- 更新日 : 2022年7月22日
フリーランスエンジニアの確定申告のやり方は?青色申告のメリットも解説!
ITや工業系の知識をもった方が、フリーランスの立場で仕事をするビジネススタイルのことを「フリーランスエンジニア」と呼びます。
個人事業主と同じく、確定申告書を提出をしなければなりませんが「青色申告承認申請」の手続きさえすれば節税が可能です。
青色申告をするメリットとして、期限内にe-Taxによる申告をすれば青色決算書のなかで経費のほかに最大で65万円の特別控除が受けられます。白色申告と比べて、所得の計算上65万円多く控除できますので、所得税の納税額を抑えることができます。
ただし青色申告をする条件として、複式簿記による帳簿作成が必要になるため、簿記の知識がない方にとってはハードルの高い作業になります。しかし、現在では誰でも簡単に青色申告ができる様々な種類の会計ソフトが存在します。
今回は、フリーランスエンジニアの方が確定申告をする方法として青色申告・白色申告とは何か?といった基礎的な知識や、申告書作成の流れなどについて解説します。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
そもそもフリーランスエンジニアは確定申告が必要?
フリーランスエンジニアであっても、生活のために所得を得ますので「もうけ」が発生するのが一般的です。赤字であれば別ですが、税法では「もうけ」に対して税金を納付しなければなりません。したがって、フリーランスエンジニアの方も個人事業主と同様に、確定申告で所得税を計算し納税しなければなりません。
フリーランスエンジニアの確定申告は青色申告と白色申告の2種類
フリーランスエンジニアの所得は「事業所得」あるいは「雑所得」に分類されます。エンジニアの仕事を営利目的で反復継続して行っていれば、一般的には「事業所得」に該当します。
「事業所得」の場合、税務署の承認を受けることで「青色申告」により税法の各種特典が受けられます。
青色申告のメリット
青色申告には、税法上の特典が数多くあります。
最大65万円の青色申告特別控除による節税メリットを受けられる
青色申告のメリットのひとつに「青色申告特別控除」があります。事業所得を計算するにあたって、必要経費のほかに追加で最大65万円を控除できるというものです。仮に所得税率を5%(復興特別所得税を除く)とした場合、所得税は65万円×5%=32,500円安くなりますので大きなメリットといえます。
赤字を3年間繰り越しできる
事業所得から生じた赤字がその他の所得と損益通算しても残っている場合には、翌年以降3年間にわたって繰り越しできます。もし、翌年以降に黒字が出た場合、繰り越した赤字と翌年以降の黒字を相殺できます。
30万円未満の減価償却資産を一括で経費にできる
工具やパソコンなど事業で使う固定資産のうち、30万円未満のものについては「少額減価償却資産」として全額必要経費に計上できます。ただし、必要経費にできるのは300万円までという上限がありますので注意が必要です。
家族への給与も経費にできる
事業を手伝っている家族に対しては「青色事業専従者給与」が支給でき、全額必要経費にできます。ただし、支給する家族が「もっぱら事業に専従している」ことが条件になります。本業がある家族が休日に仕事を手伝うといったケースは、事業に専従しているとはみなされませんので注意してください。
青色申告のメリットについて詳しくは以下をご確認ください。
白色申告のメリット
青色申告と比較して、白色申告には税法上の特典は多くありませんが、白色申告にもメリットはあります。
白色申告は、単式簿記による記帳が認められていますので、青色申告に比べて申告手続きが楽になります。簿記の知識はなくても、申告を税理士に依頼せずご自身で申告することが可能です。
また、青色申告特別控除は最大65万円まで控除可能ですが、所得が65万円より少なくなればなるほど、青色申告特別控除の恩恵が少なくなります。次のような方は、青色申告を税理士などに依頼し、コストをかけてまで青色申告をするメリットが少なくなります。
- 事業規模が小さくて所得が65万円未満の方
- 事業規模が大きくても所得が65万円未満の方または所得が赤字の方
費用対効果でみれば、結果として白色申告の方が有利となるケースもあるでしょう。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
フリーランスエンジニアが青色申告を行うための条件は?
