- 更新日 : 2021年6月18日
住民税申告(市民税申告)とは?方法や確定申告との違いを解説

住民税は所得税と似ていることもあり、手続きが必要かどうか困ってしまう場面があると思います。
結論から言うと、所得税の確定申告を行うと住民税申告(市民税申告)が不要です。
この記事では、住民税申告(市民税申告)を基本に、どのような場合に申告が必要かまたは不要か、さらに申告時に必要な書類について説明していきます。
確定申告が必要かどうかを確認して、申告期限内に終わらせましょう。
目次
住民税(市民税)とは
住民税とは、一般的に都道府県に支払う税金と市区町村に支払う税金を合わせた総称です。
それぞれを区別する言い方では、都道府県に支払う税金を住民税と言い、市区町村に支払う税金を市民税と言います。この記事では、両者を合わせて「住民税」と説明しています。
また、住民税は以下の3つのことがポイントです。
- 地方税の窓口は役所
- いつの住民税か
- 支払い方法
地方税の窓口は役所
まず、1つ目のポイント「地方税の窓口は役所」についてです。そもそも住民税とは、地方税のことです。
地方税とは、支払先が地方自治体という意味で、手続きの窓口は基本的に区役所や市役所です。補足として、支払先が国になる税金を国税と言いますが、国税は税務署が窓口になります。国税の代表例は所得税です。
住民税で困ったときは、区役所や市役所に連絡しましょう。所得税については、税務署に相談しましょう。
いつの住民税か
次に、「いつの住民税か」についてです。住民税は、前の年の所得に対して支払う税金です。
例として、2020年1月1日から12月31日までに所得があり、この所得に対してかかる住民税は、2021年の6月から2022年の5月に渡って支払います。
このように、住民税は生じてから支払うまでの期間がズレます。
支払い方法
最後の「支払い方法」についてですが、普通徴収と特別徴収の2つがあります。
普通徴収は5月から6月に自宅に納付書が届き、自分で納付する方法です。
副業などの所得で会社に知られたくない場合は、普通徴収を選択しましょう。
実際の支払いは、納付書による一括払いや4回の分割払いが可能です。
特別徴収は、会社に勤めている場合に可能で、給与から天引きで支払う方法です。
給与から天引きのため、退職や転職をしない限り一括払いなどはできず、毎月1ヶ月分が天引きされます。
住民税申告(市民税申告)と確定申告の違い
住民税申告と確定申告は、そもそも税金の種類が違います。
住民税申告は、住民税と市民税の両方のことです。これに対して、確定申告は所得税のことです。
さらに、冒頭でも説明しましたが、住民税は地方税であるのに対して、所得税は国税です。
したがって、住民税申告は区役所や市役所へ行いますが、所得税の確定申告は税務署に行います。
当然のことながら、住民税と所得税は税金の種類がそもそも違うため申告書の様式も違い、税金の計算方法も違います。実際には、所得税の確定申告を税務署が管理し、そのデータを基に区役所や市役所が住民税を計算するという流れが一般的です。
この流れでは、所得税の確定申告を行うと区役所や市役所が住民税を計算するため、個人で住民税申告を行うことは基本的にありません。
住民税申告(市民税申告)とは
住民税の申告を行う必要がある人と不要な人がいます。
必要な場合は、基本的に毎年3月15日までに申告しなければいけません。
ただし、2021年はコロナウィルスの影響で、都道府県によって4月15日まで申告期限が延長されています。
次に、どのような場合に住民税申告が必要か、また不要となるのかを確認していきましょう。
住民税申告(市民税申告)が不要なケース
以下のどれかに該当する場合は、住民税の申告は不要です。
- 所得税の確定申告を行った人
- 会社で年末調整をした人
- 公的年金の所得のみで住民税の特別な控除を使わない人
所得税の確定申告や年末調整を行っている場合、住民税申告は不要です。
所得税の確定申告を税務署へ行っているため、そのデータを基に区役所や市役所が住民税を計算するためです。
住民税申告(市民税申告)が必要なケース
以下のどれかに該当する場合は、住民税の申告を行う必要があります。
- 所得税の確定申告を行っていない人
- 会社を退職して年末調整をしていない人
- 住民税の医療費控除などの特別な控除を使う人
- 生活保護や災害などで税の減免制度を利用する人
