- 更新日 : 2024年1月19日
コロナ時代の確定申告!その給付金は課税対象?気を付けるポイントは?
コロナ対策のため、多くの給付金や補助金、助成金が支給されました。コロナ対策で支給されたお金の中には、課税対象となるものがあるので注意しておきましょう。本記事では個人事業主が受け取った給付金等について、課税の有無や確定申告での注意点を説明します。
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目次
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コロナ対策の給付金や補助金、助成金は課税対象となる?
コロナ対策のため支給された給付金・補助金、助成金等の中には、課税されるものとそうでないものがあります。
1. 持続化給付金等の税金の取り扱い
まずは、持続化給付金などの課税関係がどうなっているのかを見ていきましょう。
(1)持続化給付金
持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響で一定割合の売上が減少した事業主に対して、支給される給付金です。個人事業主には最大100万円が支給されました。
持続化給付金は、減少した売上の補填という意味もあることから、個人事業主では事業所得に区分され、所得税が課税されます。
(2)家賃支援給付金
家賃支援給付金とは、新型コロナウイルスの影響で一定割合の売上が減少した事業主に対して、地代家賃の負担の軽減を目的として支給される給付金のことです。個人事業主には、最大300万円が支給されました。
家賃支援給付金は経費の補填という意味もあることから、個人事業主では事業所得に区分され、所得税が課税されます。
(3)都道府県の休業・時短要請協力金
都道府県の休業・時短要請協力金とは、都道府県の休業や時短要請に応じた個人事業主や法人に対して支給された協力金のことです。支給された金額は自治体によって異なります。
都道府県の休業・時短要請協力金は、売上の補填という意味もあることから、個人事業主では事業所得に区分され、所得税が課税されます。
2. 雇用調整助成金等の税金の取り扱い
次に、雇用調整助成金などの課税関係がどうなっているのかを見ていきましょう。
(1)雇用調整助成金の特例
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルスの影響を受けて休業し、休業手当を支給した個人事業主等に支給された助成金のことです。支給された金額は休業手当の支給割合などによって異なります。
雇用調整助成金は経費の補填という意味もあることから、個人事業主では事業所得に区分され、所得税が課税されます。
(2)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、新型コロナウイルスの影響で休業した個人事業主等に雇用されている従業員で、休業手当の支給がなかった従業員に対して支給される支援金・給付金です。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、従業員の生活維持を助けるという意味もあることから非課税となります。
3. 小規模事業者持続化補助金の税金の取り扱い
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が新型コロナウイルスの感染防止対策やポストコロナのためにビジネスモデルを変える場合などに支給される補助金です。
小規模事業者持続化補助金はかかった費用の一定割合を補助するものであるため、個人事業主では事業所得に区分され、所得税が課税されます。
4. 特別定額給付金の税金の取り扱い
所得は原則的に課税されるものですが、政策的な理由などから課税が望ましくないものについては例外的に非課税として扱います。そして、所得が非課税になる場合は、法律で明記されています。
例えば、特別定額給付金については、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」の第4条第1項第1号において、非課税である旨が定められています。
また、コロナに関連して「緊急小口資金等の特例貸付」「総合支援資金の特例貸付」などの貸付制度も設けられました。貸付制度を利用した場合、借入金は所得ではないため、税金はかかりません。借入金の返済を行った場合には、利息のみが経費になります。
なお、コロナ対策の給付金・補助金・助成金に対する課税について、詳しくは以下をご参照ください。
参考:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ|国税庁
課税対象となる給付金は確定申告が必要
個人事業主が課税対象となる給付金を受け取った場合、確定申告が必要になります。給付時には税金は差し引かれませんので、受け取った金額を収益として計上した上で確定申告を行います。非課税の給付金については、確定申告の必要はありません。
持続化給付金の仕訳
給付金や助成金をもらった場合、一般には「雑収入」として仕訳します。持続化給付金100万円の給付があった時の仕訳は次のようになります。
例1)事業用口座に入金された場合
例2)事業用口座以外の口座に入金された場合
持続化給付金の所得区分は本業の所得区分に対応させる
持続化給付金を受け取った場合、確定申告時の所得区分は、本業の所得をどの所得区分で申告しているかによって変わります。例えば、本業を「事業所得」で申告していれば、持続化給付金も「事業所得」になります。
