• 作成日 : 2022年4月15日

個人事業主のふるさと納税控除上限額は?メリットや確定申告についても解説

個人事業主が税制面で損しないためには、ふるさと納税の控除上限額を把握する必要があります。自営業者は確定申告で寄付金控除を行わなければ、ふるさと納税の節税効果の恩恵を受けられません。青色申告により確定申告をすることで、さらに大きな節税につながるでしょう。

ふるさと納税の控除額は、所得税と住民税でそれぞれ計算方法が異なります。今回は個人事業主のふるさと納税の控除上限となる金額やメリット・デメリットなどを紹介します。

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個人事業主・自営業もふるさと納税を利用できる

会社員の間でブームを博しているふるさと納税。確定申告やワンストップ納税の手続きが必要ですが、寄付金控除を受け所得税を抑えられます。ふるさと納税は会社員だけでなく、個人事業主や自営業の方も利用できる制度です。

まず寄付を行う自治体と商品を選び、申し込みを行います。自治体からは返礼品とともに、寄付金受領証明書が送付されてきます。寄付金受領証明書は確定申告を行う際に必要となる書類です。無くさないよう、きちんと保管しておきましょう。

お金の動きを正確に把握するためには、ふるさと納税に要した費用を仕訳しなくてはいけません。個人事業主がふるさと納税の仕訳に用いる勘定科目は次の記事で詳しく解説しています。

個人事業主・自営業のふるさと納税控除上限額は?

ふるさと納税は実質的な負担を2,000円以内に抑えて、好きな自治体の返礼品を受け取れる制度です。ただし、ふるさと納税の控除には上限額が設けられており、基準を超えると自己負担額が2,000円を超えてしまいます。

ふるさと納税の控除上限額の目安は、住民税所得割額の2割と考えてください。より詳細な金額を知りたい方は、計算式を用いて自分で計算してみましょう。ここではふるさと納税の控除上限額の目安や計算方法について解説します。

住民税所得割額の2割が目安

ふるさと納税の控除上限額は「住民税決定通知書」に記載された住民税所得割額の2割程度が目安です。住民税決定通知書とは毎年5〜6月に自治体から送られてくる書類で、その名の通り納める住民税の金額が記されています。

住民税は前年の所得に応じて金額が変わる所得割と、すべての方に一律の金額が課される均等割に分かれます。住民税の所得割に応じてふるさと納税の上限額が変わるというのは、具体的な金額は収入に左右されるという意味です。

住民税決定通知書を確認すれば、所得割額は簡単に把握が可能です。節税効果を最大限得るためにはいくらまでふるさと納税が可能か知りたい方は、「住民税所得割額×0.2」を計算し目安にしましょう。

納税控除上限額の計算方法

ふるさと納税の控除上限額は次の計算式に当てはめれば算出できます。

住民税所得割額×課税所得に応じた変数+2,000円=寄付可能上限額

課税所得の変数に応じた所得の詳細に関して知りたい方は、次の表を参考にしてください。

課税所得金額
課税所得に応じた変数
~195万円以下
23.559%
195万円超~330万円以下
25.066%
330万円超~695万円以下
28.744%
695万円超~900万円以下
30.068%
900万円超~1,800万円以下
35.520%
1,800万円超~4,000万円以下
40.683%
4,000万円超
45.398%
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個人事業主・自営業のふるさと納税による控除額は?

ふるさと納税を個人事業主が行った場合、控除額はどのように計算されるでしょうか。ふるさと納税の控除額は、所得税と住民税に分かれます。

所得税の控除額は還付を受けられる一方、住民税の控除は翌年に支払う税金を減らします。所得税と住民税、それぞれの計算方法を知っておくのがよいでしょう。ここでは、ふるさと納税の控除額について、計算式や具体例などを紹介します。

所得税の計算方法

所得税の控除額の計算式は次の通りです。

(ふるさと納税の寄付額-2,000円)×所得税の税率

【参考】ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

所得税の税率は次の通り、対象年度の課税所得金額に応じて変わります。

課税所得金額
税率
1,000円~194万9,000円
5%
195万円~329万9,000円
10%
330万円~694万9,000円
20%
695万円~899万9,000円
23%
900万円~1,799万9,000円
33%
1,800万円~3,999万9,000円
40%
4,000万円以上
45%

