• 更新日 : 2022年12月19日

青色申告特別控除とは?65万円控除を受ける条件や税金のメリットを解説

青色申告特別控除とは?65万円控除を受ける条件や税金のメリットを解説

青色申告にはさまざまなメリットがありますが、そのひとつに青色申告特別控除制度があります。

これは、青色申告者が一定の要件を満たすことで所得控除が受けられる制度です。
通常は、売上などの収入から必要経費を差し引いた金額が所得となりますが、青色申告特別控除制度は、さらにその所得から最高65万円または10万円を差し引くことができます。

今回は、控除の内容とそれを受けるための要件について解説します。

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青色申告特別控除とは?青色申告承認申請書が必要!

青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告を行う場合に受けられる控除のことです。一定の条件を満たすことで、最高65万円の控除が受けられます。

個人事業主には売上から必要経費を差し引いた儲け(所得金額)に税金が課されます。青色申告特別控除の適用があると、儲け(所得金額)からさらに最高65万円を差し引いた後の金額に税金が課されるため、納税者にとってかなりの節税となり、有利な制度になります。

ただし、青色申告特別控除の適用を受けるためには、原則、その年の3月15日まで(新規開業した場合は開業後2か月以内 )に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

青色申告特別控除を受けるための条件

青色申告制度を利用するには、不動産または事業、山林をもとに収益を生じる事業を行っていることが必要です。不動産所得とは、建物や土地の貸付け、地上権などの設定、貸付け、船舶や飛行機の貸付けなどをいいます。事業所得とは、農業や漁業を始めとして、製造業、サービス業など、事業から得られる所得をいいます。山林所得とは、木を伐採して売ったり、立木のまま売ったりして生じる所得をいいます。

65万円控除(55万円控除)を受けるための条件

青色申告特別控除は、一定の条件をどこまで満たすのかによって、65万円控除、55万円控除、10万円控除の3つに分かれます。

ここでは、65万円控除、55万円控除を受けるための条件について見ていきましょう。

不動産所得(事業的規模)または事業所得がある

そもそも青色申告ができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがある人です。その中で、65万円控除または55万円控除が適用できる人は、不動産所得(事業的規模)または事業所得のある人に限られます。

ここでポイントとなるのが、不動産所得においては事業的規模を満たすことです。事業所得の場合は事業を行っているので、もちろん事業的規模は満たされています。これに対し不動産所得の場合、家屋の賃貸の場合はおおむね5棟以上、アパートなどの賃貸の場合はおおむね10室以上の場合に、事業的規模を満たしていると考えることが多いです(5棟10室基準)。

複式簿記で記帳をしている

青色申告特別控除で65万円控除または55万円控除が適用できる条件のひとつに、正規の簿記の原則にしたがって帳簿付けをしていることがあります。

正規の簿記の原則にしたがった帳簿付けとは、一般的に複式簿記で記帳をすることを指します。

貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付している

青色申告特別控除で、65万円控除または55万円控除を適用するためには、貸借対照表損益計算書を確定申告書に添付する必要があります。

一般的に、青色申告で確定申告を行う際、税務署に提出する青色申告決算書では、貸借対照表と損益計算書を作成することとなっていますが、65万円控除または55万円控除を適用するためには、貸借対照表と損益計算書の内容が記載されている必要があります。

e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っている

ここまで見てきた条件は、65万円控除、55万円控除に共通するものでした。

では、65万円控除と55万円控除を受けるための条件の違いは何かというと、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っているかどうかです。e-Taxによる申告、または電子帳簿保存を行っている場合は、65万円控除が適用され、行っていない場合は、55万円控除になります。

e-Taxによらず、電子帳簿保存により上乗せの10万円控除をする場合、仕訳帳及び総勘定元帳について「優良な電子帳簿」の要件を満たしている必要があります。令和4年に施行された電子帳簿保存法改正以降においても一定の事項を記載した届出書の提出が要件となります。

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10万円控除を受けるための条件

青色申告者であって、55万円控除の要件に1つでも該当しなかった場合は、10万円の特別控除が適用となります。

例えば、単式簿記(簡易簿記)による記帳を行っている場合、現金出納帳、買掛帳、売掛帳、固定資産台帳、経費帳などから現金主義用の青色決算書を作成し、青色申告をすることはできますが、特別控除は最高10万円までとなります。

最高65万円の青色申告特別控除を受けるためには複式簿記による帳簿記帳が必要となってきます。

また、すべての要件を満たしたうえe-Taxで申告し、65万円控除を申請したとしても、法定申告期限を過ぎている場合は10万円の控除となります。

ちなみに、10万円控除の場合のみ、特別控除前所得の合計金額には山林所得も含まれます。

青色申告特別控除が受けられないケース

例えば雑所得のように、不動産所得、事業所得、山林所得以外の所得は、青色申告特別控除が受けられません。

また原則、現金の出し入れを基準として収入や費用の計上を行う現金主義会計の場合にも、控除が受けられません。(現金主義会計には所得基準があり、また届出が必要です。)ただし、一定の条件にあてはまる小規模事業者の場合は、届出を提出することで、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。

青色申告特別控除による税金のメリット

具体的にどの程度節約できるのか、所得400万円の場合で考えてみます。

所得税が安くなる

特別控除を適用しない場合(白色申告)は、所得金額400万円に対する所得税(復興特別所得税を除く)は、37万2,500円です。

しかし、特別控除を最高額で適用すると、課税所得から65万円控除した335万円に対して所得税を掛けることで24万2,500円となり、13万円もの差額があります。

住民税が安くなる

住民税も所得税同様、総所得から各種経費を控除し、課税所得に応じて計算されるため、青色申告特別控除を適用することで住民税が減らせます。

住民税は平成19年分以降、10%で一律になったため、最高65万円の特別控除を受けることで、概算で65万円×10%の65,000円分の住民税が抑えられるのです。

国民健康保険料が安くなる

国民健康保険加入者の方は、所得金額から基礎控除43万円を引いた金額に所得割率を掛けて保険料(所得割部分)が計算されます。

青色申告特別控除が適用できれば、基準となる所得金額から最高65万円の控除額を引いた金額で計算することになります。

複式簿記で記帳を行うことや、帳簿や決算書類は7年間、領収書は7年間(前々年の所得が300万円以下の場合は5年)の保管義務があるなど、一定レベルの会計処理を行うという大変さはありますが、確定申告ソフトを使用すればその手間もかなり省けます。

日々の入出金を入力するだけで、帳簿や計算書類は自動作成されるのでとても安心です。必要なポイントをしっかりと押さえて、節税につなげていきましょう。

個人事業主は青色申告特別控除で節税対策をしましょう

個人事業主にとって、必要以上に経費を増やして節税することは難しいです。しかし、青色申告特別控除であれば、青色申告をするだけで控除を受けることができます。

青色申告特別控除、特に最大65万円控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、その分節税効果も高くなります。個人事業主の場合は、65万円の控除を目指し、青色申告特別控除で節税対策をしましょう。

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よくある質問

青色申告特別控除とは?

青色申告で確定申告をする人が受けることのできる最高65万円の控除のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告特別控除で65万円の控除を受けるための条件は?

e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行うなど、いくつかの条件があります。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告特別控除による税金のメリットは?

所得税・住民税・国民健康保険料などが安くなるというメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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