• 更新日 : 2023年12月8日

個人事業主でも源泉徴収は必要?源泉徴収票の作成方法や注意点を解説!

源泉徴収は原則として給与や報酬を支払う者が行います。では、従業員を雇用せずに給与を支払っていない個人事業主の場合は、源泉徴収が必要になるのでしょうか。

本記事では、個人事業主でも源泉徴収が必要なケースや注意点、源泉徴収票の作成方法について解説します。この機会に源泉徴収制度を知り、従業員を雇用するときに備えておきましょう。

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個人事業主でも源泉徴収は必要?

個人事業主でも、従業員を雇用して給与を支払っている場合は源泉徴収が必要です。

源泉徴収制度とはそもそも、給与支払者が給与や報酬から所得税等を差し引いて支払うことをいいます。源泉徴収制度により源泉徴収された所得税および復興特別所得税は、最終的に年末調整確定申告によって精算されます。所得税では原則として、自分でその年の所得金額と税額を計算して申告・納付を行う「申告納税制度」が採用されていますが、給与や報酬を受け取る人の負担を軽減する目的で源泉徴収制度が導入されたようです。

個人事業主の源泉徴収における要否の判断方法

源泉徴収が必要になるケースは、業種ではなく業務内容によって決まるほか、報酬の支払いを受ける人が個人か法人かでも源泉徴収の要否は異なります。ここでは、個人事業主が支払いを受ける場合について解説します。

個人事業主でも源泉徴収が必要なケース

個人事業主でも以下のようなケースでは、源泉徴収が必要になります。

  1. 原稿料や講演料、デザイン料や翻訳料、コンサルタント料など
  2. 弁護士や公認会計士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロスポーツ選手や、モデル、営業外交員などに支払う報酬・料金
  5. 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホステスやコンパニオンなどの業務に対する報酬・料金
  7. 広告宣伝のための賞金(素人が参加するクイズ番組などの賞金)
  8. 馬主に支払う競馬の賞金
  9. プロ野球選手の契約金など
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個人事業主が源泉徴収義務者になる基準は?

源泉徴収義務者とは、所得税および復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務がある人のことをいいます。会社や個人事業主が人を雇って給与や報酬を支払う場合は、支払いのたびに源泉徴収を行うことが義務付けられるため、源泉徴収義務者になります。源泉徴収義務者となる場合は「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。

従業員を雇っていないと源泉徴収義務者にならない

以下のケースに該当する場合は、源泉徴収義務者になりません。

  • 従業員を雇用せず、給与を支払っていない場合
  • 給与を支払っていない個人が、弁護士などへ報酬・料金を支払う場合
  • 常時2人以下の家事使用人にだけ給与を支払っている場合

個人事業主の源泉徴収票の作成方法

ここからは、国税庁よりダウンロードできる「給与所得の源泉徴収票」を用いて、個人事業主が源泉徴収票を作成する方法について解説します。源泉徴収票はあくまで給与を支払う人が作成するものですが、従業員を雇用したときのために知っておきましょう。なお、受給者交付用の源泉徴収票にはマイナンバーおよび法人番号が必要ありません。

源泉徴収票の作成にあたって必要な情報は、主に8つの項目で構成されています。

  1. 支払額(給与の総支給額)
  2. 給与所得控除後の金額
  3. 所得控除後の額の合計額
  4. 源泉徴収税額
  5. 控除対象配偶者の有無等
  6. 控除対象扶養親族の数
  7. 社会保険料等の金額
  8. 生命保険料の控除額

給与所得の源泉徴収票

引用:給与所得の源泉徴収票|国税庁
※受給者交付用の源泉徴収票にはマイナンバーおよび法人番号は記載しません。

①支払額(給与の総支給額)

会社や事業主から支払われる給与の総支給額を記入します。

②給与所得控除後の金額

支払額から給与所得控除を差し引いた額を記入します。給与所得控除額は、以下の表をもとに計算します。

令和2年分以降 給与所得控除
引用:No.1410 給与所得控除|国税庁

③所得控除後の額の合計額

給与所得控除後の金額から、扶養控除配偶者控除社会保険料控除等を差し引いた額を記入します。主な所得控除には以下のようなものがあります。

④源泉徴収税額

源泉徴収税額を計算する場合は、国税庁が発行している「給与所得の源泉徴収税額票(月額)」または「給与所得の源泉徴収税額票(日額)」を使用します。

「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」と「甲(扶養家族等の数)」の合致する箇所の税額を源泉徴収税額として国に納めます。なお、乙欄は2か所以上から給与を受け取っている人など、左記に当てはまらない人に支払う場合に適用します。

源泉徴収税額表

引用:給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分)|国税庁

⑤控除対象配偶者の有無等

控除の対象となる配偶者の有無について記入します。他の企業で配偶者の収入額によって配偶者特別控除が適用される場合は「配偶者特別控除」に金額を記入します。なお、「従有」とは、他の企業で配偶者控除が適用されている場合に記入する箇所です。

