• 更新日 : 2024年9月25日

過少申告加算税とは?計算方法や過少申告加算税が課されないケース

過少申告加算税は、確定申告で所得や税額を過少に申告した場合に課される税金です。納税者の適正な申告を促すための制度ですが、その仕組みや計算方法、課税されないケースなど、知っておくべき重要なポイントがあります。

本記事では、過少申告加算税の概要や具体的な計算方法、さらに課税されない場合について詳しく解説します。

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過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、確定申告で申告した税額が実際の税額よりも少ない場合に課される加算税であり、5つの附帯税(無申告加算税・不納付加算税・重加算税・延滞税)のうちの一つです。

附帯税の種類内容
過少申告加算税
  • 申告期限内に提出した申告書の納税額が過少であった場合のペナルティ
  •  間違いに気づいた場合、速やかに修正申告を行うことが推奨される
無申告加算税
  • 申告期限を過ぎて申告書を提出しなかった場合のペナルティ
  • 税務調査前に自主申告すれば加算税率が軽減される
不納付加算税
  • 源泉所得税を納付期限までに納付しなかった場合のペナルティ
重加算税
  • 税金計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装した場合のペナルティ
  • 悪質な申告漏れや脱税行為と判断された場合に課される
延滞税
  • 各種税金が期限までに納付されない場合、納期限翌日から納付日までの日数に応じて課されるペナルティ
  • 利息に相当する
  • 本税のみを対象とし、加算税などには適用されない

これらの加算税は、申告義務が適切に履行されない場合に行政制裁として課される性格を有しています。そのため、申告を期限内に行い、税金を支払った場合でも、申告内容が実際の税額より少なければ過少申告加算税の対象です。

ただし、税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告をすれば、この加算税は課されません。過少申告加算税は、適切な税務申告の重要性を示すものであり、税務上のリスクを軽減するためには正確な申告が不可欠です。

どのような場合に課税されるのか?

期限内申告について、修正申告や更正があった場合、追加納付税額に対して課税されます。この税率は原則10%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか高い金額を超える部分は15%に増加します。要件は、下表のとおりケースごとに異なるため確認しておきましょう。

要件加算税の割合
期限内に申告書を提出した後で、修正申告書を提出または更正があった場合追加で納付する税額の10%。ただし、期限内申告税額と50万円のうち多い方を超える部分については15%。
修正申告書の提出が税務調査の通知を受けた後で、かつその調査による更正を予知していたわけではない場合追加で納付する税額の5%。ただし、期限内申告税額と50万円のうち多い方を超える部分については10%。
修正申告書の提出が税務調査の通知を受ける前であり、その調査による更正を予知していない場合過少申告加算税は課されない。

参考:財務省 加算税の概要

より重い重加算税が課税されることもある

納めるべき税金を故意に隠蔽したり、意図的に偽ったりした場合には、過少申告加算税ではなくより重い重加算税が課されます。重加算税は、故意の不正行為に対する厳しいペナルティとして適用されるものです。

なお、過少申告加算税は計算ミスや見解の相違による税額不足に対して課される行政制裁的な税であり、支払後も法人税の損金には参入できません。

過少申告加算税の具体的な計算方法

過少申告加算税は、増差税額(本来納めるべき税額と当初申告額の差額)に10%を乗じて算出します。ただし、増差税額が当初申告税額や50万円のいずれか高い金額を超える場合、その超過分には15%の税率が適用されます。具体的な計算例は、以下のとおりです。

【過少申告加算税の計算例】

当初申告が100万円であり、修正後の課税すべき税額が400万円であった場合

増差税額
当初申告(1)100万円
修正後の税額(2)400万円
増差税額(3)300万円(2)-(1)
過少申告加算税の計算方法
(3)のうち100万円までの部分(増差税額が当初申告した税額または50万円のうち多い方)100万円 × 10%=10万円
100万円を超える200万円の部分200万円 × 15% =30万円

最終的な追加の納税額は、増差税額(300万円)に過少申告加算税(10万円+30万円=40万円)と延滞税を加えた金額です。

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過少申告加算税が課されないケース

過少申告加算税は、税金の不足を納める際に追加で課される税金ですが、必ずしも課されるわけではありません。どのようなケースであれば、過少申告加算税が免除されるのか、具体的に見ていきましょう。

更生を予知しないで修正申告をしたとき

更生を予知しないで修正申告をした場合、過少申告加算税は課されません。これは、国税通則法第65条第5項に規定されています。具体的には、税務調査を受ける前に自主的に修正申告を行った場合です。

一方で、税務署の調査後や更生を受けた後に修正申告をした場合は、この規定は適用されず過少申告加算税が課されます。税金の納付不足や過剰に還付される場合には、気づいた時点で迅速に修正することが重要です。

加算税が5,000円未満だったとき

加算税について、5,000円未満の場合は少額不徴収のルールにより課税が免除されます。この規定は国税通則法第119条第4項に基づいており、「納付すべき無申告加算税が5,000円未満の場合は全額切り捨てる」と定められています。

ただし、この免除は端数計算の問題であり、加算税自体は課されているため注意が必要です。

正当な理由があるとき

国税通則法第65条第4項によれば、正当な理由がある場合には過少申告加算税が課されません。ここにいう正当な理由とは、納税者に責任がない客観的な事情を指します。

例えば、税務署職員の誤った指導や税法の解釈の変更による修正申告が必要なケースなどが該当します。ただし、正当な理由があることの立証や主張は納税者自身が行わなければなりません。このため、適切な証拠を用意しておかなければなりません。

過少申告加算税と同時に発生する延滞税

過少申告加算税に加えて、納付が遅れた場合に発生するのが「延滞税」です。詳しく見ていきましょう。

延滞税とは

延滞税とは、法定納期限(国税を納付すべき期限)までに国税を納付しなかった場合に発生する税金です。修正申告や更生などで、法定納期限後に税額の不足が生じた場合も課税対象です。

延滞税の計算は、納期限の翌日から納付日までの日数に基づいて行われ、延滞期間が長くなる(2ヶ月過ぎてしまうと高金利になる)ほど高額になります。ただし、延滞税額が1万円未満の場合は、納付は発生しません。

延滞税が免除されることもある

税務調査の結果、過少申告加算税が課される場合、延滞税も併せて課されます。延滞税は罰則ではなく、あくまでも申告の遅れに対する課税ですが、長期化するほど高額になるため注意が必要です。

一方、税法では加算税や延滞税を一部免除するルールも設けられています。例えば、納税者が税務調査に協力的な場合は加算税の一部が免除されることもあります。また、正当な理由で納税が遅れた場合は、延滞税の利息免除を申請することも可能です。

過少申告のリスクを理解し、正確な申告を目指そう

過少申告加算税は、税務申告において税金を少なく納めてしまった場合に課されるペナルティです。意図的な過少申告だけでなく、計算ミスや申告漏れなどによる場合でも課税対象となる可能性があり、状況によってはさらに重い重加算税が課されることもあります。

計算方法は納付不足税額と税率に基づいて算出されますが、更生を予知できない修正申告や、加算税が5,000円未満などの場合には課されないケースもあります。

また、過少申告加算税とは別に、納付期限までに税金を納めなかった場合に延滞税が発生することも考慮しなければなりません。税金に関する知識を深め、正確な申告を心がけていきましょう。

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