• 作成日 : 2021年6月4日

更正の請求とは?期限や書き方を理解する

更正の請求とは?期限や書き方を理解する

更正の請求とは、確定申告を行った後で申告内容の間違いに気づいた際に行う手続きです。いわゆる還付金の申請になるため、審査に通れば税金を取り戻せます。

当記事では更正の請求の概要や訂正申告・修正申告との違い、更正の請求の申告期限、必要書類、書き方などを解説します。

更正の請求とは

更正の請求とは確定申告が終了して申告期限(2月中旬~3月中旬)が過ぎた後、本来支払うべき税金よりも多い金額を納めたり、還付金の金額を少なく申告したりした場合に行う手続きのことです。所得税や消費税、法人税、相続税、贈与税などが申請できます。

・所得税額30万円で納めたが、確定申告後に計算すると25万円で5万円多く支払っていた
・還付金3万円で申告したが、経費の計上漏れがあった影響で5万円還付が正しかった
など

上記のケースが判明した場合、確定申告を行った税務署へ「更正の請求書」を提出することで、納めすぎた税金が返ってくる可能性があります。

ただし、あくまで申告が認められた場合です。もし認められなかったときは税務署へ再調査の請求、もしくは国税不服審判所への審査請求のいずれかを求めることも可能です(再調査の請求が不服なときは、追加で審査請求できる)。過去の判例については国税不服審判所のHPにて確認できます。

なお、更正の請求は実施しなくても違法ではありません。納め過ぎとはいえど、支払うべき税金は問題なく納めているためです。

以下では更正の請求が発生する具体的なケースや修正申告・訂正申告との違い、更正の請求範囲の拡大について解説します。

更正の請求が発生するケース

更正の請求は「各税法の規定に従わずに申告した場合」と「計算に誤りがあって納付すべき税額が過大になった場合」に当てはまると申告できます。

具体的には次のケースです。

  • 二重計上などで売上を過大に申告し余計な所得税を支払った
  • 消費税の計算を間違えていた
  • 事業に関係する経費関係の計上が漏れて計算に反映されていなかった
  • 医療費控除や住宅ローン控除などの各控除について記入漏れがあった
  • 欠損金の繰越控除を適用するときに繰り越す金額を少なく申告した
  • ふるさと納税による控除の記入漏れや計算ミスがあった

など

とくにふるさと納税関連は、自分で計算したり各自治体への手続きが発生したりする影響で、ミスが出やすいため注意が必要です。

また、自営業者(フリーランス)は、サラリーマンのようにふるさと納税のワンストップ特例制度(確定申告しなくても控除が受けられる制度)が使えません。計算間違いや記入忘れがないようにしましょう。

確定申告の修正申告や訂正申告との違い

この更正の請求以外に確定申告の内容を修正する手続きとして、訂正申告や修正申告があります。違いは「期限内の修正であるか」や「修正の内容が税金の過少申告であるか」です。以下では、それぞれの概要や更正の請求との違いをみていきます。

訂正申告

訂正申告は「申告内容の間違いを確定申告の期限内に気づいた場合」に行う手続きです。申告した納税額が多すぎても少なすぎても、期限内に直して申請すればすべて訂正申告になります。

訂正申告の手続きは簡単です。確定申告の期限までに「内容を修正し、赤字で訂正申告とわかるように明記した確定申告書や決算書」を提出するだけで完了します。最初の確定申告と同じ様式で行いましょう。

訂正申告
e-Taxでの電子申請の場合は、訂正後の申告データの送信のみです。ただし修正していない帳票類もすべて再送信する必要があります。

修正申告

修正申告は「確定申告の期限が過ぎた後に、本来支払うべき納税額よりも少なく申告した場合」に行う手続きです。自分で気づいて修正した場合は延滞税のみを追加で支払います。税務調査や税務署からの指摘で発覚した場合は、延滞税に加えて過少申告加算税や重加算税が課せられます。

