- 更新日 : 2024年10月24日
過少申告加算税とは?計算方法や過少申告加算税が課されないケース
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
過少申告加算税は、確定申告で所得や税額を過少に申告した場合に課される税金です。納税者の適正な申告を促すための制度ですが、その仕組みや計算方法、課税されないケースなど、知っておくべき重要なポイントがあります。
本記事では、過少申告加算税の概要や具体的な計算方法、さらに課税されない場合について詳しく解説します。
目次
フォームに順番に入力するだけで、控除や還付金を受け取るための確定申告も簡単に。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、医療費控除・社会保険料控除、ふるさと納税・住宅ローン控除…などの各種控除がある方にも、多くご利用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。

過少申告加算税とは?
過少申告加算税とは、確定申告で申告した税額が実際の税額よりも少ない場合に課される加算税であり、5つの附帯税(無申告加算税・不納付加算税・重加算税・延滞税)のうちの一つです。
附帯税の種類 | 内容 |
---|---|
過少申告加算税 |
|
無申告加算税 |
|
不納付加算税 |
|
重加算税 |
|
延滞税 |
|
これらの加算税は、申告義務が適切に履行されない場合に行政制裁として課される性格を有しています。そのため、申告を期限内に行い、税金を支払った場合でも、申告内容が実際の税額より少なければ過少申告加算税の対象です。
ただし、税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告をすれば、この加算税は課されません。過少申告加算税は、適切な税務申告の重要性を示すものであり、税務上のリスクを軽減するためには正確な申告が不可欠です。
どのような場合に課税されるのか?
期限内申告について、修正申告や更正があった場合、追加納付税額に対して課税されます。この税率は原則10%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか高い金額を超える部分は15%に増加します。要件は、下表のとおりケースごとに異なるため確認しておきましょう。
要件 | 加算税の割合 |
---|---|
期限内に申告書を提出した後で、修正申告書を提出または更正があった場合 | 追加で納付する税額の10%。ただし、期限内申告税額と50万円のうち多い方を超える部分については15%。 |
修正申告書の提出が税務調査の通知を受けた後で、かつその調査による更正を予知していたわけではない場合 | 追加で納付する税額の5%。ただし、期限内申告税額と50万円のうち多い方を超える部分については10%。 |
修正申告書の提出が税務調査の通知を受ける前であり、その調査による更正を予知していない場合 | 過少申告加算税は課されない。 |
参考:財務省 加算税の概要
より重い重加算税が課税されることもある
納めるべき税金を故意に隠蔽したり、意図的に偽ったりした場合には、過少申告加算税ではなくより重い重加算税が課されます。重加算税は、故意の不正行為に対する厳しいペナルティとして適用されるものです。
なお、過少申告加算税は計算ミスや見解の相違による税額不足に対して課される行政制裁的な税であり、支払後も法人税の損金には参入できません。
過少申告加算税の具体的な計算方法
過少申告加算税は、増差税額(本来納めるべき税額と当初申告額の差額)に10%を乗じて算出します。ただし、増差税額が当初申告税額や50万円のいずれか高い金額を超える場合、その超過分には15%の税率が適用されます。具体的な計算例は、以下のとおりです。
【過少申告加算税の計算例】
当初申告が100万円であり、修正後の課税すべき税額が400万円であった場合
増差税額 | |
---|---|
当初申告(1) | 100万円 |
修正後の税額(2) | 400万円 |
増差税額(3) | 300万円(2)-(1) |
過少申告加算税の計算方法 | |
(3)のうち100万円までの部分(増差税額が当初申告した税額または50万円のうち多い方) | 100万円 × 10%=10万円 |
100万円を超える200万円の部分 | 200万円 × 15% =30万円 |
最終的な追加の納税額は、増差税額(300万円)に過少申告加算税(10万円+30万円=40万円)と延滞税を加えた金額です。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
過少申告加算税が課されないケース
過少申告加算税は、税金の不足を納める際に追加で課される税金ですが、必ずしも課されるわけではありません。どのようなケースであれば、過少申告加算税が免除されるのか、具体的に見ていきましょう。
更生を予知しないで修正申告をしたとき
更生を予知しないで修正申告をした場合、過少申告加算税は課されません。これは、国税通則法第65条第5項に規定されています。具体的には、税務調査を受ける前に自主的に修正申告を行った場合です。
