• 更新日 : 2022年5月31日

個人事業主が確定申告で必要経費にできる項目の一覧と勘定科目まとめ

個人事業主が確定申告で必要経費にできる項目の一覧と勘定科目まとめ

事業を行うために使用した費用は、経費にすることで節税ができます。例えば、広告宣伝費水道光熱費、雑費、貸倒損失租税公課、保険料、専従者給与、福利厚生費交通費通信費などの勘定科目は経費として計上し、課税対象額を減らすことができるでしょう。

しかし、例えば同じ品物を買った場合でも経費として認められる場合と認められない場合があります。そこで今回は、個人事業主が知っておきたい経費と注意点についてまとめました。青色申告とは何か、青色申告特別控除を適用するとどのようなメリットがあるのか、また、自宅で仕事をしている場合の家賃などを家事按分する計算方法についても紹介します。

確定申告をするために知っておきたいこととして、どのようなケースで税理士に相談することがおすすめなのか、会計ソフトの導入は会計処理に必要かについても解説します。ぜひ参考にして正しく確定申告しましょう。

そもそも個人事業主の経費とは

経費とは、事業で発生した支出のことです。売上原価や事業収入を得るためにかかった費用はすべて経費となり、課税対象額を減らすことができます。つまり、事業を行うためにかかった費用が多く、経費が増えると、課税対象となる所得が減り、所得税などの税額も減少します。

しかし、経費が増えることはよいことばかりではありません。経費が多くなると会計上の利益が減るため、金融機関から融資を受けるときに不利になることもあります。

自宅兼事務所の場合は按分計算が必要

自宅兼事務所の場合は、利用している面積、時間などで生活費と事業費を分けて申告する必要があります。

なお、合理的であれば、分け方は問われません。例えば、床面積100平方メートルの住宅を借り、事務所として使うスペースが30平方メートル、生活の場として使うスペースが70平方メートルであれば、家賃のうち30%を経費にすることができるでしょう。

自宅兼事務所で仕事をする場合についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

個人事業主が確定申告で必要経費に計上できる項目・勘定科目一覧

個人事業主が確定申告で必要経費に計上できる項目・勘定科目は、以下の通りです。

租税公課

事業税や固定資産税は、租税公課に含めることができます。自動車税や不動産取得税、印紙税や消費税も租税公課として取り扱います。ただし、所得税や相続税、住民税や交通違反金などは、経費として租税公課に含めることができません。

個人事業主が自宅で仕事を行う場合の固定資産税は、総床面積に対する事業に使用している面積の割合などの合理的な割合部分のみ経費に算入することができます。

租税公課についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

修繕費

資産や器具、機械装置、建物に関する通常の維持管理費や修理のための費用は、修繕費として経費扱いにすることができます。

修繕費の注意点は、原状回復のために支出する場合は修繕費となりますが、機能をアップさせるような修繕は資産計上して減価償却によって必要経費とすることになります。

修繕費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

荷造運賃

荷造運送費や荷造発送費、梱包費などは荷造運賃として必要経費に算入することができます。

梱包に必要なダンボールやガムテープなども計上することができますが、翌年で使い切れないほど一度に大量に購入した場合には未使用分は経費とすることはできません。

荷造運賃についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

水道光熱費

水道料、電気代、ガス代などのライフラインに関する費用が該当します。事業にかかった部分のみ経費算入します。自宅を事業所としてPCを使い事業を行う場合などは、全額を経費申請せずに2〜3割を申請するとよいでしょう。

水道光熱費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

保険料

損害保険料や地震保険料、自動車保険料は経費に含めることができます。

ただし、自宅の住居部分は経費とならないため、按分する作業が必要になります。水道光熱費で使用したパーセンテージで按分したり、用途面積に応じて按分したりすれば問題ありません。

保険料についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。



消耗品費

取得価額が10万円未満のものは、パソコンやタブレット、デジカメであっても消耗品費として経費算入することができます。

最近はクラウドサービスによってソフトウエアのライセンスという概念がなくなりつつありますが、ソフトウエアも無形固定資産に該当するため10万円未満もしくは耐用年数が1年未満という要件を満たせば、消耗品費とすることができます。

