• 更新日 : 2025年1月28日

個人事業主の個人再生とは?条件や必要書類、任意整理との違いを解説

個人事業主の個人再生とは、事業の継続や財産の維持を可能にするために、自分が抱えている借金を減額できる制度です。個人再生を行うには、裁判所を通じて所定の手続きを行う必要があります。

本記事では、個人事業主の個人再生とは何かを詳しく説明したうえで、個人再生のメリット・必要な条件・手続きの流れなどについて解説します。

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個人事業主の個人再生とは?

個人事業主の個人再生とは、自分が抱えている借金を減額することで、事業の継続や財産の維持を可能にする制度です。「民事再生」という法人向けの借金の減額制度を個人事業主でも利用しやすくするために、2001年に特則として施行されました。

個人事業主が個人再生を利用するには、負債金額などの条件を満たしたうえで、裁判所を通じた手続きが必要です。

個人再生の手続きが完了すると、借金が5分の1~10分の1の額まで減額されます。しかし、借金が100万円未満の場合は減額がなかったり、借金が100万円以上500万円未満の場合は100万円に減額されたりと例外もあります。

減額後の借金を原則3年で完済すれば、残りの借金は免除されるため返済は不要です。

個人再生と任意整理との違い

任意整理とは、弁護士を通じて債権者と話し合い、借金の利息をカットしてもらうことで返済するべき金額を抑える手続きです。個人再生と異なり裁判所への申し立てなどが必要ないので、比較的少ない手順で借金を減額できます。

しかし、任意整理はあくまで借金の利息をカットする手続きなので、元本を5分の1~10分の1程度の額にできる個人再生に比べると減額できる幅は小さいです。

個人再生と自己破産との違い

自己破産とは、裁判所に申し立てを行って免責が認められることで借金の返済義務がなくなる制度です。

借金を減額する個人再生と異なり、全額の返済義務をなくせるというメリットがあります(税金や年金など一部の債務は、自己破産を行った後でも支払う義務があります)。

一方で、自己破産を行うと持ち家や車などの財産を原則処分されてしまうというデメリットもあります。

個人事業主の個人再生の種類

ここからは、個人事業主の個人再生にどのような種類があるか解説します。

小規模個人再生

小規模個人再生は、負債の総額(住宅ローンなどを除く)が5,000万円以下で、安定した収入の見込みがある場合に利用できる方式です。個人再生を行う場合、多くの個人事業主は小規模個人再生を選択します。

小規模個人再生を行う際は、個人事業主の債権者から反対の意見がないかどうかを確認する必要があり、反対意見が多い場合は小規模個人再生ができない可能性もあります。

給与所得者等再生

給与所得者等再生とは、会社の給与などより安定した収入を得ている人が利用できる方式です。給与所得者再生を利用する場合は、過去2年間の収入の変動幅が20%未満である必要があるため、収入に関しては小規模個人再生よりも高い基準が求められます。

一方で、給与所得者再生の実施について債権者の同意を得る必要がないため、その点に関しては小規模個人再生より条件が緩いです。

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個人事業主が個人再生をするメリット

ここからは、個人事業主が個人再生をするメリットについて解説します。

借金が大幅に減額される

個人再生を行った後に最低限返済する必要がある額を最低弁済額といい、個人再生前の借金総額によって決まります。以下の表は、小規模個人再生前の借金の総額に対し、最低弁済額がどれくらいになるかをまとめたものです。

借金総額最低弁済額
100万円未満の場合全額(減額なし)
100万円以上500万円以下の場合100万円
500万円を超え1,500万円以下の場合借金総額の5分の1
1,500万円を超え3,000万円以下の場合300万円
3,000万円を超え5,000万円以下の場合借金総額の10分の1