一方で、税務署の調査後や更生を受けた後に修正申告をした場合は、この規定は適用されず過少申告加算税が課されます。税金の納付不足や過剰に還付される場合には、気づいた時点で迅速に修正することが重要です。
加算税が5,000円未満だったとき
加算税について、5,000円未満の場合は少額不徴収のルールにより課税が免除されます。この規定は国税通則法第119条第4項に基づいており、「納付すべき無申告加算税が5,000円未満の場合は全額切り捨てる」と定められています。
ただし、この免除は端数計算の問題であり、加算税自体は課されているため注意が必要です。
正当な理由があるとき
国税通則法第65条第4項によれば、正当な理由がある場合には過少申告加算税が課されません。ここにいう正当な理由とは、納税者に責任がない客観的な事情を指します。
例えば、税務署職員の誤った指導や税法の解釈の変更による修正申告が必要なケースなどが該当します。ただし、正当な理由があることの立証や主張は納税者自身が行わなければなりません。このため、適切な証拠を用意しておかなければなりません。
過少申告加算税と同時に発生する延滞税
過少申告加算税に加えて、納付が遅れた場合に発生するのが「延滞税」です。詳しく見ていきましょう。
延滞税とは
延滞税とは、法定納期限(国税を納付すべき期限)までに国税を納付しなかった場合に発生する税金です。修正申告や更生などで、法定納期限後に税額の不足が生じた場合も課税対象です。
延滞税の計算は、納期限の翌日から納付日までの日数に基づいて行われ、延滞期間が長くなる(2ヶ月過ぎてしまうと高金利になる)ほど高額になります。ただし、延滞税額が1万円未満の場合は、納付は発生しません。
延滞税が免除されることもある
税務調査の結果、過少申告加算税が課される場合、延滞税も併せて課されます。延滞税は罰則ではなく、あくまでも申告の遅れに対する課税ですが、長期化するほど高額になるため注意が必要です。
一方、税法では加算税や延滞税を一部免除するルールも設けられています。例えば、納税者が税務調査に協力的な場合は加算税の一部が免除されることもあります。また、正当な理由で納税が遅れた場合は、延滞税の利息免除を申請することも可能です。
過少申告のリスクを理解し、正確な申告を目指そう
過少申告加算税は、税務申告において税金を少なく納めてしまった場合に課されるペナルティです。意図的な過少申告だけでなく、計算ミスや申告漏れなどによる場合でも課税対象となる可能性があり、状況によってはさらに重い重加算税が課されることもあります。
計算方法は納付不足税額と税率に基づいて算出されますが、更生を予知できない修正申告や、加算税が5,000円未満などの場合には課されないケースもあります。
また、過少申告加算税とは別に、納付期限までに税金を納めなかった場合に延滞税が発生することも考慮しなければなりません。税金に関する知識を深め、正確な申告を心がけていきましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人事業主の国民年金は確定申告でいくら控除できる?厚生年金との違いも解説!
国民年金は、基本的に日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が全員加入することになっている年金です。会社などに勤めている人は会社が加入する厚生年金などが加入者に代わって国民年金を負担しています。 そして、その年に支払った国民年金の保険料…
詳しくみる妊婦の確定申告|医療費控除で妊娠・出産費用が返ってくる?
妊娠と出産においては、妊娠中、出産と病院などに行く機会が増えます。 支払った費用を節税に繋げることはできるのでしょうか? この記事では、確定申告における医療費控除制度と妊娠・出産に係る医療費について解説します。 妊娠・出産費用は医療費控除の…
詳しくみるひとり親控除とは?寡婦控除との違いもわかりやすく解説
ひとり親控除は2020年(令和2年)から始まった新しい所得控除です。基本的な内容はこれまでの寡婦控除と似ていますが、現代のシングルマザー・シングルファザーの状況に合わせた、より使いやすい所得控除として創設されました。本記事ではひとり親控除と…
詳しくみる振込で過払い税金が戻るのはいつ?
払い過ぎた税金を取り戻すための確定申告をした人にとって、還付金がいつ振込まれるのか気になるところだと思います。 納め過ぎた所得税の還付金が振込まれるまでの一般的なスケジュールや確認方法、注意点をまとめました。 確定申告してから還付金が振込ま…
詳しくみる障害者控除とは?障害年金を受給したら確定申告は必要?
障がいがある人、もしくは親族に障がいがある人がいると、気になるのが確定申告のことです。何か控除を受けられるのか、障害年金をもらっているが確定申告をどうしたらよいのかなど、気になる人も多いのではないでしょうか。 そこで、ここでは確定申告に関係…
詳しくみる住宅ローン控除とは?確定申告の必要書類、ふるさと納税の併用方法も解説
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」を、所得税や住民税から控除できるなどいくつかの制度があります。 住宅ローン控除適用にあたっては、住宅購入した1年目と2年目以降で手続きの流れ…
詳しくみる