- 更新日 : 2021年6月21日
確定申告のよくある間違いと修正方法~税務署で大暴れしないために!~
会社員などの給与所得者の方は、確定申告をする機会がほとんどないと思います。そのため、確定申告をするとなったらほとんどの方が税務署に行き、1時間以上並んで、少人数でやりくりしている職員さんを呼びながら、少しずつ申告書を作成していきます。
ですが、確定申告に慣れている個人事業者に対し、確定申告のことを正しく理解している会社員の方はそう多くないでしょう。私の実感としては、確定申告期間に税務署で大暴れするのは個人事業者“以外”の方が大半です。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
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目次
日々の取引入力、申告書の作成から申告作業まで、1つで完結するのが「マネーフォワード クラウド確定申告」。家計簿感覚で簡単に使えるので、初めての方にも多くご使用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。
確定申告は「複雑なゲーム」
年齢を重ね、さまざまな経験を積み、あらゆることに自信があっても、確定申告という難解な作業は、未経験者が予習なしにできるものではありません。職員さんのアドバイスやパソコンの画面も、初見ではワケが分からないでしょう。
会社では“仕事のデキる男”として通っていても、確定申告というフィールドでは何の役にも立ちません。確定申告は「どこかのおじさんが作った複雑なゲーム」です。ルールが分からず、職員の対応や納税額が予想と異なり、矜持を傷つけられ、大声を出すこともあるでしょう。そんなことにならないように、正しい確定申告の知識をここで身につけておくことをおすすめします。
確定申告の初歩的なミス3
まずは確定申告ビギナーがやりがちな初歩的なミスを3つご紹介します。
書類が足りない
税務署で散々並んだのに、「書類が足りないので確定申告できません」と言われてしまうことです。源泉徴収票が足りないとか印鑑がないとかそういった理由ですが、混雑のイライラを我慢してようやく自分の番が回ってきたのに、職員さんに機械的に突き返されたら腹も立つでしょう。
書類が足りなくても、あなたがその内容で申告してもいいと諦めるならば、申告できる場合もありますが、その辺りまで職員さんが懇切丁寧に教えてくれるかどうかは分かりません。そのため、あなた自身が正しく豊富な知識を身につける必要があります。
還付と思ったら納税だった
知人や友人から仕入れたいい加減な知識で、「確定申告をすれば支払った税金が還付される」と信じて夫婦で確定申告に来て、初めてでやり方がわからないので職員さんに言われるがままに申告書を作成し、「ではあちらで提出してください」と促され、提出所で「納税は〇〇円です」と聞かされ、「還付じゃないのかよ! ふざけるな!」と申告書をビリビリに破いて帰っていく方々もいます。
提出所でハンコを押す職員さんからすると訳が分からないのですが、きっと物事が思い通りにならなかったんだろうなぁと思われます。
管轄外の税務署に行ってしまう
そもそも管轄外の税務署に相談に行ってしまう方もいます。昔は管轄外の税務署でも質問を受けてくれていたのですが、今は管轄地域内の税務署でないと答えてくれません。というのも、納税者があちこちの税務署に質問をして、都合の良い回答だけを抽出して言質を取ることがあったからです。
全国すべての税務署で、同じ質問に対して同じ回答を返されるのが当然なのですが、納税者が職員さんに伝える情報が不正確かつ不十分な場合があって、デリケ―トな質問の場合、その都度回答が変わってします。そこで、回答者を絞ることで混乱を防ごうと、管轄の税務署以外では質問できないようになりました。今では、電話での質問は、すべて“電話相談センター”で承っています。
確定申告期間中に、管轄外の税務署に行った場合は、基本的には「申告できませんので、お帰りください」と言われることはないと思います。その場で提出ができないので、郵送で管轄の税務署に送るように指示されるか、申告期限までに余裕があればそこで提出して、その税務署から管轄の税務署へトラックで運んでくれるということもあるでしょう(これを「局便」と呼んでいました)。状況や時代によって対応は異なりますので、都度確認してください。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
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確定申告でよくある間違い12
初歩的なミスを確認したところで、次に“本丸”の確定申告の手続きでよくある間違いをチェックしましょう。国税庁のウェブサイトでは、「誤りの多い事例」として次の12の事例を記載しているのでかいつまんでご紹介します。
国外所得の申告漏れ
非永住者をのぞく居住者は、海外で得た所得を合わせて申告する必要があります。
副収入の申告漏れ
副業などで得た所得についても合わせて申告する必要があります。ネットオークションやフリマアプリ、仮想通貨の売却などで得た収入も申告しなければなりません。
一時所得の申告漏れ
生命保険会社などから、満期金や一時金を受け取られた方は、その収入が一時所得として申告する必要がないか確認しましょう。
