• 更新日 : 2024年1月4日

2024年提出(令和5年分)の確定申告の9つの変更点まとめ

2024年提出(令和5年分)の確定申告の変更点まとめ

2024年の確定申告について、どのような変更点があるのか気になるところです。

この記事では、所得税の計算書である確定申告書上の変更点や確定申告書等作成コーナーなどのアップデートなど、最新の情報を紹介します。

さらに、久しぶりに確定申告をされる方向けに、これまでの変更点や電子申告、電子帳簿などの改正点、注意点についてもおさらいとして説明します。確定申告までに不安を取り除いておきましょう。

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目次

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2024年に提出する確定申告書類の変更点は?

「確定申告書等の様式・手引き等令和5年分の所得税等の確定申告書」が公開されました。

基本的には、そこまで大きな変更はなく、一部の人に該当する内容ですので、過度に不安になる必要はないと言えます。しかし、最新の書式に対応することは必要です。

①確定申告書 第二表|親族欄の書き方の変更

確定申告書 第二表の親族欄の書き方

画像引用:申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】を加工

親族欄の書き方が少し変更されました。

 配偶や親族が、障害者・国外居住などに該当する場合は、「配偶者や親族に関する事項(⑳~㉓)」欄 の右の、該当する欄に〇を記入します。

親族欄の書き方の変更背景

親族欄の書き方の変更については、2023年1月から、日本の税制における扶養控除の要件が国外居住親族に関して厳しくなったことが影響しています。以前は、扶養控除の対象となる国外居住親族は、年収48万円以下の16歳以上の扶養親族であれば適用されました。

法改正後、30歳以上70歳未満の国外居住親族に関しては、扶養控除の対象とするために追加要件が設定されました。この年齢層の親族は、以下のいずれかに該当する必要があります。

条件
  1. 留学のために日本に住所や居所を持たなくなった者。
  2. 障害者。
  3. 扶養控除の対象者からその年に38万円以上の生活費や教育費を受け取っている者。

②確定申告書 第二表|特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が削除

確定申告書 第二表の特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が削除

画像引用:申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】を加工

これまでは、特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄がありました。

しかし、上の画像のように、令和4年度の税制改正の影響により、令和5年分の所得税の確定申告から削除されています。

具体的には、令和5年分の所得税の確定申告(令和6年度の市民税・府民税[個人住民税]課税)から、上場株式などの配当所得譲渡所得、特定公社債などの利子所得についての課税方式が所得税と個人住民税で統一されることになりました。

以前は、所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することが可能でしたが、公平性を考慮し、一体として設計された金融所得課税の方針に基づき、この改正が行われました。

概要
  • 所得税で申告不要を選択した場合、個人住民税でも申告不要となります。
  • 所得税で総合課税分離課税で確定申告を行った場合、個人住民税でも同様の課税方式が適用されます。
  • 所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなります。

③青色申告決算書・収支内訳書|インボイス制度に対応した用紙に

収支内訳書_白色申告_2023

画像引用:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)を加工

2024年提出の確定申告書類は、青色申告決算書(青色申告)・収支内訳書(白色申告)lが、インボイス制度に対応した様式へ変更となりました。

青色申告者用の「青色決算書」では、令和4年分までは「売上(収入)金額の明細」や「仕入金額の明細」欄が存在しませんでした。しかし、令和5年分からはこれらの欄が新設され、同様に登録番号(法人番号)を記入するための任意の欄が追加されています。

白色申告者用の「収支内訳書」では、「売上(収入)金額の明細」と「仕入金額の明細」欄に取引先の名前、住所、取引金額の記載が必要でした。令和5年分からは、これらの情報に加えて、任意で登録番号や法人番号を記載するための欄が新たに設けられています。

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④納税地の異動又は変更がある場合の手続きが原則不要に

令和4年度の税制改正では、納税義務者が納税地を移動または変更した場合の手続きが見直されました。

これにより、令和5年1月1日以降、所得税や消費税の納税地を移動または変更する際の届出書の提出が不要になりました。国税当局は、提出された確定申告書などの情報から納税地を把握できるようになります。