10万円以上の取得価額であっても使用可能期間が1年未満であれば経費となり、また青色申告者であれば申告書に一定事項を記載することで取得価額が30万円未満の資産まで経費とすることができます。

この消耗品費に該当しない固定資産は、減価償却によって各年分を経費算入していくことになります。

雑費

雑費とは「ほかの経費にあてはまらないもの」に使う勘定科目です。例えば、ごみ処理代、引っ越し代、クリーニング費用なども事業収入を得るために必要な支出であれば、雑費として経費計上できます。また、振込料などの手数料、書籍代、税理士などへの報酬費用、安全協力費などの会費なども、事業収入を得るために必要と考えられる場合は、雑費の勘定科目を使って経費計上することが可能です。

なお、雑費と混同しやすい勘定科目としては消耗品費が挙げられます。消耗品費とは、コピー用紙や包装用紙、ボールペンなどの使ってなくなるものの仕訳をするときに用いる勘定科目です。

一方、雑費の勘定科目は、頻繁に発生するわけではない一時的な費用に使う傾向にあります。雑費として分類するものが多すぎると帳簿が見づらくなってしまうことがあるので、繰り返し発生する費用に関しては、雑費以外の勘定科目を使って分類するほうがよいでしょう。

消耗品費と雑費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

法定福利費

従業員の健康保険料や介護保険料厚生年金保険料、労災保険料、雇用保険料など、会社負担分を法定福利費として経費に含めます。個人事業主であっても従業員数が5名以上の場合は原則として社会保険の強制加入となります。

社会保険を会社が半分負担することで経費算入できる以外に、コンプライアンスをアピールすることによる社会的信用を高めることができます。

法定福利費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

給料賃金

従業員への給与、賃金、賞与といった役務に対する報酬を給与として支払ったものが該当します。ただし配偶者などの親族に与えた給料は、一定の要件を満たさない限り必要経費とはなりませんので注意してください。

地代家賃

事業所や店舗、駐車場に関して支払った家賃や使用料は、地代家賃として経費に算入します。自家用の自動車に関する駐車場代は、事業に供した部分のみ経費とすることができます。

地代家賃についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

外注費

外注に出してデザインしてもらった名刺や封筒、会社のロゴなどは、外注加工賃として経費処理します。会社名や商品のネーミングを外注した場合や、サイトそのものを構築してもらった場合も外注加工賃となります。

外注費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

貸倒損失

売掛金などの債権の回収ができなくなった場合に用いる勘定科目が「貸倒損失」です。例えば、債権が切り捨てられた場合には貸倒損失の勘定科目を使って仕訳をすることができます。

その他にも、債務者が債務整理をしたなどの状況のときも、債権の回収が難しいと考えられるので貸倒損失の勘定科目を使って仕訳ができるでしょう。また、取引を停止した後に弁済がない場合、高額な債権回収費用が発生し、債権そのものの額を超える場合なども、貸倒損失として経費計上します。

貸倒損失についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

新聞図書費

事業として営む上で、必要な資料を得るために雑誌や書籍を購入している場合は、新聞図書費で経費算入します。有料のメールマガジンも含めることができます。

会計実務や節税対策に関する書籍は明らかに事業用だと判断することができますが、新聞や事業に関係のない雑誌に関しては、事業を行う上で参考になった部分があれば経費算入することができます。

新聞図書費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

支払手数料

販売手数料や振込手数料、仲介手数料、代引き手数料が支払手数料に該当し、必要経費となります。

支払手数料についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

寄附金

個人事業主は、原則として寄附金を経費とすることはできません。 ただし、日本赤十字社に対する寄附金など一定の寄付金であれば経費ではなく寄附金控除という規定により納税額を安くすることができます。

寄附金についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

減価償却費

資産に計上した固定資産は一定の期間で経費として処理していくことになります。これを減価償却費といいます。一定の期間は耐用年数と呼ばれ、資産に関する耐用年数は法令により定められています。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