2020年6月29日以降は、主たる収入を「雑所得」「給与所得」で申告しているフリーランスも持続化給付金の対象に含められています。「雑所得」で申告している人は持続化給付金も「雑所得」になります。なお、「給与所得」で申告している人については、持続化給付金は「一時所得」となります。
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Go To キャンペーンのお得分も課税対象になる
Go ToトラベルキャンペーンやGo To Eatキャンペーンを利用すれば、通常よりもお得に旅行や外食ができます。「Go Toキャンペーン」で利益を得た部分も、課税対象になります。
Go Toキャンペーンで得た利益は一時所得
Go Toキャンペーンで得した部分については、国からの給付金が出ています。この給付金は、旅行者や消費者個人の利益として、課税対象になります。所得区分としては、「一時所得」の扱いになります。
一時所得とは
一時所得とは、営利目的ではない一時的な所得で、他の所得区分に該当しないものです。懸賞の当選金、競馬の払戻金、生命保険の満期保険金などが一時所得になります。
一時所得の課税所得金額は、次の計算式で計算します。
課税一時所得を計算する時には、必要経費を控除できます。必要経費が発生するケースはあまり多くはないですが、生命保険の満期保険金が支払われた場合には、その満期保険金を受け取るために支払った保険料が必要経費になります。
一時所得は年間50万円以下なら非課税
一時所得には50万円の特別控除があります。Go Toキャンペーンを含むすべての一時所得の金額を合わせて年間50万円を超えない限り、実際には税金は発生しません。
Go Toキャンペーンの仕訳
個人事業主が事業に関係する出張などを行い、Go Toキャンペーンで利益を得た部分については、「雑収入」となります。
例えば、Go Toトラベルキャンペーンで10万円の旅行代金について35%の値引きを受けた場合には、次のような仕訳になります。
※ただし、2020年11月6日予約販売分よりビジネスを目的とした出張はGo Toトラベルの対象外とされました。
2020年スタートのマイナポイントには税金がかかる
2020年9月には、マイナンバーカードやキャッシュレス決済の普及促進を目的としたマイナポイント事業がスタートしました。マイナンバーカードを持っていれば、マイナポイント事業に参加しているキャッシュレス決済手段の中から1つを選んで、最大5千円分のマイナポイントをもらうことができます。
2022年6月30日からは、マイナポイント第2弾として最大2万円のマイナポイントがもらえます。
以下、マイナポイントの課税関係について説明します。
通常のポイントは非課税
さまざまなサービスのポイントプログラムでポイントを取得した時には、経済的利益を受けています。しかし、国税庁の見解では、「商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しない」とされています。
引用:No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い|国税庁
つまり、カード会社などから受ける通常のポイント還元については、課税対象になりません。
マイナポイントは課税対象
国税庁はマイナポイントについて、「『通常の商取引における値引き』とは認められず、その経済的利益は一時所得として所得税の課税対象となります」という見解を示しています。
上述のとおり、一時所得には50万円の特別控除があります。マイナポイントは最大5千円ですから、マイナポイント単独で課税されることはありません。
個人事業主の場合、他の一時所得の金額とマイナポイントを合わせて50万円を超える場合には、一時所得として確定申告をする必要があります。
マイナポイントの仕訳
マイナポイントのポイント付与の仕方は、キャッシュレス手段によって異なります。例えば、マイナポイントにより5千円分のポイントが一括付与された事業用クレジットカードで、ポイント5千円分を使って1万円分の事務用品を購入した場合には、次のようになります。
※事業所得の計算上では、マイナポイントは「事業主借」勘定で処理しておいて、確定申告の時に、マイナポイントの5,000円部分は一時所得の総収入金額に算入します。
課税対象の給付金は忘れずに確定申告しましょう
コロナ対策の給付金や補助金、助成金をもらった個人事業主が多いと思います。事業に関連して支給された給付金等には基本的に税金がかかります。Go Toキャンペーンやマイナポイントも課税対象となっており、場合によっては確定申告が必要です。課税関係について理解し、正しく確定申告をするようにしましょう。
【参考】
新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律|e-GOV 法令検索
No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い|国税庁
No.1490 一時所得 Q&A|国税庁
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コロナ対策の給付金・助成金の税金の取り扱いは?
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マイナポイントも「一時所得」として課税対象になり、他の一時所得と合わせて50万円を超える場合には確定申告が必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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