令和5年1月1日以降、納税地の移動または変更がある場合、以下の手続きが必要です。

手続きの内容
  • 納税地の移動がある場合:移動後の納税地を所得税または消費税の申告書に記載する。
  • 納税地の変更がある場合:変更後の納税地を所得税または消費税の申告書に記載する。

ただし、国税当局への連絡先変更などのため、年の途中で納税地を移動または変更する必要がある場合は、「所得税・消費税の納税地の移動または変更に関する申出書」を提出することが可能です。

参考:納税地の特例等に関する手続の変更について|国税庁

⑤申告書等用紙の送付が取りやめ、納付書の送付も見直しに

令和5年4月以降、行政コストの削減のため「申告書等用紙」の送付は行われなくなりました。

これは令和5年5月送付分(令和5年4月決算分)から適用されます。ただし、法人税予定申告書と消費税中間申告書については従来通り送付されます。

申告書等用紙に関しては、税務署からの送付は行われないため、e-Taxを通じてのインターネットを利用した申告が推奨されています。紙の申告書等用紙が必要な場合は、国税庁のホームページからダウンロードして利用することができます。

また、 「納付書」の送付対象者の見直しにより、以下の方々には納付書の送付が行われなくなりました。

  • ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(二次元コード)を利用する人。
  •  e-Taxを通じて申告書を提出する法人、またはe-Taxによる申告書提出が義務付けられている法人。

納付方法としてキャッシュレス納付の利用が推奨されています。

参考:国税庁からのお知らせ

⑥確定申告書等作成コーナー|マイナポータル連携の拡大

マイナポータル連携による申告書の自動入力対象が拡大!

画像引用:令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!|国税庁

厳密には確定申告の変更点ではないですが、確定申告書等作成コーナーがアップデートされています。

2024年提出の確定申告から、給与所得源泉徴収票・国民年金基金掛金・iDeCo・小規模企業共済掛金がマイナポータル連携の対象となりました。

マイナポータル連携とは、所得税の確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で、控除証明書等のデータを一括で取得できる機能です。これにより、各種申告書の該当項目に自動入力が行えるため、申告書の作成が楽になります。

⑦インボイス発行事業者の消費税の申告書に対応

こちらも確定申告書等作成コーナーのアップデート情報です。

消費税を納税する方に向けて、消費税納税額を売上税額の2割に軽減するいわゆる「2割特例(※)」の申告書も作成できるようになります。

簡易課税制度や「2割特例」の申告書を作成する場合において、売上(収入)金額等の入力だけで税額等が自動計算されるアップデートとなりました。

※2割特例とは
インボイス制度に関連する「支援措置」の1つです。

インボイス制度に対応するために自ら消費税の課税事業者になった方は、消費税申告を行う際に「2割特例」という簡単な計算方法を選択できます。

参考:【インボイスかんたんガイド】インボイス制度の支援措置について

⑧申告書第四表|特定非常災害の被災者の方用の付表

申告書第四表(損失申告用)付表(特定非常災害の被災者の方用)【令和5年分用】

 

画像引用:申告書第四表(損失申告用)付表(特定非常災害の被災者の方用)の書き方

令和5年4月1日以降に発生した特定非常災害の被災者の方で損失申告をする場合は、申告書第四表(損失申告用)付表を使用するようになりました。

背景

令和5年度の税制改正では、特定非常災害に関連する損失(純損失および雑損失)の繰越控除期間が、従来の3年間から5年間に延長されました。この改正は、令和5年4月1日以降に発生する特定非常災害に適用されます。

なお特定非常災害とは、政府によって指定された非常災害のことで、過去には阪神・淡路大震災や東日本大震災などが該当しています。

純損失とは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得から生じた損失のことで、これらの損失は翌年から3年間繰り越して控除できます。雑損失も同様に、控除しきれない部分を翌年から3年間繰り越して控除可能です。

