• 更新日 : 2025年3月13日

確定申告での源泉徴収票の見方は?添付は不要です

給与所得や公的年金等の雑所得がある方で、医療費控除寄附金控除等により所得税の還付を受けるため確定申告をするケースがあります。また、事業所得や不動産所得がある方が副業として給与を受け取ったときに、給与所得を合算して確定申告するといったケースもあります。

この記事では、確定申告書に金額を転記する際に基礎資料となる「給与所得の源泉徴収票」について、記載されている各項目の概要や確定申告書への転記方法などについて解説します。

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源泉徴収票の添付は不要

給与所得の源泉徴収票については、令和2年分(2020年分)の確定申告から添付が不要となりました。

給与所得のある方については、源泉徴収票で一旦所得税の精算が終了しているため、源泉徴収票に記載された金額をもとに確定申告ができます。

確定申告書に源泉徴収票の添付は不要ですが、記入時に源泉徴収票のそれぞれの金額を転記するため準備が必要です。

確定申告でチェックすべき源泉徴収票の項目

「給与所得の源泉徴収票」は給与等の支払をした法人や個人(支払者)が給与等を受け取った人(受給者)に対して必ず発行しなければならない帳票です。

確定申告をするためには、まず「給与所得の源泉徴収票」を入手するところから始めます。

「給与所得の源泉徴収票」とは何か?

「給与所得の源泉徴収票」には定型のフォーマットがあります。

給与所得の源泉徴収票

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

国税庁のホームページでは、手書用と入力用のフォーマットが提供されています。

「給与所得の源泉徴収票」の各項目の概要

では次に「給与所得の源泉徴収票」に記載されている項目について解説していきます。

給与所得源泉徴収票各項目概要1

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

①「支払金額」
1年間で支払を受けた給与や賞与の合計額が記載されています。
支払を受けた金額とは「1月1日から12月31日」までの間、実際に支給された金額を指します。したがって、12月分の給与が翌年の1月に支払われるようなケースでは12月分は含まれません。
また、通勤手当が支給されている場合には通勤手段や通勤距離に応じた「非課税限度額」が定められており、総支給額から非課税限度額内の通勤手当を控除した残高(課税支給額)が記載されます。

②「給与所得控除後の金額(調整控除後)」
給与所得控除とは簡単にいうと「サラリーマンの必要経費」のことです。
①の支払金額のうち、法律で定められた一定の金額を支払金額から控除できます。所得税の計算をする際にはこの「給与所得控除後の金額」からスタートします。

さらに、年末調整において子ども・特別障害者等を有する者等については「所得金額調整控除申告書」を給与支払者を通じて税務署に提出した場合に、所得金額調整控除が適用されます。②の金額は、この控除の適用者については適用後の金額が記載されます。
また、源泉徴収票内の「所得金額調整控除」欄に金額が表示されます。

ちなみに給与所得の精算業務である「年末調整」を会社でしなかった場合(年調未済)②の欄は空欄となります。

③「所得控除の額の合計額」
会社の「年末調整」で受けた、社会保険料等や生命保険料、地震保険料、扶養親族など
各種控除の合計額が記載されています。
③も②と同様、会社で「年末調整」をしなかった場合には空欄となります。

④「源泉徴収税額」
会社で「年末調整」をした場合には、②「給与所得控除後の金額」や③「所得控除の額の合計額」などから計算した年税額(年調年税額)が記載されます。
会社で「年末調整」をしなかった場合には、毎月の給与等から差し引かれた源泉所得税の合計額がそのまま記載されます。

給与所得源泉徴収票各項目概要2

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑤ 扶養親族等の情報
ここには受給者が扶養している「配偶者」や「扶養親族」などの人数が記載されています。親族の年齢や所得金額に応じて記載される欄が変わってきます。

扶養親族等について、所得金額から控除できる金額については以下を参照してください。

さらに一番右端の欄には、国外居住親族が扶養控除又は障害者控除の適用を受ける場合は、親族関係書類・送金関係書類を添付しますが、その親族の数が記載されます。

給与所得源泉徴収票各項目概要3

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑥「社会保険料控除の金額」
給与等から差し引かれた社会保険料(健康保険料や厚生年金雇用保険料など)や受給者が負担した国民健康保険料や国民年金などの金額が記載されます。

⑦「生命保険料の控除額」
受給者が支払った生命保険料については、種類に応じて一定額まで控除を受けることができます。控除を受けた合計額が記載されます。

⑧「地震保険料の控除額」
受給者が支払った地震保険料については、種類に応じて一定額まで控除を受けることができます。控除を受けた合計額が記載されます。

⑨「住宅借入金等特別控除の額」
住宅を取得したときに金融機関等から借入をして、返済中である場合には一定期間、所得税の計算で特別控除を受けることができます。

源泉徴収票には「住宅借入金等特別控除」を受けた2年目以降に金額が記載されます。

さらに基礎控除の額の右に、先述した所得金額調整控除額がある場合には記載されます。

給与所得源泉徴収票各項目概要4

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑩ 上記⑥~⑨の内訳
上記⑥~⑨で控除を受けた金額の内訳などとともに、基礎控除、所得金額調整控除を記載する欄です。

