- 更新日 : 2022年3月30日
利子所得はなぜ確定申告に関係がないのか?
銀行の預貯金などの利子所得は利子を受け取る際、すでに所得税が源泉分離課税方式に従って源泉徴収されています。そのため利子所得については、確定申告をする必要がありません。
源泉分離課税とは支払者(利子の場合は銀行など)が利子を支払う際に、あらかじめ支払う金額のうちから所得税・復興特別所得税の15.315%と、地方税5%を足した20.315%分を所得税として源泉徴収することにより完結する納税のシステムです。これは利子の額にかかわらず適用されます。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
利子所得とは
利子所得とは、身近なところでは銀行の預貯金や公社債の利子収入などがあります。ただし、実際に受け取る利子金額はすでに所得税が源泉徴収されています。源泉徴収される前の利子収入が利子所得となります。
利子所得になるもの
利子所得には、預貯金(銀行預金・郵便貯金・勤務先預金)の利子、公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金、公募公社債等運用投資信託の収益分配金、合同運用信託の収益分配金、抵当証券の利子などがあります。
勤務先預貯金とは、労働基準法又は船員法によって管理される労働者または船員の預貯金、あるいは国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済組合に対する組合員の貯金です。
利子所得の金額と税額の計算
受取った利子の源泉徴収される前の収入金額が、そのまま利子所得の金額となります。
利子所得は源泉分離課税の対象とされるため、前述のとおり利子収入の金額にあらかじめ税率をかけられた分が所得税として源泉徴収され、納税が完結します。復興特別所得税は平成25年1月1日から受ける利子について源泉徴収されます。
利子所得にならないもの
下記の利子収入は利子所得ではなく雑所得になります。ただし、金銭の貸付金利子は、事業所得または雑所得となります。
・学校債、組合債等の利子
・会社等に身元保証金としてお金を預けていた場合、それに対する利子
・定期積金に係る契約や、銀行法の契約に基づく金融商品に対しての、掛金と給付金の差額
・所得税等の還付加算金
利子所得の非課税制度
利子所得のうち納税貯蓄組合預金の利子、納税準備預金の利子、子供銀行の預貯金等の利子については非課税となっています。
すなわちこれらの利子については源泉徴収されません。上記以外にも利子所得には、次のような非課税制度があります。
障害者等の少額貯蓄非課税制度
この非課税制度は、元本の額が350万円までの障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度(いわゆるマル優)、同じく元本の額が350万円までの障害者等の少額公債の利子の非課税制度(いわゆる特別マル優)があり、それぞれの利子については非課税とされます。
この制度は国内に住む障害者等に該当する人に限られており、遺族年金を受けることができる妻にあたる人や身体障害者手帳の交付を受けている人などがこれにあたります。
なお、郵政民営化に伴い、それまであった障害者等の保有する郵便貯金に対しての利子所得を非課税とする制度は廃止されましたが、郵政民営化以前に預け入れされたものに関しては例外です。
例外期間は満期時、または解約時までで、それまでは預け入れ時に適用された非課税がそのまま適用されます。
勤労者財産形成住宅貯蓄および勤労者財産形成年金貯蓄の利子非課税制度
勤労者の持家取得の促進を図ることを目的とした財形住宅貯蓄と老後の生活安定のため勤労者財産形成年金貯蓄については、両方の貯蓄の元本を合わせた金額が550万円までの場合、その利子等は非課税扱いとなります。
財形住宅貯蓄は原則として年齢55歳未満の勤労者であると同時に「給与所得者の扶養控除等申告書」を勤務先に提出している人に限られます。
なお、退職した場合などこの制度に不適格となると非課税の適用は受けられなくなります。財形年金貯蓄は、原則として年齢55歳未満の勤労者で、「給与所得者の扶養控除等申告書」を勤務先に提出している人に限られます。
退職などにより勤労者ではなくなった場合でも、その退職等が財形年金貯蓄の積立期間の終了後だった場合などは、引き続き非課税の適用を受けることもできます。
利子所得の注意点
一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉徴収だけで納税が完了し確定申告を要しない利子所得については、次の点に注意する必要があります。
2.利子所得に関しては、利子受け取り時に源泉徴収された所得税等の還付請求をすることはできません。
まとめ
利子所得は利子を受け取る際、すでに所得税が源泉分離課税方式に従って源泉徴収されているため確定申告をする必要はありません。
ただし、利子収入のなかには利子所得とならないものもあります。この場合は確定申告が必要となるので注意しましょう。
関連記事
・確定申告における預金利息の取扱い|確定申告の基礎知識
・知らないと損?所得税が非課税になる場合とは
・独立や起業前に!フリーランスの所得税計算方法ポイント3つ
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読む※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
【要チェック】個人事業主の所得税の納税期限と3つの納税方法!
個人事業主の方は自分で行う必要がある所得税の納税。その具体的な方法や納税期限について、正確に把握されている方は少ないのではないでしょうか? 今回は、正確に把握することが難しい「納税期限」や「納税方法」について紹介していきます。 納税可能な期…
詳しくみるe-sportsってどれぐらい稼げるの? プロゲーマーに聞く「日本の寂しい賞金事情」
今や遊びの枠を飛び越え、スポーツ競技として注目を集めるe-sports。“e-sports大国”と呼ばれる韓国や中国をはじめ、アメリカ、ヨーロッパなど世界中の盛り上がりに比べると日本のe-sportsはまだ発展途上です。しかし、今年8月にジ…
詳しくみる個人事業主は労働基準法が適用される?労働時間のルールや判断基準を解説
労働基準法は、労働者を守る法律です。原則として、個人事業主には労働基準法が適用されませんが、例外として適用されることもあります。個人事業主に労働基準法が適用される場合の判断基準や適用される場合の個人事業主の権利、個人事業主を保護する法律につ…
詳しくみる源泉徴収票が手に入らない、もらえない時はどうしたらいい?
給与または報酬を受けた人が確定申告をするためには、源泉徴収票が必要です。給与または報酬の支払い者側は、1月31日までに源泉徴収票を発行する義務があります。会社員は、年末に給与明細と共に受け取ることが多いですが、フリーランスとして社外で仕事を…
詳しくみる「住民税は2年目から」は本当?新卒会社員が知っておきたい税のしくみ
給与所得者の場合、住民税は前年の給与所得に対して課税され、その年の6月から翌年の5月にかけて給与から天引きされます。これを特別徴収といいます。 したがって、前年の給与所得がない入社1年目の年から翌年5月までは給与からの天引きがありません。 …
詳しくみる【社会人の税金】新卒・新社会人必見!サラリーマンが払う5つの税金
いよいよ新社会人となれば、やはり楽しみなのは最初の給料日ではないでしょうか。 学生時代にアルバイト経験のある人も多いかもしれないですが、やはりアルバイトと社会人の給料とでは金額も達成感も違うはずです。しかし違うのはそれだけではありません。 …
詳しくみる