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  • 更新日 : 2021年11月2日

確定申告における扶養控除と控除対象扶養親族の所得要件を解説

確定申告における扶養控除と控除対象扶養親族の所得要件を解説

所得税では、家族が多い、保険に加入しているなど、その人の状況に合わせた課税を行うため、所得控除を設けています。所得控除には人に関する人的控除とモノに対する物的控除があります。

控除の内、特に複雑なのが人的控除です。例えば扶養控除の対象となる親族のように、それぞれで細かい規定があります。そこでここでは、人的控除の内、特に知っておきたい扶養控除や控除対象扶養親族について詳しく解説します。

扶養控除とは

扶養控除とは、扶養控除対象となる親族がいる場合、一定額の控除が受けられる制度です。受ける控除額が多ければ多いほど、確定申告の際に納税額を抑えることができます。

所得税の扶養親族になるための要件

一般的に「家族」といえば、一つ屋根の下で暮らす配偶者や子供、両親や祖父母などをイメージする方が多いでしょう。また、単身赴任や就学のため家を離れ別々で暮らすことがあっても「家族」であることには変わりません。

所得税法でいう「扶養親族」も「家族」の定義に近いものはありますが、捉え方が少し異なります。具体的には、税法では親族関係のほかに「生計」を含めて「扶養親族」を総合判断することになります。

所得税法が定める「扶養親族」の要件を解説していきましょう。

16歳以上であること

平成22年度より「子ども手当(平成25年4月より「児童手当」に変更)」が実施されました。この制度により、15歳以下の子供を扶養している場合「子ども手当」が支給されています。その結果、手当を受給しているかわりとして平成23年の法改正で16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外となりました。

6親等内の血族、3親等内の姻族であること

「血族」とは、納税者本人の親族を指し、「姻族」は、納税者本人の配偶者の親族を指します。分かりにくい場合は家系図を描くと「6親等内」「3親等内」を理解しやすいでしょう。例えば、納税者本人の両親や子供は1親等ですし、兄弟姉妹・祖父母・孫は2親等にあたります。

「扶養」という言葉から、自分の配偶者や下の世代を扶養するというイメージがあるでしょう。しかし、実際は親や祖父母といった上の世代も扶養控除の対象となります。

自分の親族(血族)の場合は6親等、配偶者側の親族(姻族)の場合は3親等までとかなりの範囲がカバーできます。

同一生計であること

同一生計とは、「生計を一にする」という意味ですが、必ずしも同居し、生活費を共有している必要はありません。

例えば、以下などの場合は、別居していても「同一生計」であるといえます。

  • 単身赴任や越境入学により別居中の親族に仕送りを行っている
  • 病気のため入院中の親族の療養費を支払っている
  • 離婚後、子供の養育費を支払っている

合計所得金額が48万円以下であること

扶養控除の対象となる親族の要件として、無収入である必要はありません。何らかの収入があったとしても、合計所得金額が48万円以下であれば扶養親族となります。

ここでいう「所得」とは、「収入金額」ではないことに注意してください。税法上の所得とは、「収入金額」から給与所得控除などの「必要経費」を差し引きした残額を指すからです。必要経費となる控除、所得の種類によって異なります。

1.パート・アルバイトの場合は「年収103万円以下」がボーダーライン

パートやアルバイトのように、労働の対価として労働者が得た給与は「給与所得」に該当します。

「給与所得」の所得金額は、「収入金額 - 給与所得控除(最低額55万円)」で求められるため、年収(収入金額)103万円以下が扶養親族となるボーダーラインになります。例えば年収103万円であれば「103万円 - 55万円 = 48万円」で48万円以下となりますので扶養親族の要件を満たします。

2.年金受給者の場合は年齢も考慮する必要がある

国民年金・厚生年金などの公的年金等は「雑所得」に分類されます。

公的年金等の所得金額は、「年金の受給額 - 公的年金等控除額」で計算されますが、ここで注意したいのは公的年金等控除額の最低額が、年齢により異なるという点です。具体的には65歳で控除額が変わります。

  • 65歳以上なら「110万円」
  • 65歳未満なら「60万円」

例えば、公的年金を130万円受給している親族の場合、65歳以上であれば「受給額130万円-110万円=所得金額20万円」ですから扶養親族に該当します。しかし、65歳未満であれば「受給額130万円-60万円=70万円」で扶養親族の所得要件から外れてしまいます。公的年金の受給者を扶養親族につける場合には年齢にも十分注意しましょう。

「控除対象扶養親族」とは16歳以上の扶養親族のこと

年末時点で16歳以上の親族は、他の要件をすべて満たせば、控除対象扶養親族となり得ると解釈できます。

扶養控除の金額は扶養親族の年齢で異なる

扶養控除の金額は扶養親族の年齢で異なる
扶養控除を受ける場合の控除額は、扶養親族の年齢等により異なります。それぞれ見ていきましょう。

1.控除対象扶養親族について

一般の控除対象扶養親族の要件は以下のとおりです。

  • 合計所得金額48万円以下であること(令和元年分以前は年間所得が38万円以下であること)
  • 年齢16歳以上18歳以下又は年齢23歳以上69歳以下であること

上記の要件に該当する扶養親族は、一般の扶養親族となり、控除額は38万円となります。

2.特定扶養親族について

その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であれば「特定扶養親族」という特別な控除を受けることができます。一般の扶養控除が38万円であるのに対し、特定扶養親族は25万円加算された63万円を控除することができます。

