- 更新日 : 2023年6月9日
副業禁止の会社で副業がバレるのはなぜ?理由と揉めないやり方を解説
日本でも副業解禁の流れが進んでいますが、就業規則で社員の副業禁止を規定する企業はいまだに多いです。副業禁止の会社で副業をすると、住民税の特別徴収の際に住民税額でバレてしまうリスクがあります。就業規則違反は罰則の対象になるため注意が必要です。今回は、副業禁止の会社で副業がバレる理由や会社と揉めずに副業をする方法などを解説します。
目次
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実は副業は禁止されてはいない
従業員の副業を認める企業が増えている一方で、就業規則上、いまだに副業ができないという企業も少なくないでしょう。
実は公務員を除き、副業は法律で禁止されているわけではありません。副業は、あくまでも個人の自由とされています。「会社が副業を禁止している」というのは、就業規則上で制限をかけているにすぎません。
ただし就業規則は法的効力を持つため、就業規則に違反して副業をすると処罰の対象になる可能性があります。
以下では、副業解禁の流れや副業を禁止する会社が多い理由、公務員の副業が禁止されている理由について解説します。
副業解禁の流れから副業OKの会社は増えている
副業解禁の流れに伴い、副業を認める企業が増えています。
2017年には「働き方改革実行計画」において、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で普及促進を図る」ことが閣議決定されました。
また、2018年1月に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の「モデル就業規則」で副業を禁止する規定が削除されたのも大きな転換点です。
「モデル就業規則」の中で、
「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」
という規定が新設されたことで企業の副業解禁の流れが本格化しました。
最近では、従業員のスキルアップ促進や事業機会の拡大、優秀な人材の確保など、副業が企業にもたらすメリットも注目されています。副業を認める企業が、着実に増加しているのが現状です。
参考:厚生労働省 働き方改革実行計画(概要)
参考:厚生労働省 モデル就業規則
それでも会社が副業を禁止する理由
一方、就業規則で副業を禁止としている会社も、いまだに存在します。
企業が副業を禁止する具体的な理由としては、以下が挙げられます。
- 社員の長時間労働を招くため
- 本業の就業時間中に副業をされる可能性があるため
- 企業の技術やノウハウなど、重要な情報が外部に流出する恐れがあるため
- 本業で得た知識や取引先を副業に利用される可能性があるため
- 本業との利益相反につながるため
- 人材が流出する可能性があるため
- 副業で法律違反をし、企業イメージに影響を及ぼすリスクがあるため
もちろん、すべての理由が現実になるとは限りません。しかし、副業を認めることで会社が不利益を被るリスクもあります。そのため、副業解禁に慎重な姿勢を見せる企業も少なくありません。
公務員の副業は法律で禁止
公務員の副業に関しては法律に基づいて制限されているため、注意が必要です。
国家公務員法第103条や第104条、地方公務員法第38条を根拠に、公務員は原則副業ができないとされています。営利企業の役員等の兼業や、営利企業の自営の兼業については、承認を得ない限りできません。
公務員は、国民や市民の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、職務に専念しなければならない存在です。副業で報酬を得ることは、公務員の役割と相容れないため、副業が制限されています。
また、国家公務員法第99〜101条と地方公務員法第33〜35条では、以下の3つが定められており、これは公務員の副業禁止を裏付ける三原則と呼ばれています。
- 信用失墜行為の禁止
- 職務専念の義務
- 守秘義務
なお、家業の手伝いや執筆・講演、投資による資産形成などは、一定の条件を満たせば公務員でも可能です。
参考:e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第百二十号 国家公務員法
参考:e-Gov法令検索 昭和二十五年法律第二百六十一号 地方公務員法
確定申告で副業が会社にバレてしまう理由
「副業は住民税でバレる」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
会社に黙って副業をしても、確定申告後に住民税の金額が通知されて副業の事実がバレてしまう可能性が高いです。副業で得た所得の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要であるため、会社にバレるのはほぼ不可避と言えます。
ここでは、確定申告によって副業の事実がバレる仕組みについて、副業で給与をもらう場合と事業所得がある場合にわけて見ていきましょう。
副業で給与をもらう場合
副業で2箇所以上から給与所得を得る場合、住民税によって副業がバレてしまいます。確定申告の後、副業の給与も考慮して算定された住民税の金額が本業の勤め先に通知されるためです。
住民税は、確定申告で提出されたデータをもとに地方自治体によって算定されます。金額が確定した後、主たる給与を得ている勤め先(本業の勤め先)を通じて徴収される仕組みです。本業のみの場合よりも金額が多ければ、副業が疑われるでしょう。
副業で受け取っているのが給与所得である場合、住民税を自分で納付することは不可能です。そのため、副業を含めた住民税の情報が勤め先に伝わるのは避けられず、副業がバレてしまいます。
副業で事業所得がある場合
副業で事業を営んでおり、事業所得を得ている場合は、確定申告で赤字申告をすることで、副業がバレてしまうケースが多いです。
副業で得た収入が事業所得に該当し、副業で赤字が出た場合は給与所得と相殺されます。その結果、住民税の金額が低下して勤め先に副業がバレてしまうという仕組みです。
なお、赤字の場合、確定申告は義務ではありません。しかし、赤字で確定申告をしないことには、以下のようなデメリットがあります。
このように、赤字の場合であっても、確定申告をするのが望ましいです。
確定申告をしないとどうなる?