参考:個人再生手続利用にあたって | 裁判所

借金総額が500万円を超えている場合、個人再生を行うと最低弁済額は借金総額の5分の1~10分の1程度になるので、個人再生によって大幅な借金の減額を見込めます。

自宅などの資産が守れる

自己破産によって借金の返済義務をなくす場合、持ち家は基本的に処分されてしまいます。しかし、個人再生を行う場合は原則財産を処分されないので、持ち家も手元に残せます。

住宅ローンが残っている場合は、住宅ローン特則という制度を適用させればローンを返済しながらの居住が可能です。住宅ローン特則を適用させるための条件は以下の通りです。

  • 住宅ローンとしてのみ借り入れを行っている
  • 対象の住宅について、個人再生を申し立てた人が所有している
  • 対象の住宅について、個人再生を申し立てた人が居住するための建物である
  • 対象の住宅を他の借り入れの担保にしていない
  • 代位弁済が行われている場合は、代位弁済日から6ヶ月以内に個人再生の手続きを申し立てている

また、個人再生を行う場合は持ち家だけでなく車も手元に残せます(車のローンが残っている場合を除く)。自己破産の場合は車も原則的に処分されてしまうので、個人再生には資産を守りやすいというメリットがあるといえます。

事業を継続しつつ借金を整理できる

自己破産を行う場合、持っている財産は基本的に処分されてしまいます。持ち家をはじめ個人的なものだけでなく、事業用の財産もなくなってしまうため、自己破産後に事業を継続させるのは非常に難しいです。

一方で、個人再生は財産の処分を前提に行うものではありません。事業用の財産を維持しやすいため、個人再生を行った後でも問題なく事業を継続できる可能性が高いです。借金のみを整理して事業を続けられるのは、個人再生ならではのメリットであるといえます。

リース契約を継続できる可能性

個人再生を行う場合、リース契約を結んで利用している設備や備品などは、リース会社と「別除権協定」を結んで裁判所の許可をとれば引き続き使用できます。

別除権協定とは、リース会社へ相当額を支払う旨を約束する代わりに、リース会社が別除権(裁判所の手続きと関係なく財産の回収などを行える権利)を行使しないという合意を行う協定です。

自己破産を行う場合は、別除権協定を結ぶ余地もなく自動的にリース契約が解除されてしまいます。個人再生であれば、リース契約を継続しながら事業の存続に注力できる可能性があります。

社会的信用の喪失を抑えられる

自己破産を行った場合、抱えている借金の全額が免除になります。自分で返済する必要が一切なくなるので負担は非常に軽くなりますが、周囲からは返済能力が全くないと認識されるため、社会的信用が大きく失われる点はデメリットです。

具体的な影響として、信用情報機関に事故情報が載り、借入やクレジットカードの作成ができなくなる点が挙げられます。また、マンション管理業や賃金業など、一部の職業につけなくなる「資格制限」というペナルティもあります。

個人再生を行った場合、借入やクレジットカードの作成はできなくなりますが、資格制限は受けないため自己破産よりは社会的信用の喪失を抑えられるといえます。

仮に自己破産が可能であっても、社会的信用の喪失度合いを考慮して個人再生を行うというのも一つの選択肢です。

個人事業主が個人再生をするための条件

ここからは、個人事業主が個人再生を行うために満たすべき条件について解説します。

負債総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下である

住宅ローンを除いた負債総額が5,000万円を超えている場合は、個人再生の対象外になってしまうので注意です。

負債総額が5,000万円を超えている場合に返済額を大きく減らしたい場合は、自己破産を行うか、個人再生ではない通常の民事再生の手続きを行う必要があります。

通常の民事再生の手続きを行う場合、手続きの開始から再生計画の認可まで半年ほどかかるといわれており、多くの手間と費用がかかります。自己破産は約2~3ヶ月ほどで手続きが完了するため、5,000万円を超える負債を減らすのであれば自己破産のほうがスムーズです。

