• 更新日 : 2025年1月7日

個人事業主が利用できる控除は?節税方法や注意点を解説

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2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ

▽提出期限

2025年2月17日(月)~ 2025年3月17日(月)

※上記は2024年/令和6年分の申告を行う期間です(参考記事はこちら

初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。

個人事業主やフリーランスが法に則って節税するためには、利用できる控除を最大限に活用するのがおすすめです。控除制度を活用することで、所得税の基礎となる課税所得金額や所得税額の負担を抑えられます。個人事業主が活用しやすい所得控除税額控除などについて紹介します。

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控除の利用が節税につながる仕組み

「控除」は節税につながるといわれています。

個人事業主に課税される所得税は、おおむね以下の流れで計算します。

  1. 各種所得金額を集計
  2. 所得金額-所得控除額=課税所得金額
  3. 課税所得金額×所得税の税率=所得税額
  4. 所得税額-税額控除=基準所得税額

個人事業主に課税される所得税

引用:所得税のしくみ|国税庁

上記の所得税の計算上、差し引けるのは「所得控除」や「税額控除」といった控除の金額です。いずれも適法により、所得金額や所得税額から一定の金額を差し引くことが認められています。

所得控除と税額控除

所得控除は、所得税の計算上、課税所得から差し引くことができる控除制度です。社会政策上の要請により設けられている制度で、納税者の個人的事情を考慮する趣旨で設けられています。所得控除には、基礎控除をはじめ15の控除が設けられています。

税額控除は、所得税の計算上、算出した所得税額から差し引くことができる控除制度です。納税者個人の住宅ローンに関する控除のほか、寄附金に関する控除、試験研究や中小事業者の機械等の取得に関する事業者向けの特別控除など、多様な控除が認められています。

所得控除や税額控除などの控除による節税方法について、具体例を挙げながら紹介していきます。

個人事業主の控除による節税方法①所得控除の利用

所得控除には、以下の種類があります。

このうち、比較的利用しやすい控除の中から、「配偶者控除」「扶養控除」「生命保険料控除」「医療費控除」「社会保険料控除」を紹介します。

配偶者控除

配偶者控除は、納税者と生計を一にしている配偶者(内縁関係は該当しない)がおり、その配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に適用できる所得控除です。

年間の合計所得金額48万円以下とは、給与所得のみの場合、給与収入103万円となります。例えば、配偶者のパートやアルバイトでの収入が月8.5万円の場合、年間102万円となるため、配偶者控除を受けられる可能性があります。なお、青色事業専従者や事業専従者については、合計所得金額が下回っている場合でも対象になりません。

配偶者控除の金額は、確定申告をする個人事業主の合計所得金額や配偶者の年齢により異なります。納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用はありません。

【配偶者控除の額】

納税者の合計所得金額配偶者の年齢70歳未満配偶者の年齢70歳以上
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

※配偶者の年齢は、確定申告の対象となる年の12月31日時点の年齢を基準とします。

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁をもとに作成

配偶者の合計所得が48万円を超える場合は、配偶者控除の適用はありません。ただし、配偶者の所得金額次第では、配偶者の所得金額に応じて控除額が定められている「配偶者特別控除」を受けられる可能性があります。

扶養者控除

扶養控除は、納税者と生計を一にしている配偶者以外の親族がおり、その親族の合計所得金額が48万円以下の場合に適用できる所得控除です。親族とは、6親等内の血族や3親等内の姻族のことで、扶養控除の対象には、里子や市町村から養護を委託された老人も含まれます。青色事業専従者や事業専従者は控除の対象にはなりません。

扶養控除の額は、控除対象となる親族の年齢や老人の場合は同居の有無で異なります。

【扶養控除の額】

控除対象の親族の年齢控除額
16歳以上19歳未満

23歳以上70歳未満

38万円
19歳以上23歳未満63万円
70歳以上同居の直系尊属(配偶者の直系尊属を含む)58万円
上記以外の老人48万円

※控除対象の親族の年齢は、確定申告の対象となる年の12月31日時点の年齢を基準とします。

出典:No.1180 扶養控除|国税庁をもとに作成

生命保険料控除

生命保険料控除は、納税者が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。

平成23年12月31日以前に締結した保険契約を「旧契約」、平成24年1月1日以後に締結した保険契約を「新契約」といいます。旧契約のみの場合は、生命保険料控除額は最高5万円、年金保険料控除額は最高5万円の合計10万円の控除が適用されます。

新契約のみの場合、生命保険料控除額は最高4万円、介護医療保険料控除額は最高4万円、個人年金保険料控除額は最高4万円の合計12万円が限度額です。旧契約と新契約が混在する場合の上限額も合計12万円になります。

【生命保険料控除額(生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料でそれぞれ計算)】

旧契約新契約
年間支払保険料控除額年間支払保険料控除額
25,000円以下支払保険料全額20,000円以下支払保険料全額
25,000円超

50,000円以下

支払保険料×1/2

+12,500

20,000円超

40,000円以下

支払保険料×1/2

+10,000円

50,000円超

100,000円以下

支払保険料×1/4

+25,000

40,000円超

80,000円以下

支払保険料×1/4

+20,000

100,000円超50,00080,000円超40,000

出典:No.1140 生命保険料控除|国税庁をもとに作成

医療費控除

医療費控除は、納税者や納税者と生計を一にする配偶者・親族の医療費が一定以上を超える場合に適用できる所得控除です。最高200万円まで控除できます。

【医療費控除の額】

支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円

※総所得金額200万円未満の場合は、10万円ではなく、10万円の代わりに総所得金額の5%を差し引きます。

医療費控除の適用を受けられない場合でも、医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」を適用できることもあります。セルフメディケーション税制は、88,000円を限度に、12,000円を超える特定一般用医薬品等の購入費を所得から控除できる制度です。

