- 更新日 : 2023年8月29日
内職・在宅ワークは確定申告が必要?経費になるものとその特例も解説
さまざまな働き方が増えている中、内職や在宅ワークをする人も増えています。では、内職や在宅ワークをすると、所得税の確定申告は必要なのでしょうか。
ここでは、内職や在宅ワークをすると所得税の確定申告は必要なのか、確定申告書はどのように作成すればよいのか、また確定申告をしないとバレるのか詳しく解説します。さらに、税金が源泉徴収されている、パートやアルバイトなどを副業としている場合についてもお伝えします。
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目次
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内職・在宅ワークでは基本的に確定申告が必要
原則、内職や在宅ワークをしている人は確定申告が必要です。例えば、以下のケースでは確定申告が必要となります。
所得が年間48万円超の内職を専業としている人
所得税では、年間所得2,400万円以下の場合、48万円の基礎控除があります。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。基礎控除とは、納税者本人に対する控除で、年間所得2,400万円以下の納税者ならだれでも所得から差し引くことができます。
つまり、内職や在宅ワークを専業としている場合、その所得が48万円以下であれば、基礎控除を差し引くと課税される所得は0円となります。一方で内職や在宅ワークの所得が48万円を超えると課税される所得があるため、確定申告が必要です。
雑所得金額が年間20万円超ある会社員
会社員が内職や在宅ワークを副業としていることもあるでしょう。この場合、内職を専業としている人とは確定申告をする基準が異なります。
会社員は、毎月の給料から所得税を源泉徴収し、年末に年末調整しています。ただし、内職や在宅ワークの所得金額(雑所得金額)が年間で20万円を超える場合は、会社員の給料を年末調整している場合であっても確定申告が必要です。
アルバイトと内職・在宅ワークを掛け持ちしている人
アルバイトと内職・在宅ワークを掛け持ちしている人も、上記の20万円の基準は同じです。内職や在宅ワークの所得金額(雑所得金額)が年間で20万円を超える場合は、アルバイトの給料を年末調整している場合であっても確定申告が必要です。
また、2つ以上の会社でアルバイトをしている場合は、年末調整をしなかった方のアルバイトの給与の収入金額と内職や在宅ワークの所得金額(雑所得金額)の合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。
確定申告が必要な方については、国税庁のHPをご参考ください。
参考:確定申告が必要な方|国税庁
内職・在宅ワークで確定申告が不要な場合もある
次に、内職・在宅ワークで確定申告が不要な場合について見ていきましょう。
確定申告が必要な条件に満たない場合
内職や在宅ワークで確定申告が不要な場合とは、上述の「確定申告が必要な条件」に満たない場合です。
つまり、内職や在宅ワークを専業としている場合で、その所得金額が48万円以下であるケースや、内職や在宅ワークを副業にしている会社員やアルバイトと掛け持ちしている場合で、内職や在宅ワークの所得金額(雑所得金額)が年間で20万円以下のケースでは、確定申告は不要です。
内職・在宅ワークでも会社を通じて年末調整できる場合
内職や在宅ワークを本業としている場合でも、作業量ではなく時間給のケースの場合などでは、給料扱いとして年末調整を行うことがあります。この場合、年末調整で税金についての処理は完了しているため、確定申告は不要です。
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確定申告をしないとどうなるのか
内職・在宅ワークでは、基本的に確定申告が必要です。では、確定申告が必要な場合で確定申告をしなければどうなるのでしょうか。
ここでは、確定申告をしなかった場合にどうなるのかを見ていきましょう。
「脱税」という犯罪行為をすることになる
故意に確定申告をせずに税金を納めない場合は、「脱税」という犯罪行為をすることになります。悪質な脱税行為については、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」の刑事罰(あるいは両方の刑事罰)を科される可能性もあります。
追徴課税される可能性も
確定申告をせず、後で税務署にバレた場合、税金の徴収は当然として追徴課税をされる可能性も高いです。
期限までに税金を納めなかったことに対する延滞税(最高14.6%)や確定申告をしなかったことに対する無申告加算税(最大20%)、仮装隠蔽があった場合の重加算税(最大40%)など、状況によって異なる割合の追徴課税が課されます。