副業で収入を得ている場合、年末調整をされなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える場合、確定申告が必要です。
たとえば、本業の所得以外で副業先から15万円、株式の譲渡によって得た譲渡所得が10万円あるとします。この場合、合計が20万円を超えるため、確定申告の対象です。
ただし、以下の条件をどちらも満たす場合は、確定申告は不要です。
確定申告の義務があるにもかかわらず怠ると、申告漏れによるペナルティが課せられる場合があります。無申告加算税や延滞税が課せられ、本来の納付額よりも多くの金額を徴収されることになるため、注意が必要です。確定申告の対象であるかをチェックし、期限内に申告しましょう。
副業で会社と揉めない方法はある?
どうしても会社に副業がバレたくないという場合、副業で得た収入が雑所得に該当すれば、バレない可能性があります。しかし、就業規則に違反して副業をするのは望ましくありません。
副業の内容によっては、申請すれば認められるケースもあります。事前に会社に相談し、許可を得たうえで始めることが大切です。
ここでは、容認される可能性が高い副業や雑所得として確定申告をするケースについて解説します。
投資やポイ活ならほぼ問題なし
本業の就業時間外に取り組め、本業に支障をきたさずにできる副業であれば、会社から認められる可能性があります。特に、投資やポイ活は問題ないとされるケースが多いです。
株式投資・FX・暗号資産取引などによって得た差額益は、仕事をして得た報酬ではないため、基本的に副業には該当しません。そのため、副業が禁止されている会社で収入を増やす手段として活用できます。
ただし、金融商品取引業者や登録金融機関など、金融に関する仕事に従事している場合は例外です。インサイダー取引を防止する観点から、株式投資が禁止されている可能性があります。
不動産投資も、基本的には認められるでしょう。本業に支障が出にくく、相続の関係でやむを得ないケースもあるためです。
さらに、ポイ活やアンケートサイトのように、隙間時間に手軽に取り組めてお小遣いを稼げるような副業も容認される可能性があります。
認められる副業のラインは会社によって異なるため、事前に確認してください。
ちょっとした収入なら雑所得にすることも
前述のとおり、副業での収入が給与所得や事業所得である場合、確定申告によって会社に副業がバレてしまいます。
一方、雑所得の場合は自分で住民税を納める「普通徴収」を選択できるのがポイントです。赤字申告もできないため、企業に副業の事実がバレる可能性が低いです。
副業で得た収入が、雑所得と事業所得のどちらに該当するかについて、明確な基準は存在しません。しかし、事業を起こしている場合を除き、雑所得に該当するケースがほとんどです。
ただし、会社の就業規則は守るべき
ただし、会社の就業規則に違反して副業をするのは望ましくありません。従業員は、会社の就業規則を守る必要があります。就業規則に違反すると懲戒処分といった重い処罰が与えられる可能性もあるため、注意が必要です。
会社によっては、申請すれば副業が認められるケースもあります。副業をしたい場合は、事前に会社に相談し、会社の承認や周囲の理解を得たうえで始めましょう。
副業がバレて、後で会社と揉めないよう注意が必要
就業規則によって副業が禁止されている場合、隠れて副業をするのは得策ではありません。住民税の金額や、赤字申告によってバレてしまう可能性があります。就業規則は、従業員が守らなければならないものです。違反すると厳しい罰則が課せられる可能性もあります。
副業の内容によっては、会社から認められるケースもあるため、まずは会社に相談することが大切です。許可を得て、後ろめたい思いをすることなく堂々と副業に挑戦しましょう。
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