- 更新日 : 2025年1月7日
小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象?メリット・デメリットを解説
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
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小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が取り組む販路開拓を支援するための補助金です。令和6年においては第16回の公募が終了し、今後の予定は未定ですが、どのような補助金なのかをよく知っておくと、新たな応募があった場合に対応を考えやすいでしょう。
この記事では、令和6年の小規模事業者持続化補助金を振り返ってお伝えします。
目次
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小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象?
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主も対象です。法人、個人、特定非営利活動法人が対象となりますが、業種によっては従業員数が一定以上の場合に対象外となるのでご注意ください。
【対象となるための業種と従業員数】
ここでいう従業員は「常時使用する従業員」です。
業種 | 対象となるための従業員 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
また、重複申請ができない等一定の要件があります。
参考:小規模事業者持続化補助金、「第16回小規模事業者持続化補助金 ガイドブック」
個人事業主が小規模事業者持続化補助金を利用するメリット
小規模事業者持続化補助金は、次のように様々な場面で小規模事業者を支援し、持続的な発展を促すための制度として重要な役割を持っています。
スモールビジネスでも申請しやすい
小規模事業者持続化補助金は小規模事業者が対象であるため、スモールビジネスや創業後間もない事業者でも申請しやすく設計されています。できるだけ多くの事業者が利用しやすいための配慮とも受け取れます。
新商品の開発や販路開拓のコストが軽減される
小規模事業者持続化補助金は、新商品の開発や新たな販路の開拓にかかる経費の一部を補助することで、事業者の金銭的負担を軽減します。令和6年度においては、補助率が2/3(赤字事業者は3/4となるものもあり)であり、50万円または200万円が補助上限となっていました。
会計ソフト導入も補助金対象になることがある
小規模事業者持続化補助金には、会計ソフトの導入などの業務効率化につながる経費も対象となるものがあります。
令和6年度は、一定の要件を満たす場合にはインボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等も対象となっていました。事業者は最新のハード機器や会計ソフトを導入し、経理処理の効率化、スピーディーな財務管理が可能になります。
経営計画を見直すきっかけになる
補助金申請には、経営計画書の提出が必要となります。普段は事業が忙しく、経営計画を改めて作成する機会のない事業者にとって、計画書に直面することは自社の経営状況を見直す良い機会です。
自社の強みや市場の動向、顧客ニーズなどについて、改めて自分の事業を再評価し、改善点を見つけるチャンスと言えます。
商工会・商工会議所からアドバイスが受けられる
申請の過程においては、地域の商工会議所、商工会のアドバイスを受けることができます。専門的な見地から事業計画や販路開拓方法について指導を受ける機会を持ち、より効果的に進めることが可能となります。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
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個人事業主の小規模事業者持続化補助金はいくらもらえる?(令和6年実績)
令和6年度実施の小規模事業者持続化補助金については、全部で5枠の公募がありました。それぞれの補助上限額を確認しておきましょう。
【令和6年 小規模事業者持続化補助金 補助率および補助上限額】
類型 | 通常枠 | 賃金引き上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 |
---|---|---|---|---|---|
補助率 | 2/3 | 2/3(赤字の場合は3/4) | 2/3 | ||
補助上限額 | 50万円 | 200万円 | |||
インボイス特例 | 一定の要件を満たす場合に上限額に50万円の上乗せ特例あり |
それぞれについての詳細は下記をご参照下さい。
参考:
小規模事業者持続化補助金(一般型)|商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局、「小規模事業者持続化補助金 ガイドブック」
個人事業主の小規模事業者持続化補助金の対象経費
小規模事業者持続化補助金の対象経費となるものは、令和6年度においては次の10種類の経費とされていました。
機械装置等費 | 広報費 | ウェブサイト関連費 |
展示会等出展費 | 旅費 | 新商品開発費 |
資料購入費 | 借料 | 設備処分費 |
委託・外注費 |
それぞれについての詳細は下記をご参照下さい。
参考:
小規模事業者持続化補助金(一般型)|商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局、「小規模事業者持続化補助金 ガイドブック」
個人事業主が小規模事業者持続化補助金を利用するデメリット
補助金は返す必要がないため、基本的には利用できるに越したことはありません。しかし、全体を通して考えると、必ずしも忙しい個人事業主の立場に立っているとは言えない面もあります。
必ずしも審査に通るとは限らない
申請しても審査があり、必ず補助金をもらえるとは限りません。実際、令和6年度第16回締切分の事業者の採択率は、37.2%(申請件数7,371件、採択事業者2,741件)と高くはありませんでした。
多くの労力をかけて作成した申請書もこの採択率の低さでは、公募についてよく考えざるを得ません。
参考:「小規模事業者持続化補助金(第16回締切分)」の補助事業者が採択されました| 中小企業庁
審査に約2~3ヶ月ほどかかる
申請書を提出してから、審査結果がわかるまで最低2ヶ月はかかります。その間は、事業計画書に記載した事業を実施できません。また、補助事業が完了する前に補助金を受け取ることも認められていません。