改正により、特定非常災害による損失については、繰越控除期間が3年から5年へと延長されます。この延長される繰越控除の適用は、損失の程度や青色申告の有無によって異なります。

⑨(高所得者向け)財産債務調書制度と国外財産調書制度の改正

令和4年度の税制改正により、財産債務調書・国外財産調書の提出期限が改正前は翌年の3月15日でしたが、改正後は翌年の6月30日に変更されました。

財産債務調書
【改正前】
所得税の確定申告が必要な方、または一定の所得税還付申告が可能な方で、以下の条件を満たす場合に提出義務がありました。

  • 年間の退職所得を除く各種所得金額の合計が2,000万円を超えること。
  • その年の12月31日時点で合計価額が3億円以上の財産、または合計価額が1億円以上の有価証券等を所有すること。

【改正後】
改正前と同様に加えて、12月31日時点で合計価額が10億円以上の財産を所有する居住者も提出義務があります。

参考:財産債務調書制度及び国外財産調書制度が改正されました

2024年の確定申告の期限はいつからいつまで?

確定申告のやり方は?いつ、どうやってする?

確定申告の時期は、「毎年2月16日~3月15日」が原則となっています。

確定申告書類の提出期限
2024年2月16日(金)~3月15日(金)
※還付申告は5年間可能なので、申告期限後でも問題ありません。
所得税の納付期限
2024年3月15日(金)
※振替納税を選択した方は、振替日が2023年4月23日(火)です。
※確定申告延納の場合は、納期限・振替日ともに、2024年5月31日(金)です、

参考:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁

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2023年に提出する確定申告書類の変更点は?

2023年に提出する確定申告書は、従来に比べフォーマットが少し変わりました。

従来までは確定申告書A用と確定申告書B用に分かれていましたが、2023年からは書式が一本化されることも大きな変化と言えます。

確定申告書Aが廃止

2023年に提出する令和4年分の確定申告から、確定申告書Aの書式が廃止されます。昨年度までの申告においては、確定申告書Aがあり、確定申告書Bの簡易版のような位置づけでした。

サラリーマンで医療費控除などの適用を受ける人や、給与と年金がある人など向けに確定申告書Aという書式がありましたが、2023年からは1本化されます。したがって、提出の際はAとBの区別はなくなり「確定申告書」とのみ表示されます。

サラリーマンで、今までずっと確定申告書Aを利用していた人が確定申告書Bを使うと、項目が多く煩雑に感じられるかもしれませんが、基本的に違いはありません。

書式一本化の理由は特に述べられていませんが、デジタル時代に複数のフォーマットを持っておくよりも、簡素化したほうがよいという考えの表れかと思われます。

第一表に「修正申告」欄が追加

修正申告とは、確定申告期限後に本来納付すべき税額よりも少ない税額で申告してしまった場合に修正して申告することを言います。今回の変更では、申告書第一表に「修正申告」欄が設けられ、修正申告書(別表)第五表は廃止されます。

従来は修正申告の場合、申告書は原則として「第一表」と「第五表」(別表)の提出が必要でした。修正申告時には第五表に修正前の所得や税額、そして修正による増加する税額などを記載し、第一表には修正後の所得や税額を記載するというものでした。

従来の申告書の別表第五表には一度提出した申告書と同一のことを記載する部分が多かったこともあり、上記と同様、簡素化の表れでしょう。

第一表に「修正申告」欄が追加

出典:(左の図)申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)|国税庁令和 年分所得税及び復興特別所得税の申告書B、(右の図)所得税の確定申告|国税庁、令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)を加筆して作成