減価償却費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

旅費交通費

電車、バス、タクシー代、宿泊代が経費に該当します。

Suicaなどの電子マネーは履歴だけでなく、打ち合わせの日付などと連動させることで事業用として使用したと証明しやすくなります。プライベートと混合されやすい経費はしっかりと事業用であると証明できるようにしておきましょう。

旅費交通費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

修繕積立金

個人事業主が不動産収入を得ようと賃貸用マンションを購入し、修繕積立金を支払っている場合は、実際には修繕をしておらず積み立てているに過ぎないため、原則として経費に含めることができません。

ただし、修繕積立金は区分所有者として強制納付しなければならない性質であることから、一定の要件を満たせば経費とすることができます。

修繕積立金についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

未償却の繰延資産(開業費/創立費/社債発行費など)

繰延資産で未償却のものがあれば、いつでも経費算入することができます。

開業した当初は赤字が続いていたものの数年後に黒字に回復した場合、償却していなかった開業費をその年分の経費として算入することができます。

ただし、既に償却した分に関して経費算入することはできないため注意が必要です。

繰延資産についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

通信費

電話代や切手代から、プロバイダ料、携帯電話料金まで通信費として算入することができます。

プライベート用と事業用とで別々に支払っていれば問題ありませんが、兼用している場合、通話料などで按分する必要が出てきます。

通信費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

広告宣伝費

会社の商品やサービスなどを、不特定多数の消費者に対して販売するために必要な経費を「広告宣伝費」の勘定科目を使って仕訳をすることができます。テレビや雑誌などのメディアに掲載する費用、宣伝目的のプロモーションを開催したときにかかった費用は、いずれも広告宣伝費です。また、商品やサービス、企業そのもののイメージアップに使う費用も広告宣伝費として分類することができます。

類似する勘定科目に「販売促進費」があります。間接的に商品やサービスなどを宣伝するときは広告宣伝費、購入対象者やサービス利用者に直接会って宣伝活動を行うときは販売促進費と分けることができるでしょう。後で見返しやすい帳簿を作成するためにも、選択する勘定科目の基準を定めておくことが大切です。

広告宣伝費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

接待交際費

接待交際費は公私混同しやすい部分なので、税務署から厳しいチェックが入ることは間違いありません。

個人事業主であっても法人であっても、交際を通じてビジネスチャンスをつかみ売上に貢献したとなれば、経費算入できるのは間違いありません。また顧客を招待して飲食を伴った会合を開くといったビジネスに直結しているものも、経費として算入することができます。

接待交際費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

専従者給与

専従者給与とは、生計を同じくしている配偶者や親族が、個人事業主が行う事業に従事しているときに支払う給与のことです。本来は経費として計上できませんが、個人事業主が青色申告事業者登録をしており、なおかつ事業に従事する親族がその年の12月31日時点で15歳以上、1年のうち6カ月以上(事業年度が1年未満のときは1/2以上の期間)を事業に専従している場合は特例が適用され、労働の対価として適切な金額であれば必要経費として計上できます。

また、個人事業主が青色申告事業者登録をせず、白色申告の場合には、専従者が配偶者のときは86万円、配偶者以外のときは一人につき50万円を専従者控除として計上し、課税所得額を減額することが可能です。ただし、専従者控除を適用するときは、前年の事業所得などの金額を専従者の人数に1を加えて割った金額が上限となる点に注意しましょう。

専従者給与についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

個人事業主が確定申告で必要経費に計上できない項目は?

