- 更新日 : 2025年3月11日
個人事業主も社会保険適用拡大の対象!常時5人以上の個人事業所の対応を解説
社会保険の適用拡大により、個人事業主も社会保険加入が必要です。この記事を読めば、「個人事業主で社会保険が対象になる基準は?」「社会保険適用の事務手続きがわからない」という悩みを解決できます。本記事で、社会保険適用拡大の概要や、社会保険の仕組み等について確認していきましょう。
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個人事業主も社会保険適用拡大の対象
法人だけでなく、個人事業主も社会保険適用拡大の対象です。2024年10月に法改正があって、社会保険の適用される事業所が増えました。
2024年の改正前にも直近では、2016年と2022年に改正があり、2016年から特定適用事業所が設定されます。特定適用事業所になると短時間労働者の社会保険加入が義務となります。
社会保険適用拡大の詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
社会保険適用拡大とは
2024年の社会保険適用拡大によって、常時51人以上の事業所は短時間労働者も社会保険適用となりました。改正前は501人以上の企業が対象だったため、大幅に対象事業所が拡大となります。
短時間労働者は、配偶者の扶養に入っているパートやアルバイトも多いです。社会保険が適用になると働けなくなる人も出てくるため注意するべきでしょう。
個人事業主が運営する「個人事業所」も社会保険適用拡大の対象
常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所は、社会保険の強制加入が必要となりました。改正前は個人事業所の社会保険加入が必須ではなかったため、個人事業主固有のメリットでもあります。
しかし、社会保険の適用拡大によって個人事業所で社会保険に加入する場面が増えるため、条件や注意点などを確認していきましょう。
個人事業所が社会保険の強制適用となる条件
個人事業所が社会保険の強制適用となる条件は以下の2つです。
- 従業員が常時5人以上いること
- 法定17業種に該当すること
社会保険の適用条件は徐々に拡大されていますが、従業員の人数については条件が変更されることは少なくなっています。
従業員が常時5人以上いること
個人事業所に常時5人以上の従業員がいる場合は、社会保険の加入義務が発生します。常時という条件があるため、短期アルバイトや季節労働者は計算から除外しましょう。
また、社会保険加入義務がある従業員は70歳未満の年齢が対象のため、ベテラン従業員が多い場合は注意が必要です。
法定17業種に該当すること
社会保険の適用業種は法定17業種と呼ばれています。対象の業種は製造業や卸売業など、幅広い業種で社会保険の適用が必要です。
反対に適用対象外の業種は、農業や漁業などの食べ物に関わる業種が多くあります。第一次産業は、従業員の雇用形態が特殊なことも多いため、非適用業種に選ばれています。
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個人事業所の社会保険の適用拡大はいつから?
2022年10月1日、個人事業主の社会保険の適用範囲が拡大されました。具体的には、社会保険適用対象業種が16種類から17種類になりました。
この改正では、士業の社会保険適用が拡大となり、弁護士や税理士、公認会計士などが対象です。
対象の業種となっていても、従業員の数が定員以下であれば社会保険の適用拡大の影響を受けません。そのため、自分の業種と従業員数を確認して、社会保険適用かどうかを確認しておきましょう。
個人事業所が社会保険に加入する場合に必要な書類
個人事業主が社会保険加入に必要な書類は以下の3つです。
- 新規適用届
- 被保険者資格取得届
- 被扶養者(異動)届
新規適用届
新規適用届は、健康保険と厚生年金に初めて加入する時に提出する書類です。新規適用届の提出時には、3ヶ月以内に発行された会社の登記簿謄本の原本を添付します。登記簿謄本は、最寄りの法務局で簡単に発行可能です。
被保険者資格取得届
被保険者資格取得届は、従業員が健康保険と厚生年金の被保険者になるための書類です。役員や従業員を含めた被保険者全員分の提出が必要となります。申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードが可能です。
