- 更新日 : 2025年2月27日
個人事業主の接待交際費の平均は?いくらまで経費になる?
個人事業主は事業に関連して接待交際費を支出したとき、経費に計上できます。使用できる接待交際費に上限はありませんが、実際に使用されている金額の平均は月額1万円程度で、収入に対する割合は少なめです。
本記事では、個人事業主が支出する接待交際費の平均や計上できる支出、ほかの費用との違いなどを解説します。
目次
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個人事業主の接待交際費の平均は?
個人事業主が取引先を接待するために飲食したり、贈り物をしたりした場合、接待交際費として経費にできます。
ここでは、個人事業主の接待交際費の概要や、平均額について解説します。
個人事業主の接待交際費とは
接待交際費とは、事業にかかわる人に対して接待や贈り物をするときに支払った費用のことです。接待交際費を支払った場合、経費に計上できます。接待は食事や飲み会、旅行、ゴルフなどさまざまなものが対象になります。慶弔での支出やお中元なども、接待交際費に入ります。
経費として落とせるのはあくまで事業に関連する支出のみで、仕事と関係のない会食や、プライベートな支出は経費にできません。また、計上できる金額に制限は定められていません。
個人事業主の接待交際費の平均
民間会社の調査によれば、個人事業主が支出した接待交際費の1ヶ月の平均額は、約1万円程度です。「0円」という回答も約4割を占めています。
業種ではサービス業がやや多く、交流を深める目的の接待が多い傾向にあります。接待交際費に対する考え方では、その必要性を感じている個人事業主が多く、仕事には直接結びつかないと認識しながらも投資と捉えて支出する個人事業主が多い状況です。
法人との違い
法人の場合も、経費となる支出の範囲は個人事業主と変わりありません。個人事業主と異なるのは、法人税法上、接待交際費に計上できる金額が資本金額に応じて上限が定められているという点です。
資本金1億円以下の中小企業の場合は、接待交際費の800万円までは全額、もしくは接待交際費のうちの接待飲食費の50%を超える部分を計上できます。
資本金が1億円を超える大企業の場合、接待交際費のうちの接待飲食費の50%を経費にできることになっています。
個人事業主の接待交際費には何が含まれる?
接待交際費にできる支出とできない支出は、次のとおりです。
計上できる支出 |
|
---|---|
計上できない支出 |
|
ここでは、それぞれの支出を詳しく解説します。
接待交際費として計上できる支出
個人事業主が接待交際費として計上できる支出は、取引先との飲食代や旅行、イベント・パーティーの開催など、事業に関連するものであれば幅広く認められます。
贈り物や慶弔費は社会的な礼儀として渡すため、接待交際費にできます。しかし、社会通念から考えて明らかに高額な場合は、税務署から指摘される可能性があるため、注意が必要です。
接待交際費として計上できない支出
接待交際費として経費に落とせるのは事業目的による支出のみで、個人事業主1人の飲食代や、贈答品にプライベート部分が混在する場合のプライベート部分は経費にできません。
事業に関連する会食であっても、合計金額を人数で割ったとき、1人あたりの金額が1万円以下の場合は接待交際費として計上しなくてもかまいません。
たとえば、3人を接待して2万円を支払った場合、1人についての金額は1万円以下になるため、接待交際費にはならず、「会議費」など別の勘定科目で経費計上してもよいことになっています。
また、取引先を旅行に接待する際に親族を同行させた場合、事業に携わらない親族の支出分については、接待交際費にできません。
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個人事業主の接待交際費と似た経費との違い