住民税申告が必要になるケースは、大きく2つあります。
まず、所得がある人は、所得税の確定申告を行う必要があります。所得税の確定申告を期限内に行えば、住民税申告は不要になります。
次に、所得税の確定申告を行わない人で住民税の控除などを利用する人は、住民税の申告を行うことで、各控除が適用されます。
住民税申告(市民税申告)に必要な書類
住民税申告で必要な書類は、所得の証明書類と各控除書類、本人確認書類に分かれます。
それぞれ以下の通りです。
所得の証明書類
所得を証明するための書類として、源泉徴収票が必要になります。
事業者の場合は、事業所得や不動産所得の金額を証明するための帳簿や領収書などの根拠書類が必要になります。
各控除書類
- 社会保険料などの領収書など
- 生命保険、地震保険などの証明書
- 医療費控除の明細書、医療費の領収書など
- 寄付金の領収書など
- 障碍者手帳、療育手帳など
各控除書類は、受けようとする控除によって必要・不要が異なります。
控除を受けない場合は必要ありません。
本人確認書類
- マイナンバーカード
- マイナンバーの通知カード
- 運転免許証または健康保険の保険証
- パスポート
- 印鑑
本人確認書類は、マイナンバーを記入する必要があるため、マイナンバーカードか通知カードが必要になります。さらに、通知カードの場合は、併せて本人確認書類になる運転免許証やパスポートなどいずれか1つが必要になります。
印鑑は、不要な市区町村もありますが、持参することをおすすめします。
申告しないとどうなる?
住民税申告をしないケースは大きく以下の2つに分けられます。
- 所得税の確定申告をしていない場合
- 住民税申告のみしていない場合
それぞれ説明していきます。
所得税の確定申告をしない場合
所得税の確定申告をしない場合とは、所得があるにもかかわらず所得税の確定申告をしない場合です。その結果、住民税申告も行っていない場合になります。
このような場合は、所得税に延滞税や無申告加算税などが発生し、住民税に延滞税が発生します。なお、住民税では延滞税ではなく延滞金と呼ばれますが、「延滞税」として説明していきます。
まず、所得税の無申告加算税は、以下の割合で計算されます。
納付すべき税額 | 税率 |
---|---|
50万円まで | 15% |
50万円超から | 20% |
なお、税務調査の前に自主的に申告した場合は、税率が5%に軽減されます。
次に、所得税の延滞税は、以下の年利率で計算されます。
延滞日数 | 税率 |
---|---|
納期限の翌日から2月を経過する日まで | 年7.3% |
納期限の翌日から2月を経過した日以降 | 年14.6% |
次に住民税の延滞金は、都道府県によって年利率が異なりますが、上記の所得税の延滞税が参考になります。つまり年利率7.3%~14.6%程度が参考になります。
住民税申告のみしない場合
住民税申告のみしない場合とは、所得税の確定申告が不要で住民税申告のみを想定する場合です。
この場合は、所得が20万円以下、またはゼロのため、納める住民税がゼロです。納める住民税がゼロのため、住民税申告を行わなくても問題がない可能性が高いです。
個人の状況にもよりますが、住民税の納付書が届いた場合は、すぐに支払いましょう。
確定申告か役所に相談を!
住民税は、所得税と近い内容もあり混同しやすい税金です。
ただ、所得税の確定申告を行うと、税務署と役所が連携するため、個人でわざわざ住民税申告を行う必要がありません。
もし確定申告の期限が過ぎている場合は、所得税は税務署に相談し確定申告を行い、住民税は近くの区役所か市役所に相談しましょう。
よくある質問
住民税(市民税)とは?
一般的に、都道府県に支払う税金と市区町村に支払う税金を合わせた総称を住民税(市民税)といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
住民税申告(市民税申告)と確定申告の違いは?
住民税は地方税であるため区役所や市役所へ申告を行いますが、所得税は国税のため申告は税務署に行います。詳しくはこちらをご覧ください。
住民税申告(市民税申告)に必要な書類は?
所得の証明書類と各控除書類、本人確認書類が必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。