競馬など公営競技で高額な払戻金を受けた方は申告が必要です。
医療費控除の計算誤り
薬局で購入した日用品は対象外なので注意が必要です。ちなみに、医療費は自分の分だけでなく、家族の分を合わせることができます。扶養家族かどうかも関係ないのでチェックしておきましょう。
ふるさと納税の寄附金控除の適用漏れ
確定申告を行う場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例」の申請書を提出していても、ふるさと納税の金額を寄附金控除額の計算に含めなければなりません。
地震保険料控除の適用誤り
地震等損害保険契約以外の保険料については、地震保険料控除の適用はありません。
寡婦控除、寡夫控除の適用漏れ
寡婦、寡夫に該当する方は控除の対象です。
配偶者控除及び配偶者特別控除の適用誤り
合計所得金額が1,000万円を超えている方は控除を受けることができません。また、配偶者控除を受ける方(配偶者の所得が48万円以下の方)は、配偶者特別控除を併せて受けることはできません。
基礎控除の記載漏れ
総所得金額などから48万円(所得が2,400万円以下の場合)を差し引くことができる基礎控除は、すべての人に適用されます。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用誤り
家を買い替えた場合、そこへ入居した年と前後2年以内の計5年の間にもともと住んでいた家を売却して他の税制優遇措置を受けた方は、住宅ローン控除を受けることはできません。
復興特別所得税額の記載漏れ
東日本大震災からの復興を図るための施策に必要な財源を確保するため、2037年分まで復興特別所得税(その年の所得税額の2.1%)を所得税とあわせて申告納付する必要があります。
予定納税額の記載漏れ
税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が送付されている場合は、確定申告において予定納税額を申告しなければなりません。
参考|確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【申告相談】(国税庁)
もし間違えて申告書を提出したら
それでも申請内容を間違えてしまうことはあります。慣れてない方だったらなかなかミスに気づきにくいでしょう。もし確定申告書の内容を間違えたまま提出してしまったら、内容を正しく修正する必要があります。その方法は、確定申告期限内か期限後かで次のように変わります。
確定申告「期限内」の修正方法
確定申告期限内に誤りに気付いた場合は、申告書等を作り直し、確定申告期限までに税務署に提出すれば大丈夫です。
確定申告「期限後」の修正方法
確定申告期限後に申請内容を修正したい場合は、次の当てはまる方法で訂正の手続きをします。
税額を多く申告していたときは「更正の請求」
更正の請求という手続きを取ります。更正の請求書を作成して税務署に提出し、内容が認められたら納めすぎた税金が還付されます。更正の請求ができる期間は5年以内なので忘れないよう注意しましょう。
税額を少なく申告していたときは「修正申告」
修正申告をして正しい税額に修正しましょう。こちらも修正申告書を作って税務署に提出します。税務署の指摘を受ける前に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりませんが、新たに納める税金とあわせて延滞税も支払わなければなりません。詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてみてください。
まとめ
1度の申告で終わるから、と安易に考えることなく、2度訪れることができるスケジュールを組み、余裕を持って確定申告を行うのが“仕事のデキる会社員”の対応といえます。
さんきゅう倉田さんの記事一覧
■2019年1月10日掲載:
【2019年版】確定申告時期! 1月・2月・3月にやること徹底ガイド
■2018年12月12日掲載:
元国税職員が見た「追徴課税の現場」 “謎の社員”の給与振込先は…
■2018年11月19日掲載:
「おじいさんは山へガサ入れに…」 元国税芸人さんきゅう倉田が「#税務童話」をつくってみた
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
確定申告の初歩的なミスとは?
書類が足りない、還付と思ったら納税だった、管轄外の税務署に行ってしまうなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告でよくある間違いは?
国外所得や副収入、一時所得の申告漏れ、医療費控除の計算誤り、ふるさと納税の寄附金控除の適用漏れなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
もし間違えて申告書を提出したら?
確定申告期限内であれば申告書等を作り直し期限までに税務署に提出、確定申告期限内であれば場合に応じて更正の請求または修正申告を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
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