接待交際費と似た勘定科目に、会議費や福利厚生費、広告宣伝費、旅費交通費があげられます。これらとはどのように区別するのか、違いを確認していきましょう。
接待交際費と会議費との違い
会議費とは、取引先との打ち合わせや、社内会議のために支出した費用のことです。接待交際費とは、打ち合わせが行われたか、単なる飲食であるかという点で区別されます。議事録が残っていれば会議費、ない場合は接待交際費と判断できます。
また、飲食の代金が1人あたり1万円以下の場合は、接待交際費で計上しなくてよいこととなっており、会議費の勘定科目で計上することが多いでしょう。
接待交際費と福利厚生費との違い
福利厚生費とは、従業員やその家族のために支払う給与・賞与以外の費用のことです。社会保険などの法定福利や、家族手当、慶弔見舞金などの法定外福利があります。
接待交際費と福利厚生費とは、対象が取引先や事業関係者か、従業員およびその家族のみかという点が異なります。
たとえば、プロジェクトが終了した後の飲み会など、社外の人と従業員が一緒の飲食は接待交際費となりますが、従業員を労う目的で開催される飲み会は、福利厚生費となります。
接待交際費と広告宣伝費との違い
広告宣伝費とは、不特定多数の人に事業を宣伝するために支出した費用のことです。接待交際費とは、不特定多数の人を対象とするか、事業関係者を対象とするかという点が異なります。
また、広告宣伝費は宣伝効果を得ることを目的に支出しますが、接待交際費は宣伝効果があるかどうかにかかわらず、関係者との関係を構築するなどの目的による支出も含まれます。
接待交際費と旅費交通費との違い
接待交際費と旅費交通費の違いで迷うのは、取引先の送迎のためにタクシーなどの交通手段を手配した場合です。このようなケースでは、旅費交通費ではなく、接待交際費として計上します。
また、接待をした自社の社員が移動手段として利用した交通費も、接待交際費として計上できます。
一方、接待される側が交通費を支出した場合、自社で計上するのは旅費交通費です。
個人事業主の接待交際費はいくらまで経費になる?
個人事業主は法人と異なり、接待交際費の上限は定められていません。一方、法人の場合は中小企業と大企業それぞれで上限額が定められています。
ここでは、個人事業主と中小企業の計上できる接待交際費の範囲を解説します。
上限は定められていない
個人事業主の場合、支出した接待交際費に対する上限はありません。事業に関する支出であれば無制限で接待交際費にすることが可能です。
ただし、内容によっては税務調査で否認される場合があります。現実的には、高額な接待交際費は計上しにくいといえるでしょう。
接待交際費として認められるためには、誰と行ったのかメモをしておき、領収書をもらえなかった場合は出金伝票を作成するなど、証拠を残しておくことが大切です。
中小企業の場合
資本金が1億円以下の中小企業の場合、計上できるのは800万円または接待交際費のうちの接待飲食費の50%です。
どちらを選択すべきかについては、接待交際費の金額によります。接待交際費が1,000万円であれば、800万円または1,000万円×50%=500万円になるため、800万円を選ぶとよいでしょう。
一方、2,000万円になった場合(全額が接待飲食費とします)は2,000万円×50%=1,000万円になるため、接待飲食費の50%のほうを選ぶほうが節税になります。
個人事業主の接待交際費を使いすぎるとどうなる?
接待交際費に上限はありませんが、使いすぎると税務調査で指摘されるリスクがあるため、注意が必要です。接待交際費としての計上が否認された場合、修正申告や追徴課税を求められる可能性があります。節税しようとしたものの、かえって大きな損害となってしまうでしょう。
どの程度の金額が指摘されるか具体的な割合は公表されていませんが、売上の6〜7%以上になると、不適切な計上とみなされる可能性が高まります。
接待交際費を支出する際は、事業に直接必要な支出であるか、意識して計上することが大切です。
個人事業主の接待交際費は売上の何%が良い?