給与所得源泉徴収票各項目概要5

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑪ 上記⑤の内訳
上記⑤で記載した配偶者や扶養親族等の情報が記載されています。

給与所得源泉徴収票各項目概要6

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑫ 受給者本人の状況、入退社情報、生年月日
この欄には、乙欄者や障害者などの受給者本人の状況や生年月日が記載されます。
また、年の途中で入退社があった場合には、入退社年月日が記載されます。

給与所得源泉徴収票各項目概要7

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

⑬「支払者」
給与等の支払者の氏名又は名称や住所、電話番号などが記載されています。
確定申告書には⑬に記載された「支払者」を転記しなければなりません。

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源泉徴収票の確定申告書への転記

確定申告書は「第一表」と「第二表」をセットで作成する必要があります。

「給与所得の源泉徴収票」の「第二表」への転記

計算違いや記載漏れをなくすため、源泉徴収票をもとに第二表を先に記入してから、第一表に合計額を転記という手順で進めていくのがおすすめです。

「給与所得の源泉徴収票」の「第二表」への転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

まず「給与所得の源泉徴収票」から①「支払金額」④「源泉徴収税額」を第二表「所得の内訳」欄に転記します。

給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には2段目以降に順次転記していきます。給与支払者も忘れずに記載しましょう。

次に⑥「社会保険料等の金額」を転記していきます。

「保険料等の種類」の欄に「源泉徴収票の通り」と書いて合計額を転記すればOKです。
源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それぞれの社会保険料等の金額を各段に記載していき、最後に合計額を計算します。

また、社会保険料の上段内書き(小規模企業共済等)がある場合には『小規模企業共済等掛金控除』の欄に分けて記載します。

「給与所得の源泉徴収票」の「第二表」への転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に「生命保険料の支払金額」「地震保険料の支払金額」を転記していきます。

支払った保険料の合計額を転記しますが、⑦「生命保険料の控除額」⑧「地震保険料の控除額」を間違って転記しないよう注意が必要です。

なお、年末調整で未提出の生命保険料の証明書などがある場合には「うち年末調整等以外」の欄に記載し、支払い保険料等の計に加算します。

⑫「本人に関する事項」を転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に⑫「本人に関する事項」を転記していきます。

源泉徴収票の該当する項目にチェックをつけていきます。該当する項目がなければ空欄のままで構いません。

⑪「配偶者や親族に関する事項」を転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に⑪「配偶者や親族に関する事項」を転記していきます。

源泉徴収票に記載された配偶者や控除対象扶養親族、16歳未満の扶養親族(年少扶養)を転記していきます。

ここまで転記すれば第二表の作成は終了です。

「第一表」への転記

①「収入金額」④「源泉徴収税額」を転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に第二表で転記した合計額を第一表に書き写します。

まずは①「収入金額」④「源泉徴収税額」をそれぞれ転記していきます。

ここで注意したいのが、源泉徴収票が2枚以上ある場合には必ず合計金額を記載するという点です。

①「収入金額」の合計額に応じた「給与所得控除後の金額」を記載

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

①「収入金額」の合計額に応じた「給与所得控除後の金額」を記載していきます。
源泉徴収票が1枚だけであれば②「給与所得控除後の金額(調整控除後)」の金額を転記するだけです。しかし源泉徴収票が2枚以上ある場合には「給与所得控除後の給与等の金額の表」から該当する金額を探して記載しなければなりません。

⑥「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」⑦「生命保険料控除」⑧「地震保険料控除」を転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に保険料控除等に関する事項を記載していきます。

⑥「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」については第二表の合計額、⑦「生命保険料控除」⑧「地震保険料控除」については源泉徴収票からそれぞれ記載します。

⑪「配偶者控除」「扶養控除」⑫「寡婦、ひとり親控除」「勤労学生、障害者控除」の控除額を記載

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

次に本人に関する事項及び配偶者・親族に関する事項を記載していきます。

⑪「配偶者控除」「扶養控除」⑫「寡婦、ひとり親控除」「勤労学生、障害者控除」の控除額を自分で計算し記載します。

なお、控除額については以下のリンクを参照してください。

参考:令和6年分 年末調整のしかた

⑨「住宅借入金等特別控除の額」を転記

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

最後に⑨「住宅借入金等特別控除の額」が記載されている場合はここで転記します。

これで源泉徴収票の確定申告書への転記は完了です。

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よくある質問

確定申告で源泉徴収票は不要?

マイナンバー制度の導入で、税務署側で源泉徴収票を確認できるため、源泉徴収票の添付は不要です。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収票の確定申告への転記はどうすればいい?

まずは源泉徴収票の記載内容を「第二表」に転記します。転記が終わったところでさらに「第一表」に転記して申告書全体を完成させます。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収票を失くしてしまったら?

源泉徴収票がなければ確定申告に必要な収入金額や源泉徴収税額のデータを記載できません。失くしてしまった場合には給与の支払者に再発行を依頼しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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