上記、申告書Aと第五表が廃止されることにより申告書の種類は次のようになります。

申告書Aと第五表の廃止による申告書の種類

収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応

個人事業主の場合、白色申告においては「収支内訳書」を確定申告書に添付して提出します。収支内訳書は事業所得や不動産所得などで必要とされてきましたが、これに加えて2023年の申告から一定の雑所得についても収支内訳書の提出が必要となります。

雑所得には、次の種類があります。

  • 公的年金等
  • 業務にかかるもの(副業の収入などで、営利を目的とした継続的なもの)
  • 上記以外

このうち、2つ目の業務にかかる雑所得について「前々年度の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書の提出が求められるようになりました。具体的な改正内容については、後述の「雑所得の計算に関する規定の明確化」で説明しています。

雑所得について、上記にあてはまる人は下記の欄の「雑(業務)」に丸をつけて提出しなければなりません。それ以外の個人事業主などは、「営業等」に丸をつけます。

収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応

出典:(上の図)申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)|国税庁令和 年分収支内訳書(一般用)|国税庁、(下の図)所得税の確定申告|国税庁令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)国税庁を加筆して作成

2023年の税制改正に伴う確定申告の変更点は?

次に制度として、2023年の税制改正によって変更された部分を見ていきましょう。税制改正によって、所得税だけでも多くの改正点がありますが、その中でも理解しておきたい3点を取り上げます。

住宅ローン控除の適用期限・借入限度額等の見直し

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを取得(リフォームも含む)等した場合において、一定の要件のもとに住宅ローンの年末残高を基に居住した年分以降の所得税額から一定の控除(住宅借入金等特別控除)を受けられるというものです。正式名称は、「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」と言います。

対象となる人は年内に住宅ローンを組み、一定のマイホームの取得やリフォームをして、そのマイホームに住む人となります。所得制限は2,000万円です。

この制度は、所得控除とは異なり「税額控除」であり、所得税額からの直接減額となるため、節税効果の高い制度となります。

主な変更点は以下の3点です。

  1. 住宅ローン控除の適用期限を4年延長し、2025年12月31日までに入居した人を対象とする
  2. 2050年カーボンニュートラル*の実現に向けた措置として、省エネ性能の高い住宅の取得を促す
  3. 控除率を改正前の1%から0.7%とする

※2020年10月、わが国は2050年までに温室効果ガスの排出と吸収を均衡させて、全体としてゼロにする宣言をしました。「カーボン」とは、二酸化炭素に限らずメタンガスなども含む「温室効果ガス」のことをいい、「ニュートラル」とは、排出量と吸収量の合計をゼロ(中立)にするという意味です。

参考:カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル|環境省

今回の改正では、残念ながら控除率は下がってしまい、所得税額から控除される控除額は次のとおりとなります。

住宅ローン控除額 = 年末時点での住宅ローンの残高 × 0.7%

 

さらに、住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が改正前の3,000万円以下から2,000万円以下と厳しくなっていますが、所得が1,000万円以下の人の床面積要件が緩和されるなどの見直しもあります。

居住用財産の買換え等に関する特例等の見直し

マイホームの買換えにあたっての特例が見直しをされました。この特例の正式名は、「特定の居住用財産の買替及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例」と言います。

マイホームを売却してその代わりのマイホームを買い換えた場合、一定の要件のもとに売却益の繰り延べができるというものです。利益の繰り延べというのは、非課税となるものではなく、買い換えたマイホームを将来売却するときまで課税を待ってくれるという意味です。

対象となる人は年内にマイホームを買い換えた際、買い換えたマイホームの価額のほうが安かったため、売却益が出た人です。

主な変更点は以下の2点です。

  1. 特例の適用期限を2年延長し、2023年12月31日までとする
  2. 買い換えた新築のマイホームが一定の省エネルギー基準に適合していること

この特例は売却にあたって利益のある人を対象としていますが、他に損失のある人についての規定の見直しもなされています。これらは、先の住宅ローン控除も含めて租税特別措置法という時限立法に規定されるものです。

