• 更新日 : 2025年2月26日

青色申告承認申請書の提出期限はいつまで?期限を過ぎたらどうなるのかも解説

青色申告の承認申請書や申告書の提出期限に気を付けなければ、任意の時期に青色申告できなかったり、加算税等のペナルティが発生してしまったりする場合があります。そうならないために、ここでは、青色申告申請書の内容や青色申告のメリット・デメリット、青色申告の期限などについて解説します。

青色申告承認申請書とは

青色申告承認申請書は、青色申告をするために必要な書類です。そこで、まずは青色申告承認申請書とはどのようなものか簡単に見ていきましょう。

青色申告承認申請書の詳細については、次の記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらも、ご参照ください。

青色申告承認申請書の書き方

青色申告承認申請書には、納税者の情報や青色申告をしようとする所得、申告などの情報などを記載します。納税者の情報とは、納税者の氏名や住所地(居所地・事業所等)、生年月日などです。

また、青色申告を開始する年度や青色申告をする所得の種類、過去に青色申告承認の取消しを受けたり取りやめたりしたことがあるのかなども記載する必要があります。

青色申告承認申請書のダウンロード方法

青色申告承認申請書は、税務署の窓口で入手することができるほか、次の国税庁のサイトからもダウンロードできます。

 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁所得税の青色申告承認申請書

サイト中ほどの[申請書様式・記載要領]に、所得税の青色申告承認申請書のPDFファイルへのリンクがあるので、そこをクリックし、表示されたPDFファイルをダウンロードしてください。

青色申告承認申請書の提出方法

青色申告承認申請書の提出方法には、税務署への窓口提出・郵送・e-Tax(電子申告)があります。

税務署への窓口提出と郵送は、紙で青色申告承認申請書を提出する方法です。郵送の場合は、引受消印日が提出日になります。また、簡易書留を使ったほうが確実です。

e-Tax(電子申告)は紙ではなく、データで青色申告承認申請書を提出する方法です。e-Taxソフトやe-Taxと連動した会計ソフトなどで青色申告承認申請書を作成し、電子申告します。

青色申告承認申請書の提出期限はいつまで?

既に事業を開始しており、白色から青色に変更しようとしている場合や、新年度と同時に事業を開始しようと思っている場合(1月1日~1月15日までに開業)は、青色申告を適用する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出します。

一方、1月16日以降に開業した場合、事業開始日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出します。4月1日に事業を開始したときは、5月末までに提出します。もし提出期限を過ぎてしまったら、その年度は青色申告事業者として承認されず、一切の控除額がない白色申告事業者として事業を行わなければなりません。

青色申告承認申請書を出し忘れたらどうなる?

青色申告承認申請書を出し忘れたら、青色申告ができません。たとえば白色から青色に変更しようとしている場合、令和7年1月1日~12月31日までの年度の確定申告を青色申告するためには、令和7年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければいけません。

青色申告承認申請書を期限までに出し忘れた場合、令和7年は青色申告ができず、令和8年1月1日~12月31日までの年度の確定申告から青色申告ができるようになります。

青色申告ができないと、節税効果が得られずに、納める税額が高くなる可能性があるので注意してください。

青色申告が承認されたかどうかを確認する方法は?

青色申告が承認されたという書類や、お知らせが届くことはありません。原則、青色申告の承認を受けようとする年の12月31日までに「承認されない」という通知が来なかったら、承認されたとみなすことができます。

たとえば、令和7年1月1日~12月31日までの年度の確定申告に対して青色申告承認申請書を出した場合、令和7年12月31日までに何の通知も来なかったら、青色申告は承認されたことになります。

青色申告の期限はいつまで?

青色申告を行う事業者は、1月1日から12月31日までの課税金額を、翌年の2月16日から3月15日の間に申告する必要があります。ただし、災害等のやむを得ない事情により、申告・納付などをその期限までにできない時は、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲で期限を延長することができます。

青色申告の期限を過ぎたらどうなる?

青色申告の期限を過ぎると、次のようなデメリットがあります。

各種加算税がかかることも

納税は国民の三大義務となっているため、義務を適正に果たさなかった場合、ペナルティとして加算税が課されることになっています。

過少申告加算税

実際より少ない納税額になった場合、過少申告加算税が加算されます。ただし、自主的に修正申告した場合は、過少申告加算税はかかりません。

無申告加算税

うっかり申告期限の3月15日を過ぎて申告をしていない場合、納める税金とは別に無申告加算税がかかります。無申告加算税の税率は、申告の状況などによって異なります。たとえば、税務署による調査の事前通知の後に期限後申告した場合、納税額が50万円までは15%が、50万円を超える部分は20%が無申告加算税となります。このケースでは、30万円の納税額であれば、45,000円が無申告加算税となり、75万円の納税額であれば、50万円×15%と25万円×20%を合算した12万5,000円となります。

ただし以下の条件にすべて該当する場合は、無申告加算税はかかりません。

無申告加算税がかからない場合(全てに該当)
  • 法定申告期限からひと月以内に自主的に期限後申告を行っている
  • 期限後申告によって生じた納税額を、すべて法定納期限内に納付した
  • 過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されていないこと、期限内に申告をする意思があったと認められる場合