個人事業主の接待交際費に上限はありませんが、税務署の指摘を避けるためにも、支出の金額には注意が必要です。
個人事業主が計上する接待交際費の目安は、収入の3%程度に収めるのが一般的とされています。ただし、適正な接待交際費の目安は業種や取引形態によっても異なります。営業活動が欠かせない業種であれば、接待交際費の割合が高くなることもあるでしょう。
業種や取引形態を考慮しても水準を大きく上回ると判断される場合、税務署が不審を抱く可能性があります。収入に対して接待交際費の占める割合が適正かどうかは、常に意識することが大切です。
個人事業主の接待交際費の帳簿のつけ方
接待交際費を支出したら、仕訳が必要です。
ここでは、接待交際費の仕訳について具体例をあげて解説します。
接待交際費を計上する場合
取引先をレストランで接待し、飲食代5万円を現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
接待交際費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | A社と〇〇レストランで会食 |
資産から現金5万円が減るため、貸方の勘定科目を現金にして金額を記載します。取引先の接待にかかった費用の勘定科目は接待交際費であり、借方科目に記載してください。
摘要欄には、会食した取引先の社名や使用した店名を記載しておきましょう。
勘定科目の変更が必要なケース
事業に携わっていない親族を同伴して取引先2名と会食し、1人12,000円、合計4万8,000円を支出した場合、仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
接待交際費 | 36,000円 | 現金 | 48,000円 | B社と妻を同伴して△△店で会食 |
事業主貸 | 12,000円 |
事業に関する接待であっても、親族の分の代金は接待交際費となりません。親族の分は「事業主貸」の勘定科目で仕訳します。事業主貸とは、個人事業主が事業用資金をプライベートな用途で使用したときに計上する勘定科目です。
個人事業主の接待交際費として経費にするときの注意点
個人事業主が接待交際費を計上する際は、経費として認められるために、次の点に注意しましょう。
- 領収書に目的・人数・関係性を記入する
- 請求書・領収書を保存する
- 電子データの領収書は電子データで保管
接待交際費を計上する際の注意点について、詳しく解説します。
領収書に目的・人数・関係性を記入する
接待交際費が事業に関する費用であると証明するため、領収書・レシートには接待の目的や人数、関係性を記入しておきましょう。
残しておきたい記録は、次のとおりです。
- 接待相手の人数・氏名
- 接待の場所・店名
- 接待の内容
税務署から指摘を受けた場合、接待相手に事実確認の連絡(反面調査といいます)が行われることもあります。矛盾のない説明ができるよう、詳細な記載を残しておきましょう。
請求書・領収書を保存する
接待交際費に限らず、経費にかかわる請求書や領収書は、保存期間が設けられています。白色申告の場合は5年、青色申告の場合は7年間領収書の保存義務があるため、なくさないようしっかり保存しておきましょう。
交通費や祝儀・香典の支出など領収書をもらえない場合は、出金伝票の作成が必要です。出金伝票の作成は、電子でも紙でも問題ありません。
記載項目は、次のとおりです。
- 日付
- 支払先
- 勘定科目
- 摘要
- 支払金額
内容を忘れないうちに作成し、詳細を記載しておきましょう。
電子データの領収書は電子データで保管
電子帳簿保存法では、電子取引で受け取った領収書やレシートはデータのまま保存することが義務づけられています。電子データで保存するには、電子帳簿保存法で規定する要件を満たさなければなりません。
要件は、「真実性の確保」と「可視性の確保」であり、具体的には主に次のような内容になります。
- タイムスタンプの付与
- 訂正・削除の履歴が残るか訂正・削除ができないシステムを利用
- モニターや複合機等の見読可能装置を備え付ける
- 電子計算機処理システムの概要書を備え付ける
接待交際費は正しく計上しよう
個人事業主は取引先や事業関係者との会食や贈答品などの支出について、接待交際費として計上できます。計上できる金額に上限はありませんが、多額になると税務署の指摘を受ける可能性があるため、注意が必要です。
支出の領収書は必ず保存し、参加人数や氏名、内容などの詳細をメモしておくようにしてください。収入に対して接待交際費の占める割合についても意識し、適切に計上するようにしましょう。

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