修正申告を行うには、修正内容を反映した新たな確定申告書の作成に加え、修正前の数値や酒精で増額した税額を記した修正申告書の作成が必要です。
修正申告
【参考】国税庁|令和〇年分の修正申告書 所得税及び復興特別所得税 (別表)
修正申告に関しては、以下の記事でわかりやすく解説しています。

更正の請求範囲の拡大

当初の申告がなければ適用されないという要件のあった措置について、一定のものは更正の請求の際にも適用されるようになっています。

当初の申告で記載された金額に限定される「控除額の制限」の措置についても、更正の請求で計算された適正な控除額まで増額できることになりました。

また平成24年2月2日以後の更正の請求より、虚偽の内容を記載して提出した場合に「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます。

更正の請求期限

更正の請求が認められる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。もともとが期限外で行う手続きであるため、提出は通常の確定申告の期限である2月中旬~3月中旬中でなくても問題ありません。

以前は1年以内が期限でした。しかし法改正により、2011年12月2日以後のものについては、原則5年以内に延長された経緯があります。

ただし、国税通則法第23条の2にある「後発的理由による更正の請求」の場合は、請求期限が過ぎても理由が生じた2ヶ月以内であれば更正の請求が可能です。例えば「帳簿が押収されて更正の請求ができなかったが、無罪が確定した後に帳簿が返ってきた」なども後発的理由として認められます。

さまざまな法解釈や状況次第によるので、適用する場合は税理士を始めとする専門家に相談することをおすすめします。

更正の請求ができないケース

更正の請求ができる条件は「税法の規定に従っていなかった場合」と「計算ミス等があった場合」のケースで納税額を過大に申告したときに限られます。当てはまらなければ更正の請求が認められません。

例えば人物Aが配当所得を少額配当等として申告金額に含めずに確定申告したとき、後から「やっぱり総合課税に含めたい」と更正の請求を行ったとしても、それは「確定申告を要しない配当所得として正式に税制度を適用した」と見なされた判例があります。

また相続税法等で複数の制度から1つだけ選ぶの場合、Aの制度を適用して確定申告した後に「Bの制度で計算したらこちらのほうが節税できる」として更正の請求を行った場合も、「自由意志かつ正式な手続きで制度を選択した」として認められなかった判例もあります。

このように「正式に税法を適用したけど他の制度に代えたい」という場合は更正の請求はできないと考えておきましょう。

更正の請求に必要な書類

更正の請求を行うときに必要な書類は次のとおりです。

必要書類概要
税の種類ごとの更正の請求書
確定申告書の控え提出はしないが更正の請求書の作成に使用
請求の根拠となる書類のコピー
など
本人確認書類のコピーマイナンバーカードや運転免許証など

【参考】国税庁|更正請求添付書類について
更正の請求書以外は通常の確定申告で用意するものと変わりません。更正の請求書も税務署や国税庁のHPで手に入るため、書類を揃えるのに苦労することはないでしょう。

請求書の書き方

更正の請求書の作成は、確定申告書の控えや帳簿、経費関係の書類さえ揃っていれば難しくありません。確定申告書の数値を転載しつつ、変更がある部分を計算して記載しましょう。提出方法に関しても通常の確定申告と大きくは変わりません。確定申告を行った税務署へもう一度申請しましょう。

更正の請求書の書き方や更正の請求の申請方法について解説します。

更正の請求書の書き方例

更正の請求書にある各欄の記載についてみていきます。(6)~(10)に関しては、左側の欄は提出した確定申告の数値を転載し、右側には更正の請求後の数値を記載しましょう(数値が変わらない場合もそのまま記載)。

今回は所得税および復興特別所得税をもとに記しています。
更正の請求書の書き方例
(1)更正の請求をする者の12桁の個人番号を記載。

(2)どの年度分であるか(令和もしくは平成◯年度分)と、訂正する申告・処分の種類(確定申告、決定通知など)を記載。

(3)原則は申告した年月日または処分通知を受けた日を記載。ただし、法令に規定する事実に基づいた際には、その事実が生じた日となる。

(4)請求の理由や請求に至る事情を詳細に記載。「売上を二重に計上してしまい、所得を過大に申告したため」など。

(5)更正の請求書に添付した書類の名前を記載。「決算書や帳簿書類」「医療費関係の領収書」「社会保険料控除証明書」「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」など。
更正の請求書の書き方例2