⑥控除対象扶養親族の数

16歳以上の「扶養対象親族」または19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」など、配偶者以外の控除対象扶養親族がいる場合は記入します。なお「従人」も「従有」と同様に、他の企業で扶養控除が適用されている場合は記入します。

⑦社会保険料等の金額

給与から支払っている健康保険料や厚生年金保険料、小規模企業共済の掛金などの合計金額を記入します。

⑧生命保険料の控除額

民間の保険会社で加入している「生命保険」や「個人年金保険」などの保険料を記入します。

源泉徴収金額の計算方法

個人事業主が報酬を支払う際に源泉徴収を行う所得税および復興特別所得税の支払金額は、おおむね以下のように計算します。

支払金額(=A)
税額
100万円以下
A × 10.21%
100万円超
(A − 100万円) × 20.42% + 102,100円

例1)講演料として20万円支払ったときの源泉徴収額
20万円 × 10.21% = 20,420円

例2)弁護士報酬として200万円支払ったときの源泉徴収額
100万 × 10.21% = 102,100
(200万 − 100万) × 20.42% = 204,200
102,100 + 204,200円 = 306,300円

源泉徴収した税金を納付する方法

原稿料や講演料などから源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、e-Taxを利用して納付する方法や「報酬・料金等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」という領収済書を使用して納付する方法があります。

報酬・料金等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領

引用:別紙6 報酬・料金等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領|国税庁

書類の記載方法については国税庁のホームページ「納付書の記載のしかた」をご確認ください。

源泉徴収した税金の納付期限は翌月10日まで

源泉徴収した税金は、報酬・料金等を支払った翌月10日までに、金融機関または税務署の窓口で納付します。なお、納付期限である日が休日である場合は、その休日明けの日が納付期限になります。納付期限に遅れてしまうと「延滞税」や「不納付加算税」などの負担が生じる可能性があるため、遅れないように注意しましょう。なお、従業員数が10人未満の場合は、源泉徴収した所得税を半年分まとめて納めることができる特例もあります。

個人事業主が源泉徴収する際の注意点

個人事業主が源泉徴収する際の注意点には、以下のようなものがあります。

  • 請求書作成時に消費税を別にする
  • 確定申告で源泉徴収の還付申告をする
  • 源泉徴収の税率に復興特別所得税が含まれている

請求書作成時に消費税を別にする

請求書を発行する際は、消費税と源泉徴収を合わせた金額で請求書を作成するのではなく、消費税と源泉徴収税額を別に記載しましょう。

特に、支払元が法人である場合は原則として源泉徴収の義務が生じるため、源泉徴収と消費税を別で記載しておくと、相手方で源泉徴収額を計算する手間が省けます。

確定申告で源泉徴収の還付申告をする

源泉徴収は、給与所得者や個人事業主が年末調整や確定申告で、最終的に調整を行うことが前提とされている制度です。そのため、個人事業主の場合は、取引先からもらった「支払調書」をもとに税金を精算するようにしましょう。

なお、取引先から支払調書がもらえるとは限らないため、自身でも源泉徴収された金額を記帳またはメモしておくことをおすすめします。

源泉徴収の税率に復興特別所得税が含まれている

源泉徴収の税率は所得税および復興特別所得税を合算した税率として、報酬が100万円以下の場合は10.21%、200万円超の場合は20.42%が徴収されます。

このうち0.21%または0.42%は復興特別所得税として、平成25年から令和19年までの間に生ずる所得について徴収されることになります。

個人事業主でも源泉徴収のことを知っておこう

源泉徴収とは、所得税および復興特別所得税を給与や報酬から差し引いて支払うことをいいます。従業員を雇用していない個人事業主は、外注先に報酬を支払う場合でも源泉徴収を行う必要はありません。

しかし、源泉徴収の義務がない個人事業主でも請求書を作成する際や、税金の還付申告を行う際には、源泉徴収の知識が必要になります。これから従業員を雇用する場合に備えて、源泉徴収のことを知っておくといいのではないでしょうか。

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よくある質問

個人事業主でも源泉徴収は必要ですか?

個人事業主でも、報酬や業務内容によっては源泉徴収が必要になります。原稿料や講演料、広告や商品のデザイン料などに該当する場合は、報酬の支払者が源泉徴収を差し引いた報酬を支払う義務があります。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主が源泉徴収義務者になる基準はありますか?

個人事業主が源泉徴収義務者となる基準は、従業員を雇用して給与を支払う場合です。開業届を提出している個人事業主は、源泉徴収義務者となるために書類を提出する必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主が源泉徴収で注意することはありますか?

請求書を発行する際は源泉徴収と消費税を別で記載することや、源泉徴収により税金を払いすぎている場合は還付申告が必要な点に注意しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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