内職や在宅ワークで経費になるもの・ならないもの
内職や在宅ワークで確定申告する必要があるかどうかは、所得金額(収入-必要経費)で決まります。そのため、いかに経費を計上できるかが重要です。ここでは、内職や在宅ワークで経費になるもの・ならないものについてご紹介します。
経費になるもの
まずは、経費になるものから見ていきましょう。経費になるものの代表例としては、次のようなものがあります。
仕事を行うために必要な備品等
内職や在宅ワークで経費になるものとしてまず挙げられるのが、仕事を行うために必要な備品等です。例えば、次のようなものがあります。
- 作業机
- パソコン
- はさみやのりなどの事務用品
- 内職や在宅ワークについて記載された雑誌など
これら仕事に関係するもので、1つあたり10万円未満のものは、購入金額の全額が経費になります。
減価償却が必要なもの
仕事に関係するもので、1つあたり10万円以上するもの(確実に1年未満で使用ができなくなるものを除く)については、購入金額の全額を一度に経費にすることはできません。これは法律上、1つあたり10万円以上するものは、固定資産として、複数年にわたって使用すると考えるためです。
固定資産は、その種類によって耐用年数(法律で決めた使用期間)が決まっています。決められた法定年数で、取得価額を毎年少しずつ経費にしていきます。これを「減価償却」、経費となる金額を「減価償却費」といいます。
つまり、減価償却が必要なものは経費にできますが、毎年経費にできる金額は「減価償却費」の金額になります。
家賃や光熱費、通信費など
内職や在宅ワークをする作業場の家賃や水道代・電気代等の光熱費、電話代・インターネット代などの通信費も、仕事に関係する支出であるため、経費になります。
ただし、自宅で作業を行っている場合は、仕事に関係する割合分しか経費にすることができません。作業を行っている部屋の面積や作業時間などを適切な割合で、その支出を私用分と仕事分に按分して、仕事分のみ経費にする必要があります。
経費にならないもの
次に、内職や在宅ワークで経費にならないものを見ていきましょう。
プライベートで使うものや一部の税金など
内職や在宅ワークで経費にならないものとは、プライベートで使うものです。プライベートで使うものは仕事に関係しない支出であるため、経費になりません。
所得税や住民税などの税金についても、仕事で使う車への自動車税や商品を保管しておく倉庫にかかる固定資産税など、仕事に関係する一部のものを除いて原則、経費にはなりません。
国民健康保険や国民年金、生命保険など
国民健康保険や国民年金などの社会保険や生命保険などの保険についても、経費にすることはできません。
ただし、社会保険料控除や生命保険料控除などの所得控除として利用することはできるため、確定申告では忘れずに控除の適用を受けましょう。
確定申告の書き方
内職や在宅ワークをしている人は原則、確定申告が必要です。確定申告が必要な場合は毎年確定申告書を作成し、税務署に提出する必要があります。
内職や在宅ワークが事業所得になるのは、毎年一定規模の内職や在宅ワークからの収入が継続してある場合です。それ以外の、例えば副業で内職や在宅ワークをしている場合などは、雑所得になります。
確定申告書の書き方や作成書類などついて詳しくは、次のページをご参照ください。
内職・在宅ワークの節税対策
内職・在宅ワークで納める税金を抑えるためには、節税対策をする必要があります。
そこで、ここでは内職・在宅ワークの代表的な節税対策について見ていきましょう。
青色申告の特典を利用する
内職・在宅ワークの代表的な節税対策として、青色申告の特典利用があります。事業所得の場合、複式簿記を使った帳簿付けをするなどの一定の条件を満たすと、青色申告をすることができます。
青色申告をすると、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができたり、赤字を翌年に繰り越すことができたりなどの特典があります。これらのメリットを活用することで、納める税金を低くすることが可能です。青色申告の特典については、次のページで詳しく解説していますので、こちらもご参照ください。
家内労働者等の必要経費の特例を利用する
家内労働者等の必要経費の特例を利用することも、納める税金を低くする方法のひとつです。
家内労働者等の必要経費の特例とは、簡単にいうと、家内労働者等が実際にかかった経費が55万円未満の場合には、経費を55万円として所得金額を計算できるというものです。これはかなりお得な制度となっています。
ここでは、家内労働者等の必要経費の特例について見ていきましょう。
家内労働者等とは?