【参考】 所得税の税率|国税庁

例えば、所得金額が300万円の人が10,000円分のふるさと納税を行ったとしましょう。税率は10%が適用されるため、(10,000円-2,000円)×10%=800円です。

この計算式が示すのは、10,000円のふるさと納税を行った人は課税所得から800円の所得税の還付を受けられるという意味です。

住民税の計算方法

住民税のふるさと納税の控除額は、基本分と特例分に分かれます。

基本分:(ふるさと納税の寄附額 – 2,000円) × 10%

特例分:(ふるさと納税の寄附額 – 2,000円) × (100% – 10% – 所得税の税率)

【参考】ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

10,000円分のふるさと納税を行った場合、住民税の基本分として800円の控除が受けられます。特例分は8,000円×80%で6,400円が控除対象です。

基本分と特例分を合わせて、住民税で7,200円の控除を受けられます。所得税の800円と合わせて8,000円の控除を受けることが可能です。

一般的に所得税は源泉徴収で給与から天引きされており、確定申告後に口座へ還付が行われます。一方、住民税は前年の所得に応じて決まり、支払いは翌年に持ち越されるため、本来支払う金額から控除されます。

個人事業主・自営業がふるさと納税をするメリットは?

個人事業主や自営業の方にとって、ふるさと納税は有意義な制度です。その理由は、会社員やサラリーマンよりも控除上限額が大きくなる可能性が高いためです。

また、手続きは確定申告書の寄付金控除欄に、追加で控除額を記入するだけで済みます。特に確定申告を何度か経験している個人事業主にとっては、手続きの負担は少ないといえるでしょう。ここでは個人事業主や自営業の方がふるさと納税をするメリットを深掘りします。

会社員・サラリーマンよりも上限額が大きい

基本的に会社員より個人事業主のほうが、ふるさと納税の控除上限額が大きくなります。なぜなら個人事業主は会社員と比べ、所得金額が大きくなりがちだからです。

会社員の給与収入から控除される給与所得控除額が個人事業主には存在しません。個人事業主は事業に要した経費を申請できるので整合性を取るためです。バランスを取ってはいますが、実質は会社員のほうが控除の金額上、有利に働くことが多いです。

前述の通り、ふるさと納税の控除上限額は所得の金額に応じて変わります。したがって所得金額が大きい個人事業主のほうがふるさと納税による多くの恩恵を受けられるわけです。つまり、ふるさと納税は個人事業主にとってお得な制度なのです。

確定申告書の寄付金控除欄に追記するだけでよい

個人事業主がふるさと納税の寄付金控除を受けるには、確定申告書の寄付金控除欄に控除額を追記するだけでOKです。一筆書き入れるだけで良いので、手続きの負担が大きいとはいえません。

また、会計ソフトには寄付金受領証明書に記載された金額を入力すれば、自動で控除額が計算されるツールもあります。

寄付金受領証明書が送付される時期と確定申告書類を記入する時期にはタイムラグがあります。寄付金控除を受けるためには受領証を税務署に提出する必要があるため、紛失がないように注意してください。

個人事業主・自営業がふるさと納税をするデメリットは?

個人事業主がふるさと納税をするデメリットは、控除額の上限を把握しにくいこととワンストップ特例制度が利用できないことです。

ふるさと納税の控除上限額は年間の所得金額に応じて変わるため、特に収入の変動が大きい個人事業主は正確な値を予測することが難しいでしょう。

また個人事業主は、確定申告の必要なく寄付金の控除を受けられるワンストップ特例制度の対象外です。ここでは個人事業主がふるさと納税を行うデメリットを詳しく解説します。

所得金額が変動するため上限額が一定でない

ふるさと納税は年間の所得に応じて、上限額が変動する制度です。このため、年間の収入金額が確定するまでは、いくらまでふるさと納税を行うべきか判断がつかない場合があるかもしれません。

