- 更新日 : 2025年3月3日
個人事業主におすすめの損害保険は?選び方や費用の相場、保険料の仕訳を解説
個人事業主にはあらゆるリスクが想定されるため、リスクをカバーできる損害保険は魅力的です。個人事業主の場合、どのような種類の保険を選択するのがよいのでしょうか。個人事業主の事業におけるリスクや事業者向けの損害保険の種類、仕訳について解説します。
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目次
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個人事業主が損害保険に加入する重要性
業務中の事故やトラブルについては、会社員であれば会社が責任を負うことになります。しかし、個人事業主に関しては、すべて自己責任で損失を補償しなければなりません。個人事業主が損害保険に加入するメリットには、業務中の事故やトラブルによる損害賠償をカバーする目的があります。
個人事業主が想定しておきたいリスク
個人事業主が想定しておくべき主なリスクを紹介します。
業務上の損害賠償
業務上の損害賠償は、業務中に取引先や顧客に対して何らかの損害を与えてしまった場合に請求される可能性があります。例えば、仕事中に人にケガをさせてしまったり、飲食店で食中毒が発生し顧客に損害を与えてしまったり、預かっていた物品を壊してしまったりといったケースです。
情報漏洩
業務上で取り扱う個人情報や機密情報は、本人が意図しない場合であっても外部に流出してしまうリスクがあります。例えば、コワーキングスペースなどの共用スペースで情報を盗まれたり、コンピューターウイルスの感染で情報が盗まれたりするようなケースです。重大な情報の漏洩が発覚した場合には、取引先から損害賠償を請求される可能性があります。
火災
商品を販売する業種や店舗を構える業種においては、事業用の資産が火災により焼失または使用できなくなるなどの損失を被る可能性があります。火災に限らず、地震や洪水などの自然災害により被害を受けることもあります。
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個人事業主のおすすめの損害保険
個人事業主におすすめの損害保険のひとつは、賠償責任保険です。相手方にケガをさせるなどの何らかの損害を与えた場合に、相手方への損害賠償金をカバーします。個人事業主が加入する場合は、個人の日常生活を対象としたものではなく、業務中の事故や情報漏洩、著作権侵害などの幅広い賠償責任をカバーできる保険が適しています。
事業で使用する店舗や工場、機械、商品などの資産を災害から守るには、火災保険がおすすめです。火災保険のプランによっては、火災以外の自然災害を広くカバーするタイプもあります。
製造業を営む個人事業主向けには、PL保険があります。PL保険(生産物賠償責任保険)は、製造物や工事業者の仕事が原因で他者に損害を与えた場合に、その損害補償金をカバーする保険です。PL法が1995年に施行されて以降、製品事故の欠陥が証明できた場合には、メーカーに対して過失に関わらず損害賠償を請求できるようになりました。万が一のリスクに備え、製造業者のPL保険のニーズは高まっています。
個人事業主は法人向けの損害保険に加入できる?
法人向けで販売されている損害保険であっても、個人事業主が加入できる可能性はあります。加入できるかどうかは、それぞれの保険会社が定める要件や保険プランごとの要件を満たすかどうかで判断できるでしょう。個人事業主が法人向けの損害保険に加入したい場合は、パンフレットなどで詳細を確認するか、直接保険会社にお問い合わせされることをおすすめします。
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個人事業主が損害保険を選ぶポイント
個人事業主が事業向けの損害保険を選択する際に意識したいポイントを4つとりあげます。
リスクに対応した保険か
個人事業主が事業に適した損害保険を選択する際には、事業におけるリスクを正確に把握しておくことが重要です。リスクを把握しきれていない状態で損害保険を選択すると、想定されるリスクすべてをカバーできない可能性があります。一方、想定されるリスク以外の補償が多い保険を選択してしまうこともあり、必要ない補償まで追加してしまう可能性もあります。まずは、ご自身の事業におけるリスクを正確にかつ漏れなく洗い出していくことが必要です。
保険料はどうか
保険料も予算の範囲で、無理なく支払えるかどうか確認しておきましょう。補償金額は手厚いほど、トラブルが起きたときに対処しやすくなります。一方、補償金額が大きいほど、保険料の負担額も増加します。保険料が高額になりすぎると事業の資金繰りにも影響を与えてしまう可能性もあるため、予算の範囲内でかつ補償内容も加味した保険料設定にしましょう。
補償の範囲や規模はどうか
事業で起こり得るリスクと照らし合わせて、損害保険で補償される範囲が十分か確認しておきましょう。補償範囲から想定されるリスクが漏れていると、トラブルが発生したときに十分に補償を受けられない可能性があります。また、保険会社によって、どの程度の金額まで補償してくれるのか補償の規模は異なります。損害を与えてしまった場合にどのくらいの損害賠償が請求される可能性があるか想定して保険を選びましょう。被害の想定が難しい賠償責任に関しては、無制限など上限値を高く設定しておくと安心です。