青色申告特別控除の減額

青色申告するために帳簿を付けていて、あまりに悪質な場合には青色申告そのものの承認が過去にさかのぼって取り消されてしまいますが、「これは複式帳簿といえるかな?」「簡易帳簿に極めて近いな…」と判断されてしまった場合、65万円控除が適用されず、10万円控除に減額されてしまうこともあります。

青色申告の承認取り消し

また、以下の場合には青色申告の承認が取り消されてしまうこともあります。

青色申告の承認が取り消される例
  • 帳簿書類が規定通りに備え付けられていない
  • 帳簿書類が税務署長の指示に従ったものではない
  • 帳簿書類の内容に疑いがある

帳簿書類に関して正しい運用をしていないと認められてしまった場合、その事実があった年にさかのぼって、青色申告の承認が取り消されてしまうのです。

青色申告のメリット

次に、青色申告のメリットの中から代表的なものを見ていきましょう。青色申告のメリットについては、次の記事でも詳しく説明しています。ぜひこちらも、ご参照ください。

最大65万円の青色申告特別控除が受けられる

青色申告を行う大きなメリットとして、青色申告特別控除が挙げられます。青色申告特別控除とは、簡単にいうと「青色申告をするだけで最大65万円の控除が受けられる」というものです。

個人事業主にとって、通常の経費からさらに65万円の経費を捻出することは容易ではありません。しかし、青色申告をすれば最大65万円の控除が受けられるので、節税効果が高くなります。

赤字の繰り越し・繰り戻しが受けられる

「赤字の繰り越し」とは、青色申告をすると、事業所得や不動産所得で出た赤字を翌年以降3年間繰り越せることをいいます。繰り越した赤字は翌年以降3年間の黒字から差し引くことができるので、翌年以降の節税効果が高くなります。

「赤字の繰り戻し」とは簡単にいうと、今年が赤字で前年が黒字の場合に、今年の赤字を前年に繰り戻して前年の黒字から差し引くことをいいます。このことで、支払済の前年分の税金が還付されます。

30万円未満の固定資産を一括で経費計上できる

原則、1つあたり10万円以上のものを購入したら、固定資産として減価償却をしなければいけません。減価償却とは、固定資産を購入年度で全額経費にするのではなく、一定の期間内で毎年少しずつ経費にしていくことをいいます。そのため、固定資産を購入しても、購入年度の節税効果は小さくなります。

しかし青色申告をしている場合は、取得価格が30万円未満のものを、年間で合計300万円まで購入年度に一括して経費計上ができるので、購入年度の節税効果が大きくなります。

青色事業専従者給与を経費計上できる

個人事業では原則、配偶者や家族に対する給与を経費にできません。なぜなら、個人事業において、家族の財布はひとつという考え方があるためです。しかし、青色申告で一定の要件を満たせば、配偶者や家族への給与を経費にできます。これを「青色事業専従者給与」といいます。

ただし、青色事業専従者給与を経費計上した年度は、配偶者控除扶養控除を併用できないので注意しましょう。

青色申告のデメリット

次に、青色申告のデメリットを見ていきましょう。

開業届と青色申告承認申請書の提出が必要となる

青色申告をするには、開業届や青色申告承認申請書の提出が必要です。書類作成の手間がかかるだけでなく、青色申告承認申請書の提出が遅れると、青色申告をしようと考えていた年にできなくなるので注意しましょう。

複式簿記の帳簿が必要となる

青色申告をするには、一定の水準に達した帳簿を備え付ける必要があります。特に、青色申告特別控除で55万円控除や65万円控除を受ける場合には、複式簿記の方法で取引を記載した帳簿が必要になるので注意しましょう。

法人も青色申告できる?

法人も青色申告ができます。法人も個人事業主と同じように、一定の水準に達した帳簿を備え付けるなどの要件を満たすことで青色申告ができ、赤字(欠損金)の繰り越し・繰り戻しや30万円未満の固定資産を一括で経費計上できることなどの特典を受けることができます。

法人と個人事業主の青色申告の違いは?

法人と個人事業主の青色申告の大きな違いは、青色申告をしている人や法人の割合です。個人事業主では、青色申告をしている人だけでなく、白色申告をしている人も多くいます。しかし、法人では、ほとんどが青色申告をしています。

法人は法人税の計算をしなければなりませんが、法人税の計算は複雑で、しっかりと記帳された帳簿を基に計算する必要があります。結果、青色申告の要件を満たしてしまうため、ほとんどの法人が青色申告をしているのです。

そのため、法人税の申告を所得税のようにあえて青色申告とは呼ぶことはなく、一般的に青色申告といえば所得税というイメージがついています。

提出期限までに青色申告承認申請書を出して、メリットの多い青色申告をしよう!

青色申告承認申請書は、青色申告をするために必要な書類です。原則、青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告を適用する年の3月15日までです。青色申告承認申請書の提出が遅れると、青色申告をしようと考えていた年に青色申告ができません。

青色申告には最大65万円の青色申告特別控除が受けられるなど、節税効果の高いメリットが多くあります。提出期限までに青色申告承認申請書を出して、青色申告を行いましょう。

よくある質問

青色申告を行うための期限は?

青色申告を行う事業者は、1月1日から12月31日までの課税金額を、翌年の2月16日から3月15日の間に申告する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告承認申請書の提出期限は?

現在の状況によって期限が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。

期限に間に合わなかった場合は?

ペナルティとして加算税が課され、青色申告の承認が取り消されてしまうことや、控除額を減額されてしまうこともあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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