安定・継続した収入の見込みがある

個人再生を行う場合、減額後に残った借金については自分で返さなければいけないので、問題なく返済するための継続的な収入があるかどうかを手続きの際にチェックされます。

具体的な内容としては、個人再生の手続きを行う際に提出する「再生計画案」の通りに借金を返済できるかどうかを確認されます。

個人再生によって減額された借金は原則3年ですべて返済する必要があるので、その期間内で返済できるほどの継続的な収入が見込めるかが一つの基準です。

負債について支払い不能のおそれがある

民事再生法において、民事再生の手続きを申し立てるための要件として「債務の支払いが不可能な状態に陥るおそれがあること」という内容が定められています。個人再生も民事再生に含まれるため、この要件を満たすことが必要です。

破産法においては、債務の支払いが不可能な状態を「支払不能」という言葉で表しており、借金を将来完済できる見込みがない状態を指しています。

個人再生を行う場合は支払い不能の「おそれ」がある状態を要件としており、完全に支払い不能であることを要求される破産の場合よりは少し条件が緩いです。

債権者から反対意見がないこと(小規模個人再生を行う場合のみ)

小規模個人再生を行う場合、裁判所に提出する再生計画案について債権者が「書面決議」を行います。書面決議は債権者全員が再生計画案の内容に目を通し、個人再生に同意できるかを確認する会議です。

書面決議において過半数の債権者が再生計画案に反対するか、債権総額の過半数の債権を持っている債権者が反対した場合は、再生計画案が否決されてしまいます。

たとえば、個人事業主が900万円の借金を抱えていて、600万円の債権を持っている債権者が1人、100万円の債権を持っている債権者が3人いるとします。4人の債権者が書面決議を行った場合において、再生計画案が否決されるケースは以下の2つです。

  • 4人の債権者のうち3人が再生計画案に反対した場合(過半数の債権者の反対)
  • 600万円の債権を持っている債権者が反対した場合(過半数の債権を持っている債権者の反対)

再生計画案が否決されると個人再生ができないため、小規模個人再生を行う場合は債権者から反対意見がないことも要件の一つです。事前に再生計画案を債権者に見てもらい、同意してもらえるかを確認しておきましょう。

個人事業主が個人再生をする手続き

ここからは、個人事業主が個人再生を行う際にどのような流れで手続きをするのか解説します。

1.個人再生について、弁護士や司法書士と委任契約を結ぶ

個人再生を行う場合、弁護士や司法書士のサポートを受けて手続きを進めるのが一般的です。自分一人で進めても良いですが、煩雑なうえに手間もかかるので弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。

弁護士や司法書士に借金の総額など現状を伝えて、個人再生をするのが本当に良いのかどうかも含めて検討します。相談の結果、個人再生を行うことが決まったら委任契約を結び、本格的に個人再生の手続きを始めます。

2.弁護士・司法書士のサポートを受けて必要書類を準備する

個人再生の実施が決まると、弁護士・司法書士は債権者に取引履歴の開示を求め、借入額を計算し直すことで個人事業主の借金総額を確定させます。

また、個人事業主の収支や財産などの調査も行い、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらが適しているかをアドバイスします。

一方、個人再生を行う個人事業主は、弁護士・司法書士の調査に基づいた書類の準備が必要です。必要書類は申立書や陳述書など多数あり、借金総額・現在の収入状況・持っている財産などについて記載します。

弁護士・司法書士の調査にかかる時間も含めると、書類の準備だけで数ヶ月程度を要する場合が多いです。

3.裁判所に必要書類を提出し、個人再生を申し立てる

必要書類を作成したら、住所地を管轄する地方裁判所に提出することで申し立てを行います。申し立てを行う際は、収入印紙による手数料の納付や郵便切手の添付も必要です。

また、申し立てが受理された後に官報公告費を支払う必要もあるため、忘れずに準備しておきましょう。

なお、裁判所によっては申し立ての後に個人再生委員(個人再生の手続きを進めるうえで裁判所のサポートをする人)の選定や、個人事業主の返済能力を確認する「履行テスト」の実施がされる場合もあります。