では、フリーランスエンジニアが青色申告による確定申告を行うために必要な手続きについて解説します。
開業届と所得税の青色申告承認申請書を提出する
事業を反復継続して行うのであればまず、税務署に対して事業を開始した旨を届け出なければなりません。「個人事業の開業・廃業等届出書」を開業から1ヶ月以内に所轄の税務署へ提出しなければなりません。
事業開始と同時に青色申告を始めたい場合には、併せて「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。「所得税の青色申告承認申請書」には提出期限があり、青色申告をする年の3月15日まで(1月16日以降に事業開始の場合は、事業開始から2ヶ月以内)に届け出なければなりません。
複式簿記で帳簿付けをする
青色申告をするためには、日々の取引を複式簿記により記帳することが前提になります。複式簿記とは、収益・必要経費のほかに資産・負債を簿記の手法を用いて記帳していくやり方です。損益計算書のほかに貸借対照表を同時に作成しなければなりませんので、簿記の知識が必須になります。
年間所得を計算するための青色申告決算書を作成する
複式簿記により記帳した結果を「青色申告決算書」に転記し、年間所得を計算することになります。なお「青色申告特別控除」は「青色申告決算書」のなかで控除します。作成した「青色申告決算書」は確定申告書に添付しなければなりません。
フリーランスエンジニアが確定申告で経費にできる項目は?
フリーランスエンジニアといえば知識ひとつで収入を得るイメージがありますが、事業所得の計算上、必要経費にできるものがあります。
フリーランスのプログラマが経費にできる範囲
例えばプログラミングをするエンジニアであればパソコンは必須ですから、パソコンの購入費用は減価償却費として経過期間に応じて必要経費にできます。購入代金が30万円未満のものであれば、300万円までを上限として全額必要経費にすることもできます。
現在ではインターネットを通して作業するケースも想定されますので、ネット接続にかかる通信費や電気料金なども必要経費に計上できるでしょう。
フリーランスのシステムエンジニア・SEが経費にできる範囲
システムエンジニア(SE)のように、仕様書の作成やプログラムの開発業務を行っているのであれば、プログラマより必要経費の範囲はさらに拡がります。プログラミングのために必要なソフトウエア、CADなどの購入費用も無形固定資産として期間経過分を必要経費にできます。
フリーランスのITエンジニアが経費にできる範囲
ITエンジニアとは、ネットワークやサーバーの運用・保守を行うエンジニアの総称です。ITエンジニアもやはりパソコンやソフトウエアは必須ですから、上記2つのエンジニアと同じ範囲の必要経費を計上できます。
フリーランスエンジニアの確定申告の流れ・手続きは?
最後に、フリーランスエンジニアの方が確定申告をする際の手続きについて解説します。
確定申告の必要書類
まず準備するのは、収入や必要経費を証明するための資料です。得意先に売上を請求した際の請求書控えや支払った際の請求書、領収書などを準備します。
作業した内容が「原稿料」「報酬」といった所得税の源泉徴収の対象であれば、入金額から所得税が天引きされていることがあります。源泉徴収された所得税は税金の前払いですから、確定申告で引き算できます。得意先から「支払調書」を収集しておく必要があります。
青色申告の場合の確定申告書の書き方
青色申告の場合にはまず「青色申告決算書」の作成から始めます。青色申告決算書で所得を計算し、その結果を確定申告書に転記していくのです。決算書の所得がマイナス(赤字)であった場合にはその他の所得と損益通算し、なお赤字が残る場合には第四表を作成して赤字を翌年以降に繰り越します。
白色申告の場合の確定申告書の書き方
白色申告の場合にはまず「収支内訳書」の作成から始めます。収支内訳書で所得を計算し、その結果を確定申告書に転記していきます。決算書の所得がマイナス(赤字)であった場合にはその他の所得と損益通算しますが、赤字が残っても翌年以降に繰り越しできませんので注意してください。(災害により生じた損失を除く)
確定申告書の提出期限
確定申告書の提出期限は、青色申告・白色申告を問わず毎年3月15日です。郵送により書面で提出する場合には、3月15日の消印までが有効となりますので、期限間際に郵送するときは、郵便局内で直接投函することをおすすめします。
