• 作成日 : 2022年10月14日

個人事業主は何もしない時でも確定申告すべき?メリット・デメリットも解説!

個人事業主は何もしない時でも確定申告すべき?メリット・デメリットも解説!

個人事業主として開業届等を提出したあとに、実際に事業を開始できなかったり、事業の着手が大幅に遅れたりすることがあります。

この記事では、このように事業ができなかった場合や売上がゼロの場合において、確定申告が必要なケースと確定申告をしたほうがよいケースなどについて解説します。

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個人事業主は何もしない時でも確定申告が必要?

所得税の計算において所得税額がある人は、確定申告が必要です。確定申告をする・しないは、開業届のあり・なしではなく、所得税額のあり・なしで判断します。したがって、個人事業主として何もしなくても、譲渡所得や一時所得などがあれば所得税の申告が必要です。

所得税の計算は、大まかに次のような順番になっています。なお、下記3の後には、税額控除があれば差し引き、さらに復興特別所得税額(所得税額×2.1%)が加算されます。
したがって、確定申告をするためには少なくとも「所得税額がある」ということが要件となります。

売上ゼロ・収入なしの場合

自分の事業について、何らかの理由で売上がゼロとなった場合には、そもそも所得金額がありませんので、確定申告の必要がありません。ただしこの場合でも、経費があれば、次項の赤字の場合に該当します。

個人事業主の場合、売上がゼロであっても何らかの経費を負担している場合がほとんどです。売上がない場合は、必要経費もなかったのかをよく確認しましょう。また、事業所得がなかったとしても、雑所得や一時所得などがあれば確定申告が必要です。

事業の売上も経費もまったくないケースで、事業所得以外がないのであれば、納付する税金がないので税務署への確定申告の必要はありません。住民税の申告(市民税申告)のみを必ず行いましょう。

所得税の確定申告書を提出する場合は、その申告内容が自治体へデータで送信されるため、改めて住民税の申告は必要ありません。しかし、所得税の確定申告書がない場合には、必ず自治体に住民税の申告が必要です。

住民税の申告をしないと無申告となり、国民健康保険料が正しく計算できなかったり、第三者から非課税証明書などが必要な場合に発行できなかったりするデメリットがあります。

赤字の場合

残念ながら、年度の収支が赤字になることはよくあります。特に事業開始後しばらくは、やむをえず売上高より経費が多く、赤字となる場合も多く見られます。コロナ禍のように不可避な状況下ではなおさらです。結論から言うと、赤字の場合、青色申告者は確定申告するほうがよいと言えます。

事業所得で赤字の場合、まず、その事業以外の所得と損益通算をします。例えば、事業所得が50万円の赤字であっても、途中まで給与所得が80万円あったとすると、給与所得から事業所得の赤字分を差し引くことができ、所得は30万円となります。このような所得の相殺を損益通算と呼びます。

損益通算をしてもなお控除しきれない場合には、損失額の繰り越し(翌年以後3年間)ができるので翌期以降の節税につながります。なお、この繰り越して控除できるのは、青色申告の特典です。白色申告の場合には、災害によって棚卸資産、固定資産などに受けた損失に限り控除可能です。

また、そもそも雑所得のみでは青色申告はできません。青色申告で雑所得もある人や白色申告で雑所得がある人の場合、その雑所得が赤字がであっても、所得がゼロとなるだけで損益通算はできません。したがって、青色申告の場合は確定申告によって損失申告をしたほうがよいと言えます。

副業の確定申告が必要になる「20万円ルール」とは?

給与所得がある場合、副業による所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。ただし、副業による所得が20万円以下であっても、医療費控除ふるさと納税などの適用を行う場合には確定申告が必要です。この場合には、副業などで得た20万円以下の所得も含めて確定申告する必要があるので注意しましょう。

さらに、給与所得を2カ所以上から受けている場合*においては、給与収入の合計額から雑損控除、医療費控除、寄附金控除基礎控除以外の所得控除を差し引いた残額が150万円を超え、かつ、事業所得などの副業による所得が20万円を超えた場合に確定申告が必要となります。

*給与の全部において源泉徴収の対象となる場合に限ります。

この場合には、勤務先でもらった源泉徴収票を元に、確定申告書に給与所得と事業所得を記載します。

個人事業主が確定申告をしないメリット・デメリット

先述のように、確定申告する・しないを選択できる場合は次のような場合です。

  • 売上がゼロの場合
  • 赤字の場合
  • 給与所得がある場合の副業で20万円以下のケース

以下は、これらに該当する場合に、「確定申告をしない」を選択した場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

確定申告しないメリット

給与所得がある場合で、副業が20万円以下のケースにおいては、確定申告をしない選択をすると、手続きが簡素化するメリットがあります。

個人事業主で、所得がゼロや赤字の場合には所得税の確定申告をしない選択は考えられますが、国民健康保険料の計算等のための住民税の申告が必要です。

結局は、確定申告書に似かよった住民税の申告書を作成することとなりますので、個人事業主にとっては、所得税の確定申告をしないことが必ずしも手続きの簡素化とは言い切れません。したがって、個人事業主の場合は確定申告をしないメリットはあまりありません。

確定申告しないデメリット

青色申告者の事業が赤字の場合、確定申告をしないと赤字部分を来期に繰り越しできません。来期以降の節税を考えるのであれば、確定申告をしないとデメリットとなります。

事業が赤字の場合で給与所得がある場合には、確定申告により支払い過ぎた税金が還付されるので、確定申告をしないとデメリットとなります。もし確定申告で還付がある場合には、銀行口座の記載を忘れないようにしましょう。

さらに、給与所得を2カ所以上から受けている場合などには、支払過ぎた源泉税を取り返すことができなくなるため、確定申告をしないデメリットは大きいと言えます。

売上や収入がない場合でも、メリットを理解して確定申告しよう!

結論的には売上高がない場合や赤字の場合であっても、確定申告をしたほうがよいということです。年に1回の確定申告なので、手順を確認するためにも実施して、売上ゼロなら「ゼロ」という決算書や申告書を残しておくほうが後になってわかりやすいとも言えます。

また、電子申告がまだの方は、確定申告書の提出が簡単に済むため、電子申告にチャレンジするなど少しづつ納税環境を整えていきましょう。

よくある質問

個人事業主はいつでも申告は必要?

個人事業主は、所得税の計算において所得税額があれば確定申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

赤字の場合の確定申告とは?

赤字の場合、青色申告者が損益通算をしてもなお控除しきれない損失額は繰り越し可能です。翌期以降の節税につながります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告をしないメリットとは?

確定申告をしないメリットはあまりありません。手順を確認するためにも毎年確定申告を実施しましょう。売上ゼロの場合でも結果を残す決算書や申告書を作成して提出するほうが、後になってわかりやすいです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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