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  • 更新日 : 2021年10月13日

年金受給者は確定申告が必要か不要か?高齢者必見!ケースごとに解説

年金受給者は確定申告が必要か不要か?高齢者必見!ケースごとに解説

公的年金を一定期間納めてきた高齢者は、原則65歳になると老齢年金を受給できるようになります(厚生年金は年齢引き上げの移行期間中で、男性は2013年から2025年までに、女性は2018年から2030年までに、受給年齢が段階的に60歳から65歳に引き上げられる見込みです)。

会社員などの給与所得者は、勤務先で年末調整を受けるため所得税の確定申告をする必要がありませんでした。それでは、公的年金を受給することになったらどうなるのでしょうか。確定申告は必要なのか、年金と確定申告について解説します。

年金受給者とは?

年金受給者とは、一般的に公的年金を受給している人のことです。公的年金のうち、自営業者から被扶養配偶者まで、20歳以上60歳未満の国内に住むすべての人に加入義務があるのが「国民年金」です。会社員や公務員は、さらに「厚生年金」に加入します。国民年金と厚生年金は、いずれも老齢年金制度のほか、遺族年金制度、障害年金制度を持つ公的年金です。

このほか、自営業者であれば国民年金基金、会社員であれば企業型確定拠出年金や確定給付企業年金、厚生年金基金、公務員であれば退職等年金給付、条件次第で誰でも加入できる
iDeCo(個人型確定拠出年金)も公的年金です。

今回は公的年金受給者のうち、老齢年金の対象である高齢者の確定申告について解説します。

年金受給者で確定申告が必要な場合

年金受給者で確定申告が必要なのは、以下のような人です。

確定申告が必要かどうかの判断基準と詳細は、後述します。

年金受給者で確定申告が不要な場合

年金受給者で確定申告が不要なのは、以下のような人です。

  • 公的年金の額が多くない
  • 収入は公的年金のみ
  • 公的年金等の源泉徴収票に記載のない控除がない

こちらも、確定申告が必要かどうかの判断基準と詳細は後述します。

「確定申告不要制度」とは?必要と不要の境界線

原則として年金受給者も確定申告の対象になりますが、すべての年金受給者が確定申告をスムーズに行えるとは限りません。そこで、年金受給者の負担を軽減することを目的に「確定申告不要制度」が設けられています。

確定申告不要制度とは、一定の条件を満たせば年金受給者であっても確定申告が不要になる制度です。確定申告不要制度の対象者になるかどうかは、以下のフローチャートで簡単に判断できます。
確定申告不要制度を判断するシート
※このフローチャートは所得税の確定申告が必要かどうかの判断に用いるもので、状況によっては別途住民税の申告が必要になることがあります。

公的年金の収入額

1つ目の判断基準は、公的年金等の収入金額の合計が400万円を超えるかどうかです。厚生年金と企業型確定拠出年金など、複数の公的年金を受け取っている場合は合算します。

(例)Aさんは毎月、老齢基礎年金5万円、老齢厚生年金15万円、確定給付企業年金3万円を受け取っている(各金額は収入額で、計算上簡易な数値にしています)。
 この場合の毎月の公的年金等の収入は23万円(=5万円+15万円+3万円)で、年間276万円(=23万円×12ヵ月)です。
 Aさんの公的年金等の収入金額の合計は400万円以下なので、確定申告は不要です。

公的年金以外の所得

2つ目の判断基準は、公的年金等以外に所得があるかどうかです。年金を受給しつつ、会社で働いている人や役員報酬をもらっている人、不動産の家賃収入がある人、株取引をしている人などは、自身の所得額を確認する必要があります。

所得がある場合は、公的年金等以外の所得の合計が20万円を超えるかどうかを確認します。20万円を超える場合は確定申告が必要です。

源泉徴収額

公的年金等を一定額以上受給する人は、公的年金等の額から社会保険料や扶養の状況に応じて所得税が源泉徴収されます。
なお、公的年金等に係る雑所得の計算は、令和2年以降についてはその人の合計所得金額に応じて変わります。

公的年金等以外の合計所得が1,000万円以下の場合、65歳未満の人は公的年金等の収入額が60万円以下の場合、65歳以上の人は公的年金等の収入額が110万円以下の場合、公的年金等に係る雑所得が生じないため確定申告は不要です。

参考:国税庁|公的年金等の課税関係

還付される税額

年金受給者には「公的年金等の源泉徴収票」が交付されますが、源泉徴収票上に記載されている所得控除は一部で、社会保険料控除扶養控除障害者控除などに限られます。記載されていない医療費控除や生命保険料控除などの対象で、還付される税金がある場合は確定申告を行います(この場合確定申告は必須ではありませんが、確定申告をしない限り追加の所得控除が計算上反映されないため、税金が還付されません)。

年金受給者でも税金が還付される具体例

年金受給者でも税金が還付される例にはどのようなものがあるか、具体例をいくつか取り上げます。

  1. 終身保険料や介護保険料、医療保険料を支払っている
  2. 生命保険や医療保険などに加入しており、年金受給中も保険料を負担している場合は、生命保険料控除の対象になります。合算で最大12万円までの所得控除が可能です。

  3. 医療費を支払ったとき
  4. 年間の医療費が10万円を超える場合(総所得金額200万円未満の場合は総所得金額の5%を超える場合)、医療費控除を受けられる可能性があります。なお、医療費控除の計算にあたっては、保険や給付金で補てんされた額を差し引かなくてはなりません。

  5. ふるさと納税をした場合
  6. ふるさと納税の寄附金のうち2,000円を超える分については、寄附金控除として所得控除が可能です。

  7. バリアフリーや多世帯同居の改修工事をしたとき
  8. 一定の要件を満たすバリアフリー改修工事や多世帯同居改修工事を行った場合は、一定額の住宅特定改修特別税額控除を受けられます。

上記の具体例は所得控除や税額控除の例で、すでに源泉徴収されている所得税がある場合に限り、所得控除や税額控除の額を限度に所得税が還付されます(還付には確定申告が必要です)。

年金受給者も確定申告の理解を深めましょう!

公的年金には確定申告不要制度があり、多くの人は確定申告を行わなくても済むようになっています。ただし、年金以外に収入がある人は注意が必要です。最近はリタイア後も社会とのつながりを持つために働く人が増えているので、所得が上がれば確定申告が必要になることを覚えておきましょう。

よくある質問

年金受給者で確定申告が必要なのは?

公的年金の収入が合計で400万円を超える人や、公的年金以外にある程度の収入がある人などです。詳しくはこちらをご覧ください。

年金受給者で確定申告が不要なのは?

公的年金の収入が合計400万円以下の人や、公的年金以外の所得が20万円以下の人などです。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。