- 更新日 : 2025年1月7日
個人事業主の消費税引き落とし日はいつ?予定納税はできる?条件や納付額も解説
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
個人事業主の消費税は3月31日が期限となり、振替納税を設定している場合は、消費税の口座引き落とし日は納付期限の1ヶ月後になります。消費税の納税義務があるのは、課税事業者の要件に該当するか、適格請求書発行事業者として登録している場合です。
本記事では、個人事業主の消費税引き落とし日や、予定納税の方法などを解説します。
目次
フォームに順番に入力するだけで、控除や還付金を受け取るための確定申告も簡単に。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、医療費控除・社会保険料控除、ふるさと納税・住宅ローン控除…などの各種控除がある方にも、多くご利用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。

個人事業主の消費税引き落とし日はいつ?
ここでは、消費税の確定日と納付期限・引き落とし日について解説します。
消費税の確定日
消費税の納付義務のある個人事業主は、消費税の申告と納税が必要です。消費税は、原則として1月1日から12月31日までの1年間が課税期間となります。期間内に受け取った消費税を計算し、翌年に申告します。
会計ソフトを使用している場合は、所得税の確定申告書の作成と同時に消費税の申告書も作成できる仕組みになっている場合も多いでしょう。
消費税の納付期限
個人事業主の消費税の申告期限は、原則として「課税期間の翌年の3月31日まで」です。納付期限も同日までとなっています。ただし、3月31日が土日の場合は、翌日の月曜日が期限です。
ただし、消費税の申告は、所得税の確定申告と同時に行われることが一般的です。所得税の申告期限は、原則として2月16日から3月15日(曜日によりずれる場合あり)までとなっているため、それに合わせて消費税の申告を行うと手間がありません。
消費税の納付方法
申告した消費税の納付は、次の方法があります。
- 現金納付
- コンビニ納付(QRコード)
- 振替納税
- e-Taxによる口座振替
- インターネットバンキング
- クレジットカード
- スマホアプリ
現金納付やコンビニ納付は、現金で支払う方法です。現金納付は納付書を添えて、金融機関や所轄税務署で支払い、コンビニ納付は国税庁のシステムからQRコードを作成して、コンビニで納付します。
振替納税は事前に振替依頼を提出し、口座から振替日に引き落としが行われます。
e-Taxによる口座振替やインターネットバンキングは、事前に手続きが必要です。
クレジットカード払いはインターネット上の「国税クレジットカードお支払いサイト」から、スマホアプリは「国税スマートフォン決済専用サイト」から納付します。
スマホアプリとコンビニ納付(QRコード)は、納付できる金額が30万円までとなっているため、注意してください。
納付書の有無
これまで、消費税の支払いには納付書が送られていました。納付書は、消費税を税務署や金融機関の窓口で現金で支払う場合に必要な書類です。
この納付書について、2024年5月以降は一部の例外を除き、事前送付が廃止されました。そのため、税務署に納付書を請求しない限り消費税の納税は現金納付ができなくなります。
納付書の送付がなくなったのは、国税庁がキャッシュレス納付を推進しているためです。国税庁は「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現を目指し、キャッシュレスによる効率化を進めています。
個人事業主に消費税が課税される条件
個人事業主がかかわる消費税については、課税事業者・免税事業者の2つのパターンに分かれます。消費税の申告・納付が必要になるのは、課税事業者のみです。
課税されるのは、次のいずれかの条件に該当する場合です。
- 課税期間より前々年の1月1日~12月31日(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える
- 前年の1月1日~6月30日(特定期間)の課税売上高と給与支払額の両方が1,000万円を超える
- 消費税課税事業者選択届出書を提出している
これらに該当しなければ免税事業者となり、消費税の納税義務はありません。
条件に該当しない場合でも、消費税課税事業者選択届出書を提出し、適格請求書発行事業者として登録している場合は課税事業者となり、納税義務が発生します。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
課税事業者の条件に該当したらいつから納税義務が発生する?