家内労働者等とは、家内労働者や外交員、集金人などのことです。さらにその中の家内労働者とは、メーカーなどの仕事の発注者から材料を提供され、原則、自宅を作業場として、本人や家族で商品を作成したり、加工したりして収入を得ている人のことです。
つまり、一般的な内職をしている人は、家内労働者に該当します。
家内労働者等の必要経費の特例の計算例
家内労働者等の必要経費の特例は、内職や在宅ワークを専業としている場合と、副業としている場合で計算方法が異なります。それぞれの計算方法を見ていきましょう。
- 内職や在宅ワークを専業としている場合
- 内職や在宅ワークを副業としている場合
実際の経費が55万円未満の場合は、経費を55万円として所得金額の計算を行います。
例)1年間の収入が100万円、実際の経費が45万円だった。
この場合は、実際の経費が55万円未満のため、経費を55万円として所得金額の計算を行います。
所得金額=収入金額100万円-必要経費55万円=45万円
例)1年間の収入が100万円、実際の経費が60万円だった。
この場合は、実際の経費が55万円以上のため、実際の経費の金額で所得金額の計算を行います。
所得金額=収入金額100万円-必要経費60万円=40万円
内職や在宅ワークを副業としている場合、1年間の給料の収入が55万円以上の場合は、家内労働者等の必要経費の特例は使うことができません。そのため、会社員が副業で内職や在宅ワークをしている場合は原則、家内労働者等の必要経費の特例は利用できません。
給与の収入が55万円未満の場合、55万円から給与の収入金額を控除した金額が実際にかかった経費よりも多ければ、55万円から給与の収入金額を控除した金額を必要経費にすることができます。
特例を受けるための手続き
家内労働者等の必要経費の特例を受けるためには、「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費の額の計算書」を作成し、確定申告書に添付します。
また、確定申告書などに次の記載が必要です。
- 確定申告書第一表…所得金額の欄で、金額の前に「特」の文字を記入して◯で囲みます。
- 確定申告書第二表…特例適用条文等の欄で「措法27」と記載します。
- 青色申告決算書の「青色申告特別控除前の所得金額」欄、または収支内訳書の「所得金額」欄で、金額の前に「特」の文字を記入して◯で囲みます。
オンラインの確定申告ソフトを使うと手軽に確定申告ができる
内職や在宅ワークをしている人は原則、確定申告が必要です。確定申告が必要な場合、毎年税務署に確定申告書を作成し提出する必要がありますが、確定申告に慣れていないと、申告書等の作成に多くの時間や手間がかかってしまいます。
そこで便利なのが、オンラインの確定申告ソフトです。マネーフォワード クラウドなら、はじめての確定申告でもラクラク安心です。ぜひ、この機会にマネーフォワード クラウドの利用をご検討ください。
内職・在宅ワークは基本的に確定申告が必要!しかし不要な場合もある
内職・在宅ワークは基本的に確定申告が必要です。しかし、内職や在宅ワークを専業としている場合で、その所得金額が48万円以下であるケースや、内職や在宅ワークを副業にしている会社員やアルバイトと掛け持ちしている場合で、内職や在宅ワークの所得金額(雑所得金額)が年間で20万円以下のケースなどでは、確定申告が不要となります。
まずは、自分は確定申告が必要なのかどうかを見極めることが重要となるでしょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
内職や在宅ワークをしている人は、確定申告が必要ですか?
原則、確定申告が必要です。しかし一定の場合で、確定申告が不要となることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
家内労働者等の必要経費の特例とは?
内職・在宅ワークをしている人が使える節税方法のひとつで、経費を55万円として所得金額を計算できるというものです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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