(6)欄の左側に申告した所得額。欄の右側に更正の請求後の所得額。(※)の部分は山林所得や退職所得、上場株式等の分離配当所得等など総合課税と別の税額があれば記載。

(7)欄の左側に申告した控除額。欄に右側に更正の請求後の控除額。

(8)欄の左側に申告した課税所得額や税額。右側に更正の請求後の課税所得額や税額。

(9)特別な控除がある場合に記載。

(10)左側に申告した納税額や還付金額。右側に更正の請求の納税額や還付金額を計算して記載。

更正の請求書の書き方例3
(11)還付金の銀行口座を記載。

所得金額や控除金額の変更については、根拠となる書類や帳簿の準備を忘れないようにしましょう。

更正の請求の申請方法

更正の請求書や添付書類は、確定申告の手続きと同じように確定申告を行った税務署へ提出します。「税務署の窓口へ直接提出」と「郵送」、「e-Taxによる電子申請」の3種類いずれかの方法です。

更正の請求の申請が終わった後は、税務署が「この更正の請求は適切であるのか」「申告額は間違っていないか」などを審査します。審査終了後に更正が認められれば還付金振り込み、認められなければ「更正すべき理由がない旨の通知書」が来ます。

もし税務署の処分について不満がある場合は、税務署もしくは国税不服審判所への不服申立てが可能です。

税金の還付はいつ?

通常の確定申告による還付金の場合は、確定申告後おおよそ1~2ヶ月(e-Taxの場合は3週間)ほどで振り込まれます。しかし更正の請求の場合は税務署の審査から始まるため、通常の還付金よりも振り込まれるのが遅くなる可能性があります。申し出の内容や時期にも左右されるため、具体的な期限は不明です。

調査等に要する時間は申出の内容等によって異なります(内容が複雑で相当の時間を要する場合や、申告書の簡易な誤りなど時間を要しない場合もあります)ので、納めすぎの税金があることなどに気付いたときは、早めに税務署にご相談ください。

例えば確定申告や税務調査などで税務署が忙しい時期は遅くなる可能性が高いです。原則5年以内であればいつ申請しても問題ないので、確定申告の時期は避けておいたほうが無難と考えられます。

確定申告から5年以内なら更正の請求ができないか確認しよう

更正の請求についてポイントをまとめました。

  • 本来の納税額より多めの金額を申告した、もしくは還付金を少なく申告した場合に行う
  • 確定申告の期限が過ぎた後に行う
  • 期限内に修正できるなら訂正申告、期限外かつ納税額が増える場合は修正申告になる
  • 請求期限は原則として5年以内である
  • 規定の適用間違いや計算間違いでない限りは更正の請求はできない

もし確定申告期限が過ぎた後に売上の二重計上や経費の計上漏れなどが発覚した場合は、更正の請求で税金の払い戻しを受けましょう。

通常の確定申告について詳しく知りたい場合は、以下の記事でわかりやすく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

【参考】
国税庁|[手続名]税務署長又は国税局長が行った更正や決定、滞納処分などに不服があるときの再調査の請求手続
国税不服審判所|Q)税務署長等の処分に不服があるときは?
国税不服審判所|再調査の請求との関係
国税庁|[手続名]消費税及び地方消費税の更正の請求手続(法人用)
国税庁|【申告が間違っていた場合】

よくある質問

更正の請求って?

確定申告が終わった後に過大な申告税額に気づいたとき、修正して申告し直すことでし。還付金が受け取れます。詳しくはこちらをご覧ください。

更正の請求ができるケースは?

確定申告で売上を過大に申告、経費関係の計上漏れ、各種控除額の記入漏れ、計算ミスなどのあるケースです。 詳しくはこちらをご覧ください。

更正の請求ができないケースは?

「各税法の規定に従っていなかった」および「計算に誤りがあって納付すべき税額が過大になった」に当てはまらない場合です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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