- 更新日 : 2025年2月6日
個人事業主の収入証明に利用できる書類は?必要なケースや1年目の対応も解説
個人事業主として事業を行っていると、所得を証明しなければならない場面がさまざまに発生します。収入を証明する方法は会社員と異なり「源泉徴収票」を受け取れないため、別の書類を用意する必要があります。
この記事では個人事業主の収入証明について、利用できる書類や必要となるケースなどを解説します。
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目次
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個人事業主の収入証明はどこでもらえる?
会社員の場合は勤務先の経理部門が源泉徴収票や給与明細書などを発行してくれますが、個人事業主には同様のシステムがありません。そのため「もらえる」ということはなく、自身で必要に応じて手配する必要があります。
「収入証明書」はなく、他の書類を証明として利用する
そもそも、「収入証明書」という名称の書類は存在しません。これは会社員でも個人事業主でも同じです。収入がはっきりとわかる書類を指して収入証明書として使用することになり、給与所得を得ている会社員の場合は「源泉徴収票」を収入証明書とするのが一般的です。
ただし、個人事業主には源泉徴収票がないため、別の公的書類や税務関連書類を用いて収入を立証する流れになります。納税証明書、課税証明書や青色申告決算書といった書類がその代表例です。
個人事業主が収入証明として利用できる書類
先に軽く触れましたが、個人事業主が収入証明書として使用できる書類は、以下のものがあります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
確定申告書の控え
個人事業主が収入を証明できる書類のひとつが「確定申告書の控え」です。確定申告書には売上や必要経費、最終的な所得額などが示されるため、書類を受け取る側は事業内容と収支を一度に把握しやすいメリットもあります。
e-Taxで電子申告した際の受信通知も併せて提示を求められるケースが多いため、用意しておくといいでしょう。
納税証明書・課税証明書・所得証明書
納税証明書は、自身が申告した所得税や消費税などをどの程度納めているかを示す書類で、税務署の窓口やオンライン申請(e-Tax)を利用して取得可能です。
また、課税証明書や所得証明書は、市区町村の役所で取得し、前年の所得金額や課税額、控除額などを確認できます。これらは確定申告書に基づいて作成されるため、収入や所得の確認書類として通用します。
住民税課税証明書
住民税課税証明書は、前年の所得に基づいて課税された住民税額を示す書類です。自治体で発行され、個人事業主の収入証明として広く利用されています。
青色申告決算書の控え
青色申告を行っている場合は、青色申告決算書の控えも収入を示す資料として有効です。青色申告決算書には、売上高・経費内訳・損益計算・貸借対照表など事業全体の財務状況が詳細に記載されており、事業の実績を裏付けるデータになります。
支払調書
支払調書は、個人事業主に対して報酬や料金を支払った企業や個人が作成する書類で、業務委託料や原稿料などを受け取った場合にその内訳を示したものです。源泉徴収の対象となる報酬を支払う側は税務署に支払調書を提出する義務はありますが、取引先に交付する義務はないため、すべての取引先が必ず発行してくれるわけではありません。
個人事業主にとっては、単発の取引やフリーランス的な業務形態で複数の取引先から支払を受けている場合、支払調書をまとめることで年収を客観的に示す資料となります。ただし、支払調書だけでは事業全体の収入を網羅できない可能性があるため、基本的には確定申告書の控えなども提出するとよいでしょう。
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個人事業主に収入証明が必要なケース
収入証明は、どのようなシーンで必要になるのか、代表的なものを紹介します。なお、利用する書類は状況によって異なるケースもあるため、事前に提出先へ確認しておくことも大切です。
賃貸物件の契約
賃貸物件の契約をする際には、家賃を滞納する可能性を判断するために収入証明書類が必要になるのが一般的です。
