• 更新日 : 2022年2月17日

青色申告の帳簿・複式簿記のつけ方から保存期間まで解説

青色申告の帳簿(複式簿記)のつけ方から保存期間まで解説!

不動産所得または事業所得、山林所得のある方が正しい申告をすることによって優遇される制度である「青色申告」は、原則として正式な簿記によって記帳を行わなければなりません。
簿記には単式簿記(簡易簿記)と複式簿記がありますが、一般的に青色申告で用いる簿記は複式簿記です。これは、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるためには、事前に「青色申告承認申請書」を提出の上、貸借対照表損益計算書を添付して確定申告書を提出しなければならないからです。単式簿記では両書類は作成されず、つまり、自ずと複式簿記が必須となるわけです。
ここでは、簿記の種類と、青色申告と深く関わりを持つ複式簿記の仕組みについて紹介します。

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青色申告をする時、単式帳簿と複式帳簿で控除が変わる?

所得税において青色申告をする場合、控除可能な額が変わる場合があります。
青色申告特別控除は、次のように複式簿記によって最高65万円の控除が可能であり、単式簿記においては最高10万円の控除となります。

所得区分
青色申告特別控除額
単式帳簿、現金主義
複式帳簿
事業所得、不動産所得※
最高10万円
最高65万円
山林所得
最高10万円

※事業的規模でない不動産貸付業を営む方は、複式簿記であっても最高65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。

単式簿記(簡易簿記)と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記ではどのように違うのでしょうか?両者の違いについて見てみましょう。

10万円の特別控除になる単式簿記(簡易簿記)とは?

簿記とは、経済活動の結果として生じる財産や資本の変動、価値の流れ等を会計帳簿に記録や計算をしていくことです。身近なところでいえば家計簿なども簿記といえます。

簿記は、大きく分類すると単式簿記(簡易簿記)と複式簿記の二種類があります。
単式簿記とは、いくら入ったか、いくら使ったか、シンプルに入出金を記入していくものです。誰でも簡単に記帳はできますが、現金の増減だけを示すものです。

ただし、青色申告に必要な帳簿は、現金出納帳以外に、買掛帳や売掛帳、経費帳、固定資産台帳など必要に応じてさまざまな帳簿を提出する必要があります。

もうひとつ、青色申告の記帳には、現金主義による「現金式簡易簿記」があります。現金主義とは、取引の発生で記帳するのではなく、現金の収支があった時点で記帳する方法です。

この簿記を利用できるのは、前々期の事業所得、または不動産所得が300万円以下の事業主で「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を事前提出した場合に限られます。同じ青色申告であっても、単式簿記あるいは現金式簡易簿記の場合の特別控除額は最大10万円となっています。

65万円の特別控除に必要な複式簿記とは?

複式簿記とは、ひとつの取引において、原因と結果に振り分けて考える記帳方式です。
すなわち、複式簿記ではひとつの取引について二方面から見て記帳することとなります。
例えば、現金によって売上が上がった取引については、現金と売上の二方面から把握します。

売上金額だけでなく、その裏付けとして現金が増えた事実を記録し、取引後の現金残高と帳簿上の現金残高が一致すれば、売上の立証ができます。そして、複式簿記による二方面から取引の把握は、その取引の確実性や信憑性を高めるだけでなく、「貸借対照表」の作成を可能にします。

複式簿記の作業としては、複式簿記のルールに則って取引を順次記録していきます。この記録する作業を「仕訳」と呼びます。この仕訳作業によって確定申告で必要な「貸借対照表」と「損益計算書」が完成します。

仕訳帳の記入例>
2月14日、現金での売上(チョコレート)が35,000円あった。

日付
借方
貸方
摘要
2月14日現金35,000円売上35,000円チョコレート

以下のページにて、より詳しく解説しています。

確定申告で添付する貸借対照表とは、借方に示された財産に対し、その財産の元となったお金の調達方法は何かを貸方に示した表です。貸借対照表によって、会社が決算日時点でどのくらい資産を持ち、そして、どのくらい負債があるのかがわかります。

損益計算書とは、その文字の通り、経営の状態を表すものです。売上や売上高、費用などを差し引いた売上総利益営業利益経常利益など損益を知ることができます。

青色申告を行う際に提出する「青色申告決算書」は損益計算書と貸借対照表で構成されています。詳しくは以下のページをご確認ください。

なぜ複式簿記が優遇される?

