• 更新日 : 2024年10月28日

消費税や法人税など国税の納付書が送付されなくなった?令和6年5月以降の対応を解説

消費税の納付書は、これまで現金で納付をしていた方に送付されていた書類です。納付書については令和6年5月より事前送付がされなくなりました。これまで消費税の納付書を使って納付していた方向けに、事前送付がされなくなった対象者や納付書の入手方法と書き方、納付書以外の納税手段について解説します。

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消費税の納付書とは?

消費税の納付書は、消費税を税務署の窓口や金融機関の窓口にて現金で支払う場合に必要な書類です。納付書には、提出した消費税の申告書に記載された消費税額を転記して消費税の納付を行います。

令和6年5月より消費税や法人税の納付書の事前送付が取りやめに

令和6年5月以降については、基本的に納付書の事前送付が取りやめになりました。つまり、これまで消費税の納付書が事前に郵送で届いていた法人や個人事業主に送付されなくなる可能性があります。

納付書の事前送付が一部を除き廃止になったのは、国税庁がキャッシュレス納付の利用拡大を促進している背景があるためです。キャッシュレスによる効率化と行政コストを抑える目的で、これまで行われていた納付書の事前送付が基本的に廃止されることになりました。

源泉所得税の一部や義務化された法人以外の消費税の中間申告に係る納付書は送付される

原則として事前送付が廃止された納付書ですが、一部については引き続き送付されることになっています。

まず、源泉所得税関連では所得税徴収高計算書が送付の対象です。従業員から源泉徴収を行っている法人や個人事業主が、金融機関などで徴収した税額を支払う際の「給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書」などは引き続き送付されます。

消費税の中間申告書兼納付書(消費税の中間申告に関わる納付書)も対象です。e-Taxによる申告義務の対象となる法人以外については引き続き送付されます。

消費税の中間納付の詳細については、以下の記事を参照ください。

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納付書の事前送付が行われなくなった対象者

令和6年5月以降、消費税の納付書(中間申告に関わる納付書を除く)が送付されなくなる対象者について解説します。

e-Taxで申告書を提出していた法人

e-Taxとは、インターネットを利用して電子的に国税に関する手続きが行えるシステムです。e-Taxを利用してさまざまな申告手続きや申請・届出の手続きができるようになっています。消費税の申告もe-Taxの対象です。

これまでに消費税の申告があった法人で、e-Taxを利用して消費税の申告を行っている場合には、消費税の納付書は送付されなくなります。

e-Taxでの申告書の提出が義務となっている法人

平成30年度の税制改正で電子情報処理組織による申告の特例が創設されたことにより、一定の法人はe-Taxによる法人税や消費税の申告が義務化されました。義務化の対象になるのは、以下の法人です。

  • 資本金(または出資金)の額が1億円を超える法人(外国法人を除く)
  • 相互会社
  • 投資法人
  • 特定目的会社
  • 国や地方公共団体(消費税及び地方消費税の申告のみ)

上記に該当する法人については、消費税の納付書の事前送付は行われません。

納付書を使用せずに国税の納付を行っている法人・個人

これまでの申告で、納付書を使わずに納付をしている法人や個人も消費税の納付書の事前送付対象から外れます。具体的には、以下の方法により納付している場合です。

  • 振替納税
  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード納付
  • スマホアプリ納付
  • コンビニ納付

e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望した個人

令和5年1月より、希望する個人は、e-Taxで予定納税額の通知書を受け取れるようになりました。e-Taxを利用して申請書を作成する際に「e-Taxによる通知を希望します」を選択した場合は、e-Taxより通知があるため、納付書の事前送付はされなくなります。

消費税の納付書の書き方

消費税の納付書を作成するには、消費税の確定申告書に記載された情報が必要です。作成前に準備しておきましょう。

また、消費税の納付書は、これまで税務署の窓口などで現金納付をしている場合は、基本的に事前送付されます。事前送付の納付書には納税者の情報などが印字されていて記載する項目が少ないため、事前送付があれば、受け取った納付書を使用するとよいでしょう。

納付書の事前送付の対象から外れる場合でも、税務署や金融機関の窓口で納付書を取得できます。事前送付のものと異なり印字がないため、必要な箇所にもれなく記載する必要があります。ここでは、税務署や金融機関の窓口で納付書を取得した場合の書き方を紹介します。

税目を記載する

納付書は、消費税以外にもさまざまな国税の納付で利用されます。そのため、税目を示して納付する必要があります。消費税を納付する場合は、納付書の上部にある税目の欄に「消費税及び地方消費税」と記載しましょう。

住所と氏名・法人名を記載する

納付書の左側下部には、住所(所在地)と氏名(法人名)を記載する項目があります。誤りがないように注意し、正式名称を記載します。

消費税の税額を記載する

消費税の確定申告書に記載した消費税の納付額を、中央の「本税」の項目に記載します。ほかに加算される附帯税がなければ、同じ欄の一番下にある「合計額」には同額を記載します。

消費税の課税期間を記載する

納付書の右側にある「納期等の区分」には課税期間を、左側の「年度」には納付する年度を記載します。課税期間の下にある「申告区分」は、納税する申告について丸を付けます。例えば、消費税の確定申告での納付の場合に丸を付けるのは「確定申告」です。また、「年度」の横にある「税務署名」には、納税地の税務署の名称を記載します。