特に、事務所や店舗として賃貸契約を結ぶ場合は、事業として継続的に収益を得られているかが重視されます。この場合書類の種類や有効期限は物件のオーナーや管理会社によって異なることもあるため、問い合わせをして必要な期間のものを準備しましょう。
ローンの申し込み
住宅ローンや自動車ローンなどでは、金融機関が返済能力を判断するために収入証明が求められます。これは個人事業主に限ったことではなく、会社員も変わりありません。
住宅ローンのように借入額が大きくなる場合は、直近2〜3年分の申告書類を提示するよう求められるのが一般的です。金融機関は申告書や決算書から所得の推移や安定性をチェックするため、収支の変動が大きい事業の場合、信頼性を高めるための追加資料を提出することもあります。
事業の概要がわかるホームページや契約書の写しなどを併せて準備しておくと、よりスムーズに審査が進む可能性があります。
配偶者の扶養に入る手続き
個人事業主であっても、一定の収入要件を満たせば配偶者の扶養に入れます。ただし、健康保険や国民年金の手続きにおいて、収入要件を満たしているかを確認するために収入証明書類の提出が求められます。
自分の所得が一定額を超えると扶養から外れる可能性があるため、申告内容と提出書類に齟齬がないよう注意して手続きを進めましょう。
保育園への入園申し込み
保育園への入園を希望する場合、保護者の就労状況や所得状況を自治体がチェックします。特に認可保育園では、世帯の所得によって保育料が決定されるため、所得が証明できる書類の提出が求められます。
書類に不備があると入園申し込みがスムーズに進まないため、自治体の担当部署やホームページを参照して、提出期限や必要書類を事前に把握してください。保育園は枠に限りがあるため、余裕をもって申し込み準備を進めましょう。
児童手当や奨学金の申請
子育て世帯が受給できる児童手当を申請する際にも、所得制限の有無を確かめるために収入証明書類が必要です。また、奨学金の申請においても、ほとんどの場合で世帯収入に関する書類を求められるため収入証明書類を提出しなければなりません。
児童手当については所得制限の基準があり、それを上回ると支給額が変動または支給対象外になります。奨学金の場合、日本学生支援機構などの申請要件に沿って必要書類を提出する必要があり、年度ごとに収入証明を含む提出書類が異なることもあるため、募集要項をよく確認することをおすすめします。
個人事業主1年目の場合の収入証明
開業1年目の個人事業主は前年分の確定申告実績がないため、一般的な収入証明書が用意できない、という問題があります。こうしたケースでは、開業届のコピーや事業計画書、売上台帳の記録などをもとに、「今後どの程度の収入を見込めるのか」を示す必要があります。
また、収入証明書が必要とされるシーンによっても異なりますが、それまで給与所得があった場合は昨年度の源泉徴収票を提出する、というのもひとつの方法です。賃貸契約の場合は家賃半年〜1年分以上の貯金がある通帳のコピーを提出する(財産を提示する)などの方法も検討してみるといいでしょう。
個人事業主は収入証明を自作してもよい?
一般的な公的手続きや金融審査、賃貸契約などにおいて、自作の「収入証明書」は正式な証拠として取り扱われません。
あくまで信頼性の高い公的書類や、税務署や役所が発行する証明書の提出が求められるため、自作書類のみでの対応は難しいのが現状です。自作の収入証明書には効力がないのはもちろん、納税証明書や住民税課税書などの書類の自作は法的に問題があります。
収入証明書としては、住民税課税証明書、課税証明書など公的書類を使用するのが原則です。
収入証明が必要なシーンの対応を把握しておこう
収入証明書は保育園の入園申込、賃貸契約など、さまざまな場面で必要です。個人事業主の場合は会社員のように源泉徴収票を1枚出して済むわけではないため、あらかじめどのような書類が収入証明書として使用できるのかを把握しておきましょう。
提出が求められるシーンによって収入証明として使用できる書類が異なるケースもあるため、公的窓口や税務に関する情報を随時チェックしながら、適切な書類をそろえていきましょう。

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