泉徴収口座」であれば確定申告は不要です。税金は売却益を受け取った時点で源泉徴収されます。

証券口座には、源泉徴収口座のほか、源泉徴収しない特定口座(簡易申告口座)と一般口座があります。実際には、源泉徴収口座で取引を行っている人が多いことから、多くの場合確定申告は不要となります。

ただし、源泉徴収口座での取引でも、源泉徴収口座が複数あって口座間の損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合などは、確定申告をする必要があります。

また、特別分配金と同じく、NISAやジュニアNISAの非課税口座にある株式投資信託の売却益も非課税です。税金は源泉徴収されず、確定申告の必要もありません。

特定口座制度

引用:No.1476 特定口座制度|国税庁HP

投資信託の売却益で確定申告が必要なケース

投資信託の売却益は、税制上は譲渡所得に分類され、株式の売却益と同じ扱いになります。申告分離課税(所得税15.315%、住民税5%)で課税され、簡易申告口座・一般口座での取引では確定申告が必要になります。

また、源泉徴収口座での取引であっても、口座が複数あって損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合などは、確定申告をする必要があります。

投資信託の売却益は、上場株式等の売却損と損益通算することができます。同様に、投資信託の売却損は、上場株式等の売却益や申告分離課税を選択した配当所得と損益通算することができます。

また、売却損は翌年以降3年に限り繰り越すこともできます。

投資信託の分配金・売却益を確定申告する方法は?

特定口座(源泉徴収口座・簡易申告口座)での取引については、毎年1月頃に「特定口座年間取引報告書」が送られてきます。「特定口座年間取引報告書」には、口座内で行われた一年間の売買取引や分配金が全て集計されています。それをもとに確定申告をすることができますので非常に便利な書類です。

これに対して、一般口座での取引については自分で売却損益を計算しなければなりませんので、非常に手間がかかります。なお、分配金については運用益が分配される都度、支払通知書が発行されるので、それを利用します。

投資信託で確定申告が必要なケースも確認しましょう!

以上のことを踏まえて、投資信託で確定申告するケースをまとめてみます。

  1. 特定口座が複数あり、口座間の損益や分配金を損益通算したいケース
  2. 投資信託の売却により生じた損失を繰り越ししたいケース
  3. 簡易申告口座(特定口座の源泉徴収なし)、一般口座を利用しているケース
  4. 配当控除を使って所得税の還付を受けたいケース

なお、配当所得からは20.315%の所得税が源泉徴収されています。もともと課税総所得金額が多く、適用される所得税率が高い方が確定申告した結果、かえって納税額が増えるといったケースがあります。4のようなケースでは特に注意が必要です。

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よくある質問

「普通分配金」とは?

投資信託の基準価額を上回っている状態で受け取る分配金を「普通分配金」と呼びます。詳しくはこちらをご覧ください。

「特別分配金」とは?

基準価額を下回っている状態で受け取る分配金のうち、下回った部分を「特別分配金」と呼びます。こちらをご覧ください。

投資信託にかかる売却益や分配金は確定申告が必要?

「特定口座で源泉徴収あり」を選択していれば、売却益や分配金があっても原則として確定申告は不要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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