なお、確定申告の提出期限については以下のリンクを参照してください。
確定申告書の提出はe-tax(国税電子申告・納税システム)がおすすめ
現在、国税庁ではサイバー政府構想にもとづき税務申告手続きの電子化を推進しています。なかでも確定申告では「確定申告書作成コーナー」を設けたり、e-Taxソフトを使った電子申告に特典を設けたりと、電子化を積極的に進めているところです。
電子申告は、青色申告特別控除が最大65万円まで控除できますし、申告作業も時間を問わず24時間行えるので大変便利です。
e-taxを使った電子申告について知りたい方は、以下のリンクを参照してください。
フリーランスエンジニアはクラウド会計ソフトを使えば確定申告が簡単に
確定申告のなかでも、青色申告で確定申告を行う場合には、先にも述べたとおり複式簿記による記帳が必須です。通常は簿記の知識がなければ複式簿記による記帳は難しいでしょう。かといって、税理士などの外部に申告業務を委託すれば費用がかかります。
簿記の知識はなくても青色申告の恩恵を受けたいという方には、クラウド会計ソフトを使うことをおすすめします。借方や貸方といった簿記の知識は必要なく、誰でも簡単に入力できる仕様になっています。青色申告をしている方はクラウド会計ソフトの導入を検討してみてください。
フリーランスエンジニアも個人事業主として確定申告しましょう!
フリーランスとはいえ個人事業主ですから、所得があれば確定申告で税金を計算し、納めなければなりません。簿記の知識はなくても、パソコンの操作に自信があるという方は、会計ソフトを利用した青色申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
フリーランスエンジニアは確定申告が必要か?
個人事業主として確定申告をする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告のメリットは?
最大65万円の青色申告特別控除や赤字の3年間の繰り越しなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告を受けるための要件は?
複式簿記により収入、必要経費のほかにも資産、負債を計上しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
認定住宅新築等特別税額控除とは?計算式と必要書類
認定住宅新築等特別税額控除とは、住宅ローンを組んでいなくても利用できる税金の優遇制度です。適用できれば納める税金を数十万単位で減らすことができます。適用要件や必要書類などをチェックし、住居が制度の対象になるかどうか確認してみてください。 当…
詳しくみるWebライターの確定申告 – 副業の場合もしっかり節税!
Webライターの業種で働いている個人は原則、確定申告が必要です。確定申告には青色申告と白色申告があるなど、初めて確定申告をする人には複雑に感じることもあります。 そこで、ここではWebライターの基本的な確定申告のやり方について解説します。 …
詳しくみる公務員でも確定申告をした方が良い場合とメリットを紹介
公務員もいくつかの場面においては確定申告が必要です。また、ふるさと納税をしたときなど、義務ではないものの確定申告することで控除が発生し、還付金を受け取れることがあります。仮想通貨や株式などの投資により利益があるときや家賃収入、副業をしたとき…
詳しくみるインストラクターに確定申告は必要?提出書類や経費になるものまで解説
近年は、副業やフリーランスという形でインストラクター業に従事する人が増えてきました。事業がうまくいって収入が増えてくると確定申告が必要です。本記事ではインストラクターの確定申告に準備すべき必要書類や、経費に算入できるものは何かを詳しく紹介し…
詳しくみる駐車場経営の確定申告をわかりやすく解説
保有する土地を駐車場として活用するケースは非常に多いといえます。もともと不動産賃貸業を生業としている人だけでなく、近年では会社員が副業として駐車場経営を行うことも珍しくありません。 駐車場経営によって一定金額以上の所得が発生すると確定申告を…
詳しくみる外国人の所得税確定申告の方法や必要書類をわかりやすく解説!
外国人でも、1年以上日本に居住して会社勤めをしている場合、所得税の支払いは年末調整が行われるため、確定申告は不要です。しかし、海外から給与の支払いを受けている場合は源泉徴収の対象とならず、確定申告をしなければなりません。 本記事では、外国人…
詳しくみる