- 更新日 : 2022年3月23日
同じ1億円でも宝くじの当せん金とクイズの懸賞金では税金が違う!?

年末と言えば宝くじの時期ですね。「もし当選したら・・・」と使い道を考えるだけでもワクワクします。ところで、宝くじやクイズの賞金には税金がかかるものなのでしょうか?
今回は知っているようで知らない「宝くじ」と「クイズの懸賞金」の税金について見ていきましょう。
目次
宝くじの当せん金とクイズの懸賞金の小さくて大きな違い
もしあなたが「宝くじ」で1億円当選したら…
宝くじの当せん金は非課税所得となります。非課税所得とは言い換えると、税金がかからない所得という意味となります。他にも、オリンピック・パラリンピックのメダリストの報奨金やスポーツ振興くじtotoも非課税所得です。
当せん金そのものには税金がかかることはありませんが、関連する範囲で税金が発生する可能性があります。例えば銀行の口座に預けた場合に発生した利子は、利子所得として源泉徴収されます。
また、高額当選金でマイホームを購入するなど大きな出費をした場合は、出所を確認するために税務署から問い合わせがくることがあります。その時に当せん証明書を提示すれば、正当な方法で手に入れた宝くじの当せん金であることを証明することができます。
もしもあなたが「クイズ」で1億円獲得したら…
クイズの賞金は宝くじと違い、一時所得となります。つまり、非課税所得ではないため税金がかかります。他には、懸賞や競馬競輪の払戻金、拾得物の報労金なども一時所得に含まれます。
一時所得の計算方法は収入からその収入を得るためにかかった費用と、特別控除額(最高50万円)を差し引くことで求められます。そして求めた金額の1/2に対して課税されることになります。
クイズの懸賞金を、認定NPO法人に寄附した場合
あなたがクイズの懸賞金を認定NPO法人に寄附した場合、所得税法の寄附金控除を受けることができます。全額寄附をしたとしても、寄附金控除を使うことで減税効果を期待することができます。
特定寄附金の控除額は、
・特定寄附金全額-2,000
・あなたの総所得金額×40%-2,000
の少ない方の金額が適用されます。
認定NPO法人以外にも、ふるさと納税のような国や地方公共団体、社会福祉法人のような特定公益増進法人など特定寄附金に指定されている団体であれば、寄附金控除を受けることができます。その場合、添付書類として領収書が必要となりますので必ず発行してもらうようにしましょう。
クイズの懸賞金を、個人に譲渡した場合
あなたがクイズの懸賞金を、特定の誰かに譲り渡した場合、金額によっては贈与税を支払うことになります。あなたが誰にあげるのかは自由ですが、贈与税はもらった人が申告して支払うことになります。
それでは、贈与税が必要な場合と必要ではない場合を事例をもとに説明します。
贈与税の申告をする必要がない場合
「あら、100万円もくれるの?ありがとう!」
彼女は喜んでいます。
真面目な彼女はe-Taxを使って贈与税に関する申告書を作成し税務署に向かおうとしました。
そんな彼女にあなたが言います。
「納税額が0円なら申告する必要はないんだよ。代わりにこっちを出しに行こう。」
あなたは贈与税に関する申告書を破り捨て、代わりに婚姻届を彼女に差し出しました。
もちろん行先は税務署ではなく区役所になりました。
贈与税の基礎控除額は110万円なので、110万円までは税金がかかりません。あなたがあげた100万円は基礎控除額110万円未満となり、納付税額は0円となります。
※ただし彼女が複数の彼氏から100万円ずつ受け取っていた場合は、受け取った合計金額が110万円を超えるため納税する必要があるため気をつけましょう。
贈与税の申告をする必要がある場合
「あら、500万円もくれるの?うれしい!」
彼女は喜んでいます。
しかし、金額が110万円を超えているため納税の義務が発生してしまいました。
彼女はe-Taxで「贈与税に関する申告書」を作成しながら(なんでわたしがこんな作業をしなくちゃいけないの!?おまけに53万円も納税しなくちゃいけなくて損した気分…。)と思いました。
そんなことが起こっているとはいざ知らず、あなたは完全に良い事をしたと信じきっています。一方で彼女の機嫌は下り続けています…。
もしもあなたにもう少し税金の知識があったなら、このような結果にはならなかったかもしれません。
110万円を超えた金額を譲渡されると贈与税を申告して納税する必要が発生します。税額は受け取った金額の大きさによって変わります。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 | 税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% | 控除額 | 無 | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
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※祖父母や父母などから贈与を受けた場合は、税率は異なります。
参考:国税庁:贈与税の計算と税率(暦年課税)
適用法律一覧
クイズの懸賞金を獲得した場合に適用される法律
・所得税法第22条(課税標準)
・所得税法第34条1項(一時所得関係)
・所得税法第34条2項(収入を得るために支出した金額の定義)
宝くじの場合適用される法律
・当せん金付証票法第1条:いわゆる宝くじはその売上金をもって、地方財政に充てるための資金として確保することが目的とされている。
・当せん金付証票法第5条:当せん金の最高の金額は、額面金額の50万倍を上限とする。ただし、総務大臣の指定するものの上限は250万倍(加算金のある場合は500万倍)とする。
・当せん金付証票法第13条:当せん金品には、所得税を課さない。
・スポーツ振興投票の実施等に関する法律第16条:第13条の払戻金については、所得税を課さない。
まとめ
もらった金額は同じですが、当せん金の種類によって課税関係は大きく異なります。事例のようなトラブルを防ぐためにも、獲得金額の確認は不可欠です。また、贈与税がかかる金額を贈与する場合には、相手の承諾を得てから贈与するといいでしょう。
(※記事内で登場したストーリーはフィクションです。)
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。