参考:申告所得税の納付書(領収済通知書)の記載例|国税庁

国税庁がおすすめする納税手段

納付書を利用した現金納付以外で、利用できる納税手段を紹介します。

ダイレクト納付(e-Taxの口座振替)

ダイレクト納付は、e-Taxを利用して、指定した預貯金口座から引き落としにより国税を納める方法です。e-Taxでの申告後に、簡単な手続きで納付を済ませられます。

ダイレクト納付のメリットは、インターネットバンキングの契約がない預貯金口座を利用できることです。即時の口座引き落としのほか、期日を指定した引き落としにも対応しています。また、納税用確認番号等を登録しておけば、納税者に代わり税理士が納付手続きまで済ませることができます。

デメリットは、利用するのに手続きが必要なことです。ダイレクト納付はe-Taxでの申告を前提としているため、e-Taxの利用手続きを済ませなければなりません。加えて、ダイレクト納付利用の届出が必要です。届出書は、書面のほかe-Taxからも提出できます。

振替納税(銀行口座の自動引き落とし)

振替納税は、納税者があらかじめ指定した預貯金口座から、国税庁の定める日に、自動で口座引き落としにより納付する方法です。

メリットは、一度振替納税の手続きを済ませれば、基本的に翌年以降は自動で指定の口座から納税額が引き落とされることです。また、振替納税の口座引き落とし日は、本来の申告期限よりも後に設定されています。個人の所得税や消費税の納税額の振替日は、4月中旬から下旬にかけてです。納税まで時間があるため、余裕をもって納税資金を準備できます。

デメリットは、利用に手続きが必要になることです。金融機関に振替依頼書を提出するか、e-Taxを利用して振替依頼書を事前に提出しておかなくてはなりません。また、転居などで所轄の納税地が変更になる場合は、改めて振替依頼書を提出するか、確定申告書の振替継続希望欄に丸を付けて提出する必要があります。また、振替納税を利用できるのは、個人の所得税や消費税のみで、利用できる国税に制限があります。

インターネットバンキング納付

インターネットバンキングは、ネット上で残高照会や振込などができる銀行口座のことです。国税の納付には、インターネットバンキングも利用できます。

インターネットバンキング納付のメリットは、インターネットが使える環境であれば、いつでもどこでも納付できることです。土日祝など、店舗型の金融機関が営業していない日や時間帯でも利用できます。

デメリットは、インターネットバンキングに対応した口座がないと利用できないことと、e-Taxの利用手続きが必要なことです。届出などは必要ないため、すでにe-Taxの利用がある場合などに向いています。

クレジットカード納付

クレジットカード納付は、外部の専用サイト(国税クレジットカードお支払いサイト)で、クレジットカードなどの情報を入力して納税する方法です。

専用サイトにアクセスするだけで納付できるため、事前に手続きを行わなくても利用できるのがクレジットカード納付のメリットです。利用可能額は1回につき1,000万円未満で、個人の高額な納税にも対応できます。また、クレジットカードの機能で、分割払いやリボ払いが利用できるのもクレジットカード利用の特徴です。

クレジットカード納付のデメリットは、決済時に手数料が発生することです。例えば、1万円以下は83円のように、納付税額に応じて決済手数料が増加します。また、クレジットカード納付の利用可能額自体は1,000万円ですが、利用するクレジットカード自体の利用限度額までしか使えないデメリットもあります。

スマホアプリ納付(税額30万円以下のみ)

スマホアプリ決済を利用して、外部の専用サイト(国税スマートフォン決済専用サイト)で必要な情報を入力して納税する方法です。2024年10月時点で利用可能なスマホアプリは以下の通りです。

  • PayPay
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • Amazon Pay
  • Rakuten Pay

スマホアプリ納付のメリットは、普段から利用するスマホアプリを使って納付できることです。事前手続きも必要なく、すぐに利用できます。

デメリットは、30万円以下の利用に限られることです。高額な納税額には対応できません。また、納税資金は事前にスマホアプリの残高にチャージしておく必要があります。

コンビニ納付(QRコード)

コンビニ納付(QRコード)は、国税庁のホームページで作成したQRコードをコンビニエンスストアの端末で読み込み、出力した納付書をもってコンビニ窓口で支払う方法です。

メリットは、基本的に24時間利用できるコンビニで納付できることです。ローソン、ファミリーマート、ミニストップで利用できます。また、利用にあたり事前の届出などは必要ありません。

デメリットは、確定申告書等作成コーナーやe-Tax、またはコンビニ納付用QRコード作成専用画面でQRコードを作成しなければならないことです。また、スマホアプリ納付と同様に一度に納付できる税額は30万円以下に限られるため、多額の納税には利用できません。

消費税の納付書の代わりになる納税方法を利用してみよう

消費税の納付書は、これまで税務署より事前送付されていましたが、令和6年5月以降は一部を除いて送付が取りやめになりました。消費税の納付書は、消費税を金融機関や税務署の窓口で納付する場合に必要な書類です。振替納税やダイレクト納付など、ほかの納付方法では必要ないため、この機会に納付方法の変更を検討してみてはいかがでしょうか。

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