すぐにでも実施したいと具体的な事業計画に落とし込んだのに、待ち時間が長いとあまり効果を感じられないのも無理はありません。
経営計画を策定する必要がある
経営計画の策定には時間がかかります。事業の環境や今後について事業計画書に落とし込むのには、まとまった時間が必要です。また、パソコンで申請するため、不慣れな場合にはさらに時間がかかります。
個人事業主の小規模事業者持続化補助金の申請方法
小規模事業者持続化補助金の申請にあたっては、まず経営計画書や補助事業計画書を作成し、地域の商工会議所等に「事業支援計画書」の発行依頼を行い、交付を受けなければなりません。小規模事業者自身が商工会議所等の支援を直接受けて取り組む事業であるため、代理人だけで「事業支援計画書」の発行依頼をすることはできません。
次のような申請書類が共通的に必要です。
GビズIDのアカウントにより、電子申請します。GビズIDは、1つのID・パスワードで様々な行政サービスにアクセスできるサービスであり、有効期限や更新などはありません。オンライン申請なら即日ID発行も可能です。
申請後は、事務局で申請内容が審査され、採択・交付決定となります。
参考:
(商工会議所の管轄地域)小規模事業者持続化補助金(一般型)|商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局、「小規模事業者持続化補助金 ガイドブック」
(商工会の管轄地域)小規模事業者持続化補助金【一般型】 採択者向け情報、「補助事業の手引き」
個人事業主の小規模事業者持続化補助金の手続き
小規模事業者持続化補助金の申請後の個人事業主の手続きとしては、大まかに次のようなものがあります。
- 事業の実施
事業計画が採択されたら、「補助金交付決定通知書」にて通知され、その後補助事業計画に沿って事業を実施します。
補助金交付決定通知書の交付決定日から補助事業実施期限までに、発注や支払いを完了したものだけが補助対象となるので注意しましょう。
なお、計画変更の場合には申請を要します。 - 実績報告書の提出
補助事業の終了後、補助事業の実施内容とその支出の証拠書類等をまとめた実績報告書を提出し、これにより補助金額が確定されます。なお、支出の証拠書類とは、見積書、契約書(発注書)、納品書、請求書、領収書等のことです。
購入の状況によって必要な証拠書類は異なりますが、補助対象経費として認められ
るために購入から支払までの状況が説明できるものは必ず残しておきましょう。 - 補助金額の請求
補助金額確定後「補助金確定通知書」が交付され、事務局に対し請求を行います。数週間後に、事務局より補助金入金が入金されます。 - 事業効果報告
補助事業が完了してから1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を提出します。
参考:小規模事業者持続化補助金(一般型)|商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局、「小規模事業者持続化補助金 ガイドブック」
個人事業主の小規模事業者持続化補助金の審査に通るコツ
申請内容は、事務局の外部有識者等により審査されます。たとえ要件を満たしていてもすべての申請者が採択されるわけではなく、評価の高い案件から順に採択されることになります。
審査のポイントとしては、次のことが挙げられます。
- 具体性・明確性
自身の経営状況を正しく把握して、商品やサービスの強み等を明確に説明しているか? - 経済環境の分析
顧客ニーズや競合他社の状況を把握し、自身の強みを踏まえた計画であるか? - 実現可能性
事業計画は具体的で、実現可能性が高いものか? - 視認性の高さ
図表等を効果的に利用して、審査員が理解しやすいような構成になっているか? - 数値目標の設定
事業の効果として、成果指標や目的数値などを含んでいるか?
小規模事業者持続化補助金以外で個人事業主が利用できる補助金
小規模事業者持続化補助金以外の補助金についてご紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業等の経営課題を解決するITツール導入を支援するための補助金です。中小企業や小規模事業者等とITベンダー・サービス事業者が協力して申請する形式になっています。令和6年度においては第7次締切まであり、令和6年12月現在は今後の発表待ちです。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ポストコロナに対応した事業再構築を行う事業者を重点的に支援する補助金です。業種転換や事業再編など、思い切った事業再構築を目指す中小企業等を支援します。令和6年においては第12回公募があり、令和6年11月から令和7年1月にかけて採択者の説明会が行われます。
参考:事業再構築補助金とは、第12回公募 補助金交付候補者向けオンライン説明会 | 採択された方
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、相次ぐ材料費の値上げや賃上等の経済環境に対応するため、新たなサービスや商品の開発、生産性向上のための設備投資等を支援する補助金です。令和6年度も実施されましたが、令和6年12月現在は今後の発表待ちです。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化補助金は、中小企業等(個人事業主含む)の生産性の向上や賃上げにつなげることを目的とした補助金です。IoTやロボットなどの汎用製品を「製品カタログ」から選択し、導入することで補助金(補助率1/2以下)が得られます。令和8年9月末ごろまで申請を受け付ける予定です。
創業補助金(給付金)
各都道府県や市区町村が実施する創業者向けの補助金や給付金があります。地域によって特色があり、事業所のある地域が当てはまれば国の補助金よりも競争率が低い場合もあります。
参考:創業者向け補助金・給付金(都道府県別)|中小企業基盤整備機構
いろいろな補助金を試してみよう!
小規模事業者持続化補助金以外にも多くの補助金制度があります。事業の内容について補助金の趣旨により合致したもののほうが、採択率も上がると言えます。
今後、ある程度期間的に余裕をもって事業拡大を考えている個人事業主においては、まず事業計画をしっかり立てることをおすすめします。その上で、事業目的に合う補助金制度を見つけるほうが採択率を上げられるでしょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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