• 更新日 : 2025年1月28日

経費でお金が返ってくる?個人事業主が気をつけたい勘違い

経費で落としてもお金は返ってきません。会社員であれば全額戻ってきますが、個人事業主は全て自己負担です。また、何でも経費で計上できるわけではなく、税務署に否認される場合もあるので注意してください。

この記事では、経費で落とす際にありがちな勘違い、個人事業主が経費にできるものなどを解説しています。

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「経費で落とす」とは?

「経費で落とす」とは、業務で発生した出費を経費として計上することです。個人事業主が経費計上する場合は、最終的な収入から経費分を引いて所得として確定申告してください。

経費で落とすことで税金を抑えることも可能です。事業で得た収益には税金が発生しますが、正確には経費を引いた利益に税金がかかります。経費を適切に申告すれば、節税にも繋がるでしょう。

そもそも経費とは?

経費とは、業務を行う上で発生した費用を指します。具体的には、仕事で使用する備品代・事務所の賃貸料・取引先との会食費用などです。

国税庁では経費を以下のように定義しています。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費一般管理費その他業務上の費用の額

引用:No.2210 必要経費の知識|国税庁 引用日:2025/1/13

(1)は例えば、商品の仕入れ代や仕入れるためにかかった輸送費などです。

(2)は、商品を販売する時に発生した広告費や人件費のほか、業務の運営に必要なオフィスの賃料・光熱費などが該当します。

「経費で落とす」とお金が返ってくる?

経費で落としてもお金は返ってきません。会社員なら立て替えた分の経費は戻ってきますが、個人事業主は自己負担となります。ただ、経費の分だけ税金のかかる金額は少なくなるため、きちんと経費を申告すれば節税に繋がります。

個人事業主が納める税金は、基本的に所得税・消費税住民税・個人事業税の4種類です。4種類のうち、所得税・住民税の所得割分・個人事業税は、所得に応じて課税されるので誰でも節税できます。

節税できる金額をシミュレーションしてみましょう。1年の収入が472万円で、経費が0円のケースと141万円のケースで考えてみます。

税金の種類所得税住民税(所得割)個人事業税
収入:472万円(経費:0円)
所得:472万円
516,500円472,000円91,000円
収入:472万円(経費:141万円)
所得:331万円
234,500円331,000円20,500円
差額282,000円141,000円70,500円

注)住民税と個人事業税は東京都の税率を使用しています。便宜上、所得控除は考慮せずに計算しています。法定業種は第1種事業としています。

上記のケースでは、経費を申告すれば合計で493,500円も節税可能です。経費全額の元は取れませんが、3分の1ほど戻ってきます。

また、課税事業者で原則課税を選択している人は、課税仕入れの消費税額分を節税可能です。

※参考:所得税の税率個人住民税個人事業税

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個人事業主が経費で落とせる項目の一覧

経費で落とすと言っても、何でも経費計上できるわけではありません。経費で落とせるのは、事業を営む上で発生した費用のみです。

経費計上できる主な費用を以下にまとめています。

経費計上できる費用
通信費業務用PCのネット料金
取引先への郵便料金
接待交際費取引先との会食費用
消耗品費事務用品代、事業に使用する日用品代
燃料費ガソリン代
人件費従業員への給与、賞与
旅費交通費客先を訪問した際の交通費
広告宣伝費商品のチラシ制作費
水道光熱費店舗の水道代、ガス代
地代家賃事務所や店舗の賃料
業務委託費外注先へ払う報酬
租税公課印紙税、事業税
教育研修費事業関連のセミナー受講料
支払手数料銀行の振込手数料
弁護士の相談料

消耗品費として計上できるのは、耐用年数が1年未満もしくは10万円未満の物品と国税庁は定義しています。10万円以上だと減価償却が必要となるので、詳しくは減価償却の記事をご覧ください。

※参考:国税庁

個人事業主の経費の金額に上限はある?

基本的に経費計上できる金額に上限はありません。ただ、前述の通り、1年を超えて使用される消耗品の場合は取得価額が10万円未満のものが消耗品費に該当します。取得価額については国税庁のページをご覧ください。

経費に上限はないため、事業に関連していればどのような費用でも申告可能です。反対に事業とは関係ないプライベートでの支出は経費として認められません。また、収益に対して接待交際費や旅費交通費が高すぎると、税務署から指摘が入る場合もあるので注意してください。

経費の平均は業種によってかなり異なります。総務省統計局が実施した「2022年(令和4年)個人企業経済調査」によると、産業別の年間営業利益率は以下の通りです。

  • 建設業:平均19.5%
  • 製造業:平均21.1%
  • 卸売業・小売業:平均7.0%
  • 宿泊業・飲食サービス業:平均18.8%
  • 生活関連サービス業・娯楽業:平均27.5%
  • その他のサービス業:平均31.7%

利益率を経費率の裏返しと考えれば、生活関連サービス業・娯楽業の経費率は平均で約72.5%ですが、卸売業・小売業の経費率は平均で約93.0%です。産業によって経費率は全然違うことが分かります。

また、必要経費は、事業規模や経営方針でも変わってくるため会社によっても様々です。

※参考:総務省統計局「2022年(令和4年)個人企業経済調査」

個人事業主が経費で落とす際の注意点

ここからは、個人事業主が経費計上する際の注意点を紹介します。

事業とプライベートを分ける

事業関連の出費とプライベートの出費は必ず分けて管理しましょう。もし混在していると、プライベートの支出を経費として申告してしまったり、事業で得た収益や確保した予算が分かりにくくなったりします。