社会保険料控除

社会保険料控除は、以下に該当する納税者または納税者と生計を一にする配偶者・親族の社会保険料を支払った場合に適用できる所得控除です。支払った金額の全額が所得控除額となります。

【社会保険料控除の対象】

など

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個人事業主の控除による節税方法②青色申告

青色申告とは、納税者自ら所得金額と税額を正しく計算して納税することを促進するための制度です。

不動産所得・事業所得・山林所得のいずれかがある納税者は、青色申告と白色申告のどちらかを選択できます。青色申告の適用を受けるには、税務署長に届出を行い、一定水準の記帳をしなければなりません。

所得税の納税義務がある個人事業主が青色申告をすると、さまざまな特典を受けられるメリットがあります。「青色申告特別控除」や「青色事業専従者給与」もその特典の一つです。

青色申告特別控除は、最高55万円(電子帳簿保存または電子申告をする場合は65万円)を事業所得や不動産所得から控除できる制度です(複式簿記でないなど簡易的な記帳の場合は最大10万円)。例えば、事業所得500万円の青色申告者の場合、一定水準の記帳を行い、申告期限までに青色申告をすることで、事業所得の金額を青色申告特別控除額55万円を差し引いた445万円(65万円の場合は435万円)とすることができます。

青色事業専従者給与は、原則として経費にできない生計を一にする配偶者や親族への給与を経費に算入できる制度です。労働の対価として適正な金額の範囲内で個人事業主の必要経費とすることが認められています。

個人事業主の控除による節税方法③ iDeCo(確定拠出年金)の積み立て

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人が拠出した掛金を自分で運用する私的年金制度の一種です。確定拠出年金法に基づいた制度で、任意に加入できます。

個人事業主の場合、国民年金保険料の納付を免除されている方などを除き、20歳以上60未満の自営業者とその家族が加入対象となります。月の拠出額には限度額が設けられており、個人事業主(第1号被保険者)の場合は、月5,000円から68,000円の範囲で拠出額を決められます。なお、拠出限度額の68,000円は、国民年金基金や国民年金付加保険料との合算となるためご注意ください。

iDeCoを利用するメリットは、拠出額全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になることです。所得税と住民税の負担軽減につながります。また、運用益も非課税となるため、運用益に所得税などが課されることもありません。

ただし、年金制度の一種であるため、原則として60歳になるまで運用資産を引き出せないことに注意しましょう。

個人事業主の控除による節税方法④ふるさと納税

ふるさと納税は、個人が任意の自治体に寄附できる制度です。自己負担額の2,000円を超える部分について、所得税や住民税から控除できる仕組みです。

所得税については、総所得金額の40%を上限として、寄附金控除として所得金額から控除されます。住民税については、所得割額の20%を限度に、基本分と特例分の税額控除があります。住民税分は、来年度に納付する住民税額の一部を先払いするイメージです。

なお、年間の上限額を超える部分の寄附については、寄附金控除などの対象になりません。納税者の所得や扶養親族の数などによって上限額は異なるため、総務省のふるさと納税の寄附金控除額の計算シミュレーションなども活用して上限額を確認しておきましょう。

総務省の寄附金控除額の計算シミュレーションのExcelファイルはこちら

個人事業主の控除による節税方法⑤小規模企業共済への加入

小規模企業共済は、小規模企業の役員や経営者の退職金のような制度です。小規模企業共済には、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などが加入できます。役員が会社を退職する際や個人事業主が事業を廃業する際に、積立額などを受け取れる仕組みです。

小規模企業共済は、月1,000円から70,000円の範囲で掛金を設定できます。小規模企業共済に拠出する掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。小規模企業共済等掛金控除は所得控除の一種で、所得から控除を受けられます。

税額控除は、算出した所得税額から一定額を控除できる制度です。例えば、以下のような制度があります。

  • 配当控除
  • 外国税額控除
  • 認定NPO法人等寄附金特別控除
  • 公益社団法人等寄附金特別控除
  • 住宅借入金等特別控除
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別控除
  • 認定住宅等新築等特別税額控除
  • 中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除

など

上記のうち、よく知られているのが住宅借入金等特別控除です。住宅ローン控除ともいわれています。一定の要件を満たす住宅を新築または増改築等した場合に、住宅ローンの年末残高に対して一定割合を税額から控除する制度です。

また、上記のうち、配当控除は配当所得がある場合に適用できる可能性のある制度になります。配当所得とは、上場株式の配当金などに関する所得のことです。課税総所得金額に応じて、配当所得のうち一定割合の金額を税額から控除します。

個人事業主が控除を利用する際に注意するポイント

個人事業主が利用できる所得税の控除は多種多様です。控除ごとにそれぞれ要件が定められているほか、求められる添付書類なども異なります。添付漏れなどがあると控除を受けられなくなる可能性もあるため、要件と必要な添付書類などは確認しておきましょう。

また、控除は重複適用できません。例えば、子などの扶養控除対象の親族がいる場合、その扶養控除親族について妻と夫の両方で扶養控除を適用することはできません。対象の親族については、どちらか一方が扶養控除の適用を受けることになります。重複しての適用は認められないため、家族間で確認しておきましょう。

個人事業主の確定申告では控除を活用しよう

所得税の所得控除や税額控除などは、所得金額や所得税額を適法に低減させるものです。利用できる制度がある場合でも、確定申告時に申告を行わないと適用されません。利用できる控除がないか確定申告前に確認して、利用できるものは添付書類などを用意したうえで確定申告に記載して申告しましょう。

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