- 更新日 : 2023年12月19日
個人事業主の決算月はいつ?必要書類や確定申告までの流れを解説!
個人事業主として独立したばかりの人は、決算月がいつか気になっているのではないでしょうか。法人の場合は自由に決算月を決められますが、個人事業主の決算月は税法で定められています。本記事では、個人事業主が決算で行う計算や、確定申告までの流れについて解説します。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
個人事業主の決算月はいつ?
一般的に会計の締め月のことを「決算月」と言い、個人事業主の決算月は12月です。法人の場合は事業年度を自由に設定できますが、個人事業主は毎年1月1日から12月31日までの1年間で、会計を行うことが税法により定められています。
決算については、こちらの記事で詳しく解説しています。
そもそも決算とは?
決算とは、企業や事業の会計期間における収益や費用を計算することで、決算日時点での資産や負債、純資産などの状況を確定させることを言います。
決算と確定申告の違いは?
決算日時点での資産や負債、純資産などを計算して確定させることが決算です。一方、決算で確定した情報を用いて個人または法人の税金を算出する作業のことを確定申告と言います。
法人の決算との違いは?
法人の決算との違いは、以下の通りです。
- 決算月
- 決算を行う目的
- 決算で作成する帳簿書類の種類
法人の決算書は作成に必要な計算が非常に複雑であるため、税理士へ作成を依頼する企業が大半です。
個人事業主の場合は、損益計算書や貸借対照表の作成がやや複雑ではありますが、会計ソフトなどを利用して自身で決算書を作成する人も少なくありません。
個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告の2種類
個人事業主が確定申告を行う方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告とは、税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する申告方法です。青色申告を選択しなかった場合は、自動的に白色申告で確定申告を行うことになります。
青色申告のメリットは?
青色申告のメリットは、以下の通りです。
- 最大65万円の青色申告特別控除が適用される
- 赤字は翌年以後3年間繰り越すことができる
- 一定の要件を満たしている場合は、親族への給与も経費にできる
青色申告のメリットは、複式簿記による正規の記帳を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられることです。白色申告と違って記帳がやや複雑になるほか、貸借対照表や損益計算書の提出が必要になるため、簿記の知識に自信がない人は会計ソフトの導入をおすすめします。
青色申告のメリット・デメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。
白色申告のメリットは?
白色申告のメリットは、以下の通りです。
- 青色申告よりも記帳がシンプル
- 貸借対照表を提出する必要がない
白色申告のメリットは、青色申告よりも記帳がシンプルなことです。しかし税制上の優遇などが受けられないため、特別な理由がない限りは青色申告をおすすめします。
白色申告のメリット・デメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
個人事業主が決算月に作成する書類は?
個人事業主が決算月に作成する書類は、白色申告者と青色申告者で異なります。白色申告者の場合は収支内訳書を作成し、青色申告者の場合は青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成します。
損益計算書(青色申告者)
損益計算書は「収益」「費用」「利益」からなる決算書類で、1年間の会社の収支を示すために作成します。英語の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」と呼ばれることもあります。
損益計算書の作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
貸借対照表(青色申告者)
青色申告を選択した場合、貸借対照表も作成が必要になる決算書の一つです。貸借対照表では、一定の会計期間における財政状況と純資産の状況がわかります。資産と負債および純資産の合計が一致することから、バランスシートとも呼ばれています。
貸借対照表の作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
青色申告決算書(青色申告者)
損益計算書と貸借対照表を作成すると、青色申告決算書が作成できます。1~3ページ目には損益計算書の内容を記入し、4ページ目には貸借対照表を記入します。
損益計算書および貸借対照表を作成するためには、複式簿記による仕訳が必要になりますが、会計ソフトで簡単に入力・作成を行うことが可能です。
出典:国税庁「令和5年分青色申告決算書(一般用)の書き方」
青色申告決算書の作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
収支内訳書(白色申告者)
白色申告者が作成する収支内訳書は、青色申告決算書よりも記入する項目が少ない特徴があります。貸借対照表を作成する必要がないため、簿記の知識に自信がない人でも作成可能です。
出典:国税庁「令和5年分収支内訳書(一般用)の書き方」
収支内訳書の作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
確定申告書
確定申告書は、事業により生じた売り上げや経費など、決算書に記入した内容をもとに作成します。この書類は白色申告者、青色申告者ともに共通しており、決算書とあわせて提出しなければなりません。
引用:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁、所得税及び復興特別所得税の確定申告書
確定申告書の作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
個人事業主の決算から確定申告までの流れは?