個人事業主が課税事業者になった場合、実際に納税しなければならない時期は、次のいずれかです。
- 基準期間(前々年の1月1日〜12月31日)の要件にあたる場合はその2年後
- 特定期間(前年の1月1日〜6月30日)の要件にあたる場合は翌年
たとえば、2024年の基準期間内に課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2年後の2026年から納税が必要です。
また、2024年の特定期間内に課税売上高と給与支払額の両方が1,000万円を超えた場合は、1年後の2025年から納税しなければなりません。
免税事業者でも、インボイス制度のもとで適格請求書発行事業者に登録するために消費税課税事業者選択届出書を提出している場合は、課税事業者となります。届出をした翌年に申告・納税が必要です。
消費税納付額の計算方法
消費税申告の計算方法には、原則(一般課税)と簡易な計算方法(簡易課税制度)の2種類があります。
それぞれの計算方法について解説します。
一般課税
原則である一般課税の計算式は、次のとおりです。
課税売上高にかかる消費税額と、仕入れや経費で支払った消費税額は、それぞれ10%と8%(軽減税率)の税率ごとに計算します。取引のなかに非課税取引がある場合は、それらを除外して計算しなければなりません。
たとえば、課税売上高が1,000万円、仕入れや経費の合計額は300万円で、消費税率はすべて10%の場合、計算は次のようになります。
支払う消費税額は、70万円です。
簡易課税
簡易課税は、基準期間の売上が5,000万円以下の場合のみ選べる計算方法です。課税売上高にかかる消費税額に、業種ごとに設定された「みなし仕入率」を掛けて計算します。
みなし仕入れ率は、次のように定められています。
- 第1種事業(卸売業):90%
- 第2種事業(小売業):80%
- 第3種事業(農業、林業、漁業、建設業、鉱業、製造業など): 70%
- 第4種事業 (いずれにもあてはまらない事業・飲食店業など): 60%
- 第5種事業 (金融・保険業、運輸・通信業、飲食店業以外のサービス業): 50%
- 第6種事業 (不動産業):40%
仕入れの際に支払った消費税を計算する必要がなく、簡単に計算できます。非課税取引を分ける必要もありません。
計算式は、次のとおりです。
たとえば、卸売業で課税売上高が700万円の場合、次のように計算します。
支払う消費税額は、21万円です。
個人事業主の消費税は予定納税できる?
予定納税とは、前年度の所得税が一定の金額を超えた者に対し、年の途中に2回にわたって納税額の一部を前もって納める制度です。
予定納税は、税金を前もって納めることにより、資金繰りの負担を緩和することなどを目的としています。
消費税にも、前年度の消費税額が一定の金額を超えた場合、納税額の一部を前もって納める制度があり、中間申告と呼ばれます。
ここでは、個人事業主が中間申告をする場合の条件や、納付期限・税額をみていきましょう。
個人事業主が中間申告の対象となる条件
個人事業主が中間申告できるのは、前年の課税期間の消費税額が48万円を超えた場合です。
ただし、48万円以下でも、管轄の税務署に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出することで申告ができます。
48万円を超えるかどうかは、国税部分のみで計算します。地方消費税は含まれません。
納付期限と税額
中間申告の納付期限は、次のとおりです。
- 1月~3月分:5月末日
- 4月~11月分:申告対象期間末日の翌日から2ヶ月以内
計算方法は、前年度の消費税額からあらかじめ納付税額を計算する予定申告方式と、中間日までの期間を一事業年度とみなして仮決算をする方式に分かれます。
どちらで申告するかは、個人事業主が自由に選択できます。
予定申告方式
前年の実績により申告する方法です。前年に受け取った消費税額をもとに納付する金額が決められており、税務署から納税額が記載された中間申告書および納付書が送られてきます。
送られてきた納付書を利用するだけでよく、計算をしなくてもよいという点がメリットです。申告・納税が簡単にできます。ただし、業績によっては後述の仮決算の方法よりも中間納付税額が大きくなる可能性もあるため、注意が必要です。
仮決算方式
中間申告ごとに決算処理をして納税額を計算する方法です。期間における売上や仕入の金額で仮決算を行い、納付額を算出します。実際の利益をもとに納税額を計算するため、正確な税額がわかります。
中間申告期間ごとに決算業務を行うという手間はありますが、前期に比べて業績が悪化した場合や、前年の消費税額が特に高額だった場合など、納税の負担を軽減するために有効な方法です。
なお、計算した税額がマイナスになった場合でも、還付を受けられません。
消費税の納付期限を過ぎた場合の延滞税
消費税の申告・納税を期限までに行わない場合、ペナルティとして延滞税が課せられるため、注意が必要です。
延滞税は期限から遅れた日数分が課せられ、期限翌日から2ヶ月を基準に税率が変わります。
さらに、無申告加算税が課せられるほか、事情によっては過少申告加算税や重加算税といった付帯税が課せられる場合もあるため、期限内に正しく申告・納税するようにしてください。
個人事業主が消費税を支払えない場合はどうする?