特に毎年収入に変動が起きやすい個人事業主の場合はなおさらです。事前に上限額が分からなければ控除の範囲を超え、負担額が増える可能性があります。

不安な方は年間所得のおおよその金額が分かる11〜12月を目途に、ふるさと納税を行うとよいでしょう。

ワンストップ特例制度が使えない

ワンストップ特例制度とは、自治体に対して申請書を送付するだけで、確定申告を行わずして寄付金控除を受けられる制度です。

元々確定申告の義務がないサラリーマンの方にとっては便利な制度ですが、個人事業主の場合はワンストップ特例制度を使えません。

なぜならワンストップ特例は、そもそも確定申告の必要がない人の制度だからです。ただし、個人事業主として事業を営んでいるなら、基本的に確定申告を行わなければならないため、手間が大きく増えるわけではありません。

ワンストップ特例制度は寄付ごとに行う必要があり、1回で済む確定申告と比べて、かえって手続きが面倒だと感じる人もいるかもしれません。

ワンストップ特例制度の申告方法に関しては、次の記事で解説しています。

個人事業主・自営業のふるさと納税は確定申告が必要!

ワンストップ特例制度を利用できない個人事業主の方がふるさと納税を受けるためには確定申告が必要です。

確定申告により寄付金控除の申告を行わなければ、いくらふるさと納税に資金を拠出したとしても、1円の控除も受けられません。ふるさと納税を行った翌年の期限内に税務署へ忘れずに申告しましょう。

個人事業主は確定申告を行うに当たり、白色申告か青色申告か選択する必要があります。複式簿記を用いる青色申告は記帳の手間がかかりますが、青色申告特別控除を受けられるなどの特典を受けられる申告方法です。

青色申告とふるさと納税を併用することにより、節税効果をさらに大きくできます。会計ソフトやインターネットでの確定申告をすることで手間を減らせるので検討してみましょう。

青色申告時のふるさと納税の記入方法は?

個人事業主がふるさと納税の寄付金控除を受けるために確定申告を行う場合、寄付金受領証明書が必要です。

寄付金受領証明書は寄付をした自治体から発行を受け、通常は納税から数ヵ月後以内には送付されることが多いです。

複数回に分けて納税していた場合、すべての取引で証明書を準備しなくてはなりません。書類作成時は手元に寄附金受領証明書を準備し、それを見ながら確定申告書の寄付金控除欄に控除額を記入します。

記入するのは「トータルの所得金額×40%」、もしくは「寄付金額-2,000円」のうち、金額が少ないほうです。寄付金額が所得の40%近くまで達するケースは多くないため、「寄付金額-2,000円」を申告するケースがほとんどでしょう。

【参考】一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

ふるさと納税以外の寄付がある場合、合算の必要があることにも注意しましょう。

個人事業主・自営業はお得なふるさと納税を利用しましょう!

個人事業主はふるさと納税を活用することによって、実質負担額2,000円で好きな自治体の返礼品を受け取れます。

個人事業主がふるさと納税を行うデメリットは次の2つです。

  • 所得金額が変動するため上限額が一定でない
  • ワンストップ特例制度が使えない

一方で次のようなメリットも存在します。

  • 会社員・サラリーマンよりも上限額が大きくなることが多い
  • 確定申告書の寄付金控除欄に追記するだけでよい

既に確定申告をこなした経験がある人にとっては、寄付金控除の手続きに負担を感じる恐れは少ないと言えます。

控除上限額に気を付け、個人事業主にとってお得なふるさと納税を使いこなしましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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よくある質問

個人事業主や自営業者もふるさと納税を活用できる?

ふるさと納税は会社員以外に、個人事業主も活用できる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主や自営業者がふるさと納税を行うメリットは?

控除上限額が会社員よりも大きくなりやすいことと申告時の手続きが負担になりにくいことです。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主や自営業者がふるさと納税を行うデメリットは?

具体的な納付上限金額が把握しづらいこととワンストップ特例を利用できないことです。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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