個人事業主が確定申告を行うまでの流れは、以下の通りです。
- 棚卸業務で在庫を確認する
- 日々の取引を記録した帳簿をもとに決算書を作成する
- 決算書類をもとに確定申告を行う
1.棚卸業務で在庫を確認する
その年分の必要経費となる売上原価や消耗品費は、仕入高や消耗品などの購入費ではなく、次の算式で計算した金額です。
つまり、飲食店や小売業などの業種では必要経費を求めるために、在庫がどれだけ残っているかを確認する「棚卸業務」が必要になるということです。棚卸業務は年末(12月31日)に実施する必要があり、商品や消耗品について、種類や品質、型などで分類した数量を確認します。
棚卸しが終わったら、以下のような棚卸表を作成します。
出典:国税庁「決算のしかた 青色申告編」
2.日々の取引を記録した帳簿をもとに決算書を作成する
決算書を作成する際は納品書や請求書、領収書などの記録をもとに、収入や必要経費の整理を行い、収支内訳書または青色申告決算書へ帳簿の内容を記入していきます。決算書を作成する際は、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用するといいでしょう。
収入を計算する際は「未収金」や「前受金」などを区別して計上し、必要経費を計算する際は、棚卸表をもとに計算した「売上原価」や「減価償却費」などを合計して計上します。
3.決算書類をもとに確定申告を行う
確定申告も、国税庁の確定申告書作成コーナーで手続きを行うことが可能です。決算書を作成する際に入力した内容をもとに、確定申告を行うことで、納税額が自動的に計算されます。なお、確定申告で使用した帳簿や納品書、請求書などの決算書類は、一定期間保存しなければなりません。
保存が必要な書類と、保存期間は以下の通りです。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収書、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(※) | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
※前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年
個人事業主が決算月に注意すべきことは?
個人事業主は、日々の取引により生じた売り上げなどの収入金額や、仕入れ等で使用した必要経費を帳簿に記帳する義務があります。
個人事業主もきちんと決算を行いましょう!
決算は「法人だけのもの」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。しかし、個人事業主にも会計期間が定められており、決算月は存在します。確定申告の時期になると急いで帳簿を作成している個人事業主は多いですが、本来は日々の取引を記帳する義務があります。
また決算書類は、会計ソフトを導入すれば簡単に作成することが可能です。クレジットカードや銀行口座と連携させる機能があり、日々の取引を簡単に入力できます。青色申告による確定申告を考えている人は、会計ソフトを導入してみてはいかがでしょうか。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
個人事業主の決算月はいつですか?
一般的に会計の締め月のことを決算月というため、個人事業主の決算月は12月になります。個人事業主は毎年1月1日から12月31日までの1年間で会計を行うことが税法により定められているからです。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の決算月から確定申告までの流れを教えてください。
まずは経費を計算するために棚卸業務を行います。その後、棚卸表をもとに、決算書を作成します。決算書が作成できれば、その内容をもとに確定申告を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主が決算月に注意すべきことはありますか?
個人事業主は、日々の取引により生じた収入や経費を帳簿に記帳する義務があります。決算月に慌てないように、日々の取引をこまめに記帳しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
決算の関連記事
個人事業主の確定申告の関連記事
新着記事
確定申告後の納税にau PAYが利用できる!手続きの流れや注意点を解説
au PAYは、スマホアプリ納付の対象です。au PAYで所得税などの納付ができます。確定申告後にau PAYを利用してどのように納税するのか、この記事ではau PAYによる所得税の納税方法や注意点を紹介します。 au PAY決済で納税は可…
詳しくみる確定申告後の納税にd払いが利用できる!手続きの流れや注意点を解説
確定申告をした所得税は、d払いによりスマートフォンから納付できます。d払いで納付するにはどのような準備が必要になるのでしょうか。この記事では、d払いで納税する方法やd払いによるスマホアプリ納付についてのよくある質問を取り上げます。 d払いで…
詳しくみる確定申告後の納税に楽天ペイが利用できる!手続きの流れや注意点を解説
楽天ペイは楽天市場の関連サービスで、楽天ペイメント株式会社が提供しているコード決済アプリ」決済アプリです。「楽天経済圏」という言葉がありますが、買い物や支払いだけでなく、貯金や投資、確定申告後の納税など生活に必要なさまざまなサービスを楽天グ…
詳しくみる確定申告後の納税にPayPayが利用できる!手続きの流れや注意点を解説
確定申告書で申告した所得税は、PayPayで納税できます。PayPayを利用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、PayPayで納税する方法のほか、PayPay利用のメリットや注意点について解説していきます。 Pay…
詳しくみる確定申告後の納税にメルペイが利用できる!手続きの流れや注意点を解説
メルペイはメルカリ内での支払いやお買い物だけでなく、確定申告後の納税も行えます。 2022年からメルカリ等の決済アプリで納付が可能になり、より手軽に納税できるようになりました。 今回は確定申告について、メルペイで納税するメリットと注意点、納…
詳しくみるdポイントは確定申告が必要?対象になるケースや金額を解説
dポイントは商品購入時にお金の代わりになることから、確定申告が必要なのではないかと不安に思うこともあるのではないでしょうか。結論からいうと、すべてのdポイントが確定申告の対象になるわけではありません。この記事では、dポイントが確定申告の対象…
詳しくみる