参考:令和4年度税制改正の解説|財務省租税特別措置法等(所得税関係)の改正|財務省

社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に関する確定申告手続きの見直し

今回の改正では、手続き面における変更点もあります。年末調整や確定申告において、添付すべき「書面」を「電子データ」で提供できるようになりました。

もともと、年末調整や確定申告において下記の所得控除や税額控除を適用するためには、それぞれの証明書や根拠資料を添付又は提出時に提示する必要がありました。

【所得控除】

【税額控除】

  • 住宅ローン控除 (電子データ可)

これらのうち、すでに生命保険料控除をはじめとするいくつかの控除については、電子データでの提出が可能です。今回の改正により、さらに社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除も電子データでの提出が可能となりました。

対象となる人は、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除を適用する人で、控除証明書の発行者から電子データで証明を受けた人です。

参考:令和4年度 税制改正の解説|財務省所得税法等の改正|財務省

2022年までの確定申告の変更点

以下では、2022年以前における確定申告からの変更点で主だったものを解説します。

確定申告書の押印が不要に

2022年(令和3年分)確定申告から、手続きの簡素化による業務効率化や電子申告の普及により、税務関係書類の押印義務が原則としてなくなりました。税務関係書類とは、確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書などの書類や届出書などを指します。次のように確定申告書などの氏名欄の右側に㊞(押印欄)がなくなりました。

(上から確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書)

上から確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書

出典:(上の図)所得税の確定申告|国税庁、令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)、(中の図)申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)|国税庁令和 年分所得税青色申告決算書(一般用)、(下の図)申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)|国税庁令和 年分収支内訳書(一般用)を加筆して作成

ふるさと納税の添付書類の簡素化

2022年の令和3年分確定申告から、ふるさと納税における手続きが簡素化されました。

従来は、ふるさと納税による所得控除を受けるためには、それぞれの自治体から送付される寄附金受領証明書の添付が必要でした。2022年の令和3年分確定申告から、これに加えて「ふるなび」「さとふる」等ふるさと納税の指定業者サイトで行った寄付については、各指定業者のサイトからダウンロードする「寄附金控除に関する証明書」で証明できるようになりました。

寄付のたびに各自治体からの「寄附金受領証明書」待ちや紛失の心配がなくなって手続きが楽になりました。

参考:ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について|国税庁

子育てに関する助成等の非課税措置

2022年の令和3年分確定申告から一定の子育てに関する費用の助成が非課税となりました。

従来は、国や自治体などから子育て支援に関する助成金等を受けた場合は、原則として「雑所得」になり、確定申告をする必要がありました。これら保育を主とする国などからの助成金は、「子育て支援」の観点より、所得税、住民税ともに非課税となりました。

参考:No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁

雑所得の計算に関する規定の明確化

2021年の令和2年分確定申告から雑所得の計算区分が3区分となりました。令和2年分以降の確定申告書を見ると、収入欄も所得欄も雑所得は3区分になっていることがわかります。

この改正に対応し、2年後の2023年の令和4年分の確定申告から、先述の「収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応」でお伝えしたように、業務である雑所得の収支内訳書が必要となりました。

令和元年分以前の確定申告書の雑所得までは次の2つの区分でした。

  1. 公的年金等
  2. 上記以外

しかしながら、副業収入などを得る人が増えたことなどにより、公的年金以外の雑収入を「業務に係る雑所得」と「その他の雑所得」に区分することになりました。

この背景には、インターネットを利用した原稿収入や不用品販売、食料品配達など一般の人がモノやスキルなどを提供する新しい経済の動き(シェアリングエコノミー)が生まれたことがあります。また、暗号資産やFXなどの取引に係る所得区分も雑所得とされます。

個人が比較的着手しやすい業態が増えた一方で、それが必ずしも課税されていないことがあったための対応策と言えます。

雑所得の計算に関する規定の明確化

出典:(左の図)確定申告書(令和2年分以前用)|国税庁確定申告書B(令和元年分以降用)、(右の図)確定申告書(令和2年分以前用)|国税庁確定申告書B(令和2年分以降用)を加筆して作成