4.個人再生委員と面談を行う(個人再生委員が選出される場合)

個人再生の申し立てを行った後に個人再生委員が選出された場合は、選出から約1週間以内に個人事業主・弁護士・個人再生委員の3者で面談を行います。面談の内容は、個人再生委員が個人事業主の借金の内容・理由・返済の見込みなどを確認するというものです。

面談後、個人再生委員が個人再生を進めて良いか判断し、意見書を裁判所に提出します。意見書の内容に問題がなければ、裁判所が個人再生の手続きを開始する決定を下します。決定か下される時期は申し立てを行ってからおよそ1ヶ月後が目安です。

5.金融業者による債権届出を確認し、債権認否一覧表を提出する

個人再生の手続きが開始されると、裁判所は債権者である金融業者に個人再生が開始された旨を通知します。また、同時に債権届出書の提出を求めます。債権届出書は、個人事業主がそれぞれの債権者からどれくらいお金を借りているかを調査するための書類です。

債権者から債権届出書が提出されたら、個人事業主はそこに記載されている金額を確認し、内容を認めるかどうかを債権認否一覧表に記載して裁判所に提出します。

個人事業主が債権届出書の内容に異議を唱える場合は個人再生委員によって調査が行われ、その結果をもとに裁判所が借金額を確定させます。

6.裁判所に再生計画案を提出する

再生計画案は個人再生の申し立てを行った後に提出するもので、主に借金返済の開始時期・借金の総額・返済方法・返済期間などを記載します。

提出期限は申し立てを行ってから約3~4ヶ月後とされる場合が多いです。期限までに再生計画案が提出されない場合は、個人再生の手続きが廃止されてしまうので注意しましょう。

7.再生計画案の認可・不認可の決定を待つ

再生計画案が提出された後、小規模個人再生の場合は債権者による書面決議が行われ、計画書の内容に同意するかの確認がとられます。

債権者の過半数が同意しない、もしくは債権総額の2分の1を超える債権を持っている債権者が同意しない場合は、個人再生の手続きが廃止となります。なお、給与所得者再生の場合は書面決議は不要です。

書面決議が行われた場合は、個人再生委員が計画の認可・不認可に関する意見書を裁判所に提出します。裁判所は意見書の内容も踏まえたうえで、再生計画案の認可・不認可を決定します。

認可・不認可の決定時期は個人再生を申し立ててから約5ヶ月後が目安です。裁判所が認可・不認可を決定してから約2週間後、官報にその旨が掲載されます。掲載後さらに約2週間が経過すると、個人再生の認可・不認可が正式に決まります。

8.再生計画に沿って返済を開始する

個人再生が正式に認可されると、個人事業主は債権者への返済を始めます。

返済ペースは「毎月」「2ヶ月に一度」「3ヶ月に一度」のいずれかから選択し、支払い期間は原則3年です。失業・収入の大幅な減少など特別な事情がある場合は、最長5年まで延長できる可能性もあります。

個人事業主が個人再生をするための必要書類

ここからは、個人事業主が個人再生の申し立てを行う際の必要書類について解説します。

申立書

申立書は個人再生を行う個人事業主の氏名・生年月日・住所などの個人情報を記載する書類です。また、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選択するかについても記載します。

陳述書

陳述書は個人事業主の職業・収入・家族構成・住居の状況などを記載する書類です。個人再生を行うにあたって住宅ローン特則を利用する場合は、住宅ローン債権者との事前協議に関する内容も記載します。

債権者一覧表

債権者一覧表は、個人事業主の借金に関する各債権者の氏名(会社名)・住所・連絡先などを記載します。また、それぞれの債権者から借りている金額と、借金の発生原因についても記載します。