個人事業主が経費計上できないものとしては、常識の範囲を超えた経費が挙げられます。
例えば年間売上が300万円であるにも関わらず、毎月数十万円もの接待交際費を支払っているときは、全額を経費として認められない可能性があるでしょう。

その他にも、経費計上できない項目やケースをいくつか紹介します。

事業とは関係のない支出

事業で英語が必要な場合であれば、英会話スクールの授業料や書籍代も経費にできることがあります。しかし、事業で英語が必要ではないときは経費計上できません。その他にも、個人事業主自身の生活のための支出も、経費にはなりません。

事業主自身の福利厚生関連の支出

個人事業主は福利厚生関連の費用を経費にすることができません。例えば健康保険料や健康診断の費用、スポーツジムの会費なども経費対象外です。ただし、従業員を雇用している場合は、従業員の健康診断費用は、経費計上できます。

事業主自身に課せられた税金

個人事業主自身の税金は、経費計上できません。例えば、個人の所得税や住民税などはいずれも経費対象外です。

ただし、事業に関わる税金であれば経費計上できます。例えば個人事業税や事業で支払った印紙税は経費対象です。また、自宅兼事務所として使用している不動産の固定資産税は、家事按分して経費計上できます。

個人事業主の経費計上で節税メリットを高める方法は?

経費を適切に計上することで、課税所得額を減らし、節税につなげることができます。

次の2つの方法も検討してみましょう。

  • 青色申告特別控除を利用する
  • 困ったときは税理士に相談する

それぞれの方法についてわかりやすく解説します。

青色申告特別控除を利用する

控除額を増やすことでも課税所得額を減らすことが可能です。青色申告事業者登録をしている場合であれば、事業所得があり、所得関連の取引を複式簿記により記帳し、確定申告時に貸借対照表損益計算書を提出すると55万円の青色申告特別控除が適用されます。

また、仕訳帳を電子帳簿保存し、確定申告時の貸借対照表と損益計算書の提出をe-Taxで実施すると、青色申告特別控除額が65万円に増額されます。

なお、青色申告事業者登録をしている場合であれば、複式簿記や貸借対照表と損益計算書の提出をしないときでも10万円の青色申告特別控除額が適用されます。控除額を増やすためにも、個人事業主として事業を行うときは、青色申告事業者の登録も行いましょう。

困ったときは税理士に相談する

何が経費計上できるかできないかで迷ったときは、税理士に相談しましょう。また、税理士に相談することで、節税に対するアドバイスを得られることもあります。

なお、税理士に支払う報酬は、経費計上が可能です。業務委託費や支払手数料などの勘定科目で仕訳を実施して、適切に帳簿につけておきましょう。

会計ソフトを使えば経費の帳簿付けも簡単!

帳簿付けには、会計ソフトを使うことがおすすめです。
会計ソフトなら、仕訳を入力するだけで自動で複数の帳簿を作成でき、計算間違いや転記ミス、記入漏れなどを回避することができます。会計処理のわずらわしさを減らすためにも、会計ソフトを検討してみましょう。

また、会計ソフトを導入することで、税金の計算が簡単にできるだけでなく、キャッシュフローを把握しやすくなるというメリットもあります。経営状態を正確に把握して運営していくためにも、会計ソフトを活用しましょう。

個人事業主は必要経費を正しく計上しましょう

個人事業主は、事業にかかった費用と生活費が混同してしまう傾向にあります。正しく必要経費を計上することで、節税を実現していきましょう。

しかし、むやみに支出を経費にしてはいけません。事業に関する費用だけを経費として区別し、帳簿に記載しましょう。不明瞭な点があるときは税務調査の対象になることがあり、場合によっては追徴課税を請求される可能性があります。また、利益が少ないときは金融機関から融資を受けにくくなることもあるので注意が必要です。

自宅兼事務所のときは、合理的な方法で按分計算しましょう。例えば車であれば使用時間の割合、家賃であれば使用面積の割合などを用いると、合理的に計算しやすくなります。

よくある質問

経費とは?

事業に使用した費用のこと。経費として計上することで、課税対象額を減らせ、節税につながります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告で経費として申告できる項目は?

租税公課や宣伝広告費、保険料、消耗品費、雑費、通信費、減価償却費、修繕積立金、接待交際費、旅費交通費などの項目があります。いずれも事業に必要な費用であることが条件となります。詳しくはこちらをご覧ください。

自宅兼事務所の場合の経費はどう計算する?

合理的に按分計算することが必要です。例えば家賃であれば面積に応じて生活費と事業費に分けることができます。100平方メートル中、事務所が40平方メートルであれば家賃の4割を経費とすると合理的でしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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