退職所得の課税方法の改正

2022年の令和3年分確定申告から、勤続年数5年以下かつ退職金が300万円を超える部分には退職所得の計算上、1/2の適用ができないことになりました。

もともと退職所得は、次のように計算して所得税の税率を掛けるしくみとなっていました。

課税退職所得 = (退職金支給額 - 退職所得控除額)× 1/2

 

従来、役員に対する退職金で、かつ、勤続年数が5年以下の場合には、所得を1/2にすることができないとされていた制度が改正により拡大されることとなりました。

したがって、勤続5年以下の退職所得の計算方法は300万円を境に次のようになりました。

■300万円以下の場合

(退職金支給額-退職所得控除額) × 1/2

 

■300万円超の場合

150万円 + {退職金支給額 - (300万円 + 退職所得控除額)}

 

もともと、退職所得とは勤務する会社への長年の貢献に対し、退職者への給料の後払いという性格があるため退職所得控除や1/2の制度がありましたが、短期で多くの退職金を得る場合には増税となりました。

参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

e-Taxまたは電子帳簿保存による65万円の青色申告特別控除の適用

2021年の令和2年分確定申告から青色申告特別控除の要件が改正されました。

青色申告特別控除として最高額65万円の適用を受けるためには、e-Taxによる申告(電子申告)もしくは電子帳簿保存を行うことがこれまでの要件に加わりました。

すなわち、65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには次の2要件が必要となります。

 

  • 上記に上乗せ10万円の控除を受けるための要件
    次のいずれかを利用すること

    • e-Taxを利用して確定申告及び決算書のデータを送信する
    • 電子帳簿保存を利用する

ここで注意したいのは、次の電子帳簿保存制度にも関連しますが、上乗せの10万円控除のための「電子帳簿保存の利用」とは、税務署に届け出を提出して電子帳簿保存をする方法でなければなりません。

2022年1月から事前承認の不要な電子帳簿保存も始まりましたが、55万円にさらに上乗せ10万円の控除を得るためには、e-Taxにしろ、電子帳簿保存にしろ、最初に税務署への届け出が必要です。

参考:パンフレット・手引|国税庁e-Tax又は電子帳簿保存を行うと65万円の青色申告控除が受けられます(令和3年10月)|国税庁

電子帳簿保存制度の改正

2022年1月から電子帳簿保存法が改正されました。

電子帳簿保存法では、電子データによる保存は大きく次の3種類に区分されています。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引

大きな改正点は、電子帳簿等保存においては税務署長の事前承認が原則として廃止されたことです。また、スキャナ保存に関する要件も緩和されました。この電子帳簿保存とスキャナ保存については、従来の紙による保存でも問題ありませんが、電子取引についての取扱いには要注意です。

電子取引については、所得税・法人税の書類帳簿義務のある人全員が対応すべきものです。例えば、電子メールを通じた請求書、WEB上からダウンロードする領収書など、紙を利用しないで取引が完結する取引においては、それぞれの電子データを保存する必要があります。

なお、2022年1月から2023年12月末までは猶予期間とされ、電子取引においてもプリントアウトによる紙の保存も認められます。しかし、2024年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要となります。

参考:令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて|国税庁電子帳簿保存法が改正されました|国税庁パンフレット・手引|国税庁電子取引データの保存方法をご確認ください(令和3年12月改訂)|国税庁

確定申告の変更点を把握してからとりかかろう!

確定申告における変更点は、国税庁サイトやパンフレットなどでアナウンスはされますが、変更点のうち自分自身の申告が関係するかどうかは、本人でないとわかりません。

標準的なパンフレットとしては、毎年年末ぐらいになると国税庁が発行する年度別の「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」が挙げられます。その年に必要なことはひととおり記載されていますが、不明な部分は早めに解決しておきましょう。

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