家計表

家計表は、個人事業主の収支の状況を費目ごとに細かく記載する書類です。個人再生の申し立てを行う時点での収支状況と、再生計画案が認可されて返済を行っている間の収支状況の2つを記載する必要があります。

添付書類

個人再生の申し立てを行う場合に、上記4つの書類とは別に添付する書類です。個人事業主の状況に応じて、さまざまな書類を添付します。添付書類の例としては以下が挙げられます。

  • 戸籍謄本
  • 住民票の写し
  • 委任状
  • 確定申告
  • 賃貸借契約書
  • 通帳

個人事業主が個人再生をする際の注意点

ここからは、個人事業主が個人再生を行う際の注意点について解説します。

個人再生を行った後に事業を継続できるかどうか慎重に判断する

個人再生は自己破産と異なり、事業継続の可能性を残せる債務整理です。しかし、必ずしも事業の継続が上手くいくとは限りません。

個人再生を行うと金融機関に事故情報が登録されるため、5~10年の間は新たな資金の借入ができなくなるほか、債務を減額したことで取引先から信頼を失う可能性もあります。

事故情報の登録や取引先からの信頼喪失によって、個人再生を行っても事業の継続が難しくなるケースが起こり得るため注意です。

最終的に事業を継続できなければ、個人再生を行う意味がなくなってしまいます。個人再生を行う場合は、個人再生の後に現在の事業を継続できるかどうかを慎重に判断する必要があります。

高額な資産があると返済額が増える場合も

個人再生には、債務者が所有している資産価値の総額以上は最低限支払う必要があるという「清算価値保障の原則」が適用されます。清算価値保障の原則によって、個人再生の最低弁済額より返済額が高くなってしまう可能性があります。

例えば、借金の総額が300万円の場合、通常の最低弁済額は100万円です。しかし、仮に債務者が200万円の資産を有していると、返済額は資産の価額である200万円まで引き上げられてしまいます。

高額な資産を所有している場合は、資産の価額にも注意しながら個人再生の手続きを進めましょう。

確定申告をしていない場合は利用は難しい

裁判所が個人再生を認可するかを決定する場合において「減額後の借金を問題なく返済できるか」という点は重要な判断基準です。返済能力があると認められるには、安定した収入があることを証明する必要があります。

個人事業主が収入を証明できる手段といえば確定申告です。確定申告を行っていない個人事業主は収入を証明できないため、個人再生の再生計画案が認可されにくいです。個人再生を利用するのであれば、確定申告をしっかり行っていることが前提であるといえます。

個人再生をしても税金は安くならない

個人再生は債務整理の一つですが、減額されるのはあくまで債権者からの借金であり、滞納している税金については減額されません。

税金を滞納し続けていると最終的には財産を差し押さえられてしまうため、個人事業主が税金を滞納している場合はそもそも個人再生が認可されない可能性があります。

滞納している税金がある場合は、個人再生の手続きを始める前に役所で滞納分の分納合意を行い、すべて納める目途を立てましょう。そのうえで個人再生の手続きを進めて、借金と税金の両方を問題なく支払える旨を伝えることが重要です。

また、個人再生を行った後に支払う税金についても、期日までに支払えない場合は確定申告の際に延納を届け出るなどの対処をとりましょう。

個人再生を行うかどうかは慎重に判断しよう

個人再生を利用すれば、借金を減額しつつ事業を継続できる可能性があります。しかし、個人再生を行うことで資金の借り入れができなくなったり、取引先からの信頼を失ったりするデメリットもあるため、必ず事業を継続できるとは限りません。

個人再生は手続きが煩雑なので、実施しようとすると相当の費用と手間がかかります。そして、個人再生の手続きが終わった後は、残りの借金の返済や税金の支払いを行うために厳しい状況下で事業を続ける必要もあります。

借金を返済する目途が立たない場合は、個人再生を行って残った借金を返済しつつ事業を続けるのか、自己破産して一度事業をたたむのかを慎重に判断しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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