消費税を納付することが難しい場合、税務署に申請して猶予が一時的に認められるケースがあります。
猶予が認められる例としては、主に次のようなケースがあげられます。
- 災害や盗難にあった
- 納税者や家族が病気や怪我をした
- 事業を廃業もしくは休業した
- 事業に大きな損失があった
消費税の支払いについて猶予を受けられるのは、原則として1年以内に限ります。猶予を受けた消費税は、猶予期間中に分割して納めなければなりません。
課税事業者の個人事業主は消費税の引き落とし日に注意しよう
課税事業者の要件に該当する個人事業主は、課税期間の翌年、3月31日までに申告・納税が必要です。振替納税の引き落とし日は1ヶ月後になりますが、余裕をもって口座に入金しておきましょう。
前年度の消費税額が一定の金額を超えた場合は中間申告ができ、高額な消費税納付の負担を軽減できます。
申告・納税の期限が過ぎると延滞金などの付帯税が課せられるため、期限は必ず守るようにしてください。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
老人扶養控除をする人の確定申告
確定申告の時に基本的な控除として大きな金額を占めるのが、扶養控除です。会社員であれば、年末調整時に用紙を配られて記入した経験のある人もいるでしょう。会社員は通常確定申告をする必要はありませんが、老人扶養控除は扶養控除の中でも特例措置的な控除…
詳しくみる消費税の割戻し計算とは?積み上げ計算との違いも解説
インボイス制度の導入により、消費税の制度が大きく変わりました。代表的な変更点は、仕入税額控除を受けるためには取引先からの適格請求書等(インボイス)が必要になることです。また、消費税の計算方法も割戻し計算と積み上げ計算について、使用方法などの…
詳しくみる雑所得とは?税率や控除を理解して確定申告に備えよう
雑所得は、事業所得や給与所得、利子所得など他の9種類の所得に分類されない所得のことです。例えば、公的年金や非営業用貸金の利子、シェアリングエコノミーなどの副業の所得がこれに該当します。 雑所得の所得税額は、事業所得や給与所得などの所得と合計…
詳しくみる税額控除とは?所得控除との違いやその節税効果を解説
確定申告をする際の控除には、所得控除と税額控除があります。2つの控除は意味合いや計算方法が異なります。 ここでは、おもな税額控除をご紹介するとともに、所得控除との違いや節税効果についても解説します。 税額控除とは 税額控除は、課税所得金額に…
詳しくみる個人事業主は家族に給与を払うと節税になる?青色事業専従者給与も解説
個人事業主は家族で経営を行うことが多く、家族に給与を支払うケースもあります。もし家族の給与を経費にできれば節税になりますが、原則生計を一にする家族への給与は経費になりません。ただし、青色申告をしている場合は、例外もあるのです。 ここでは、個…
詳しくみる確定申告で雑損控除を受ける方法とは?要件や計算方法も解説
今回は雑損控除についてまとめました。該当する場合は確定申告の際に忘れないように申告しましょう。 雑損控除とは? 確定申告において、所得控除のひとつに「雑損控除」があります。 これは、地震や火事、害虫による被害など、自然災害や生物、人の行為が…
詳しくみる