3.老人扶養親族について

親族が70歳以上であれば、一般の扶養控除38万円に「老人扶養控除」が加算されます。老人扶養親族に該当すれば10万円を加算した48万円、同居を常としている「同居老親等」に該当すればさらに10万円加算した58万円が控除金額となります。

老人扶養親族についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

4.同居老親等について

「同居老親等」の要件は、以下の2点を満たす必要があります。

  • 納税者本人又は配偶者の直系尊属であること
  • 同居を常としていること

特に「同居を常としている」という部分については判定が難しいので、具体的な例をあげて解説してみましょう。

(例1)「同じマンションや別棟の建物に居住しており、日常生活はほとんど一緒に過ごしている」
同居老親等に該当しますので控除額は58万円となります。

(例2)「長期入院で今は同居しているとはいえないものの、住民票の居住地は一緒であり、退院後したらまた一緒に暮らすことになっている」
同居老親等に該当しますので控除額は58万円となります。

(例3)「老人ホームに住んでいるおり、住民票も施設に移し生活も共にしていない」
同居老親等には該当しませんので控除額は48万円となります。

扶養控除を受けるためにはどうすればよいか?

扶養控除を受けるためには、年末調整による方法と確定申告による方法の2つがあります。それぞれについて見ていきましょう。

年末調整で控除を受ける場合

会社員の方が年末調整で扶養控除を受ける方法です。

年末調整で扶養控除を受けるためには、会社から配布される「給与所得者の扶養控除等申告書」に扶養親族の氏名等を記載し、勤務先に提出する必要があります。

「給与所得者の扶養控除等申告書」の記載方法については、次のページで詳しく記載しています。ぜひ、ご参照ください。

確定申告で控除を受ける場合

個人事業主など、年末調整を行わない人の場合は、確定申告で扶養控除を適用します。

確定申告で扶養控除を受けるためには、まず第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄に、親族の名前等の情報を記載し、前段で図解した表から控除額を求めます。次に、求めた金額を第一表の「扶養控除」欄に合計転記します。

扶養控除とは違う5つの控除

扶養控除と間違えやすい5つの控除について、なにがどのように異なるのかを解説します。

1.配偶者控除

扶養控除は、「配偶者を除く」6親等内の血族と3親等内の姻族を指します。配偶者も扶養の対象である点は同じですが、配偶者には「配偶者控除」「配偶者特別控除」という別の控除が用意されていますので「扶養控除」ではありません。

なお、配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためにも要件がありますが、ポイントとしては民法上の配偶者であることが前提です。いわゆる内縁関係の人は該当しません。

2.勤労学生控除

学校教育法に規定する高校や大学、高等専門学校などに通う学生で、アルバイト等の給与所得がある場合、収入金額によって「勤労学生控除」に該当することがあります。

  • 給与収入が103万円以下であれば、扶養控除
  • 103万円超130万円以下であれば、勤労学生控除

所得が48万円以下であれば、納税者(親)の扶養親族ですが、所得が48万円を超えてしまうと扶養親族から外れ、あなた自身が納税者となります。その際、勤労学生控除を受けることができます。

3.寡婦控除

「寡婦」とは、夫と死別や離婚した人で「ひとり親」に該当しない方をいいます。(令和元年分以前は夫と死別や離婚した人)。寡婦控除は民法上の婚姻関係を結んだ後に、死別や離婚等、一定の事由が生じた場合に受けることができる所得控除です。

「配偶者控除」と同じく、内縁関係の妻やシングルマザーの方は、婚姻関係がありませんので寡婦控除を受けることはできません。そのかわり、一定の要件を満たせば令和2年分以降は「ひとり親控除」を受けることができるようになりました。

以下の例で見ていきましょう。

  • 離婚した後、子供を連れて実家に帰る
  • 生計が立てられるようになるまで、給与所得者である実家の父に扶養してもらう
  • その後、パート勤務を始め、給与収入で生計を立てる

仮に実家の父の年間給与収入が2,000万円以下であれば生計を立てられるようになるまでは、父の扶養親族になることができます。

ご自身のパート勤務により給与収入を得た結果、扶養親族の要件から外れた場合に、所得金額が500万円以下であれば、ご自身の年末調整で寡婦控除を受けることができます。

4.寡夫控除

令和2年分以降、寡夫控除は廃止され「ひとり親控除」に統合されました。ただし、令和元年分以前の確定申告であれば寡夫控除を受けることができます。

寡夫控除の要件は以下の4点です。

  • 男性であること
  • 妻と死別、離婚した後、再婚していないこと
  • 生計を一にする合計所得金額38万円以下の子供がいること
  • 納税者本人の合計所得金額が500万円以下であること

5.納税者が2人以上いる場合は両者の扶養にできるか?

実家の父親に生活費を仕送りしていている子供2人がいたとしましょう。父親の年間合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前であれば38万円以下)なら、どちらかの子供が父親を扶養親族にすることできます。1人の扶養親族である父を複数の子供がそれぞれ扶養親族とする「扶養控除の重複適用」はできませんので注意してください。

扶養控除について理解できましたか?

扶養控除は、納税者本人の性別や所得の種類を問わず受けることができる所得控除のひとつです。しかし、年齢要件や所得要件など、控除対象とするための要件が細かく定められています。扶養控除について正しく理解し、扶養の適用間違いや控除忘れがないよう注意しましょう。

よくある質問

扶養控除とは何ですか?

扶養控除とは、扶養控除対象となる親族がいる場合、一定額の控除が受けられる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

控除対象扶養親族とは何ですか?

控除対象扶養親族とは、年末時点で16歳以上の扶養親族のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

扶養控除はどのように控除を受けますか?

年末調整または確定申告で控除を受けます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド確定申告

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