- 更新日 : 2022年2月17日
所得税の青色申告決算書とは?書き方・種類・提出方法などについて解説!

青色申告決算書を提出するにあたって、どの種類を選べばいいのか、どのように記載すればいいのか悩んでいる方は、多いのではないでしょうか。そこで今回は、青色申告を行う際に提出する必要があるな青色申告決算書の書き方について、詳しく解説します。青色申告決算書の提出方法もご紹介しますので、青色申告する際の参考にしてください。
目次
所得税の青色申告決算書とは?
青色申告決算書とは、青色申告を行う際に必要となる書類の一つです。他に必要書類として、確定申告書、それに関わる様々な計算書などがあります。
青色申告決算書の用紙は全4ページからなり、1~3ページ目には損益計算書及び関連項目、4ページ目が貸借対照表という構成です。
損益計算書は、1年間の事業の収益や費用の状態を表したものです。青色申告決算書の2、3ページ目には損益に関連した詳細な内容を記入し、1ページ目には取引のすべてをまとめて記入する構成になっています。
貸借対照表は、1年間での事業の中での資産、負債、純資産によって経営状態を表すことを目的として作成するものです。
これら、損益計算書や貸借対照表は複式簿記による仕訳を用います。
ここで1年間とは、個人事業主の場合は暦年のことで、1月1日~12月31日をいいます。
なお、青色申告決算書の用紙は、以前なら対象者には12月中旬ころから1月にかけて税務署より送付されていました。令和元年より、前年に電子申告をした場合などには、「確定申告のお知らせ」というハガキが届くようになりました。また、ダウンロードで取得したい場合は、国税庁のホームページから取得してください。
提出期限は原則として3月15日となりますが、近年は期限延長などもありますので国税庁のホームページで確認しましょう。
収支内訳書との違いは?
所得税の確定申告書に添付する決算書には2種類あります。青色申告決算書と収支内訳書です。
青色申告の場合には青色申告決算書を、白色申告の場合には収支内訳書を添付します。
どちらも売上や原価、必要経費を記入する書類ですがものですが、収支内訳書は青色申告決算書に比べて記入する項目が少なくなっています。2つの最も大きな違いは、青色申告決算書には貸借対照表がありますが、収支内訳書には貸借対照表がありません。
収支内訳書についての詳細は次の記事をご参照ください。
青色申告決算書の種類は?
青色申告決算書には書式が4種類あります。一般用、農業所得用、不動産所得用、そして現金主義用の4つです。所得の種類によって提出すべき決算書が異なりますが、多くは一般用を利用します。
ただし、現金主義用を利用する場合には、事前に届出書の提出が必要となります。
一般用
標準的な決算書で多くの業種に対応できます。
製造業にも対応しており、4ページ目には貸借対照表の横に製造原価計算書を記載する欄が設けられています。
農業所得用
農業を営んでいる個人事業主が利用する決算書です。
損益計算書には農業特有の勘定科目が設定され、2ページ目には田畑別の収穫量を記載する欄などがあります。
不動産所得用
不動産業を営んでいる個人事業主が利用する決算書です。
損益計算書には不動産賃貸業特有の勘定科目が設定され、2ページ目には不動産別に所在地や賃借人、賃貸料を記載する欄などがあります。
現金主義用
事前に「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を税務署に提出して利用できる決算書です。
青色申告者には原則として、発生主義による記帳が求められますが、一定の条件にあてはまる小規模事業者は、収入や費用の計上について「現金主義」によることができます。
現金主義の届出書が提出できるのは、前々年度の所得金額(事業所得と不動産所得の金額の合計額)が300 万円以下の人に限られます。
青色申告決算書の書き方
青色申告決算書の各ページの書き方について、気をつける点などを解説します。
ここでは、一般用の「所得税青色申告決算書」を用いて解説します。
損益計算書の書き方
損益計算書のブロックとしては、(1)売上金額(2)売上原価(3)経費(4)各種引当金・準備金等(5)青色申告特別控除で構成されています。それぞれ、項目に1年間の合計額を記入していきます。最後の欄にある「所得金額」を求めることが目的なので、各項目に記入が終わったら、所得を求めます。
所得金額の計算式は次のとおりです。
売上金額 − 売上原価 − 経費 – 各種引当金・準備金等 − 青色申告特別控除
【補足】
なお、個人事業主の中には自宅で仕事をする人もいるかと思います。この場合、電気代・ガス代などは、家事用に使ったものか、業務用に使ったものかがはっきりしません。これらのような費用は「家事関連費」と呼ばれ、基本的には経費として認められません。
しかし、青色申告者は、次の2つを満たせば、明らかに区分された部分を必要経費とすることができます。
- 業務の遂行上、「必要」な経費であること
- 必要となる部分を明らかに区分できること
(参考:所得税施行令第96条, 所得税法基本通達第45-2)
それでは青色申告決算書の書き方の説明をします。
(1)~(7):1年間の売上金額、仕入金額などを記入した後、売上金額から売上原価を引いて差引金額を記入します。
(8)~(32):帳簿の中から勘定科目ごとの必要経費を記入します。
(33):売上金額から売上原価を引き、その金額から必要経費における合計金額を引いた金額を記入します。
(34)~(42):その他の貸倒引当金などを記入した後、合計額を記入します。
(33)に上記(37)を加算し、(42)を差し引いた金額を(43)に記載し、青色申告特別控除額を差し引いた金額を所得金額に記入します。
必要経費の記入について
経費については予め勘定科目が印刷されています。
しかし、業務によっては該当しないものも多くあるかと思います。