出費を細かく管理するのが苦手な人は、事業用の口座を作ってプライベート用の口座と分けるのがおすすめです。事業用の口座を開設すれば、仕訳も確定申告もかなり楽になります。

経費項目を整理する

経費計上する際は、それぞれの出費の項目をきちんと整理しておきましょう。項目ごとに経費を管理すれば、どのような用途にいくら使ったのか分かりやすくなります。

また、帳簿でも勘定科目ごとに仕訳をすることになるので、最初から項目別で整理しておけば仕訳作業の手間も省けるでしょう。

領収書などの保管が必要

経費を確定申告した場合、領収書を証拠書類として保管しなければなりません。保存期間は、原則として青色申告者が7年、白色申告者が5年となります。

また、受け取った領収書に以下の記載があることを確認しましょう。

  • 取引年月日(支払い年月日)
  • 支払い金額
  • 金額の内訳
  • 但し書き
  • 領収書の発行元
  • 宛名
  • 収入印紙の有無(電子領収書では不要)

上記6つの記載がないと、証拠書類として認められないことがあるため注意してください。例えば、但し書きがなく金額だけの領収書や宛名のない領収書は税務調査で確認される場合があります。

屋号がある個人事業主は、宛名に屋号と個人名の両方を記載しましょう。

※参考:国税庁

自宅兼事務所の場合、家事按分する

自宅を事務所と兼用しており、家賃や光熱費を経費として計上したい場合は家事按分を行なってください。家事按分とは、事業とプライベートを兼ねた出費について、事業に関連する費用のみを算出することです。

家事按分の計算方法は、項目によって異なります。例えば家賃は、業務用スペースと居住スペースの割合から家事按分が可能です。一方、光熱費は業務で使用した時間・日数を元に家事按分できます。

家事按分の基準は任意ですが、業務において必要であると明確に示さなければなりません。合理的な割合で計算しましょう。

不正に計上するとペナルティがある

経費を不正に計上すると「所得隠し」や「脱税」とみなされ、追徴課税が課されます。

特に、申告した経費が多すぎたり、申告した収益と税務署が把握している収益が異なっていたりすると税務調査の対象となりやすいです。

追徴課税を受けると、本来納めるべき税額よりも高額になる可能性もあるため、経費は適切な額を申告しましょう。

確定申告で還付金が戻ってくる場合がある

確定申告をすると、還付金を受け取れることがあります。還付金とは、税金を払いすぎた時に戻ってくる超過分のお金です。

予定納税で払った税額や取引先から源泉徴収された税額が、本来納めるべき税額よりも多かった時に返金されます。確定申告によって本来の税額が明らかになった後に、書面もしくはe-Taxで還付申告をしてください。

経費はいつ戻ってくるか

還付申告を書面で申請した場合、約1ヶ月〜1ヶ月半で返金されます。e-Taxの場合は約3週間です。

還付金は口座振込のほか、最寄りのゆうちょ銀行や郵便局の窓口での受け取りもできます。また、還付金の処理状況はe-Taxソフト(WEB版)や税務署などで確認可能です。

※参考:国税庁

個人事業主の経費は確定申告書のどこに書くか

ここでは、経費を確定申告書に記載する方法について解説します。白色申告と青色申告では、使用する用紙が違うので注意してください。

白色申告の場合

白色申告では、「令和 年分収支内訳書」に経費を記載します。業種によって使用する用紙が異なりますが、ほとんどの人は一般用となります。

令和 年分収支内訳書(一般用)

※引用:「令和 年分収支内訳書(一般用)

「接待交際費」や「消耗品費」などの項目ごとに経費を書いてください。そして「その他の経費」に分類された経費の合計を「小計」に、「その他の経費」以外の経費と「小計」の合算額を「経費計」にそれぞれ記載します。

青色申告の場合

青色申告では、「令和 年分所得税青色申告決算書」に経費を記載してください。自分の業種に合った用紙を使いましょう。ここでは一般用を例に解説します。

令和 年分所得税青色申告決算書

※引用:「令和 年分所得税青色申告決算書(一般用)

「旅費交通費」や「通信費」などの項目ごとに金額を書き、最後に経費の合計も記入してください。経費の合計額を使って、確定申告書の所得額を算出します。

個人事業主が経費を効率的に管理するには

個人事業主が経費を管理するおすすめの方法を2つ紹介します。仕訳作業や確定申告の効率化を図れるでしょう。

定期的に帳簿をつける

帳簿は定期的につけましょう。1ヶ月ごとに記帳するのがおすすめです。

確定申告前に一気にやろうとすると、仕訳作業の負担が重くなります。どのような用途で使ったお金か思い出せなかったり、領収書を紛失してしまったりすることもあるでしょう。

こまめに帳簿をつければ記帳漏れを防げるだけでなく、仕訳や確定申告にかける時間も減らせます。

会計ソフトを検討する

経費管理の手間を省きたい人は、会計ソフトを導入するのがおすすめです。

銀行口座やクレジットカードと連携すれば、自動で取引明細が取得されます。日付や金額などが取り込まれ勘定科目も自動で提案されるので、正しいかチェックして登録するだけです。

経費を適切に確定申告すれば、節税に繋がります

個人事業主が経費で落としたお金は返ってきませんが、適切に確定申告すれば節税に繋がります。事業を運営する上で発生した通信費や旅費交通費など、様々な出費を経費として計上可能です。こまめに帳簿づけをして用途や金額などを管理しましょう。会計ソフトの導入も検討してみてください。

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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

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