税務署は、より正確な会計処理に基づいた税務申告に対して優遇措置を設けています。それが青色申告であり、特典として最大65万円の青色申告特別控除などがあります。
複式簿記による帳簿は、財産と負債を照合して合致させることが基本であり、貸借対照表に示されている資産と負債には関連性や連続性があるため、単純なミスはともかく財産や所得を隠したり、不正をしたりしにくい仕組みの会計処理といえます。

事業規模と申告および会計方式の選択

何かとメリットが多いようにも思える複式簿記ですが、すべての事業主が青色申告をするべき、あるいは複式簿記にするべきかどうかは一概にいえません。
たとえば、フリーランスになったばかりのデザイナーやエンジニアはどうでしょうか。また、ほかの控除があったり、所得が少なかったりしたらどうでしょう。
しかしながら、将来的に事業が拡大したときのことを考えると、事業の流れ、お金の流れをクリアできる複式簿記を行うのをおすすめします。記帳に手間がかかるといっても自分の事業に必要な複式簿記をマスターすれば単式簿記と変わらない作業です。

最近では、複式簿記の帳簿を自動的に作成する会計ソフトが非常に利用しやすくなっています。

ちなみに、白色申告者にも記帳制度や記録保存制度が設けられています。したがって青色、白色にかかわらず、経営者になれば帳簿や簿記と無縁ではいられません。

青色申告の控除を受けるために必要な帳簿の詳細

会計帳簿には、主要簿と補助簿があります。ここではそれらの区分を大まかに見ていきましょう。

主要簿とは

主要簿とは、日々発生する取引のすべてを記録した帳簿をいいます。仕訳帳や総勘定元帳が複式簿記における主要簿となります。

補助簿とは

補助簿とは、主要簿に対して補助的な役割を果たす帳簿で、個々の詳しい取引情報をすぐに把握したい場合などに利用します。現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳などの補助的な帳簿を指します。

主要簿や補助簿についての詳細は以下の記事をご参照下さい。

青色申告における帳簿や書類の保管期間

青色申告においては、会計帳簿とともに会計書類を保管しなければなりません。

会計書類とは、取引や決算に関して作成又は受領した書類(例えば、請求書、請求書控、損益計算書、小切手帳など)をいいます。会計帳簿と会計書類をあわせて、「帳簿書類」といいます。 帳簿書類の保存期間は次の通りです。

 
保存が必要なもの
保存期間
帳簿主要簿、補助簿7年
書類決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など7年
現金取引等関係書類領収書、預金通帳、借用書など7年※
その他の書類請求書、見積書、契約書、納品書など5年

※前々年分所得が300万円以下の場合は5年

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁
なお、電子取引をした場合には、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間、その電子データを保存する必要があります。

ただし、その電子データを出力した紙によって保存している場合は、電磁的記録を保存しなくても構いません。(令和4年1月1日より電子データを紙で保存することはできなくなります。)

会計帳簿の保管期間についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

帳簿(複式簿記)への理解を深め、確定申告(青色申告)を正しく行いましょう!

青色申告は、所得控除額だけでなく他にも各種の特典があり、節税効果が高い制度です。現事業に必要な複式簿記について理解をすれば、確定申告の際に税務署等でもある程度は教えてもらえます。

現在、白色申告の方もぜひ青色申告への切り替えをおすすめします。

よくある質問

青色申告とはどのような制度ですか?

不動産所得または事業所得、山林所得のある方が正しい申告をすることによって優遇される制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

複式簿記ではなにが優遇されますか?

正確な会計処理に基づいた税務申告に対して優遇措置を設けており、最大65万円の青色申告特別控除などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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