そのような場合は、経費後半に未記入欄(赤枠部分)がありますので、勘定科目名とともに金額も記載します。
損益計算書細目(売上・給与など)の書き方
ここでは、(1)月別売上(収入)金額及び仕入金額(2)給料賃金の内訳(3)専従者給与の内訳(4)貸倒引当金繰入額の計算(5)青色申告特別控除額の計算のブロックにわかれています。これらは、1ページ目の損益計算書に記入した金額の内訳になります。
未回収となっている売掛金額とその貸倒引当金(売掛金額の5.5%)を記入します。
被雇用者がいる場合、その賃金や源泉徴収税額などを記入します。
青色事業専従者がいる場合、その賃金や源泉徴収税額などを記入します。
月別売上・仕入金額について
たとえば、売掛帳などを月末ではなく20日など月の中途で締め切っている場合でも、1月1日から12月31日までの売上及び仕入金額を記入します。
所得税においては、家事消費等を売上高として計上することとなりますので注意が必要です。家事消費等とは、小売店や飲食店などにおいて、自家で業務用の商品等を消費することをいいます。
商品等を自家消費をした場合には、「家事消費等」という勘定科目を使って、原則としては、通常の販売時と同様の金額とします。
しかし、この家事消費には特例が認められており、次のいずれか大きい方の金額を家事消費等とすることもできます。
- その資産の取得価額(仕入額)
- 通常の販売価額等の70%相当額
(参考:法第39条《たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入》関係|国税庁国税庁)
損益計算書細目(減価償却・地代家賃)書き方
決算書3ページは、(1)減価償却費の計算(2)利子割引料の内訳(3)地代家賃の内訳(4)税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳(5)本年中における特殊事情のブロックにわかれます。
固定資産台帳などをもとに、今年度の減価償却資産、減価償却費を記入します。
減価償却の詳細はこちらを参考にしてください。
年度中に支払うことが確定した利子や家賃や賃借料、弁護士や税理士への報酬を記入します。なお、地代家賃の内訳については、権利金や更新料は上段に、賃借料は下段に記入します。
年度中に支払うことが確定した利子や家賃や賃借料、弁護士や税理士への報酬を記入します。なお、地代家賃の内訳については、権利金や更新料は上段に、賃借料は下段に記入します。
特殊事情について
損益計算書に係る取引について、特記すべきことがらを備忘録として記載します。前年度との大きな違いや、会計方法の変更など特に決まりはありません。必ずしも記載しなければならないものではありません。
貸借対照表の書き方
貸借対照表のブロックとしては、(1)資産の部(2)負債・資本の部にわかれます。さらに、補足として(3)製造原価の部があります。
貸借対照表は、資産の部と負債・資本の部が一致するので、最後に必ずチェックしてください。
会計帳簿の内容をもとに、決算時点での貸借対照表を記載します。原価計算を行っている場合は製造原価の計算も記入します。
青色申告決算書の提出方法
青色申告決算書は単体では提出しません。
提出の際は、必ず確定申告書とともに提出することになります。通常、決算書を作成したのち、確定申告書に必要事項を記載して、支払うべき所得税額が決まります。
青色申告決算書、確定申告書、添付資料をまとめて申告書類と言いますが、提出方法は大きく32つに分かれます。どの方法においても、一番大切なことは「期限厳守」です。余裕をもって提出しましょう。
税務署窓口持参
申告書類を税務署窓口まで持参する方法です。本人確認資料も持参します。
青色申告決算書は他の申告書類同様、提出前に控えをとっておきましょう。
郵送
申告書類一式を郵送する方法です。宅配便ではなく、「信書」で送付します。
本人確認資料もコピーして同封します。申告書類の控えと返信用封筒を同封することをおすすめします。
電子申告(e-Tax)
申告書類一式をインターネット経由で提出する方法です。
国税庁の確定申告書作成コーナーや確定申告ソフトなどで提出します。
確定申告ソフトを使えば青色申告決算書が簡単に入力・作成できる
青色申告決算書の中でも貸借対照表は、今年度の期末残高を翌年度に引き継ぎます。
つまり、事業を継続する限り、残高は引き継ぎを繰り返すわけです。
そして、青色申告決算書などの決算関係書類の保存期間は7年間です。
決算書はできるだけ、コンパクトに、しかも過去の取引をいつでも参照できる形で残しておきたいものです。
また、個人は法人とは異なって資本金がありません。その代わりに元入金があり、さらにプライベートとの出入りを管理する事業主勘定があります。確定申告ソフトなら、元入金に事業主勘定を自動的に加減して新しい年度へ繰り越すこともできます。
青色申告決算書の作成、保管、検索の利便性が高まる確定申告ソフトは、今後のペーパーレス時代には必要なアイテムかもしれません。

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よくある質問
青色申告決算書とは?
青色申告者が決算書として記載する書類で、主として損益計算書と貸借対照表からできています。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告決算書の種類とは?
青色申告決算書には4種類あります。一般用、農業所得用、不動産所得用、現金主義用です。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告決算書の提出方法は?
青色申告決算書は、確定申告書、添付資料とともに提出します。提出には、窓口持参、郵送、電子申告の3種類の方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。