付帯サービスや特約はどうか
損害保険に付加できる特約や付帯サービスも確認しておきましょう。損害保険会社によって、付加できる特約や提供される付帯サービスは異なります。特約は、損害保険の補償などを強化できるサービスです。利用したい特約があるか、ある場合は他社と比較して付加価値が高いかを確認しましょう。付帯サービスは、保険会社から提供されるサポートです。保険の種類や保険会社で異なり、事故対応や示談交渉などのサービスがあります。
損害保険料について
ここでは損害保険料の仕組みについて解説します。
保険料の算出方法
損害保険は、将来発生するかもしれないリスクに対する保険です。将来どの程度の損害賠償の請求があるのかは契約の時点で判明していないという特徴があります。そのため、保険会社は過去の保険データを用いて将来の保険金額を計算して、保険料を算定しています。ただし、自然災害によるリスクは過去のデータがあまり参考になりません。発生頻度や発生場所は年度ごとに変動するためです。自然災害については、損害をシミュレーションすることで保険料が決められています。
保険料の目安
保険料に関して、損害保険の種類ごとに保険料の目安を出すのは難しいといえるでしょう。保険料は、契約者の状況などによって大きく変動するためです。例えば、賠償責任保険であれば賠償金額の上限や補償の範囲などによって保険料は変わります。火災保険であれば、建物の構造や建物の存在する地域によって保険料が変動します。
個人事業主の損害保険料は経費として計上できる?
個人事業主が契約している損害保険のすべてが経費計上できるわけではありません。経費にできるケース、あるいは経費にできないケースについて紹介します。
経費にできるケース
経費にできる損害保険は、専ら事業のために契約している保険です。例えば、製造業者が加入するPL保険、事業者向けの賠償責任保険、工場や倉庫の火災保険などがあげられます。いずれも、保険の対象が事業用であることがポイントです。
なお、自宅兼店舗として使用している建物の火災保険、仕事兼プライベートで使用している車両の自動車保険については按分計算が必要です。利用割合などに応じて、払い込んだ保険料を事業分と私用分に振り分けます。
経費にできないケース
個人事業主が契約する損害保険のうち、経費にできないのは、事業に関係のない損害保険契約です。例えば、事業主の自宅の建物に対する火災保険、事業主がプライベートでのみ使用する乗用車の車両保険、日常生活を補償範囲とした旅行保険や傷害保険などがあげられます。
個人事業主の経費計上の対象や注意点にはこちらで詳しく解説しています。
個人事業主が損害保険料を支払った場合の仕訳
個人事業主が事業のために契約している損害保険の保険料を支払った場合、使用する勘定科目は「保険料」になります。保険料支払時には、以下のように仕訳します。
(例)月々の賠償責任保険料として10,000円を普通預金から支払った場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
保険料 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
(例)自宅兼店舗の火災保険料20,000円を普通預金から支払った場合
なお、家事按分は、自宅を50%、店舗を50%とする。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
保険料 | 10,000円 | 普通預金 | 20,000円 |
事業主貸 | 10,000円 |
事業兼プライベートで按分計算が発生する場合、事業分を「保険料」、プライベート分を「事業主貸」で仕訳します。
個人事業主が損害保険を受け取ったときの確定申告
個人事業主が受け取る損害保険金については、基本的に非課税です。事業所得の収入には計上せず、「事業主借」の勘定科目で処理します。
ただし、損害賠償金のすべてが非課税に該当しないことに注意しましょう。あくまで突発的な事故によるものや、損害を受けた資産に対する損害の補償が対象です。
収入補償や必要経費補てんに該当する保険金については、非課税の対象にはなりません。例えば、事業で使用する事務所が被害を受けた場合、事務所の修理に充てられる損害賠償金は非課税になります。しかし、損害を受けた事務所に代わって賃貸契約をした場合の貸借料の補償は必要経費の補償と考えられるため、受け取った必要経費の補てん部分を収入に含めて確定申告する必要があります。
確定申告のやり方については、こちらの記事を参照ください。
個人事業主は必要に応じて損害保険を検討しよう
損害保険は、事業において損害賠償を請求されるようなトラブルや情報漏洩、自然災害による事業資産の被害を受けた場合などに役立つ保険です。個人事業主は会社員と異なりすべての責任を負うことになるため、事業のリスクに応じた対策が必要です。損害保険を検討する際は、事業でどのようなリスクが発生しそうか洗い出しから始めましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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