被保険者資格取得届を提出する場合は、基本的に添付書類が不要となりますが、60歳以上の人が退職後1日以内に雇用された時などは所定の書類を提出します。
被扶養者(異動)届
被扶養者届は、役員や従業員に扶養家族がいる場合に提出する書類です。被保険者資格取得届と同様に、日本年金機構のページからダウンロード可能となります。家族の確認書類として、住民票や戸籍謄本の添付が必要です。
個人事業所が社会保険に加入した場合の保険料負担額
個人事業所が社会保険に加入した場合は、個人事業主と従業員が折半で保険料を負担します。従業員の保険料は毎月の給与から天引きされて、事業主がまとめて保険料を支払う流れになります。
東京都で30代の従業員を毎月20万円で雇っている場合の事例を紹介してみましょう。
従業員の給与が20万円の時は、個人事業主の支払う健康保険料が9,980円、厚生年金保険料が1万8,300円です。合わせると毎月2万8,280円の負担で、年間にすると33万9,360円という大きな負担が発生します。
また、個人事業主の負担分は経費に計上できるため、事業主自身に発生する国民年金などと取り扱いが変わることにも注意しましょう。
個人事業所の社会保険適用拡大に関する今後の見通し
2024年10月1日施行の改正により、短時間労働者も社会保険の適用対象となりました。社会保険の加入義務が発生するのは、以下の要件を満たす従業員です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
週の所定労働時間が20時間以上
週の所定労働時間は、雇用契約書や就業規則で決められた時間数を計算します。判断の基準は、短時間労働者の働く必要がある1週間の時間が20時間以上になるかどうかです。偶然忙しくなった場合などで残業が増えたとしても、20時間を超えたと判断することはありません。
月額賃金が8.8万円以上
月額賃金は、時給や日給の賃金額を1ヶ月に換算して判断します。注意点としては、賞与や一時的に支給される手当は計算から除外されることです。通勤手当や家族手当、割増賃金などを除いて、純粋な賃金を計算しましょう。
2ヶ月を超える雇用の見込みがある
2ヶ月以上雇用の定義には、更新が見込まれる契約や無期雇用の場合も対象となります。労働者を雇い入れた当初に契約期間が2ヶ月以内であった場合でも、就業規則に更新の可能性が記載されていることも多いです。
学生ではない
専門学校や大学などの学生は、社会保険適用拡大の対象外です。しかし、休学中の学生や夜間授業の学生、卒業前に就職している場合などは社会保険の対象になる可能性があります。
個人事業所の社会保険適用拡大への対応策
社会保険適用拡大への対応策は以下の2つです。
- 業務効率化により人件費を最適化する
- 助成金、補助金を活用する
社会保険は従業員が負担する金額の同額を事業主が負担するため、従業員の人数が多くなると大きな出費となります。そのため、社会保険の適用拡大に対して、事前に準備するべきでしょう。
業務効率化により人件費を最適化する
社会保険料は人件費が多くなると負担も大きくなるため、業務効率化によって人件費を最適化することで対策可能です。業務を効率化すると、同じ時間で大きな成果や売上を得られるため、社会保険料の負担が大きくても収益量で賄えます。
業務効率化の代表例として設備投資があり、一時的に大きな出費があったとしても後の人件費や社会保険料を削減することで、長期的に見て利益が伸びる仕組みです。
助成金・補助金を活用する
社会保険適用に伴って、助成金や補助金を活用することで、負担を軽減できます。
たとえば、キャリアアップ助成金では従業員に社会保険促進手当を支給して、助成金を受けられます。社会保険は給与天引きのため、従業員の手取りが減る仕組みです。
単純に社会保険を適用するだけだと、従業員からの反感が出てしまう可能性もあるため、助成金の利用で給与を上乗せ支給可能となります。
個人事業主が社会保険適用になる要件2選
個人事業主が社会保険の強制適用となる条件は以下の2つです。
- 従業員が常時5人以上いること
- 法定17業種に該当すること
個人事業主が社会保険の適用条件を覚えておくことで、従業員の採用人数を決める材料にできます。社会保険に加入することは従業員にとってはメリットにもなり得るため、社会保険が適用になりそうであれば、福利厚生として負担できる金額を確認しておきましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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